ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

2022年度通常総会、理事会後記者会見発言要旨

動画を拡大する

日時:2022年4月27日(水)

出席者 :
櫻田 謙悟 代表幹事
伊達美和子 副代表幹事(新任)
玉塚 元一 副代表幹事(新任)
山口 明夫 副代表幹事(新任)

PDFはこちら

櫻田代表幹事より挨拶の後、伊達美和子、玉塚元一、山口明夫各副代表幹事から新任挨拶を行った。その後、記者からの質問に答える形で、政策形成への発信力を強化するための方法、本会における女性活躍・ダイバーシティ、緊急経済対策などについて発言があった。

櫻 田: 今年度が私の(代表幹事としての)任期の最終年度ということになる。先ほど発表した代表幹事所見でも申し上げた通り、「生活者共創社会」というビジョンの実現に向けた課題を示していくことで、様々な生活者に選択肢を示し、選択を促す。そして、新しい経済社会の共創、共に創る運動をリードすべく、企業や経営者の力を結集して取り組んでいきたい。

新任挨拶

伊 達: 2011年6月に経済同友会に入会し、(活動歴)は10年を超えている。元々のきっかけは、2011年に発生した東日本大震災である。(発生時は)東京にいながら、オフィスとホテルがある仙台の施設が被災した状況に直面しており、その際、東京で得られる情報と実際の被災地である仙台市の状況、災害の状況に格差があった。国内全体が自粛ムードで行動が抑制されており、外国人は日本から出国していく状況にあったかと思う。このような中で、情報格差を解消し、どうやって経済を再生するための行動変容に結びつけるかを当時考えており、被災地側・仙台側から情報発信をすることと、国際会議を仙台に早く誘致して、それをフックに人々の意識を変えてもらうことを画策していた。そのような行動をしていくにあたっては、一企業で行動するより、経済団体に所属して、社会変革を手助けしていきたいという思いがあり、(経済同友会に)入会した。入会後は、社会保障改革委員会副委員長や沖縄振興PT委員長を務めてきた。現在は、観光再生戦略委員会委員長を務めている。観光(産業)は、このコロナ禍で色々な意味で打撃を受けているが、将来的なポテンシャルは残っているし、地方創生の面でも大変重要な産業だと思う。過去からある課題に加えて、コロナ禍でさらに課題が拡大している(現在の)状況に鑑みて、将来のために持続可能な産業として(観光産業を)どう育成していくかを考え、提言を行い、観光産業に関わる多くのステークホルダーの行動変容を促していくような活動を進めていきたい。同時に、副代表幹事という役職にも就いたため、観光という一つの産業だけではなく、社会の行動変容を促すような活動を行い、代表幹事をお手伝いしていきたい。

玉 塚: 2014年から経済同友会に参加しており、マイナンバーPT、デジタル政府・行革PT、サービス産業の生産性革新PTなどの委員長を担当してきた。現在は、代表幹事イニシアティブとして櫻田代表幹事が強い思い入れを持っている未来選択会議の世話人を務めている。(未来選択会議では、)高校生から若手のベンチャー企業経営者、20代・30代の若手官僚、あるいはNPOで活動している方など、非常に多様な方々と、我々同友会の60代・70代の方も含めた経営者とが喧々諤々、色々と議論をしている。この(議論の)モデレーターという役割は非常に大変だが、何とか務めさせていただいている。その中で出てくる意見、特に若い方々から(出てくるのは)、やはり日本はもっとチャレンジする世の中にならなければならず、チャレンジを応援する文化でなければだめだ(という議論だ)。少しでもミスが起こってはならないと完璧な規制やルールを作ろうと官僚ががんばる。あるいは企業社会においても(同様であるが)、どれだけ本当にチャレンジを応援するか。チャレンジには失敗がつきものであり、失敗を許容する(ことが必要だ)。ただ失敗すればいいということではなく、失敗から(学び)、やったことを修正して、さらに取り組みの内容を繰り返し修正していく、その繰り返しからしかイノベーションは生まれない。そういったことが重要だという大変貴重な話をいただいている。副代表幹事として代表幹事をサポートしながら、これまでかなりの時間をかけて議論してきた様々な仮説を踏まえ、「やはり日本はこうあるべきだ」という考えに基づき、若者のチャレンジを促進するために、どういう取り組みを進めるべきかということを明確に示し、できれば少しでも実行に移していく。そうしたことを少しでもお手伝いできればと思っている。

