新浪剛史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨
代表幹事 新浪 剛史
冒頭、10月15日に各政党宛に送付した公開質問状について述べた後、記者の質問に答える形で、公開質問状に対する回答受領後の評価方法や方針、2025年春闘の課題と方針の受け止め、CPIに関する見解、最低賃金引き上げに伴う地方と中小企業への影響等について発言があった。
新 浪:今回私ども(経済同友会)から、今(記者の皆さんの)お手元にある6項目12問について、政党助成法上、政党要件が認められている政党の皆様に対して、公示日である15日に(公開)質問(状)を提出した。私達は、以前から政権公約で競う選挙の重要性を(一貫して)訴えてきた。今回の衆議院選挙においても、各政党には、目指すべき日本の将来像や国家像を掲げていただきたい。特に重要な政策を明示することで、政策本位の政治に向けた活発な政策議論が行われることを期待している。国民が各政党の政権公約や重要政策を熟慮し、検証した上で投票に臨むことが重要だと(考えており)、それを可能にするために、各政党には(重要政策を)明示していただきたいと(いう意向から)、今回、重要政策について6項目12問の質問を行った。これらの質問は、日本の経済構造を大きく転換する上で重要な政策課題と、政治資金問題の解決に留まらない広範な政治改革に関わるものである。したがって、これらの質問に対する回答や関連する公約は、国民が政権運営を託す政党を選択する際の1つの判断材料となると考えている。(いただいた)回答は集約し、ホームページで公表し、本会自身の意見と照らし合わせて評価していきたいと思う。これも、夏季セミナーで議論した内容の1つのアクションとしてご理解いただきたい。私達は、このように公約や政策をしっかりと評価し、委員会で十分に議論を重ねた上で、本会としての考え方と照らし合わせて評価していきたいと(考えている)。初めての試みだが、長谷川代表幹事の時にもこうした取り組みを行っており、より深く内容を精査しながら進めていきたいと(考えている)。いずれはこのような(公約や政策の)評価を行うシンクタンク的な機能を経済同友会として担っていきたいと(考えており)、これがその第一歩である。トライアンドエラーになるかもしれないが、私達はこのようにして、選挙ごとにしっかりと評価を行っていく考えである。
Q:(公開質問状は)回答期限はいつまでなのか。また、回答結果は、投開票日までにホームページに掲載するということでよいか。
新 浪:期限は、10月21日月曜日までとしている。その後、(投開票日までに)ホームページに掲載する。今後、(公開質問を行う際は)臨時会見(の開催)等も考えていきたい。
Q:次の春闘の基本構想を連合が発表し、5%以上の賃上げを要求した。経済団体の声明等から、賃上げを定着させ、継続することが大事だと考えているが、各企業のトップの方々が、現時点での課題をどのように見ているのかを伺いたい。
新 浪:本会の第150回景気定点観測アンケート調査においては、賃上げ実施予定が68.3%、製造業では75.0%となっている。賃上げ率は、本会が3.63%、各地経済同友会が3.38%、(加重)平均すると全体では3.58%となっている。(連合の要求内容と)少し乖離があるが、組合の目標(とする要求)は高くて当然だと思う。本日公表されたCPIの生鮮食品を除く総合は2.4%であった。それを上回らないと生活水準が下がることになる。よって、春闘で5%を要求することは妥当だと思う。労使間の議論は早めに進めていくべきだと考える。また、労働分配率があまり高くないという事実もある中で考えなければならないのは、中小企業に対してしっかりと分配をしていかなければならない。この点は、もっと制度的に厳しく行う必要があるかもしれない。
Q:今月のCPIから、酷暑乗り切り支援策で補助が反映され、数字が少し変化していると考えるが、新浪代表幹事は(エネルギーを)除いた数字をウォッチしているのか。
