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2001年年頭見解-改革の原点に立ち返れ-
- 構造改革の推進に向けたリーダーシップの発揮 -

社団法人 経済同友会
代表幹事 小林 陽太郎

1.21世紀を迎えた日本経済の現状認識

21世紀の幕開けという時代の大きな節目を迎えた。長く続いた米国の好景気に急速な陰りが明らかになる中で、わが国では、依然として経済の力強さに対する懐疑的な見方が強く、抜本的な改革の先送りと景気下支え策優先を正当化する雰囲気がより支配的になりつつある。

行財政改革、規制緩和等の構造改革なくして経済の自律的回復への道は開けない。それは過去十年の施策を振り返り、その結果としての現状と照らし合わせればあまりにも明白な事実である。時々の経済成長率の変動に一喜一憂し、短期の景気対策といくらかの構造改革という中途半端な政策を積み重ねる限り、間近に迫る少子・高齢化社会を乗り切る経済のダイナミズムは生まれ得ない。

我々は、従来の景気回復局面のように経済が一様に良くなることを待ち続けることを止め、産業の二極化が進む中で失業率が高止まりにあるわが国経済の状況を、苦しいとはいえ必要な構造変化の一過程としてむしろ積極的に受けとめる位の覚悟が必要である。もちろんそのためには、IT革命・流通革命等を追い風として、成長分野をさらに伸ばすための産業構造改革はもとより、効果的なセーフティネットの拡充を思い切って進めなければならない。

我々は、今年こそ改革の原点に立ち返る好機と捉え、既得権の喪失などの痛みを乗り越えて、国際社会に開かれた活力ある民間主導型経済社会の構築に主体的に取り組むことを改めて決意する。そのことが、我々が「21世紀宣言」で世に問いかけた今後目指すべき経済社会の実現に向けた、力強い第一歩になると確信する。

2.企業の再生に向けた経営改革

日本経済の再生にはなによりもまず企業活力の発揮が不可欠である。企業収益はここ数年にわたる過剰債務処理、事業構造の再構築などの取り組みを経て、ようやく回復の兆しを広げつつあり、我々経営者はこの動きをさらに本格化させる必要がある。

そのためには、IT活用を軸とした業務プロセスの抜本的見直しによる生産性の向上や、付加価値の源泉である「人的資源」の活性化と個人の高い動機付けに向けた人事システムの改革が必須である。具体的には、個人が新たな能力の修得に自発的に取り組めるような能力開発メニューや機会の提供、内部労働市場と外部労働市場を一体的に捉えた評価・処遇制度の構築などを加速する必要がある。また、そうした企業の取り組みを支える外部労働市場インフラの整備に向けて、人材関連ビジネス分野の一層の規制緩和が進められねばならない。

一方、相次いだ企業不祥事問題は、企業経営の透明性・アカウンタビリティーはもとより、経営品質という企業経営の基本に関る企業と経営者の真剣な取り組みと反省の必要性を明らかにした。我々経営者は、企業が顧客・市場・社会へ与える影響の大きさを改めて自覚し、価値基準の明確化と情報公開、そのための経営倫理性強化とガバナンスの確立等、企業経営の原点に立ち返った経営改革の断行により、社会の企業への信頼をより確かなものにせねばならない。

3.財政依存型経済から決別する行財政改革の断行

企業の活性化を図り、自律的な景気回復を確かなものとするためには、財政依存型経済から民間主導型経済への転換を進める行財政改革の断行が不可欠である。

財政状況は深刻化の一途をたどっており、財政再建はもはや将来の課題ではなく早急に解決の道筋をつけるという点で短期の最重要課題である。財政構造改革の実施には、それに先立つ十分な議論の積み重ねと、国民全体の共通認識の形成等が必要であり、その意味において、今年こそは財政構造改革の議論を開始するという、総理の政治的決断を強く求めたい。そしてそれが改革に向けた日本の政治の決意に結びつくことを期待したい。

そのためにも、内閣府を含めた新省庁体制や新設の経済財政諮問会議が主体となって、今年中の作業完了を目標に、公共投資、社会保障、地方財政など財政システム全体に関する長期ビジョンの明示と、そこへ到る財政構造改革プログラムの策定に直ちに着手する必要がある。

特に、政策評価を踏まえた透明性・客観性の高い予算編成プロセスの構築、公会計制度の整備等の制度改革は、景気動向にかかわらず、政治主導で実施可能な施策であり、そうした「質的な側面」の改革によって財政赤字拡大と不可分である各省庁の硬直的・利益誘導的な予算配分の構図にメスを入れることがなによりもまず重要となる。そうした政府自らの努力が示されない限り、増税など痛みを伴う改革に対する国民の信頼は得られない。

なお、昨今の政府・与党における公会計、特殊法人、公共投資などに関する具体的な改革論議を通じて、わが国の行財政システムが抱える問題の所在が国民の前に明確になりつつあり、そうした議論の結果を、具体的な予算編成方針の明示という形で、2002年度予算編成へ着実につなげることも重要である。

4.求められる政治家と経営者のリーダーシップ

これまでの漸進主義を脱し構造改革を加速するためには、政治家と経営者の厳しい現状認識に立っての覚悟と強いリーダーシップが不可欠である。

特に我々経営者は、たとえ構造改革によって一時的に景気がスローダウンすることがあっても挫けることなく、改革の効果を信じて、自らが先頭に立って行動する必要がある。また、そうした我々の行動が国民の信頼感醸成につながると同時に、わが国の構造改革へ向けたモメンタムを広げるきっかけとなることを強く期待する。

以上


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