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2000年年頭見解 責任を持って構造改革を
- 明るい21世紀につなげるために -

2000年01月04日

社団法人 経済同友会
代表幹事 小林陽太郎

はじめに

新千年紀の幕が開き、20世紀は最後の年を迎えた。急速に進む情報化とグローバル化は世界を揺り動かし、21世紀を人類新文明創生の時代とする大きな可能性を見せ始めている。
そうした中で、20世紀を通じて世界第二の経済力を持つまでになったわが国は、今世紀最後の10年に至り、政治・経済・行政・教育・科学技術など、社会の全般にわたってこれまでのシステムを抜本的に見直す必要性に迫られることになった。
このように将来に対する期待と不安、変革に対する抵抗が錯綜し、構造改革はいまだ道半ばのうちに、我々は新しい時代に入ろうとしている。
今、21世紀に明るい展望を開くには、民間主導型経済社会の実現に向けた構造改革の断行が不可欠である。それはまた、国際的な要請でもあり、世界各国、とりわけアジア諸国は、期待を持ってわが国経済の再生を注視している。
今年こそ、わが国は構造改革をさらに強力に推進し、経済の自律回復への道筋を確かなものにしなければならない。今年を明るい21世紀につなぐ年とするための我々経営者の責任は重い。

1.政治は節度と責任を持って信頼の確立を

今、わが国にとって何よりも大切なことは、新しい時代におけるこの国の姿を明確にし、国民が抱く将来への不安を払拭することである。そのためにも政治は、節度と規律のある政策運営を通じて、信頼を確立しなければならない。
その中心的課題の一つが財政規律の回復である。財政は既に危機的な状況にある。2000年度予算審議においては、補正予算の編成を前提とせず、歳出の内容を効率と効果の観点から厳しく吟味することを望む。そして、2001年度予算は財政再建へのスタートとすべきである。税制や社会保障制度を含め、本質的な財政構造の改革につながる目標と具体的手法を確立する必要があり、凍結されている財政構造改革法の改正論議を早急に開始すべきである。

2.わが国はグローバリゼーション推進へのイニシアティブ発揮を

国際舞台に目を転じれば、わが国は九州・沖縄サミットの議長国として、本年一年間、国際経済問題についても重大な責任を担うことになる。昨今、グローバリゼーションに対する揺り戻しも見られる中で、わが国は世界経済の健全かつ安定的な発展に向けリーダーシップを発揮しなければならない。そのためには、わが国自身が構造改革を着実に推進する決意を明確にする必要がある。その上で、ケルンサミットで積み残された国際金融機関改革の具体化や、WTO次期ラウンドの枠組み交渉の再開に向けて、わが国がイニシアティブを発揮していくことを期待したい。
また、サミットは、21世紀の新たな世界の秩序づくりに果たすべきアジアと日本の役割をアピールする好機でもある。サミットまでに、わが国はアジア各国との対話を十分に進めておく必要がある。

3.経営者は企業の創造的革新に指導力発揮を

今、経営者にとっての最大の責務は、自らの責任ある行動によって構造改革と経済の自律回復のイニシアティブをとることである。経営の創造的革新は、自らの未来を自己責任で切り拓く覚悟と勇気を持った企業と経営者によって初めて実現される。

我々は、今年、次の三つの課題に取り組む。
第一に、懸案の「過去の過剰」問題については、遅滞なく粛々と処理を進める。雇用については、経営者は責任ある態度を持って臨むべきことは論を待たない。第二に、後向きのリストラにとどまらず、新規事業への挑戦や新たなビジネス・モデルの構築など、競争力の向上や、雇用機会の創造などにつなげるリストラの第二段階に踏み出す。とりわけ加速度的に進む情報技術革命は、情報関連産業の成長はもとより、あらゆる産業にビジネス・チャンスの拡大、組織や業務の抜本的革新などをもたらしつつある。そうした可能性を企業に取り込み、持続的成長を実現するため、我々はスピードと柔軟性を持って、既存の経営の仕組みや企業風土を根本から変えていく。
第三に、我々は、グローバルに通用する経営の透明性とアカウンタビリティーを高め、経営の規律を確保するためのコーポレート・ガバナンスを確立し、社会と市場からの信頼の向上に努める。

おわりに

我々国民はそれぞれの立場で、新しい国創りに向けて、如何なる道をとるのかの厳しい選択を迫られている。今年、21世紀初頭の日本の方向を決める衆議院選挙が行われる。各政党は、わが国の将来に展望を開く政策、とりわけ、国民の将来への不安の根底にある年金・医療・介護を含む社会保障のあり方、受益と負担のあり方について、長期的に整合性のある政策を明確かつ具体的に示すべきである。そして、我々経営者はもちろん、国民の一人ひとりが自らの将来、次世代の将来を左右する問題として真剣に受け止め、責任ある選択をするよう呼びかけたい。

以上


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