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新浪剛史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2023年12月12日
出席者 公益社団法人 経済同友会
代表幹事 新浪 剛史

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冒頭、来年に向けた展望を述べた後、記者の質問に答える形で、政治資金パーティー問題、今年の漢字、賃上げ促進税制、こども未来戦略会議、企業・団体献金、政治への要望について発言があった。

新 浪:来年はデフレから脱却し、コストプッシュ型ではないインフレへと変化して欲しい。大前提として、賃金が上がるモデレートなインフレが実現する経済社会になると良いと思っている。

Q:自民党安倍派の政治資金パーティーを巡っては連日新たな疑惑が出ており、中心閣僚の交代も検討されている。国会審議にも大きく影響する中で、この状況をどのように捉えているか。

新 浪:(政府には)Transparency、つまり透明性の確保とその向上に向け、早急に対応していただきたい。(不透明のままであると、)国民は何が起こっているのかと不信感を招いてしまう。そのため、(政府は)透明性の確保と説明責任を果たすだけではなく、政策運営をしっかりと行いながら全国民の不信感を払拭していただきたい。

Q:本日14時、今年の漢字が「税」と発表されたが、新浪代表幹事が思い浮かべる今年の漢字は何か。

新 浪:「税」というのは、きつい(厳しい選定だ)。私は、時代の転換点の「換」という字が良いと思っていた。(今年は)大きく変わりたいという意思を出せる年であり、また、それが2024年につながっていく(一年である)と思った。今年が転換点であり、来年は変わる最中に入る。(つまり、)今年はコストプッシュのインフレから、賃金を上げるインフレに変わっていく大きな転換点を作ったと思っている。良い方向へ変わっていくという意味で、「換」が良いのではないかと思ったが、(今年の漢字に選ばれたのは)「税」だった。

Q:「かわる」の中でも、「変」や「代」ではなく「換」とした理由を伺いたい。

新 浪:転換の二文字に、ポジティブな意味で転がりながら変わっていくイメージがあった。転がるということは、良いことだけではなく、場合によってはきつい(厳しい)ことも出てくる。その中で、(さまざまなことを)こなしながら良い方向へ向かうという意味で(「換」の一文字を)考えた。おそらく、(今後)選択を迫られること(局面)が多い(と考える)。何をやるにしても、問題解決には必ず痛みを伴うかもしれず、必ずトレードオフ(の関係が生じる)。いずれかを選択しなければならない時に、(解決のために)痛みを伴う可能性もあるという中で、ゴロゴロと(転がりながら)変わる。この「ゴロゴロ」は痛いが、その痛みも最小限にしなければならず、(そのためには)相当な工夫をしなければならない。今年もゴロゴロ(転がりながら良い方向へと)遂行してきたが、さまざまな事件が起こってしまった。旧ジャニーズの件や宝塚歌劇団の件も、ビッグモーターの件も、ゴロゴロと変わる最中に起きた。(それらも踏まえ、転換点においては)簡単には変わっていかないということをパッとイメージした(結果、「換」を選んだ)。

Q:賃上げ促進税制について伺いたい。政府・与党は、7%以上の賃上げをした大企業の法人税控除率は、最大で35%に引き上げる方針を固めた。賃上げ税制が、今後の賃上げにどの程度の効果をもたらすと考えているか。

新 浪:大変結構なことだと思うが、それ(法人税控除)を得ることが主な理由で賃上げをするという企業がどの程度あるのかと(感じる)。政府として賃上げを後押しして、一定レベル(の賃上げ水準を)超えることにおいて、私は大いに意味があると考える。しかし、経営者としては、「来年も同程度賃上げをする」と(発信することで)、社員が安心して経済活動ができるようにする(ことを実現する)。10%、20%賃上げを行うわけではないが「また週末に少し贅沢ができる」という、ほんわかとした(心がなごむ)喜びを感じてもらい、(社員の)モチベーションを上げる。そのような会社には、良い社員が集まるということから、(経営者は賃上げを)実施する。これは、人への投資だと考えており、経営判断である。(賃上げ税制は)大変ありがたいが、そうではなくても(賃上げを)していかなければならず、(賃金を)上げられた企業が生き残ることができるという深刻な人手不足(の状況)であり、良い人材の獲得競争が起きているという問題意識を持っている。ただ、その競争を助長するこのような制度は、歓迎である。

