新浪剛史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨
代表幹事 新浪 剛史
冒頭、昨日スタートしたIPPO IPPO NIPPONプロジェクト能登支援について述べた後、記者の質問に答える形で、IPPO IPPO NIPPONプロジェクト能登支援、企業の内部留保、岸田政権の総括、総裁選、米不足、全国最低賃金、セブン&アイ・ホールディングスへの買収提案などについて発言があった。
新 浪:昨日、IPPO IPPO NIPPONプロジェクト能登支援をスタートしたので、その報告をしたい。経済同友会では、(今年元日に発生した能登半島地震について、)共助資本主義の実現委員会を中心に、新公益連盟、インパクトスタートアップ協会と連携した支援活動を展開している。しかし、復旧・復興の遅れが大きな課題となる中、東日本大震災や熊本地震での経験を活かし、能登半島でも支援を行おうという提案を関西や中部といった全国の経済同友会からいただいた。そうした経緯もあり、この度立ち上げに至った。能登半島地震で、施設・設備に大きな被害を受けた能登高校に対して、実習授業で必要だが、国費では対応が難しい機材を寄贈する取り組みである。全国の経済同友会の会員から寄付を募り、総額9千万円相当の機材を随時お届けする計画である。能登半島の復旧・復興には、息の長い継続的な支援が必要である。メディアの皆さまにおかれても、活発な報道をお願いし、より多くの寄付が集まるようご協力をお願いしたい。
Q:能登半島地震発生から半年が経つが、引き続き厳しい状況が続いている。そうした中、本プロジェクトは地元の高校生やふるさとの復興に繋げたいという想いから立ち上がったのか。
新 浪:全国の経済同友会の会員からもそうした声をいただいた。現制度では、(震災によって)破損したものは過去に購入した商品と同等の商品を購入しなければならない。つまり、新しい商品が販売されていても、国費では新しい商品へ買い替える補助が出されない、ということである。現制度の不具合は相当ある。(今後)こうしたものに対して、(本会が)提案して直さなければならないが、今すぐ改善するには時間を要する。そのため、本会が(国費で手が届かない部分について)支援を行うこととなった。とりわけ、能登高校を始めとして地域への貢献度が高く、その中心となる存在である工業高校や農業高校などに支援をしようということで本プロジェクトを立ち上げている。
Q:昨日発表された財務省法人企業統計では、企業の内部留保である利益剰余金が今年3月末時点で600兆円余りとなり、12年連続で過去最高を更新した。賃上げや設備投資などが進んでいるとはいえ、日本企業のリスクに対する慎重姿勢も伺われる数字だが、どう受け止めているか。
新 浪:内部留保という表現が多く使われるが、本質は、利益剰余金としてキャッシュを過剰に保有しているのではないか、利益剰余金が蓄積されているのであれば社員にもっと還元すべきではないか、という趣旨の質問だと思う。内部留保は様々に使われているケースもあり、必ずしもキャッシュだけで蓄積されているわけではないが、利益剰余金が増えていることは事実だ。その要因は2つあると考えており、(第一に)今回の急激な円安(の影響)があるだろう。海外の(通貨で保有している)ものが(現在の為替レートで)評価されれば、(円換算では)やはり高くなってしまうことはあるだろう。(第二の要因は)全体的に給与を引き上げていこうという大きな流れが続くと(経営者は)思っているため、引き続き(賃上げを)行っていくことが大手企業として必要であり、(先々の賃上げに必要となる資金が)上乗せされているとの認識を持っている。つまり、仮に(先々の)企業業績が少し厳しくなったとしても、CPI(消費者物価指数)が上昇している限り、(それに応じた)給与を支払わなければならなくなる可能性は高いと思う。その際には、いわゆる内部留保である利益剰余金を取り崩してでも、そういう風に(賃上げ)していくことになるだろう。したがって、重要なのは600兆円余という数字ではなく、CPIが上がれば必ず給与も増加していくというノルムを作っていくことだ。