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「決断」と「実行」の年2004年
北城恪太郎代表幹事年頭見解

社団法人 経済同友会
代表幹事 北城 恪太郎

はじめに - 公共事業を主体とした対策なき景気回復へ

わが国の経済は、ようやく一部に明るい兆しが見え始めてきた。この10年余り、景気回復に向けた財政出動の是非が幾度となく争点となってきたが、今回は決して従来のように公共事業を主体とする景気対策が行われたわけではない。むしろ、好調な外需に支えられ、社内の構造改革をいち早く成し遂げた企業や、魅力ある製品・サービスを開発・提供し続けた企業の自助努力が実り始めた結果である。

経済の持続的な発展を図るためには、国民一人ひとりが道を切り拓いていく気概を持つことが大切であり、それが活力溢れる社会を築く原動力となる。そのためにも、構造改革を最後まで成し遂げ、民間主導型の経済を確立することが重要である。2004年はその成否を分ける分水嶺となる1年である。

1.小泉総理は、不退転の覚悟で「決断」と「実行」を

我々が「改革なくして成長なし」「官から民へ」「国から地方へ」と訴えた小泉総理を支持してきたのも、官の肥大化がもたらした依存体質に終止符を打つことこそ、民間や地方の活力を最大限に発揮させる鍵だからである。その意味で、これまで聖域であった数々の分野にメスを入れた小泉総理の実績は評価するが、改革の進捗の遅さ、そして最終的にめざすべき具体的な姿の不明瞭さを見るにつれ、小泉改革の展望に次第に不安を感じ始めている。

わが国が、国と地方を合わせて約700兆円にものぼる膨大な財政赤字を抱え、なおも税収に迫る規模の国債を発行し続けていることに強い危機感を覚える。このままの状態が放置されるならば、財政破綻を招くことにもなりかねない。我々は、この改革に失敗すれば将来に大きな禍根を残すというまさに最終地点に立っていることを認識すべきである。

小泉総理には、もはや一刻の猶予も許されないという不退転の覚悟を持って、国の役割は国にしかできないことに集中し、民間の活力を最大限に引き出す構造改革による「小さな政府」の実現に向けて、果敢に決断・実行していただきたい。

2.来るべき参院選に向けて、「小さな政府」か「大きな政府」かの基本理念を明確に

昨年秋の総選挙では、我々がかねてより求めていた「政権公約(マニフェスト)」が導入され、政権交代を可能とする政策本位の政治の扉が開かれた。そのこと自体は大きな進展であったが、各政党から示された政権公約が不十分なものであったことは誠に残念である。

自民党の政権公約は具体性に乏しく、連立与党としての政権公約も事前に示されなかった。年金などの重要な改革案が総選挙後にまとめられたことは、国民の政策選択の機会を奪うものであり、国民軽視ととられても仕方がない。他方、民主党の政権公約も全体的な整合性がとれておらず、一部の政策については実現可能性にも疑問があった。

本年7月の来る参院選に向けて、国民に対してまず示さなければならないのは、「国民の受益と負担」に関する全体像と、財政再建、プライマリーバランスの均衡・黒字化への具体的かつ整合的な道筋(年次計画を含む)である。各政党は、年金、医療、介護を含めた社会保障と税から成る国民負担率のめざすべき水準を明確にすることによって、政府が国民生活のすべてに関与する「大きな政府」をとるのか、あるいは、民間にできることは民間に委ねる「小さな政府」をとるのかという、資源配分の担い手に関する基本理念を示すべきである。

その上で、年金改革、税制改革、規制改革、農業改革、三位一体改革、郵政事業民営化、道路公団民営化、FTAなどの主要政策課題について、全体的な整合性のとれた具体的な政権公約が示されることを強く望む。

3.民間主導型の経済社会の実現に向けた我々の責務

我々は、「大きな政府」に決別し、「小さな政府」による民間主導による経済社会の実現をめざしている。そのためには企業自身が社会にとって好ましい存在であり、信頼される存在であることが肝要である。残念ながら、昨年も企業の信頼を損ねるような不祥事や事故が相次いだ。我々経営者は、「企業は社会の一員である」という強い自覚を持って「企業の社会的責任(CSR)経営」を実践していかなければならない。

また、民間主導の活力ある社会の担い手として、新しい事業の創造に果敢に挑戦していく決断力と実行力を伴った人材が輩出されることも不可欠である。そのためには、成功した人や努力する人を称え、たとえ失敗したとしても再挑戦の機会が与えられる包容力のある社会を築くとともに、百年の計をもって、次世代を担う人材を育てることで必要であり、それが我々の責務でもある。

おわりに - 「決断」と「実行」の1年に

自らの責任と努力によって切り拓いていく道の先にこそ、真の希望と未来がある。我々一人ひとりがそのような認識を持ち、民間主導、内需主導の経済を実現すべく、「決断」し、「実行」する1年となることに期待する。

以上


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