Q:昨日開催された政府こども未来戦略会議において、こども未来戦略の中に大学無償化が盛り込まれた。また、戦略の中で多く挙げられている働き方改革などの共働きを促進する政策については、企業側の努力も重要だと思われる。これらについて新浪代表幹事の考えを伺いたい。

新 浪:全般的な(評価から)話をすると、岸田総理を中心として(進められている)子どもの未来に対して投資すること(政策方針)は良いと思う。一方で、財源の確保については、しっかりと検証していかなければならない。(子育て支援策は)過去から行っており、かねてから申し上げているとおり、何を目標として、何が(達成)できたら良い政策だったと言えるのか、過去に行ってきた政策(の中で)は何が良い(成果を挙げたのか)、何が課題だったのかを整理しないといけない。(今後)相当な金額を使う以上、また過去に相当な(予算を)使っている中で(効果を挙げた政策が)あるならば、(そうした政策への支出を)どんどん行えばよいと思う。やはり少子化は、我が国にとって大きな課題の中でも筆頭格である。その中で今回、大学無償化が挙がってきたのは、子どもの(貧富の)格差は拡大したままであるため、大学に行きたいと思う方々に対して無償化(によって支援)していくことは一つの選択肢だと思う。ただ、私は(予算を)一層使わなければならないのは義務教育だと思っている。(小・中学校の)先生の給与水準をもっと引き上げなければならないし、人手不足の中でも、教師になりたいと思う人材が増えていかなければならない。(そのためにも、)大学へ進学する前の義務教育分野への(予算)配分なども考えなければならない。(その際、)単に教科書に基づいて(知識を)詰め込むだけではなく、義務教育段階で自分は(将来)このようなことをやりたいと(自ら)ものを考える力・思考力を身につけてほしい。(全員が)大学に進む必要もないと覆っており、高等専門学校など(も)素晴らしい(教育を行っている)。今後、政策に反映されると思うが、(子どもたちが)自分の未来をいろいろと試行錯誤していく中で重要なことは義務教育と高等学校であり、その(教育機関の)先生になりたいと思う方々を増やすことが重要だ。モチベーションを持って、(大学で)勉強したいと思う方々が増えていくことは良いと思うが、その前段階(の義務教育)も大変重要であり、こうした議論が必要ではないかと思う。昔に比べると、保護者が先生に厳しく接していることもある中、(子どもたちに)尊敬される先生になりたいと思う方々が増えることが、(大学無償化が目指す教育の充実の)前段階ではないかとの問題意識を持っている。働き方(改革)については、企業がしっかりと努力しなければならないことである。子どもが増えると豊かな社会に間違いなくなると思っており、そのために(政府は)さまざまな政策を進めている。貧困の中で子どもを持てない(と人々が感じる)ことのない社会を創ることは大変重要であり、(政府が)一義的にはやらなければならないとしても、働き方改革は企業として育休の取得などの目標を設定し、企業の社会的責任として行わなければならないことだと思っている。各社各様のさまざまな事情もあるため、目標設定とその実現に向けたロードマップの作成は各企業の責任で進めていくべきだ。企業規模の大中小によって(行うことができる取り組みは)違うが、それぞれ(の企業)が意識的に進めていくことが必要である。働き方改革については、将来的には正規社員で共働きを目指して行うべきだと思っている。

Q:自民党安倍派の政治資金パーティーについて、代表幹事は透明性と説明責任が重要であり、それが(不十分なため)国民の不信感を招いているという認識を示されていた。直近の世論調査では、企業・団体献金を廃止すべきだという声が8割を超えている。政治資金問題について、どのようにお考えか。

新 浪:献金をする側が(世論から企業・団体献金が)反対されている事情を理解した上で、献金理由について説明責任を果たすことができれば良いと思っている。例えば、ウェルビーイングの向上を自社のミッションとしている企業が、そのような活動を行う政治家を応援するなど、意識や考えを持って個社で判断することは良いと思うが、自社の利権を守るという理由ではいけない。献金をする側が常にその理由を説明できることが重要であり、(また、)政治家もどのような意思を持って献金を受けているのか、透明性があるべきだった(と思う)。政治資金に関しては、(献金を受ける側の)透明性と献金をする側、双方の説明責任が重要であり、その実現が必要である。

