代表幹事の発言

新浪剛史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

公益社団法人 経済同友会
代表幹事 新浪 剛史

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冒頭、代表幹事米国ミッションについて述べた後、記者の質問に答える形で、日米首脳会談の評価、USスチール買収問題、トランプ米政権の関税政策やウクライナ和平交渉、ホンダ・日産の経営統合撤回、国土交通省による引っ越し分散呼びかけ、賃上げの世代間格差、また高額療養費制度の見直しについて発言があった。

新 浪: 代表幹事ミッションとしておよそ30名の会員の皆さんとワシントンD.C.およびニューヨークに行く。ご案内の通り、トランプ政権が発足して1ヶ月。その中でいろいろなことが起こっており、今後どのようなことが起こってくるのか(を理解する)ためにもワシントンD.C. に行き、可能であれば閣僚数名、またハガティ上院議員をはじめとした議会のメンバーの方々にお会いし、意見交換を行う(予定だ)。今回、(25%の追加関税対象が)鉄鋼・アルミとなった。日本は日米間の規定(関税割当)で確か(年間)125万トンが適用外になっているが、今回はなかなか厳しいだろう。内々ではこの措置はやらないだろうと思っていたがやはりやることになり、起こらないと思っていたものが結構起こったりして(おり)、この辺を今後どう見ていくべきかを理解するためにもワシントンD.C.に赴く。その後のニューヨークでは経済界の方々と議論する。さらにユーラシアグループのイアン・ブレマー氏と我々で議論をする。このような予定で行って参る。(2月)21日金曜日には現地で記者の皆さんと懇談の機会を設けたいと思っている。また、(ミッションを通じて)どのようなことを得たか、どこかで皆さんとも共有させていただきたいと思う。

Q:2月7日に開催された日米首脳会談の評価を伺いたい。特に、争点になっていた日本製鉄によるUSスチール買収をめぐる問題の進展と、日本企業の対応も含めた鉄鋼・アルミへの追加関税について、受け止めを伺いたい。

新 浪: 日米首脳会談は大変良い結果になったと思っているが、その前段として、安倍(晋三)元総理の(外交上の)レガシーがあったことも明らかだ。トランプ米大統領が再選されるまでの間に、日本は米国への投資を継続的に行って雇用機会を創出し、さらに防衛予算を着実に増やしてきた。その結果、日本は米国にとって(2017年には)3番目の貿易赤字国から(2024年に)7番目にまで下がっている。トランプ米大統領が言及されるように、日本はそういう(対米貿易黒字を縮小する)方向で動いてきたという(事実が会談の)根底にある。今回、日本はさらに米国へAI、データセンター、量子コンピューティングなどの投資を行っていく(方針)とともに、半導体の原材料や部品などで補完関係にあり、(米国経済にとって)無くてはならない生産を行っているため、AI(開発や産業)を強化するうえで大きな役割を果たせることなどを伝え、大変良い会談を行われたのかと受け止めている。また、尖閣諸島を中心とする日米安保についても、今回きちんと確認できたこと(は大きな成果)である。課題は、今後、中国と米国が非常に厳しい関係になる可能性があることだ。よく知られている通り、中国は台湾に対して海底ケーブルの切断などの様々な動きを仕掛けており、こうした状況下で(米中が相互に関税を課すなどの)貿易関係によっては米中関係が非常に悪化する(可能性がある)。台湾をめぐり、日本は米国とどのように寄り添うのか(という難しい判断を)、今後迫られる可能性もあり、地政学的問題はまだ予断を許さないまま残ったと思っている。トランプ米大統領は現在、日本を中心とした東アジアの安定に注意が向いておらず、ラテンアメリカを中心とする米国の庭先をまず重要視しており、さらにEUや中国もあるため、今後何が起こるかは予断を許さない。(本会では)こうした状況下に米国を訪問し、状況を探るととともに、様々な可能性を考慮したマルチシナリオを考えていく。1つではなく複数のプランを立てなければならないのが従来と異なる点であり、ベストシナリオからワーストシナリオの中で、企業がレジリエントにどう対応するのかについて、我々自身が検討しなければならない状況にある。その中、日本が国際競争力を高めていくためには、産業・企業の合従連衡が非常に重要になってくる。(企業の)レジリエンスには、様々なことが起きる中でも収益性(を維持すること)が大きな課題である。サプライチェーンがどのようになるかを想定し、コストが増加していく中で国際競争力を高めていくという点では、今回、協議終了に至ったものの日産とホンダの経営統合のような大胆な合従連衡を進めていかなければならない状況になったトリガーが、トランプ政権であると思う。USスチールと日本製鉄に関しては、多分、トランプ米大統領は(株式の)マジョリティといった細かな論点まで考えていなかったのではないかと想像している。途中から(日本製鉄が)議決権の51%を得てはならないと言われるようになったのは、あくまでも想像ではあるが、J・D・バンス副大統領の関与があったのではないかと思う。バンス副大統領の(地元であるオハイオ)州にはクリーブランド・クリフスが立地しており、大変な競争相手であるUSスチールが日本製鉄の技術を受け入れることへの危惧もあるのだろう。しかし、(トランプ米大統領との合意は)大きな進展であると思う。トランプ米大統領に日本製鉄幹部が会談できるところまでこぎつけたのは、石破首相の大変大きな成果である。バイデン前大統領と異なり、トランプ米大統領は(日本製鉄がUSスチールに)多額の投資を行うことで合意している上、以前から日本製鉄は投資を決めていたことから、トランプ米大統領に直接(日本製鉄幹部が)話をすることで事態が進展する可能性も大いにある。楽観的に考えてはいけないとしても、非常に興味深いことになる可能性もあると見ている。先ほどのバンス副大統領の話など、様々な政治的思惑が渦巻いているが、日本製鉄とUSスチールはロビイストも活用して上手く進められており、トランプ米大統領と日本製鉄幹部との会談が良い結果となることを祈念している。(追加)関税については、絶対に自動車(が対象)にならないように、日本は交渉していかなければならない。鉄鋼やアルミに加えて、自動車や自動車部品など他の分野に追加関税が課されないように、(政府当局には)しっかりと交渉してもらいたい。特に自動車については、米国内で多くの雇用機会を創出しているため、これ以上の(対象)拡大にならないような関係構築をお願いしたい。