CPIが2%上昇すればまず相当分は給与が上がり、さらにプラス何%にするかは(各社の労使)交渉で決めていくという仕組みに変えていかなければならない。CPIとして(食料及びエネルギーを除いた)コアコアが良いか、生活実感に近いコアが良いかなどの色々な議論はあると思うが、(物価上昇に応じた賃上げという)何かしらのノルムを作ることが必要であり、600兆円は多いか少ないかという話は重要ではない。デフレではなくインフレへと経済が転換したため、社員の生活をしっかり支えるために(物価が)上昇した分は(給与を)しっかりと払ってほしいという(賃上げの)議論ができるようになった。各企業の利益に応じた賃上げを組合と議論するという仕組みを変えていくタイミングであり、これまでのベースアップはないというデフレの下での社会通念を変えなければならない。物価が上昇すれば必ず(相応の賃上げが行われ)、さらにプラスでどれくらいの賃上げを行うかが各企業で異なってくるのが新たな通念であり、(利益剰余金が)いくらあるから(賃金を)もっと払うべきという議論をすべきではない。物価(上昇分)は必ず(賃上げして)くださいという議論へと大きく転換していかなければならない。そういう対応を進める企業と、相変わらずのノルムの下で低い給与で経営したいという企業と、会社によって大きな違いが生じると思う。各企業はDXなどで生産性を高めることで給与の引き上げに取り組んでおり、(生産性向上を)実現できない弱い企業は(十分な)給与を支払えないため、企業の淘汰も始まっていくだろう。600兆円という金額ではなく、各企業はCPI上昇分以上の賃上げを行っているかが問われ、それが当たり前だという社会通念を形成していくことが重要だ。すなわち、内部留保云々ではなく、今後はもっと社員を大切にすることが企業にとって重要になってくるのであり、最低でも(物価上昇に対応する賃上げは)行おうという通念を経済界として創り上げていきたいし、メディアの皆様にもお願いしたい。先ほど開催された経済財政諮問会議でも同様の旨を申し上げており、繰り返しになるが、少なくともCPI上昇分は賃金が増加するという社会通念を形成することが重要だ。
Q:総裁選に関して質問したい。岸田総理が先月退陣表明されて総裁選へという流れになっている中で、岸田政権の総括と、候補者が乱立している状況下の総裁選の受け止め、また新総裁に対する期待を伺いたい。
新 浪:まず1つ目の質問、岸田政権の総括について一番大きな点は、デフレの脱却にまで(目途)がつき、賃金がこれだけ大きく上がってきたこと。「新しい資本主義」を掲げた岸田政権の大きな成果であったと(考えている)。また、デフレからインフレ経済への移行によって、名目GDPが600兆円以上に達したことも大きな成果である。さらに、人材の流動化が行われ始めて、若い人を中心に中堅層も動くようになってきた。まさに「新しい資本主義」の中でこの人材の流動化が大変重要だという意識を総理はお持ちで、これを引っ張ってこられた。実は人材の流動化というのは生産性向上の大きなキーであり、こういった新しい経済・社会構造になるということの緒に就くところをやられた(点)、日本国内における経済という意味で、非常に大きなポイントで(ある)。その結果として、いわゆる異次元の金融緩和政策が終結し、金利がある世界が実現した、いわゆるノーマルな金融政策への目途がついた点も大きな成果ではないかと考える。一方で外交(面では)、米国、韓国、フィリピン(などの)我々にとって近隣諸国として大変重要、かつ安保においての大変重要なアライアンスパートナーである米国との関係も強化し、大きな軸足を作ったということも評価すべき点ではないかと思う。そして原発についても一歩踏み込んで、安定的にエネルギーを日本が得ていくために、稼働できるところはしっかりと原子力規制委員会の評価のもとに、それを実現するということをやられた。一方でまだまだ課題なのは、人手不足と人口減少の日本における少子化対策。これはまだ時間がかかることで、今後少子化対策をもっと実現するための必要な手を打っていく必要がある。