新 浪:本来は(エネルギーも)含めて考えなければならない。これ(エネルギーに関する補助)は、モラルハザードである。(補助を)再開したことが本当に良いことなのか。これまでに、計11兆円を支出している。国民の皆さんは知っているであろうか。仮に知っていたとしても(足下の)生活(の負担が少ない補助の再開)を選ぶだろう。円安と化石燃料に頼らざるを得ないエネルギー政策に大きな課題があるからだ。中東情勢を受け、原油価格が1バレル=70ドルくらいに下がったものの、大変な課題を抱えている。しかし、補助金を出している限り、中東情勢の影響について国民には響かない。この課題解決をどのように政治的に行うのか(が肝要である)と思う。つまり、エネルギー、ユーティリティの補助は「諸刃(の剣)」である。最も重要なことは、国民が(現状を)理解した時に、柏崎刈羽原子力発電所などを再稼働していく、そのために新潟県(などの立地地域)にもっとメリットを与えていく。以前も申し上げたが、関東圏(は消費地)として、(立地地域がエネルギー供給を)担ってくれているという感謝をどのような形で伝えるのかという論理構成をすべきである。例えば、東京都知事が都民に立地地域のおかげでエネルギーが供給されており、山手線も走行しているといったことを伝えるなど、関東圏の各知事がこぞって新潟に感謝の念を込めるとともに、新潟での雇用創出なども考えていかなければならない。原子力規制委員会が認可したプラントは早く再稼働できるようにしていかないと、(今後)大変な状況になる。(補助金の総額が)11兆では済まなくなる。女川原子力発電所2号機が再稼働する予定だが、まだまだ再稼働へのスピードが遅い。他方、原発だけで良いという話ではない。エネルギー基本計画を(羅針盤にしてエネルギーの各課題解決を)実現していかないと、15兆円、20兆円(と支出が膨らむ)。他方で、防衛費(の財源)が必要である。社会保障費は必ず上がる。上昇カーブを抑えることしかできない。これらを(国民は)負担しきれるのか。さらには、今後は金利をどのようにしていくのかという話もある。大変な苦渋である。こういう状況であることを国民が理解していくことを政府広報がおこなっていかなくてはいけない。我々経済界としても、(国民に)伝えていかなければならないことだと思う。ぜひメディアの皆さんにも(国民の理解浸透に)ご協力いただきたい。
Q:(連合の来年の春闘方針について)今回(の賃上げ要求は)5%以上で、中小については6%以上とする方針だ。差をつけているのは格差を縮めるためとのことだが、この要望の仕方や実際には中小企業は大企業よりも賃上げ率は低い点について、受け止めを伺いたい。
新 浪:格差を縮めるという意味では、連合はいい意味で面白い政策をとってきたと思う。実はいい意味での驚きを持っている。(大企業と中小企業の賃金には)相当の格差がある。中小企業の皆さん(の賃金)がこれだけ上がっていくこと、そして(働く人の)7割の従業員を抱えていることから、これは大変議論に値することだと思う。一方で、中小企業はサービス産業も含まれ(ているため)最低賃金の問題がある。これもきちんとやっていく必要がある。
Q:公開質問状について、(各政党からの)回答の評価もしていきたいと仰ったが、(回答の)公表と同時に経済同友会としての評価も発表するのか。
新 浪:実はこれら(公開質問状の質問項目)は(本会に)委員会があるものを中心にしている。委員会としての見解を持っているため、その差異を評価として出していきたいと思う。A・B・C(等の評価を)つけることは簡単だが、何が我々と違うか、同じであっても若干の違いもある。そのようなことを(評価したい)。例えば私の理解が正しいか分からないが、キャピタルゲインを貰う方々は(その収益に応じた)社会保険料を払っていない。実はキャピタルゲインだけ貰っている方、一方で年収が低い方は、国民年金保険や協会けんぽに入っている。(この保険料は)かなり安い。こういうアンフェアをそのままやっていいのかという(疑問)はある。我々は今まで(金融所得課税を)25%にするべきだと(言ってきた)。ただしNISA(を利用している)人たちは除く(ものだ)。ある一定の富裕層を中心にと考えている。仮に、ある党が富裕層も考えずに全て(の金融所得に課税を)と言ったら、NISAは除きましょうよという議論、評価の仕方だと考えている。