Q:ホンダと日産自動車の経営統合撤回をどのように見ているか。

新 浪: (今回の結果は)個社の事情によるものだと思っている。(経営統合は)日本経済のダイナミズムにとってプラスに働くため、そうした観点から大変残念である。また、産業の競争力強化の観点からも同一産業で合従連衡が起きたことは大変望ましい(経営統合だった)。日本は人手不足もあり、合従連衡が進むことで、人材の流動化が促進される可能性もある。日本の国際競争力が低下している現状を踏まえると、産業界が合従連衡を取り組まなければならない。言うのは易しだが、各社の企業文化もあるため、「1+1を3にしよう、だからやりましょう」と簡単にはいかない。今後さらにこうした事象が起こると日本経済の復活につながると思っている。

Q:ホンダと日産自動車の経営統合撤回について、企業文化という話もあったが、経営者の視点から原因をどのようにお考えか。

新 浪: (原因は)企業文化よりも統合比率だと考えている。統合比率は非常に重要(な要素)だが、企業は人によって経営され、感情も伴うため、それを乗り越える明確な理屈が存在しなかったのだろう。経営統合により一緒に大きな夢が描けるかどうかは経営者同士の信頼関係が不可欠である。時間をかけて信頼関係を構築しなければ、統合比率などの問題で難航する。こうした状況においては社外取締役の役割も重要である。社外取締役は、経営統合によって生まれる価値を示し、「だからやりましょう」という役割ができる。自社もキリンホールディングスとの経営統合が破談になった際、最終的には統合比率が問題になった。各案件で、必ず衝突する部分はあると思うが、それをこれから乗り越えるような企業が出てくると良いと思う。

