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日本経済活性化への我々の決意
-バブルの総決算と21世紀への展望を開く年-

はじめに

1997年の日本経済は、景気低迷や金融システム不安、さらにはアジア諸国の通貨危機など、深刻な局面を迎えた。これに対して政府は、「21世紀を切りひらく緊急経済対策」、法人税・所得税の減税などを決定し、また自民党は「金融システム安定化のための緊急対策」をまとめた。一方、経済界においては、総会屋への利益供与事件や経営破綻が相次ぎ、企業に対する内外の信頼は著しく損なわれた。

1998年は、まさに構造改革の正念場である。官民ともに、バブル後遺症の克服と行政改革など諸改革の断行によって、21世紀への明るい展望を開く、地固めの年である。我々経営者は、官から民への方向を確実なものとするとともに、横並び経営から脱却し、自主自立の創造的経営を実現することにより、日本経済を活性化させることを最大の課題としたい。

1.開かれた市場経済構築に向けての努力を

―フリー・フェア・グローバル―

昨年、経済同友会は「市場主義宣言」を行い、公正で効率的な市場構築を目指してアクションプログラムを作成、その実現のために行動している。政府においても6大改革の方向を示し、そのフロントランナーである金融システム改革(日本版ビッグバン)は、フリー・フェア・グローバルを理念として、本年4月1日より実行段階に入る。その改革の理念は我々と共通のものである。

これを契機に、わが国の潜在成長力を充分生かし、経済を成長軌道に乗せ、豊かな国民生活を実現し、かつ広くわが国の市場を開放することによって、世界経済、とりわけアジアに貢献することを目指す。

我々は、1970年代および80年代のサッチャリズム、レーガノミックスによる英米両国経済の生き生きとした成長力回復の過程を教訓としよう。それは、大胆な減税と規制緩和による小さな政府の実現と民間活力の発揮によるところが大であった。

2.減税と規制撤廃・緩和を主柱に

―スピーディかつ大胆に―

さらなる改革の第一の柱は、税体系の抜本的改革である。6大改革もこれなくしては完成しない。税制については、法人・個人ともにインセンティブ型税制への転換が最重要課題である。具体的に例示すれば、法人の実効税率40%を本年度中に決定、99年度から実現したい。それには、地方法人課税の改革についても同時に結論を出す必要がある。個人所得税では、まず昨年決められた特別減税を制度化する。その上で、今世紀中には累進度の緩和とフラット化を実現し、最高税率は法人と同じく40%(中央・地方を合わせた)を目指す。

懸案の財政再建も、こうした税制改革などにより経済が活性化してこそ可能になる。

第二の柱は、規制撤廃・緩和の強力な推進である。これは徐々に進展しつつあり、経済効果も現れつつあるが、極めて不充分である。総論賛成、各論反対の動きを官民自ら打破しなければ、わが国経済の高コスト構造は是正されない。民にできるものは民に委ねる視点での官民分担の見直しを早急に実現し、現在概ね2:1となっている規制産業分野と国際競争力のあるダイナミック・ジャパンの分野の比率を逆転させることが焦眉の急である。そのためには最低限、行政改革委員会規制緩和小委員会の3次にわたる意見を今世紀中に実現しなければならないのみならず、業法・基本法や補助金制度などに踏み込んだ政策・制度全体にわたる包括的な検討が不可欠である。

第三の柱は、市場が信頼され、その機能が発揮されるためのインフラ整備である。何よりも公正な競争ルールとタイムリーで正確な情報開示が必要である。それとともに、不正取り引きの監視機関強化と司法手続の確立が急がれる。

第四の柱は、アジア諸国の真のパートナーとして、共存共栄を図ることである。そのためには、まずわが国がアジアの中心的な市場となるよう、輸入促進のための制度整備を早急に検討することが重要である。その上に、強い円がアジアにおける基軸通貨としての役割を果たすようにする。

以上4つの課題は、よりスピーディかつ大胆な実行が肝要である。タイミングを失した、小出しの対応という誤ちを繰り返してはならない。

3.経営者に革新のリーダーシップを求める

1998年、我々には当面する二つの大きな課題がある。第一は、企業への内外での信頼の回復であり、第二は自己革新によるバブルの清算と同時に、21世紀への展望を開く新たな挑戦である。

第一の信頼回復については、経営者は自己責任に徹し、高い倫理観に基づいた企業行動をとるべきことは当然として、社外取締役の活用、監査役機能の強化、時価会計に基づく情報開示など、コーポレート・ガバナンスの確立が急務である。

第二の課題は自己革新である。経済のグローバル化や規制撤廃・緩和は、新たなビジネスチャンスを提供する。これを自らのものにするか否かは、まさに我々経営者の責務である。いまこそ革新への経営者のリーダーシップが求められる。これをできない経営者は、その企業と共に市場から退場せざるを得なくなるであろう。昨年来の「日本売り」「ジャパン・プレミアム」といった市場の声に真剣に耳を傾け、経営者は自己責任において市場の評価を高めなければならない。

特に、バブル後遺症の代表である金融システム安定化・活性化についての政策的対応は出揃った。今後のその成否は経営者の決断に委ねられている。危機は逆にチャンスである。金融システム改革の中で、自らが担う機能と役割を自ら見極め、抜本的経営改革に取り組むことを期待したい。もちろん、経営改革の必要は金融機関に限らず、全企業共通の課題である。我々は自己責任と創造的破壊によって、いわゆる「ダイナミック・ジャパン」拡大の推進力になるよう挑戦する。

おわりに

1998年は、金融システム危機に代表されるバブル後遺症の総決算をスピーディーかつ大胆に行い、同時に21世紀への明るい展望を開く、新たな成長への地固めの年である。

バブルの総決算と6大改革に税制改革を加えた7大改革の同時進行は生易しいものではない。しかし、改革の実行は時間との闘いである。わが国の経済・社会はより速い改革に耐え、明るい21世紀を切り開く体力を充分に備えている。

官から民へ、いままさに民間の出番である。民とは企業であり、個人である。

経済同友会は、民のフロントランナーとしての役割を自覚し、日本経済の活性化へ向けて積極的に行動したい。

年頭に当たり、気を引き締め、1998年を有意義な年とする決意を新たにする。

以上


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