Q:いずれにしても、各委員会の議論をベースにして、経済同友会のこれまでの議論の蓄積と照らし合わせて、差異があるかどうか確認するということか。
新 浪:そうだ。本当は、公約はたくさんあるが、これを絞り込んだのは我々自身が評価できないところは評価できない(からだ)。委員会があるから評価できる。よって他の政策で重要なもの(政策)が抜ける可能性もある。
Q:先ほどの中小企業への分配について、もっと厳しくやっていく必要があるとの話があった。価格転嫁等を念頭に置かれていると思うが、(中小企業の賃上げ率)6%という目標を踏まえてもう一度改めてその趣旨のご説明をお願いしたい。
新 浪:公正取引委員会や経済産業省をはじめ(価格)転嫁(を促す取り組みは)は緒についたばかりだ。まだまだそれが実態として漏れているものがある。今まではあまりメスを入れてこなかったが、指導が入ることがすごく重要だ。今年と来年にかけて、中小(企業で働く人)(つまり働く人の)7割の従業員(の賃金)が上がらなければ、全体の賃金は上がらない。先ほど申し上げたように、大企業は(賃金を)上げる意思を持っている。中小企業から(価格転嫁)の申し出はなかなか難しいところがあるため、やはり調査員を派遣してきちんと(分配するよう指導を)やっていくことが必要だと思う。最低賃金(の引き上げ)にも取り組む必要がある。石破首相が(最低賃金)1,500円を目指しており、岸田前首相は経済財政諮問会議でもう少し長いビジョンで考えていたが、世界にこれだけ遅れた最低賃金を少なくとも2020年代には実現してもらいたい。特にサービス産業において最低賃金は大変重要だと思う。そして年収の壁の問題も解決していかなければならないし、財源をどうするか(の問題もある)。今後第3号被保険者をどうするかも含めて年金の議論をしていかなければならない。安心社会を作れば当然消費も進み、経済界のダイナミズムも変わってくる。
Q:各党の公約評価はA・B・Cといったランクや点数を付けるということか。
新 浪:それはやらない。A・B・C(といったランク付け)をしてしまうと、(本会の考えに照らして評価できない内容が)一部あるという際に、どういう基準で整理するかが難しい。また、点数をつける場合、(本会の公開質問は)先ほど申し上げた通り全部(の政策分野)をカバーしていないため、(本会として)全体を評価することは難しい。担当委員会からはA・B・Cでの評価を行いたいとの声があったが、私は代表幹事としてやめるように指示した。(ランクや)点数をつけること自体にはあまり意味はなく、(重要政策について本会と各党の考えの)何が違うかということを明確にすべきだと考えている。いわゆる講評という形で(ランクや点数ではなく)文章で評価を公表するつもりだ。
Q:各社の9月末決算の発表が続いているが、資金調達を銀行融資から社債に切り替えたと発表した企業がある。日本銀行の政策金利引き上げから数ヶ月が経過し、企業の事業運営に影響が生じているという印象もあるが、新浪代表幹事の受け止めはどうか。
新 浪:実際に(社債に切り替えた)企業もあるが、社債には色々(な条件のものが)あり、私自身が見ている限り、社債も通常の借入も金利は低い中で、(今後金利が)上がるという予想の下、早めにキャッシュを確保しておこうという動きが出てきていると思う。社債という形で、各社が格付けの高さを利用し、今のうちに低い金利(水準)で(キャッシュを)確保しようという動きが起こり始めている。これは(各社が金利は)先々上がるという前提で動いているのだと思う。逆に、ドル(建てでの起債)は少し様子を見よう(という企業があり)、(米国の政策金利は)いずれ下がるという見通しの下、ドルについては短期的には借入で賄っている。こうした点では日米に違いがあると見ている。
Q:各党に対する公開質問では、財政健全化が取り上げられている。政府内には大型の補正予算を編成するという話もあるが、インフレの進展に伴う税収増を重視すべきか、金利上昇に備えて財政を引き締めるべきか、現在の経済同友会のスタンスを伺いたい。