山 口: 2018年5月に経済同友会に入会し、2021年4月から企業経営委員会委員長を務めている。先ほどの(通常)総会で代表幹事が(代表幹事所見で)示された通り、今、企業の成長、日本の競争力向上、さらには、コロナのようなパンデミックへの柔軟な対応に加えて、ますます分断化が加速する社会(といった様々な課題)に直面する中で、成長や競争力強化を実現していくためには、よく言われる通り、デジタルトランスフォーメーションやイノベーションの加速が重要だと十分認識している。そのために本当に必要なことは何か、委員会で議論し、色々な有識者の意見を伺っていると、やはり最終的には、人材育成、人材の流動化、ダイバーシティ&インクルージョンの推進にたどり着く(と思っている)。一方で、今の現場を見ると、若い方々は、企業の枠組みや仕組みがどうであれ、自ら移動する人材となって流動化しながら、自分たちの新しい価値観の中で仕事をされている。(こうした動きは)まだ大きく広がっているわけではないが、企業や経営者がどうであれ、若い世代から年配の世代に、特定の企業から色々な企業へと広がっていくのは時間の問題ではないかと思っている。その中で、本当に重要なことは何かと考えると、変化の激しい環境の中で人が移動するにあたり、一人ひとりが活躍できる仕組みとサポートする組織(を整えていくこと)がではないかと考えている。具体的には、やはりリスキリングであり、リスキリングを支援する様々な仕組みの構築である。これは、一企業だけではなかなか成し遂げられるものではないため、企業の枠を超え、産官学の連携をさらに強めて実施していくこと(が必要である)。そうすれば、本当に一人ひとりが輝ける仕事に従事できるのではないか。若輩者ではあるが、IT企業で長く勤務してきた経験、外資(系企業)の中で勤務して経験を生かし、少しでもこういった変革や成長に役立てればと考えている。

質疑応答

Q: (代表幹事の任期が)ラスト1年ということだが、代表幹事所見において生活者共創社会の追求を掲げられた。この他にも、イノベーションの不足(の解決)や税・社会保障の一体改革について、代表幹事は、常々、その必要性を指摘している。総会の来賓挨拶の中で岸田文雄首相も指摘していたが、新しい資本主義を具体化させていく中で、ラスト1年、経済同友会としてどういったことにこだわって、代表幹事自身が発信力を高めていくか、お考えを伺いたい。

櫻 田 :キーワードとしては、やはり、変われない日本からの卒業ということである。これまで30年もの間、変わらなければならないと言ってきたが、変わってこなかった。なぜかと考えると、変わりたくない理由があったと思う。変わりたくない理由とは何かと更に考えると、やはり既得権があり、守旧派という言葉もあるが、今のままの方が得をする、痛みを伴ってでも改革する必要性よりも今のままの方がいいということで、それはそれで合理的な判断だったと思う。だがその結果、(日本は)変われなかったということである。しかし、新型コロナウイルス対策として100兆円近い国費が投入され財政状況が悪化し、自然災害も予測される中で、ウクライナ危機が勃発した。そうなると、未来を展望して、今何をしなければならないかということははっきりしている。とにかく既得権を手放し、将来のためにどのような覚悟をしていくのかという選択肢を示すことに、最後の1年間(の任期)をかけたいと思っている。

Q: 通常総会で櫻田代表幹事から話があったが、社会変革を起こしていくときに、女性だけではなく若い世代や新興企業といった多様な人たちの意見を取り込まなければ、政策提言が力を持たず実行に移されづらく、また、世の中の人が納得しづらいと思う。未来選択会議もそういう意図だと思う。残り1年の任期における課題として、提言を浸透させるために組織としてどのようなことが必要か。「財界」と言えばお年寄りの男性が集まっていろいろ決めているというイメージで、昨今、(世の中では)スルーされがちなところもある。そのあたりの問題意識と、今後どうしていくかについてお考えを伺いたい。