さらに社会保障制度、とりわけどのように高齢化に向けて財源を確保していくか、また少子化対策や防衛の財源(確保)も大変重要で、積み残し課題があるのも事実である。しかし総じて、大きな経済(の転換となった)のは評価すべきことであると思う。(2つ目の)総裁選に関しては、お金の問題から始まり大きく派閥の解消という方向性(ができ)、多くの方が手を挙げるのは大変いいことだと思う。その中で、経済同友会としてもそれぞれの候補者の政策を(しっかりと)評価していこうと考えている。どの方がいいかということよりも政策そのものが重要で、ともすれば今回の自民党総裁の選挙は次の解散総選挙を意識して、誰だったら勝てるかという人気的な(要素)が強くなる可能性があるので、我々はやはり政策ありきで評価をすべきであると見ている。やはり良い政策を持っている方にぜひ総裁になっていただきたい。良い政策というのは、せっかく賃金上昇が見えてきた(今)継続的にやっていただき、社会的なノルムにしていくことだ。今後はいわゆる所得が(しっかりと)上がっていくのが見えていくことが重要なので、一番の課題は、後期高齢者負担金や社会保険料で取られて手取りが思ったほど上がらないといった状況だ。手取りが上がっていく仕組みのためには今の昭和の時代の産物の社会保障制度を改革し、令和に合った形に変える大きなトランスフォーメーション(が必要で)そういう抜本的に変えられる(候補者の)方に(新総裁に)なっていただきたい。そして、働く人たちが一生懸命頑張って働けば給料が増えて、可処分所得がプラスになるための社会保障制度をしっかりと改革して(いただきたい)。また相当(財政面に)無駄があるとも認識をしており、医療制度についても、セルフメディケーションを進めて、風邪薬ぐらいのものであれば、場合によっては3割負担を7割負担にするとか場合によっては全部(負担に)するという(ことも必要ではないか)。一方で、本当に必要な薬は保険で適用するなど、こういう社会保険、国民皆保険の維持をしていけるための抜本的な改革をしてもらいたい。そしてエネルギー問題(も重要だ)。人口減の国が成長するというのは非常に難しい。特に高齢化しているため、生産性を上げるためにはAIやDXがどうしても必要である。そのためのエネルギー源がしっかり(確保されることが重要だ)。また現政権が行ってきた米国との関係、そしてそのアライドネーションズの方々との協調、韓国やフィリピンをはじめとした近隣諸国との関係、またオーストラリアや、インドそれぞれの国々とより強硬にアライアンスを組んでいく、そういった外交ができることが重要だと思う。大枠はそういったことで、特にエネルギーに関してはしっかりと(対応を)やらないとせっかく半導体を作ってもエネルギーがない(といったことが発生する)。その意味で柏崎刈羽(原子力発電所)が早く再稼働できるよう、安全で地元の方が安心してもらえる(形での再稼働)、まずこれが試金石になるのではと思う。そのためには、やはり地元の方々に本当に安心し、電気を使う我々首都圏の(人々が)地元にどういうふうにお礼をし、地元の方々にベネフィットになることを考えるか、こういうこと(の検討)は必要だと思う。
Q:首都圏や関西圏のスーパーで米の品薄状態が続いている。場所によってはスーパーマーケットをはしごしても手に入らないような状況で「令和の米騒動」などと言われている。この一連の動きについてどのように受け止めているか。
新 浪:備蓄米は本当に必要なときにタイミングを見計らって国が放出するものである。林芳正内閣官房長官はまだそのタイミングではないと判断し、出す状況ではないという回答されたのだと思う。これから新米が出てきて需給の問題に繋がるが、安心していいと思う。一方で根本的(な問題として)、私が経済同友会で農業改革委員会の委員長を務め、そして安倍政権で産業競争力会議のメンバーとして農業改革を担当していた際に、減反(国が農家ごとに主食米の生産量を割り当てて価格を維持する生産調整)が無くなった。しかし、実際には価格調整を行うなど、大きな田んぼで生産性を持って美味しいお米を作ろうという動きに本質的にストップがかかっている可能性がある。ここは制度的に見直さなければならない可能性があると思う。(米に関する)根本的な問題はもう一度再検証する必要がある。しかし国民としては、本当に問題が起きた際に備蓄米が出れば問題ない。海外から(米を)買うなど政府が責任を持ってきちんと対応した過去もあり、政府の対応が十分できる状況にある。米に関しては私自身も当時さなかにいたため強い意識を持っている。必要に応じて政府には(国民が)安心できるメッセージを出していただきたい。