新 浪:補正(予算)を用いてインフレで困窮している方々に何か支援を行おうというのは、完全に選挙のためであり、決して良いことではない。マクロ経済的に考えると、デフレ下では民間が金を使わないため、財政(政策)が非常に重要である。しかし、私はもうデフレではないと思っており、現在、国民(生活)が苦しいのはインフレのためだ。物価が上がっているために(生活が)大変になっており、その中で最小限の支出にとどめようとして消費が減退している。実質賃金は(6月、7月に)少し上昇したが、8月に再び下がるなど、これから実質賃金が上がっていく確信がない中で、(国民は)インフレに頭を悩ませている。事態の(深刻さに)大小あるけれども、アメリカと同様の状況になってきているのではないか。政治的な理由でインフレ対策としてバラマキを行うというのは選挙対策上(の意味は)あるが、本質的には、財政面では、デフレ対策に費やした財政支出を検証するとともに、膨張した歳出を見直してインフレに即した財政(運営)にしていくことこそが、財政健全化だと思う。その際に重要になるのは、300兆円あると言われる民間資金をどう使うのか(を重視するよう)に財政のあり方を変えていくことだ。その中では、効果のある投資を(民間企業に)行ってもらうために、後年度に(税収として)返ってくる乗数効果の高い投資には、大幅な減税を行うといった財政(政策)が考えられるかもしれない。これは、(インフレで)増加した税収をこれまで同様に支出することでは全くなく、むしろこれまでのデフレで膨らんだ歳出をもう一度見直すべきという話だ。20年・30年続いたデフレがインフレに転換しており、経済の中心を民間企業に変えていかなければならない中、それを実現するには、これまでやっていないEBPMを行うなどの財政(政策)の見直しが必要だ。(景気後退時は財政出動を行うべきという)ケインズ(の主張)が正しいのかはわからないが、少なくとも経済が上げ潮のときに財政政策を行うというのは愚の骨頂である。そして、先ほど申し上げた通り、選挙という経済情勢とは関わりのない要素がそこに入り込んでいる。選挙という要素を除き、膨らませ続けてきた財政の健全化をきちんと行わなければならない。例えばコロナ対策として編成された補正予算は何に使われたのか、予備費はどうなったのか、積みあがっている基金は必要なのか、といった見直しを行わなければならない。このままデフレ下と同じ発想で財政運営を行うのは問題であり、民間企業がモラルハザードを起こす。国家財政に依存したままの経済運営では、35位の国際競争力(ランキング)は45位になってしまう。民間企業のアニマル・スピリッツを引き出していくための財政出動であれば良いと思う。
新 浪: 最低賃金を1,500円にすることについて、(記者の)皆さんはどうお考えだろうか。反対だろうか。私は全く違う考えを持っている。(2024年度上半期で)5,000件の倒産が起きていて、失業率は上がっていない。5,000件の倒産の多くは人手不足が原因だ。つまり、賃金が払えないということである。しかし、(倒産した企業の人たちは)他(の企業)に移っているわけである。これはつまり、払えない企業は倒産し、他の生産性の高い企業に人が移るということであり、人にとっては良いことだ。今、賃金が払えない企業に留まること(を要請すること)自体が問題である。1,500円に引き上げることができるかどうかによって、(企業の)新陳代謝が起こるわけである。よって、最低賃金を上げないことで企業を守ることが本当に正しいのかと(いう疑問がある)。最低賃金が将来的に上がっていく中で、企業は予見性を持って経営をすべきであり、できない企業は(市場から)退出すべきだ。そして、賃金を支払える企業に(人が)移ることで、間違いなく人々の生活(水準)は向上する。払えるようにするということを目標としていくべきであり、(最低賃金を)1,500円にしないということは、ある意味駄目な企業を補助することになり、これは人にとって良いことではない。人を大切にするということは、最低賃金を引き上げることに繋がる。最低賃金を上げることによって、企業は努力をし、人(労働者)に正当に賃金を支払うことができる。しかしそのためには、大企業から(中小企業が)適正な負担を求めるという循環を作る必要があり、こうした仕組みを通じて、1,500円の最低賃金を実現する画を描かなければならない。