櫻 田 : (未来選択会議の世話人を務めている)玉塚副代表幹事からもお話をいただいた方がより良いと思うが、まずは私からお話ししたい。(ご指摘の点は)おっしゃるとおりだと思う。未来選択会議は、既に通算7回開催し、若者に来ていただいている。その中で(若者に)言われたこととして、本会が若者を呼ぶことは評価するが、お飾りで呼んでいるのではないかという気持ちも正直あるという指摘があった。それはなぜかと言えば、未来選択会議で出した意見が、ブラックホールに消えてしまうかのように(感じたからではないか)。自分たちが発言したことは一体どのような形で世の中に発信されていくのか、そのために本会はどのような役割を果たしてくれているのかという点に対する疑問だと思う。その答えの一つとして、間違いなく未来に対する利害関係を持つ若者たちの声は聞かなければならない。そして、聞くだけではなく、それを本会として咀嚼し、必ずしも本会(の意見)と同じでなくてもいいので、場合によっては、本会が主催している未来選択会議で出された論点ということで、そのままの形で発信していく。その論点は、必ずしも一つにまとまっている必要はない。二つ目として、そのためには、広報戦略が非常に重要である。メディアを通じて、本会の声だけではなく、若者の声も発信され、それが、政治や政府、官公庁、メディア、アカデミアといった政策を担う方々に届かなければならない。そのためには、タイムリーかつ効果的な広報活動が必要で、今年度より、(事務局組織に)広報室を設置した。同じことを伝えるにも、どうすれば最も効果的に伝わるだろうか、そして、願わくば、国民の皆さんが、この件について、本会はどのようなことを言っているのか、どう考えているのかというふうに(注目いただけるように)なって欲しいと考えており、その第一歩を始めたい。

玉 塚 : 特に(若手)ベンチャー経営者と議論をしていると、本当に優秀だと思う。非常に高い問題意識を持っている。年代が高ければ駄目ということではないと思うが、結論から言うと、大企業の経営層が変わる必要がある。今の時代、デジタルネイティブであるということと、過去に対するしがらみがないブランクペーパー、ニュートラルであること、この二点が特に重要である。こういう要素が時代を変えていくときに非常に重要で、彼らはそれを持っており、議論する中でさまざまなアイデアがたくさん出てくる。我々は経済団体なので、まずは隗より始めよということで、それぞれの会員企業において、我々(経営者)がもっと若者に歩み寄り、もっともっと若者が活躍する場を作り、その中からさまざまな動きが始まっていくというようなことをやっていく必要がある。あともう一つ(申し上げると)、特に若手のベンチャー経営者を未来選択会議に呼んで(議論をすると)、これはどのように実行に移すのか、いつからやるのかと、実行やスピード、成果物を必ず求めてくる。会議(に出席する)だけのお付き合いすることに対して非常に問題意識を持っているので、そこ(そういった若者世代の価値観)と、今までの本会のスピード感や、実行に移すことをどのように繋いでいくか、今後のチャレンジである。

Q:  自由民主党の茂木敏充幹事長が、防衛費について、(これまで目安となっていた)対GDP1%以内から、来年度予算で6兆円台半ば程度を計上し、対GDP2%以上を念頭に、防衛力を強化したいと発言した。自由民主党安全保障調査会の提言もまとまり、本日、岸田首相が受け取られた。代表幹事所見の冒頭に、分断の時代について指摘があったが、まさに今、ロシアのウクライナ侵攻、北朝鮮のミサイル試射があり、中国の防衛費も膨らんでいる。この状況をどのように受け止めているか。また、小林喜光・前代表幹事の時代から、独立財政機関を設置し財政をチェックしていこうと(提言しているが)、新型コロナウイルス対策費で100兆円近い国費が出動している中で、防衛費だけ特別扱いしてよいのか、お考えを伺いたい。