Q:ウクライナ問題を巡って、プーチン大統領とトランプ米大統領が電話会談を行い、平和的交渉で一致した。すごく長い問題だと思うが、交渉に至る経緯や所感を伺いたい。

新 浪: トランプ米大統領は選挙戦でも「ウクライナでの戦いを早く止めさせるべきで、(就任の)翌日にはやめさせるのだ」と発言していた。これだけコミットした(発言をしていた)わけで、実態を詳細にブリーフィングされて、これから本格的に動いていく(タイミングに入った)ということだと思う。プーチン大統領も70万人以上亡くなる等の相当な被害を受けて、またサンクション(制裁)もかなり起こり経済も大変厳しい状況で、早くここで戦いをやめたいという気持ちはあると思う。その時に今まで誰も間に入る力がなかったが、ここに来て強い力を持ったリーダーが出てきたため、(プーチン大統領としては、)戦いをやめる可能性として(交渉に)乗ってみようということと、元々ある程度のコミュニケーションができるという信頼があるのだと思う。むしろ、バイデン元米大統領はウクライナに肩入れしており、(プーチン大統領としては)コミュニケーションしづらい(相手だった)とも言われている。何が正しいかわからないが、トランプ米大統領であれば交渉して、終戦に至ることができると思っているのだろう。今度はウクライナのゼレンスキー大統領とどのようにコミュニケーションしていくかということだ。あとは、実際に(終戦の交渉の局面と)なると領土をどうするのか、どこで線引きするか等の相当細かい話があり、そしてEU・NATO等との話し合いもあり、NATOの軍事費をどうすべきか等といった話が進展していくのだと思う。だから、戦争が1ヶ月程度で終わるといった短いスパンではなかなか決められないだろうし、その意味でスタートラインに立ったということだと思う。

Q:昨日の中野洋昌国土交通大臣の会見で、年度末に向けて引っ越しがピークになり物流が逼迫しているということで、民間企業に向けて異例ともいえるその(引っ越しの)分散を呼びかけたという発言があった。これについて、代表幹事の受け止めを伺いたい。

新 浪:国土交通省としては、前向きなこういうこと(呼びかけで)で8引っ越しのピークを)調整しようというのは意味があることだと思う。企業としてもなるべく努力することはやらなければならないと思うが、お子さんがおられる方は入学式に合わせて移動しないと大変厳しいだろう。その意味で入学式が仮に4月1日だとすると、それまでに引っ越しをしておく必要があるということで(あると考える)。お子さんにとって入学は大変重要であるため、ここを考えると国土交通省だけではなく文部科学省ともきちんと話して、(入学式を)4月15日にする等(も手段としてはありえる)。ただ、後者に関しては相当(実現することが)大変だろう。その意味で、企業は努力をしなければならないが、それぞれのご家庭でやはりお子さんにご迷惑をかけないようなことは考えなくてはならない。企業も努力目標ということで、本格的にやるなら多分にもう少し時間をかけて文部科学省とも協議して、とりわけ小学校・中学校という義務教育(の期間について)は考えなければならないと思うため、この辺の手配をしていただくことが大切なのではないかと思う。努力することは、企業としてはしなくてはならない。

Q:米国の相互関税は、(関税)のかけようによっては、日本企業および日本経済に対して大きな影響を及ぼす可能性がある。近く詳細が発表されるという話だが、鉄鋼・アルミにとどまらず、他の業界にも適用される可能性が指摘されている。特に自動車産業への影響は大きいため、そこは回避されるという話もある。トランプ米大統領がおっしゃっている他の関税政策について、どのように見ていらっしゃるのか。

