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櫻田謙悟経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2021年9月28日
出席者 公益社団法人 経済同友会
代表幹事 櫻田 謙悟

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記者の質問に答える形で、緊急事態宣言の解除と経済活動正常化、飲食店での酒類提供や営業時間、Go Toキャンペーンなどについて発言があった。また、自由民主党総裁選挙に関する見解を述べた。

Q : 本日、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の会議で、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が9月30日の期限をもって全て解除の判断となる見込みだ。これに対する受け止めを伺いたい。

櫻 田: 率直な気持ちとしては、待ちに待った解除だ。浮かれすぎないようにしないといけないが、(ワクチンの)ブースターショットを含め、二度と緊急事態宣言が発出されないように、今から準備を進めることが重要だ。一番重要なのはワクチンである。計画的なワクチン接種に向けて、実務的な体制を作ることが重要だと思う。昨日開催した正副代表幹事会で、企業の経営トップである副代表幹事や委員長に経済についてヒアリングした。以前は業界、業態ごとに良い、悪いがあったが、全体的にかなり良くなってきていると感じた。百貨店業界はこれまで苦労されてきたが、高級品に需要が出てきた(との話だった)。いわゆる「中食」で高級品が売れるようになり、高齢者だけでなく、若い人たちも少しお金を使い贅沢をしようか(という動きが見られる)。例えば、有名ブランドのおせち料理で1セット40万円もする商品に予約が入り始めたということであった。インフレとは言わないが、ウッドショックと言われるように木材を中心として価格が上がっている。また、テレワークの影響かもしれないが、首都圏近郊の土地の値上がりが見られる。経済全体としてはスタートダッシュを待っている状態で、明るい兆しが感じられる会議だった。

Q : 経済を上向きに持っていきたいということだが、政府の緊急事態宣言全面解除の一方、首都圏では自治体により、酒類の提供に一定の制約が残る見通しだ。この点について、整合性という観点で経済界としてどのように感じるか。

櫻 田: 酒類提供について、報道によれば政府(の方針)は(飲食)店の営業は21時まで、酒類提供は20時までということだが、自治体の判断に任せられており、(政府方針よりも営業時間の制限を)厳しめにすることは可能だ。以前から申し上げてきたとおり、密な状態がどのような状況で発生しているか、どこで感染防止対策が徹底されているかについて、よく知っているのは自治体や首長であり、それらに(判断を)任せていくことは間違っていない。ただ、(酒類提供が)何時までであれば安全で、何時以降であれば危ないということについて、科学的な根拠は必ずしも明らかではない。科学的にはっきりしているのは、ワクチン接種率、特に2回の接種を完了した人は、(ワクチン接種していない人と比較して)感染率や重症化率が全く異なり、10分の1程度(のリスク)ということだ。この(ワクチン接種が進んだ)状態を目指すべきだ。店の営業時間で感染率をコントロールすることを期待しても仕方がないのではないか。とにかくワクチン(が重要)だ。

Q : 店舗の営業時間(の短縮)による感染率への影響を期待しても仕方ないとのことだが、一方で、飲食店経営者は、営業時間が1時間でも延びると売り上げに影響すると考えており、(営業時間の長短は)深刻なことだと思う。営業時間を21時まで、酒類の提供を20時までという措置を見直してもよいとの考えか。

櫻 田: 経済同友会として正式な議論はしていない。個人的な見解を述べると、20時まで酒類を提供し、その後は酒類を飲まずに談笑する場合と、21時までマスクをしながら大声を上げずに飲酒する場合を比較して、どの程度感染率に差があるのか、科学的に証明できているとは思えない。そもそもデータを収集できないだろう。20時に飲酒をピタッと止めている人を特定することはできない(からだ)。現実問題として、飲食店の現場で行われていることをつぶさに観察すれば、ルールに則り営業している店舗とそうではない店舗の差異とは、時間の問題ではなく、そもそもの営業のスタンスの違いにあるのではないか。例えば、東京都の「徹底点検TOKYOサポート」プロジェクトで認証され、そのステッカーが貼られている店は、営業時間(を変更する)だけではなく、常に感染防止に努めようとするスタンスだろう。そこに、30分間や1時間の差を設けることに意味があるとは思わない。大事なことは、大声を上げない(こと)、マスクをする(ことだ)。そして何よりも、ワクチン・検査パッケージに基づき、ワクチンを2回接種した人、あるいはPCR検査で陰性の証明を持っている人については、出来る限り自由な行動を認めるべきだと思う。

Q : 「Go To トラベル」や「Go To Eat」は再開すべきか、またそのタイミングは。 会員の方の意見を含めて見解を伺いたい。

櫻 田: 経済同友会で正式に議論をしたことはないが、2回目の接種を終えた方が5割を超え、このままのペースでいけば、米国をも抜いていくことになる。米国やその他の国が2回目の接種を終え(た人が増え)ることで経済活動を再開していることを考えると、本会会員も、もう足踏みをしているべきではないという気持ちが強いだろう。「Go To トラベル」や「Go To Eat」にしても、2回目の接種が終わった方は可能な限り消費活動を自由にしていただきたい。重要なことは2回接種した人とそうではない人、何らかの事情で接種できなかった人を曖昧にすることなく、はっきり判別できるようにすることである。アレルギー体質やその他の事情によって、医師が接種を避けるべきだと言ったなら当然守らないといけない。また、信条や価値観で受けない方がいるのであれば、PCR検査の陰性証明をもって判別するなど、曖昧にすることなくはっきりと判別できるようにする。そのことで、どの人も一定の範囲内で自由に活動できるようにすべきだと思う。「Go To トラベル」や「Go To Eat」もよいが、すでに一般の消費者は活動したいという気持ちが強いので、あえて「Go To トラベル」や「Go To Eat」に財政資金を使わなくても経済は離陸に向かっていくと期待したい。