企業をただ守るだけでは駄目である。そうしなければ、全体の7割を占める(中小企業に勤める)人々の生活水準は向上しない。だから、私はこの(最低賃金1,500円への引き上げに反対する)ロジックが理解できない。決して3年での実現を要請しているわけではなく、人々の幸せを考えるならば、(賃金は)上がらなければ駄目で、それをできない企業経営者は失格ということだ。これが本会の中堅・中小企業活性化委員会の結論である。5,000件の企業が倒産しても、就職先はある。だからこそ、今がこの議論を進めるチャンスである。もしこれがアベノミクスの時代なら、このような議論はできなかっただろう。しかし、今は人手不足で人が動ける場所があるから、この機会に最低賃金を世界のレベルに引き上げていかないといけない。その意味で、こうした人手不足の状況に合わせた最低賃金の議論と、大企業からの適正な負担を組み合わせて、このエコサイクルを作り出すことで、7割の人々の実質賃金を引き上げていかなければならない。最低賃金1,500円を実現するためには、「自分たちで頑張れ」というだけではなく、大企業の応援も必要だと私は考えている。
Q:別の記者会見でも、最低賃金についてよく話題になる。地方のインフラを担っているのは中小企業、さらに小規模事業者であり、そういった企業が今後3~4年で毎年7%ずつ賃金が上がっていくとして支払えるのか。支払えずに倒産する企業が増え、地方のインフラが駄目になり、地方自体が瓦解するのではという心配の声も上がっている。この懸念についてはどうお考えか。
新 浪:合従連衡すれば良いと思う。できる経営者は出てくる。今の状況では、できる経営者もそうでない経営者も同じ環境に置かれてしまい、結果的に中小企業が成長することができない。日本のダイナミズムは中小企業が良くなることだ。だから私は、中小企業を潰すといっているのではなく、むしろ中小企業こそが日本経済を支える(存在だと考えている)。そのためには、できる経営者がちゃんと出てくる環境が必要だ。現状では、できる経営者もそうでない経営者も同じ土俵にいるため、これでは中小企業が成長するわけがない。そうした状況下では地方創生も実現しないだろう。群馬県などを見ても、頑張っているできる経営者が確かに存在する。場合によっては東京から移ってきた人たちもいて、同じ環境にできない経営者もいて、もし補助金に頼りきりの環境では、彼らもやる気を失ってしまうだろう。どちらを優先するべきか(と問われれば)、賃金が上がる経営者のもとに働き手が集まるべきだ。インフラがなくなってしまうのは恐ろしい話だが、合従連衡できる経営者が集まれば、それは解決策になる。実際にそういった事例もある。
Q:今の政権が掲げる最低賃金目標は1,500円だが、年率換算すると7%強の(賃金)上昇となる。もしこれを毎年続けていくと、(地方では)合従連衡をする前に都会に人が出ていき、働き手も消費者もいなくなり、人口減がより加速するのではないか。その点への受け止めを伺いたい。
新 浪:そもそも都会の方がコストが高い。(前提として)最低賃金が1,500円というのは(あくまで)平均値であり、地域によって違う。例えば、東京では2,000円くらいにもなるかもしれない。またエッセンシャルワーカーは1,500円では雇えない。2,000円、3,000円が必要となる。地方がそれを支払えなければ、地方経済は崩壊する。エッセンシャルワーカーに適切な賃金を支払わなければ、地域は崩壊する。少なくとも2030年までにこの問題に取り組まなければならず、移民を導入しても解決しない可能性がある。今の議論はナンセンスだ。(賃金を上げないと)エッセンシャルワーカーがいなくなり地域が崩壊する。CPIと連動させた賃金上昇が議論されているが、CPIプラスアルファで常に(議論を)行うべきだ。本来ならエネルギーを含めたCPIを考慮しなければならない。(連合から方針が出た)6%は、ややリーズナブルだと感じた。特に地域においては高齢者が多く、エッセンシャルワーカーをどう確保するかは非常に重要である。現行の賃金では満足させることはできない。
以 上
(文責: 経済同友会 事務局)