新 浪: 安全保障などはお互い(の国)にとって必要な要素であるため、現時点で米国政権が具体的に何を考えているのかは明確ではない。しかし、(日本の対米)貿易黒字が3位から7位に下がったとはいえ、依然として黒字であることに変わりはない。そのため、合意した相互主義(レシプロカル)を理由に(米国が関税を)かける可能性があり、準備を進める必要がある。今回のトランプ米大統領の関税政策については、気を緩めず準備をしなければならない。仮に(関税を)かけてきたら、コスト構造が変わるため、それにどのように対応するかを考えなければならない。そのためには競争力の強化が不可欠であり、(最終的には)この変化に耐えられる企業が勝ち抜くということだ。グローバル競争の観点からも、関税が課される可能性を前提としたシナリオを想定し、これまで考慮する必要のなかった事態にも備えなければならない。(関税を)かけられて(から)驚くのではなく、予め次善の策を考えておくのが、これからの企業として行わなければならないことだ。政府に対しては、(米国が関税を)かけないように交渉していただきたいが、(一方で)企業側も(あらゆる)準備をするということが必要だ。特に、米国市場で勝つためには、日産やホンダの経営統合のようなコスト競争力を高める検討もすべきである。ワーストシナリオとして、仮に25%(の関税)が課される場合に、どのように対応するかを事前に想定することが求められる。ウィッシュフル・シンキング(楽観的な見方に基づいた判断)で物事を捉えないようにすることが重要である。そのためには、先に述べた合従連衡や、強みのある分野に特化し、競争力を徹底的に高めることも1つの考え方だ。収益性の低い事業については売却を検討するなど、日本産業界全体の競争力を強化する契機とすることも考えられる。(今回の事態は、)日本の産業界にとって大きな警鐘(ウェークアップコール)であり、これをいかに成長の機会として活用するかが問われている。ただし、日本だけでなく、世界中(相互関税を)講じる状況を前提とするため、日本の交易条件だけが一方的に悪化するわけではない。しかしながら、非常にコスト構造が厳しくなるのは事実であり、企業によっては価格転嫁をせずに競争に打ち勝とうとする動きも出てくる可能性がある。そのため、(各企業は複数の)シナリオを作っていかなければならない。

Q:中国は米国の関税に対して報復関税をかけている。第一次(トランプ)政権のときはそういった米中摩擦が、日本の景気を押し下げる要因となったと考えられるが、今回(の措置によって)一部の物品にどういう影響があるのかをお伺いしたい。

新 浪: 中国と米国の関係においては、品目別に狙い撃ちする(形で関税を課す)可能性がある。(中国の対米)貿易黒字は圧倒的に大きい。中国のコスト構造には難しさもあるが、(米国は)中国の事情を考慮せずに(関税を)課す可能性があり、(その対応は)中国次第ともいえる。中国は155項目にわたる(関税交渉の)準備を進めているとも報じられている。例えば、穀物の輸入を増やすといった対応などが考えられるが、(米国が)一方的に関税を課せば中国も反発し、やったらやり返すという応酬が続く可能性がある。シミュレーションによると、中国に対して全品目(の関税)を(加重平均で)10%引き上げた場合、米国のインフレ率は0.5%や0.6%程度上昇すると試算されている。これは、中国製品が米国市場において重要な位置を占めていることを示している。例えば、玩具をはじめ多くの製品が中国製であり、中国からの輸入に対する関税を高く(設定)して、そのまま価格転嫁されることで、(米国の)インフレが進行するのは明らかである。このバランスをどのように取るのか、一方で、中国からの輸入超過をどのように減らしていくのかといった、バランスが大きな課題となる。現在、米国はインフレ抑制に苦慮しており、今後さらに中国や他国に対して関税をかけるということが、少なくとも短期的には米国経済にマイナスとなってくる。一方で、トランプ米大統領は2年後の中間選挙を見据えており、その時点でインフレが制御できていなければ、少なくとも下院選挙は負けるだろう。歴史的に見ても、(現職政権は中間選挙で)下院の議席を失う傾向にあるため、勝利しなければ次(の政権運営)が難しくなり、「レームダック」状態に陥ることになる。そうした背景を考慮すると、大規模な関税措置を実施するリスクを(トランプ政権が)取るかどうか(が焦点となる)。もっとも、今回の鉄鋼・アルミの関税については当初「実施しない」との見方が有力だったものの、(最終的には)実施するという(方針が)出てきた経緯がある。そのため、油断は禁物である。特に中国との場合は米国経済に及ぼす影響は極めて大きい。もう一点、中国の場合は14億の人口を抱えているため、生産効率が良い。一部の産業では(政府)補助金が投入されているが、それが輸出される場合には(相対的に)安価な製品となる。中国国内市場向けに生産された製品が結果的に国際市場で安価に提供されるという構造がある以上、米国がどのように関税で制裁を加えるかだ。EVのように相当に補助金を投入している分野はWTO違反(に該当する可能性)があるが、全ての中国製品がそうではないため、どのように解釈するかである。一方で、消費者の立場からすれば、安いほうがいい。この点のバランスをどのように取るかは、極めて難しい判断となるだろう。米国のエコノミストによれば、(中国からの関税の加重平均が)10%程度であれば、(米国経済は)ある程度耐えられるとの見方がある。また、主要な経営者の間でも、10%程度であれば規制改革などを通じてカバー可能だと認識されている。しかし、それ以上の関税は厳しく、対応策としてさらなる施策を講じる必要があり、インフレが進行するリスクが高まる。(関税の加重平均)10%の導入の可能性はあるかもしれない。ただし、それに伴い、規制改革を一層推進する必要がある。しかし、米国においては既に多くの規制改革が進められており、日本と異なり大幅な改革余地は限られている。そのため、(関税は加重平均で)10%程度にとどまる可能性が高いと考えられている。

