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2002年年頭見解
- 揺るぎなき改革の継続を -

社団法人 経済同友会
代表幹事 小林 陽太郎

1.改革継続を支持する

昨年9月11日の同時多発テロは世界を変えたといわれる。米国の一国中心主義からの脱却、新しい政治グローバリズムの出現などとともに、日本も国際的なコミットメントに向けて明確に一歩を踏み出した。今後の世界情勢のさらなる展開の中で、わが国はこれらの変化の帰趨を冷静に見極め、自らの正しい位置付けを主体的に定めていかなければならない。

一方、世界経済の同時不況色が深まる中で、日本経済に対する内外の期待は一段と高まっている。それだけに、わが国は構造改革を促進し経済の持続的回復の基盤を再構築することが急務であるが、最近の国債格付け引き下げに見られるとおり、その進捗速度や見通しの不確かさに市場の不満と苛立ちが募りつつある。

こうした状況の中で2002年は明けた。わが国は、まず、揺るぎなき姿勢で公的部門・民間部門ともに改革を継続し、21世紀の内外環境に対応するダイナミズムを一日も早く取り戻さなければならない。そのために我々は、小泉総理の構造改革にかける、強く、揺るがない姿勢、そして現実を視野に入れつつも基本姿勢を貫く志の高さに信を置き、引き続き改革継続に全面的に協力していく所存である。

また、構造改革に完璧を期するためには、議会制民主主義の正しい運営の枠組みを確立することが必須であり、一票の格差是正の実現に向けて小泉総理の確固たるリーダーシップを切に期待する。

2.万全の対応を求める

構造改革に拍車をかけようとする矢先、2002年度には名目GDPで3年連続のマイナス成長が見込まれており、個人にとっても、企業にとっても、新しい年の経済展望はこの上もなく厳しい。真に競争力のある企業が選び抜かれる過程で企業の整理や失業の増加はなお避け難い。

それでも、ここで企業行動や政策運営の面で戸惑いや後退りを感じさせるようなことになれば、日本経済に対する市場の信頼は決定的に損なわれることとなろう。この道は絶対に避けねばならない。

加えて、構造改革をひるまずに進めるためには、状況が極めて不透明であるだけに、予期せぬ事態発生に備えての万全の対応が必要である。雇用のセーフティーネットの拡充に加え、とくにペイオフ解禁を控えた中で金融のシステミックリスク顕在化の恐れが生じた場合には、公的資金の再注入を含め準備された危機対応措置を躊躇なく発動すべきである。

3.企業の責任と同友会

経済の好不況、洋の東西を問わず、企業と個人の「覇気」と「挑戦」、そして「絶えざる工夫と努力」が経済活性化の原動力であるという事実は変わらない。新しい商品・サービスの開発、新市場の開拓、あくなき生産性向上の追求と、これらの目標を社会や環境との親和性を高めながら実現するビジネス・モデルの構築が必要であり、とりわけ競争力や付加価値の源泉としての知の創造や先端技術の開発は何にも増して大切である。それらを担保するコーポレート・ガバナンスの確立などを通じ、今こそ、企業が自ら進路を切り拓く気概を行動で示すことが強く期待されている。

そのためにも、企業の先頭に立って戦略を指し示し、組織を構成する人々の意欲を刺激し、勇気を鼓舞して率先垂範リードする経営者の役割と責任はかつてなく大きく、重い。今、企業の日々の活動を業績の向上、市場の評価、そして社会からの信頼に結びつけるには、経営者、管理者、従業員を貫く相互信頼、それを礎とした創意工夫、絶えざる経営革新を積み重ねる以外に方法はない。長く続く厳しい経済状況の下でなお好業績をあげ続ける企業の例を見れば、それは明らかである。

経済同友会も、一昨年末発表の『21世紀宣言』でうたった新しい国づくりへの参画を強く意識するとともに、企業と企業人が市場の機能を一層尊重し、市場の信頼を克ち取る好循環を築きながら「市場の進化」を促す上に重要な一翼を担っていきたい。そうした方向に沿って政策提言、提言実現のための行動、相互研鑚など、活動内容の充実に努め、それを効果的に進めるため、より開かれた、若々しい会のあり方を目指して一層の努力を続ける所存である。

4.おわりに

わが国は、近年経験したことのない縮小経済下における構造改革という難題に直面している。国にとっても、企業にとっても、また個人にとっても、平坦な道や苦難を避けて通る脇道はない。

国の場合も、企業の場合も、そして個人の場合も、採るべき道について、為すべきことについて、それが何であるかをわれわれは本能的にも、経験的にも知っている。問題は、それをしないで済むことを待ち望む根拠のない希望的観測を思い切って振り捨てられるか否かであり、ことの成否はこの一点にかかっている。

以上


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