Q:最低賃金の改定額が全都道府県で出揃い、(目安額で)50円上げるところを、徳島県は84円上げる。結構頑張っている印象だが、お考えを伺いたい。
新 浪:やはり地域における人手不足が深刻だと感じる。それがまさに競争の原理に表れ良い方向だと感じる。徳島県知事は非常に英断をされたと思う。人材に自らの県にいてもらいたいということ(狙い)が大きなポイントで、私は今の最低賃金はまだまだ上がっていかなければならないと思っている。この過程において、生産性を上げるためにデジタルやITの支援をしながら、それぞれの企業の生産性が上がるようにしていく。以前は生産性が上がらなかったために賃金が上がらない状況だった。今は人手不足のため、働いてもらうために(賃金を)上げていく。見える風景が変わったことを認識しなければならない。もう1つの大きな課題は、(賃金が)上がっても働けない人たちがいることだ。(賃金が)上がれば上がるほど、年収の壁にぶつかるのが早くなる。私がローソンの社長だった頃は、(パートタイム労働者が年収の壁により労働時間調整に入るのは)12月だったが、(今では)もう11月に年収の壁にぶつかる。10月から大きな課題になってくるのは、年収の壁にぶつかるために働きたくても働けない人たちが出てくることだ。この解決のためにジャンプする(壁を超えるための)制度(支援強化パッケージ)を作ったが、使われていない。本人ではなく企業に(対して助成が)行われる。(その上で)企業が(働く本人に)支払わなければならないという非常に複雑で、使い勝手の悪い制度であるため、早くこれを直さなければ大変なことになる。(賃金が)上がっても働けない方々がたくさん出てくる可能性があるため、年収が上がった分をきちんと享受できるようにぜひとも早く国に今の制度を改めていただきたい。そうでなければ、私が漏れ聞いているところによると、サービス産業で働く方々による年収の壁の引き上げ要望の声が大きくなってしまう。それではいわゆる(年金保険料負担の)公平不公平の問題がおかしなことになる。当初は3年間の予定だったが2年間の年収の壁のための対策を講じたわけであるから、(制度を使いやすくして)効果があるようにして、ジャンプしたことによって(年収の壁を越えても)大丈夫だという(認識を持っていただく)ことと第三号被保険者の年金をどうするかを今年の年末の議論に組み入れていくことを早期に政府にやっていただきたい。
Q:支払能力という点を考慮すると、(最低賃金の引き上げは)地方の中小企業にとってしんどいのではと感じる。(企業の)淘汰が始まるような前兆にならないかなというような思いもあるがどう受け止めているか。
新 浪:淘汰は実はもう既に始まっていて、事業をやりたいという(意欲のある)方々にはしっかりとした制度は(用意されており)そういった(制度)を活用する(ことが重要だ)。特にIT・デジタルといった分野で簡単なものでも使える(ツール)も揃っている。ただ、事業継承や、(事業を)やめたいという方々が多くおられるのも事実である。コロナのときに資金をもらうことによって事業継続できた(方もいたが)、返さなければならない(状況になると事業継続が難しくなる)。人手不足も大きな要因だが、自ら事業をやめたいという方々の数値が上がっているのも事実である。しかし、(この状況を)悪いと見てはいけなくて、もう年齢もきてそろそろやめようという方も多くなってきているので、意欲のある中小の方々がしっかりと事業を継承できるような体制(が必要である)。給料を払えるということは、その分生産性を上げられるノウハウを持っているということだ。意欲を持って事業を続けたい方々には、ツールや中小企業庁からのサポートが用意されている。これらのツールを活用し、生産性を向上させることで、給料を支払える体制を整えることは可能だ。