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経済3団体長 新年合同記者会見 経済同友会 櫻田謙悟代表幹事発言要旨

日時 2023年1月5日
出席者 小林 健 日本・東京商工会議所 会頭(幹事)
十倉 雅和 日本経済団体連合会 会長
櫻田 謙悟 経済同友会 代表幹事

20230105a.jpeg

新年合同記者会見における櫻田代表幹事(右)

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記者の質問に答える形で、2023年の日本経済の見通し、2023年度春闘の賃上げ、日本経済再浮上に何が必要か、公正取引委員会の『優越的地位の濫用』に関する調査で企業名公表などについて発言があった。

Q : 昨年からの過度な円安の動向などを踏まえ、今年の日本経済をどのように見通しているのか、注目すべきキーワードを交えて伺いたい。

小林会頭 :(略)
十倉会長 :(略)

櫻 田 : 2023年を展望するということだが、突然2023年が訪れるわけではないため、2022年がどうだったかを簡単に振り返ってみると、大きな転換があった。経済について挙げると、やはり何十年かぶりに先進国が直面したインフレーションである。アメリカとEUでは事情が全く異なるが、結果として各国の中央銀行はマネー(の供給)をタイトにし、日本も世界経済の中で独立しているわけではないため、その影響が円安に表れた。数字だけを取り上げれば、世界経済の中で相対的に見て、日本は緩やかに成長し、インフレーションもそれほど激しいものではなかったことからすると、2022年はよくやったのではないかと思う。他方、今年は、世界経済が想定以上に悪そうだという見方が広がっている。先日のクリスタリナ・ゲオルギエヴァ国際通貨基金(IMF)専務理事の発言もそういう趣旨だった。したがって、昨年以上に世界経済の環境が悪くなる中では、(経済成長のために)なすべきことは内需(の拡大)しかない。確固とした根拠があるわけではないが、為替に関しては、少なくとも(内外の)金利(差)だけが焦点になるという状況は終わり、円高方向へと推移するのではないか。そのため、円安による為替換算益で利益を出すことは難しいだろう。とすると、内需、すなわち投資や消費しかないだろう。年末の動向などを見る限り、私は、国民の消費意欲は根強いと思っている。コロナ禍で100兆円近くの財政出動が行われており、そのうちの相当な部分は貯蓄されていると考えられるため、(消費に)使うお金はあるはずだ。(コロナ禍で)格差が拡大したことは事実だが、国全体の(マクロ経済)見通しとしては、世界と比較して日本は良い立場にある。この時期、このタイミングを利用し、一発勝負(の経済政策)ではなく、先ほど岸田首相もおっしゃられていた通り、持続可能性のある将来に向けて今やるべきことを先送りせずに実行していく。そのキーワードは、イノベーションとダイバーシティである。イノベーションには様々な定義があるが、一言で言えば「挑戦」が必要ということだ。日本に存在する全ての企業、生活者がイノベーションを起こすという気を持って挑戦することが、2023年の最大のポイントである。それができれば、今年こそ、日本が今までに「失った30年」を取り戻す最初の年になると考える。

Q : 今年の春季労使交渉(春闘)で賃上げの動きがどこまで広がるか、見通しをお伺いしたい。また、賃上げの鍵となる要素、継続的な賃上げに向けた課題、企業の期待についても考えをお聞かせいただきたい。

小林会頭 :(略)
十倉会長 :(略)

櫻 田 : 日本の消費者物価指数(CPI)は(足下で)3%台後半から4%程度であり、やや楽観的かつ強気な見方かもしれないと思うが、政府は2023年度の(実質)GDP成長率を1.5%とする見通しを示している。連合は2023年度の春闘で(定期昇給相当分を含む)賃上げを 5%程度(求める方針)である。(各団体が出しているこれらの)数値はそれぞれ説明が付く(根拠に基づいている)と思うが、端的に言って、インフレ率を超える賃上げを平均値で達成することは簡単ではないと思う。本会でも(2022年12月(第143回)景気定点観測アンケート調査結果を見ると)約8割の企業は賃上げに前向きだが、各企業により(賃上げの)額や率には大きなばらつきがある。昨今の円安で大いに潤っている企業がある一方で、非常に苦労している企業もある。大きなばらつきがあるため、平均値として何パーセントの賃上げが達成されたかという議論自体にあまり意味はない。ただ、マクロで見れば、過去最大の税収が見込まれており、企業業績は堅調であることは事実である。そのため、(賃上げを)行える企業はしっかり行うこと(が重要)であり、(連合が求める)5%という数字にこだわる必要はない。実際、本会会員の中には、今年の春闘で5%以上の賃上げを考えている社長・CEOもいる。問題は、今年(の賃上げ)は良かったが、来年(の賃上げ)は良くないとなることであり、(持続的でなければ)意味がない。先ほど、岸田首相が新年祝賀会の挨拶で「課題の先送りはしない」と宣言されたことに大変勇気付けられたが、特に納得したのは「賃上げは価値ある人材に報いるための投資である」との言葉だ。したがって、価値を生み出してくれる人材を評価することが重要であり、多くの企業経営者は価値ある人材に投資することに反対しない。そのような動きは、ベースアップなどに(代表される)平均値の議論は必ずしもイコールではない。評価制度を通じて(の賃上げ)となると、議論が異なってくるとは思うが、5%を超える企業と超えない企業があるとしても、経営者として(従業員の生み出す)価値に対して報いることに何ら異論はない。問題は課題を先送りしないために、2023年に何をするかということだ。これまでにも申し上げてきた通り、大企業・中小企業を問わず、キーワードは新陳代謝である。大企業であっても、事業別に採算を管理していく中で(利益を生まない部門を)どのように切り出し、売却や閉鎖するのか、勇気を持って挑戦する必要がある。(日本経済全体という)大きな目で見れば、労働人口の7割を占める中小企業で働く方々が分厚い中間層になっていくことで、日本経済の持続可能性が高まる。この中小企業に関しても新陳代謝が重要なキーワードである。本来退出すべき(収益力の乏しい)企業がまだ残っている可能性もあれば、さらに(業績を)伸ばすことのできる企業が人材不足によって成長しきれていない場合もあり、新陳代謝によって支援して成長を促す必要がある。中小企業に関して言えば、世界的に見て強い中小企業が集積しているドイツを参考として、日本の中小企業の競争力を世界に伍していけるものとするため、大企業も一緒になって(取り組むための)中小企業競争力会議(仮称)を、政府には是非立ち上げていただきたい。(設置された際には、)本会としても積極的に参加したい。