Q : 地域によっては今も「Go To トラベル」を実施している。経済の再開に向けて需要喚起という点ではよいと思う。これから首相が代わり、このまま(キャンペーン停止)の状態が続くことも考えられるが、早めに「Go To トラベル」を再開した方がよいのではないか。また、職域接種等では紙でワクチン接種証明が配布される。早く経済を活性化するために、このような用紙を活用するのがよいか、それとも行政主導のワクチンパスポートを活用するのがよいのか、考えを伺いたい。

櫻 田: 早い方がよい。残念ながらデジタル化という点では日本は先進国の中で最も遅れており、(ようやく今月)デジタル庁が立ち上げられた。理想的には、デジタルパスポートのようにスマートフォンにインストールするアプリがよいが、早く経済活動を再開できるのであれば、紙でも対応するべきだと思う。また、予備費として確保した「Go To キャンペーン」の補正予算はまだ使い切っていないと思うが、これを早く活用するべきだと思う。私自身も「Go To トラベル」を利用したことがあるが、(「Go Toキャンペーン」には)大きな効果があり、人を動かす初動の力はある。(先ほどは)新たに「Go Toキャンペーン」の予備費を確保するまでの必要はなかろうということを申し上げたかった次第である。ワクチンパスポートは、2回の接種証明だけではなくPCR(検査での)陰性もわかるようにし、パッケージ全体でスマートフォンのアプリに導入されることを期待したい。それも年内には実現できるスピード感で対応していただきたいし、技術的には可能なはずである。

代表幹事発言

櫻 田: 前回の記者会見で、自民党総裁選挙についての見方、内閣総理大臣になる方への期待について質問があった。その際はまだ(出馬締切前で)候補者が固まっていなかったが、4名に固まった。経済同友会として現在どのようなことを考えているのか(を述べたい)。戦後と言うと少し大げさかもしれないが、(新型コロナウイルス感染症という)100年に1度のショックを世界が受け、それにより日本もさまざまな課題が見えてきた。コロナ対策として、巨額の財政資金を投入し、国民(生活)や経済が回復してきた。これは必要なことであり、合理的(な判断)であった。今回の自民党総裁選挙の意味は、パンデミックの真っただ中で内閣総理大臣が(就任から)1年で交代し、極めて特異で異例な環境の中にあるということだ。自由民主党が与党を担い続ける前提に立てば、(総裁選挙の勝者は)首班指名され、内閣総理大臣として大きなミッションを担うことになる。そのミッションは、これまでの歴代の内閣総理大臣と異なる。100年に1度のショックを受けたこの日本が抱えている課題、(すなわち)デジタルや財政、レジリエンス、成長戦略等、ありとあらゆる課題を一気に、(一方で)腰を据えて時間をかけて、(課題解決を)必ずやり遂げ、こういう国を作るという意志が必要だろう。是非、それを明確にしていただきたい。(候補者)4名の発言やTwitter等SNS(の投稿)を見ると(それぞれ)特徴はある。気になるのは、新型コロナウイルス感染症対策について、これからも財政出動をするとの点は(候補者みなが)一致しているが、巨額の財政赤字をどのように回収するのかについては(一様に)口をつぐんでいる(点だ)。あるいは、まだ発言がない(ように見える)。2025年のプライマリー・バランス(黒字化目標)については、堅持する(という意見)から諦める(という意見)まで(幅が)あるが、それを改善することについての言及がない。社会保障に関しては、年金については若干議論があるようだが、(論点は)年金だけではない。年金についても、マクロ経済スライドが導入されたと言っても課題は残っている。したがって、社会保障全般についても議論が足りていないと思う。成長戦略も同様であり、さまざまな会議(体)で毎年議論され、閣議決定されているが、OECD諸国と比較すると、日本の成長の遅れ、潜在成長率の低さは明らかである。しかし、これといった策は出されていない。これまでと同じ(策)でもよいが、今度こそ実現すると言うのであれば、それはなぜ(できるの)か、自信はあるか、実現の手法についての議論を求めたい。短期間で、それらの議論を全て網羅し、比較することは難しいが、この先の衆議院総選挙は、政権選択選挙となる。野党も政権を担える責任ある政党として、足元の議論だけではなく、中長期的に(課題を)捉えて(議論して)欲しい。この国が、これまでも、そしてこれからも先進国であり、国民が幸せに暮らせる国として、持続可能性があることを具体的なプランをもって示してほしい。それにより、国民にとっても政権選択が具体的なイメージとして見えてくるだろう。それほど重要な選挙が1~2か月先に迫っているということだ。重要な選挙であることを経済同友会としても発信する。また、メディアの皆様にも発信をお願いできればと思う。経済同友会としては、タイミングや内容は決めていないが、10月の首班指名、所信表明演説、そして11月に予定される衆議院総選挙までのいずれかのタイミングで考え方を発信していきたい。べき論だけでなく、可能であれば、具体的な国の目指す形まで議論が進めば披露したいと考えている。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)


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