櫻 田 :非常に重要なポイントである。これこそが、新しい日本の姿、新しい資本主義の議論の一つになると思う。ウクライナ危機において、台湾の人達の反応と、日本国民の反応を比べると、明らかに危機感の違いが出てきている。(日本国内では)危機感が乏しいという指摘も出てきているし、それに対しておかしいではないかという声も出ていない。ということは、何らかの形で、そうかもしれないと思い始めているということは、間違いないと思う。ウクライナ危機のような恐ろしいことが起きないと危機感が生まれなかったということについては残念だが、そうは言っても手遅れにならないうちに、自分の国は最低限自分で守らないといけない。何かあっても、日米安全保障条約(のもと)、直ちに米国の傘の下に入ることはないということを、現実の問題として(国民が)認識し始めたという点について、大いに議論すべきだと思う。(防衛費を対GDP比)1%から2%にするとなれば、軍事支出として、おそらくOECDの中でもかなり上位になって、世界でも3位、4位というレベルになるはずである。ただ、金額(対GDP比)が2%だからいいのかという話ではなく、少なくとも、自分たちで自国民を守るためには、最低限どのような体制が必要で、そのためには(いくら必要)という議論が片方であって、その結果として、2%という数字が出てきたのであれば理解できるが、最近の補正予算の編成にしても、予備費の計上にしても、先に数字が出てきて、どうしてその数字が必要だったのかについてはほとんど説明がない。 独り歩きという言葉を政治家はよく使うが、まさに独り歩きしている状態が多すぎるのではないか。経済人も含め国民は、なぜそうなのかということについて強く説明責任を求めていくことが必要だ。ただ、方向感として、自分の国は自分で守るということ、そのために必要なコストがかかるということはあると思う。その次の問題として、独立財政機関の話があったが、どこから歳出するのか(という問題がある)。また国債なのか、(財源を)どこから持ってくるのか、議論の中で出ていない。今回もそうだが、不思議なぐらい財源について議論がないまま、大きな数字がどんどん飛び交っており、正直、不安を隠せない。

Q: 伊達副代表幹事に伺いたい。経済同友会では女性の副代表幹事が過去最多の4人になった。女性ならではの観点で経済界をどのように変えていきたいと考えているのか。また、山口副代表幹事に伺いたい。先ほど、外資系の経営の経験を生かしてとお話をされたが、日本企業と米国企業では経済力に格差が出ている。日本企業はどの点が一番遅れていると考えるか。

伊 達 :私が入会した10年前は女性の副代表幹事が1人であったことを振り返ると、この10年間で(女性の活躍の機会が)かなり拡大したと捉えている。選んでいただいたことには本当にありがたく感謝している。一方、こうした問いかけをいただくこと自体の意味は別として、女性らしさという観点について私自身が感じていることは、比較的長期的な視点でモノを考えることができることだと思っている。先々がどのような展開になるかを考えながら、現時点での判断をすることが特徴であると思う。一方で、女性は実務的・現実的でもあるので、概念的な方針のみならず行動変容に繋がる具体的な方法論や確実な動きに繋がる提言をしていきたいと思っている。

山 口 :日本企業と米国企業とでは、大きくアプローチの仕方が違うと感じている。米国企業の場合はまず市場を見て企業戦略を練り、それに見合った組織や人材・人員を作り上げていく。一方、日本企業ももちろんマーケットや市場を見て企業戦略を決めているが、人材の流動性を前提にせず、既存の人材で事業を運営している傾向がある。(雇用市場において)人材の流動性が加速しているかどうかが、大きな違いであると感じている。また、イノベーションへの投資についても、金額の多寡以前に、米国企業はまずやってみようという傾向にあるのに対し、日本企業は実績がどうであるかを重んじる傾向にある。この差は大きいとみている。

Q: 最も生活者に近い立場の企業である玉塚副代表幹事に伺いたい。ウクライナ情勢に伴い、原油高など物価が上昇し、生活へ大きな影響を及ぼしている。この物価の上昇がいつまで続くのか、経済に及ぼす影響も含めて、見通しを伺いたい。

玉 塚 : この状態は短期的ではないと思っている。経営をする立場としては極めて客観的に、最悪のシナリオを前提にいろいろなシミュレーションをしているが、小麦などの原材料や菓子の包材など、かなりインパクトがあることは事実である。その上で、対ドル120円、130円と為替レートも上昇してきている。これからもコスト削減できるものは企業努力を続けるものの、商品力を維持することを前提に、(消費者には)一部の価格の改定についてお願いせざるを得ない状況である。一方、個社の経営という立場を離れると、異なる見方もある。私が以前経営していたコンビニエンスストアは、総菜やおにぎりを40年間も同じ価格で売ってきた。現在、経営している企業の菓子なども同様だ。しかし、今、日本全体でモメンタムが変わってきている。原材料などを起点にして、一部の商品の価格が上昇しているが、これが賃金の上昇にもつながることで、長年続いていたデフレを脱却し経済全体が循環していくことを(実現)しなければならない。これは避けられない流れであるとも感じている。ただ、個社としては努力をしていくしかないと思っている。