Q:近年、大幅な賃上げを実現してきたが、傾斜配分のような形で、若年層に手厚くしてきている。若い人材の確保の面で仕方ないかもしれないが、企業規模間の格差の一方で、(このような)企業内格差も世代間で広がっている。この点の是正や、全世代にわたって手厚い賃金配分をするということについて、どのように見ているのか。

新 浪: 一言で言うと、ベースアップがCPIを超えているかということ(が肝要)である。ペースアップは、年齢が高いから(配分が低くなる)ということにはならない。よって、大手企業では、CPIが2%強だとすれば、3%程度のベースアップを目指しているのではないか。ベースアップを採用していない企業もあるため、ご指摘のようなポイントもあるのかもしれないが、この3年間においてはベースアップの議論がされているし、(結果も)出ている。ベースアップを超えた分の配分においては、若い人に傾斜されている事実はあると思う。ただし、年齢の高い方々も、ボーナスでは頑張った分が反映されるようになっているため、若い人だけに(配分が)寄っているという話にはなっていない。少なくともCPIを超えたベースアップとともに、年齢の高い方々のプラスアルファは、(定期昇給は)頭打ちになっているだろうから、ボーナスで反映するということなのだろうと思う。おっしゃる通り、若い方々のモチベーション(向上のため)意図的に(傾斜配分をしている面も)あると思うが、決して、それが年齢の高い人の賃上げが無いということではない。生活が苦しくなるから、しっかりベースアップ(の確保)は(少なくとも)実施されているということをご理解いただきたい。CPIを下回るベースアップは意図していない。一定の生活以上のものは、プラスアルファ(の部分)で維持できるのではないかと考えている。

新 浪: 最後に、高額療養費制度について少し述べたい。この(制度の見直しの)問題というのは、非常に難しい(部分がある)。(長期継続的に高額な治療が必要な)患者の方にとって、制度的に非常に良いものであり、(制度として)残していかなければいけない。一方で、国庫からの配分が減って原資が少なくなるため、現役世代の人たちの保険料(の増加)が問題になっている。そのため、(長期継続的に高額な治療が必要な方々の)負担軽減(等)と、現役世代を中心とした保険料の負担軽減、両者をどうバランスしていくかという議論をしていかなければならないと思う。私は、高額療養費のみならず、全ての社会保障制度において、応能負担をしっかり目指していかなければならないと思っている。応能負担が実現できる仕組みを早く作っていかないと、現役世代の人たちの負担を軽減することができない。年齢に関わらず、(多く)負担できる人が(多く)負担する。私は高額(の所得)の部類に入るため、応能負担の対象となる(と認識している)。年齢が高くなっても、(高額を)もらっている人、もしくは金融資産をお持ちの方は、より一層(保険料を)支払ってもらうということをしていかないと、全体バランスがきっとうまくいかない。ぜひ、働いている(現役世代を中心とした)人たちの(保険料)負担が軽減されることが見える形にしていただきたいということと、(長期継続的な高額な治療が)必要な方々は大変ご苦労をされているため、現状と同様な(負担で)高額療養が受けられること、両方をうまくフォローした制度を作っていくことが必要だと思う。(これらを)早期に応能負担を行う上では、大きな議論をしていただきたい。(議論の結果、)マイナンバーもここまで広がりをみせた。現役世代の方々にも(一定の)社会保障を負担していただくが、(より)負担できる方々がきちんと(応能)負担をしていくという仕組みに(するため)、全体を抜本的にやり直してもらうことが大切であるということを申し上げたい。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)

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