Q:(代表幹事は今年の漢字として)転換ないしは変換の「換」という漢字を挙げられたが、現在の政治資金パーティー等々の問題に鑑み、政治に求める「換」とはどのようなことだとお考えか。

新 浪:企業において最も重要ことは、働く方々をはじめとした多くの国民の皆さんからの信頼を得ることだと思う。以前にも申し上げたとおり、経済、ビジネスを司っている団体組織に対する(国民からの)信頼もそうある(高い)わけではないと思っている。(政治において、)例えばマイナンバーカード(を巡る一連のトラブル)の際、さまざまなことで政府批判(がなされたが)、根底には(国民からの)信頼が無いからだと思う。(情報の紐付けをはじめ)大変な作業を行う政府に対して、私はマイナンバー(制度の推進)をしっかりやり抜いてもらいたいと思う。しかし、あれだけの(厳しい)批判が出たのは、(国民感情の)根底に何かがある(と感じている)。今回の政治資金(問題)に対する(当事者の)説明に(国民が)納得していないということは、今回の(政治資金という)一つ(だけ)の問題ではなく、信頼が非常に欠けている(ことなのではないか)。おそらく、その原因は説明責任であると思う。さまざまな支出がさまざまな形で予算が執行されているが、(予算が)どのようにして(執行され、)何が起きているのか、国民は(詳細に)把握できていない。(源泉徴収で)企業に徴収された税金や、消費税などさまざまな形で徴収されており、(国民には)一体税金がどのように使われてどうなっているのかがわからず、徴収されるだけ徴収される(と感じている)。(そのような中で、)突然、増税や税金の還元などさまざまな話が出てくる(ため、把握をしきれない)。もう一度考え直さなければならないのは、(予算を通じて)どのような事業を行っていて、(一方で)実は(円滑に)できていない(ことも開示することだ)。できていなくてもよいが、transparency(透明性)を出していく(ことが肝要である)。「(現状は)できていないが、このようにしたい」「いや、これは(今後は)やめるべき」など(政府と国民との対話)が起こらなければ、私は(政府が国民からの)信頼を獲得できないと(思う)。何を行うにしても、長期(にわたる)問題が多いことから、その大前提となる信頼が最も重要なことだと思う。だから、良いことも悪いことも(開示しなければならない)。企業は、例えば「ネットゼロ」について成功していなければ、そのように言わなければならない。いわゆるグリーンウォッシュ(取り繕うようなこと)にならないことを説明しなければならない。しかし、開示することによって、対話が生まれ、信頼が生まれる。したがって、全部ができているわけではなく、(できていないことも含めて)見える化をしっかりやる(ことが必要だ)。そして、できていないから批判されるのではなく、できていないことについて、場合によっては「やらない」もしくは「こういうこと(方向)で直していきたい」ということを言えばよい。今回(の政治資金問題)も、やはり信頼を傷つけたということ(が根底の問題)だ。国や政治は、常に(情報を)開放的に、理由や考えを見える化をしていただきたい。これだけ(巨額の政府)負債を抱えてしまったが、なぜこのようになったのか、(負債は)何に使われたのか、私たち(国民)に(恩恵として)何が返ってきているのか。(このようなことが明らかになれば、)実はポジティブな受け止めもあるはずだ。風邪を引いても、重病になっても、(治療を受けられる)セーフティネットがある。このような仕組みはありがたく、誇れる国民皆保険(だと国民も考えていると思う)。全てが悪いわけではないが、(政策の中には)金の使途が少しよろしくないということも当然ある。(その際は)金の使い方が良くないことを堂々と説明すればよい。私は、開示と対話によって国民との信頼が生まれるのではないかと考えており、その点が足りないのではないかと思っている。当然のことながら、与党、野党、政治全般に言えることだと思う。また、私たち経済界も(国民からの信頼の必要性については)同じだと認識をした方がよい。よりクリアに、自分たちの考えを伝えていくことが必要だ。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)


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