Q: 櫻田代表幹事に伺いたい。通常総会に出席された岸田首相は、昨日発表された緊急経済対策を速やかに実行したいと発言されたが、一方で櫻田代表幹事は、財政面も配慮し財政再建の視点から具体策を策定していくことが重要であると常々、発言されている。改めて今回の経済対策についての評価を伺いたい。

櫻 田 :経済対策で狙っていることと執行する方法、支援を届ける先というところまで、まだ十分に分析しきれていないが、一言で言うと大変大きな金額がかかる対策であると思う。国費に加えて、全ての事業も入れると、経済対策に10兆円以上が組み込まれており、さらには補正予算も念頭に置かれている。一方で、その財源については言及されていない。そうは言っても、エネルギー価格をはじめ物価が上昇し困窮者も増えているため、早く対策を打たなければいけないといった気持ちはわかる。ただ、マクロ経済の観点では、日本だけが緊急的に対策が必要な状況であるということは数字上に表れてはいない。必要ないかと言えば、やった方がよいと思う。(大事なことは)エネルギー対策や中小企業対策にいくらの費用を投じると、どれくらいの効果が期待できるのか(という点だ)。私の感覚では、支援にはなるものの、経済対策として最も重要な需要や消費の喚起には繋がらないのではないかと思っており、ワイズペンディングとはいえない可能性がある。支出と効果という点では、もう少し説明をしていただきたい。穿った見方をすれば、夏に行われる参院選を意識して、早く経済対策を示さなければならないという姿勢が見えてくる。過去に、予備費などの財政支出がどのように使われているかがわからないと指摘されたことがあったが、同じことが繰り返される可能性があり、ワイズスペンディングからは遠ざかっていくのではないかと危惧している。そのようにはならないことを願っている。一方で、本当に経済が喚起される使い方は何なのかを私自身、自問自答しているものの、答えは出ていない。

Q: 代表幹事所見では、生活者共創社会の実現に向けて政府による議論や改革の実行を待つことなく、自らの手で新しいその成長と分配の循環を具現化するために行動をする旨を述べられた。自ら考え、動くことを強調されている。これまで経済同友会の代表幹事として行動という観点で手応えを感じている部分と、残りの任期1年においてやり残していることがあれば伺いたい。

櫻 田 :この3年間を振り返り、これまでも経済同友会らしさという点では、10年先を見据えた対応なども含めて、しっかりと危機感を伝えることを行ってきた。また、もう一つの経済同友会らしさとして、結果にこだわる現役主義でありたいと思っている。経済同友会として経営者が自ら参画し提言したことは、自分自身の企業で実現できるはずであり、チャレンジしていかなければならないと思っている。また、この30年間、成長に関してもさまざまな議論を繰り返してきたが、結果としてイノベーションが足りていなかったということがわかった。イノベーションを起こすのは、政府ではなく、民間企業である。現役の経営者が自分の会社でイノベーションを起こすためにはどのようにすればよいのか、スタートアップ企業を活性化するためにはどのようにすればよいのか。すでに答えは出ている。(その一つは)意思決定を早くすることである。中間管理職層での(リスク回避的な)意思決定に任せるのではなく、経営者層ができる限り早く(リスクを取る)意思決定をできる仕組みを作ることである。また、企業内においても既得権の問題がある。例えば、現状を維持したい本社部門の人事部や経理部に対して、新しい事業を起こしたい部署は資本や人材の手配などを望んでいる。この両者は常に衝突しているが、これはお互いに既得権があるからである。例えば、若い役員や管理職を登用し、将来のステークホルダーの意思を経営に反映していくことなどで、企業経営者としてはこのような部分を主体的に変えていくこともできる。一方で、労働法制やジョブ型雇用などの仕組みにおいても、課題が残っている。成長戦略に関しても、欧米対比で劣っている部分について、追いつけ追い越せとしているが、これで本当に新しい日本の成長と言えるのであろうか。これも政府の課題ではなく、民間企業がしっかりと考えなければならない課題である。自分ができるとは言い切れないが、努力はしたい。

以 上

 (文責: 経済同友会 事務局)


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。