Q : 沈没した日本経済はどうすれば再浮上できるか。日本が競争力を取り戻すために何が必要か、お考えを伺いたい。

小林会頭 :(略)
十倉会長 :(略)

櫻 田 : 新年祝賀会の挨拶で岸田首相が話された「賃上げは価値ある人材に報いるための投資である」という言葉に賛成である。そういった社会を目指すべきであり、企業経営においてもそうありたい。「先送りしない政権を目指す」という岸田首相の言葉も心に響いた。本会も過去10年から20年間にわたり、ずっと同じことを提言し続けてきているが、実現していない。つまり、やるべきことは分かっているができなかったのであり、結果として先送りを続けてきてしまった。このため、岸田首相が「先送りしない」と宣言されたことを全力で支えたい。本会は、昨年10月に総括提言『「生活者共創社会」で実現する多様な価値の持続的創造 ―生活者(SEIKATSUSHA)による選択と行動―』を発表した。その中で、平成の30年間は、「失われた30年」と他人事のように言われるが、「失われた」のではなく、「失った」としている。やるべきことは分かっていたが、やらなかった。結果として30年間、変われなかった。なぜ、変われなかったのかと言えば、変わりたくなかったからのである。それは豊かな日本であったことに(原因が)ある。今や30位近くまで低下したが、一時は一人当たりGDPが世界で一位・二位を争う水準だったこともあった。その間に、既得権が形成された。変わりたくなかった理由は、既得権を失いたくなかったからである。この結果、30年間は「失われた」のではなく、やるべきことは分かっていながら(30年間を)「失った」のである。今、やるべきことを先送りしないためには、挑戦の総量を増やすことで社会を変えていくこと(が必要)である。これは政府に言われるまでもなく、経済界、我々経営者がやっていかなければならない。挑戦の総量を増やすためには、失敗しても致命傷にならない社会を作らなければならない。(私は)それをレジリエントな社会と呼んでいる。そして、その(ような社会を作る)ためのキーワードは、ダイバーシティに尽きる。ダイバーシティの定義の一つは、LGBTQを含めたジェンダーであり、各企業がそうした(多様なバックグラウンドを持つ)方を積極的に採用することを宣言できないかと議論している。次のダイバーシティの定義は年齢である。若い人が良く、年齢を重ねた人材は駄目だという意味ではない。20歳でも60歳でも、同じ会社、同じ部署、同じプロジェクトで働き、知恵を出し合う。これがイノベーションの源泉となる。最後のダイバーシティの定義は国籍である。ほとんどの(日本)企業では、日本人が(従業員の)大半を占めている。中には、外国人が経営者やCEOを務めているケースもあるが、数は少ない。むしろ、人材不足に直面している中堅・中小企業の方が、国籍のダイバーシティは進むのではないかと考えている。ダイバーシティがイノベーションを生む。既得権から卒業し、新しい利益を作り出す志を持って、挑戦することが日本を変えていく。岸田首相がおっしゃっている「先送りしない」ことを、我々経営者も生活者として自分自身に言い聞かせ、挑戦していきたい。

Q:昨年12月27日、公正取引委員会は、独占禁止法上の『優越的地位の濫用』に関する緊急調査の結果について」の中で、特定の事業者に対して注意喚起した。十倉会長、小林会頭の受け止めを伺いたい。

十倉会長 :(略)
小林会頭 :(略)

以 上

 (文責: 経済同友会 事務局)


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