そういった方々には、ぜひとも(事業を継続して)生き延び、また成長していっていただきたい。そのときはやはりITやツールを使えるかどうか(が重要であり)、またそういう人材が移ってくることでダイナミズムが大きく変わる。(これらは)決して悪いこと(と捉えるべきではなく)今後の日本の経済が活発になってくる(兆し)だと(捉えている)。ただそれぞれの事情があって、そうもいかない方々もおられると思う。しかし、人手不足はまさにこの良い新陳代謝の大きな要素になりつつあり、(給料が)払えないと人が集まらないという、環境に徐々になってきている、もしくは業種によってはもう(既に)そうなってしまっているということだ。私が言いたいのは、(賃上げが)できない(企業は)潰れなさいということではない。ただ、やはり(現実として)人がいないとどうしようもないので自分のところで働いている人たちも他の(企業)に移ってしまう(可能性がある)というのも事実だ。デフレからインフレに移行した中で大きく変わった大きなポイントでもあると思う。
Q:カナダ同業大手企業によるセブン&アイ・ホールディングスへの買収提案について伺いたい。経済産業省が示した行動指針に沿って、独立性の高い社外取締役を中心に同社で検討されているが、一昔前の買収防衛策の強化をする時代に比べ、(買収提案への)向き合い方が変化していると思う。取締役会の運営やコーポレートガバナンス等について、どのように感じているかを伺いたい。
新 浪:ご案内の通りまだ円安であり、このような(海外からの買収提案の)事例はどんどん増えていくだろう。株主は(あくまでも)ステークホルダーの1つであり、社員や取引先など多くのステークホルダーにとって(買収提案が)良いかどうか、社外取締役を中心に議論し判断していく。このように大きく時代は変わっているのだと思う。以前は、世界的な潮流として株を高く買い上げてくれれば良いということだったが、そうではなく、全体のバランスを見て、あらゆるステークホルダーにとって本当に良い提案かどうかを考えなければならない。例えば、地域への貢献を全く考えず、コストカットして利益を上げるようなことで良いのか。全体像を見て提案を(受け入れるか)考えていかなければいけない。(買収提案は)海外では当たり前のように行われているが、日本の経営者はこのようなことにナイーブである。ファイナンスとしての企業価値だけではなく、様々なステークホルダーにとっての企業価値を考える。このような共助資本主義的なことが非常に重要である。地域の定義は各々だが、その地域にどうしても必要だと言われる会社になっていくということが大切である。数字だけで(買収提案を受けるかを)判断するような、金融資本主義の時代ではない。企業は、マルチステークホルダーにとっての企業価値をさらに上げていかなければならない。このような時代が日本にも来たのだ。
Q:先ほどの自民党総裁選の質問で触れられなかった政策について、改めて伺いたい。候補者の中で、金融所得課税と選択的夫婦別姓の意見が割れていると感じている。それぞれについてどのように考えているか。
新 浪:選択的夫婦別姓は、経済同友会の要望として賛成であり、是非進めていただきたいと考えている。金融所得課税については、現在の20.315%というのは少し低いと思う。以前、本会においても25%くらいでも良いのではないかと提案している。金融所得を得ている方々は、全般的に税負担が低いため、もう少し(税率を)上げても良いのではないかと思う。上昇率によっては、NISAをはじめと金融資産を持つことを推奨する流れを妨げることにはならないと考える。25%にしたとしても、最高税率45%の所得税とは大きな差がある。社会保障や防衛など、今後の税収を考える中でこのような点も大いに議論すべきだ。金融資産の推奨に水を差すような大増税であってはいけないが、場合によっては金融資産額で(税率を)考えるという手もある。いくつかの条件をつけながら、NISA等を邪魔しない制度を配慮して作っていく必要があるが、金融資産に対する増税は検討に値すると考えている。
以 上
(文責: 経済同友会 事務局)