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櫻田謙悟経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2021年6月30日
出席者 公益社団法人 経済同友会
代表幹事 櫻田 謙悟

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冒頭に、櫻田代表幹事より、経済同友会による新型コロナウイルスワクチンの職域接種の進捗について説明の後、記者の質問に答える形で、職域接種、三菱電機検査不正問題、エネルギー基本計画、ミャンマー情勢、東京オリンピック・パラリンピック、東芝株主総会問題などについて発言があった。

櫻 田: 報道各社で既に取り上げていただいている通り、経済同友会が実施している新型コロナウイルスワクチン職域接種について、進捗状況を報告する。本会幹事である河野貴輝氏が代表取締役社長を務める株式会社ティーケーピーに協力いただき、(ワクチン接種を)進めてきた。現在、1日3,000人規模まで接種が可能になった。従業員1,000人未満の中堅・中小企業の方々向けに接種を開始し、最近、いくつかの企業からはお礼状をいただいた。どうしたら良いかわからない中、自分達が声を上げる前に手を差し伸べてくれたと感謝の意が述べられていた。手前みそではあるが、Do Tank、行動する経済団体として少しでも役に立てたのであればよかったと思う。

Q : 職域接種に関して、政府は6月25日を期限に新規受付を中止しており、今後も再開しない方針であると言われる。想定を上回るペースの申し込みで、供給が追いついていないとのことである。今後、オリンピックも開催され、地方等での接種の動きが加速する中、ストップがかかった。改めて、新規受付の中止について受け止めを伺いたい。

櫻 田: 国全体のストックとしては(ワクチンは)足りていると思うが、一般接種、大規模接種、(職域での)集団接種に配分するにあたり、どこに、いつまでに、どれくらい渡せばよいかがはっきりしないため、今の状態になっていると思う。いつも申し上げているとおり、プランニング(計画)はできているが、エグゼキューション(実務)で滞るという、古くて新しい問題がまた起きている。ただ、この問題については、原因究明より、とにかく(接種を)急ぐ必要がある。早く司令塔を一人に決めて、その人の判断で進めるべきである。みんな皆で相談して、最も合理的な方法を検討しようとすると時間が経ち、結局間に合わなくなってしまう。私たちも、従業員1,000人未満の企業を対象に努力しているが、地方(における職域接種)については止まってしまっている。受け皿はあるが、ワクチンがいつ届くか分からないためである。大型エンジンはあるが、クラッチ板が滑ってタイヤまで動力がうまく伝わっていない。意思決定者を極力少なく、できれば一人にして、その人に任せきる判断が必要だと思う。

Q : 職域接種にあたり、企業からの申請も問題にされている。余分に申請されている可能性も指摘されている。職域接種を進めるに当たり、企業側で、申請や募集の仕方について気を付けていくべきところはあるか。

櫻 田: 個別企業に当たったことはないので、自社の例で話したい。打ち手、場所、ワクチンのストック・供給、それを保管する冷凍庫等が全体として揃わなければならず、(それを踏まえると)一気に(進める)ことはなかなかできないと思う。当社は、6月21日からスタートし、9月末を目途に1万7,500名ほど(への接種)を想定している。少しずつ増やして実施していく方法をとっており、どんどん要請して、ワクチンをもらってしまえということにはならないと思う。一般的(な話)には、全体について把握していないので正確には答えられない。

Q : 「一人に任せきる」とのことだが、所管大臣は河野太郎 新型コロナウイルス感染症ワクチン担当大臣である。この「一人」とは、河野大臣を指すのか。そうであれば、河野大臣に対してしっかりしろというメッセージに聞こえる。

櫻 田: 私は政治家でも、総理大臣でもないので、誰ということは申し上げられない。可能な限り少ない人数に任せるべきだと思う(という意図だ)。事前にしっかりとプランニングをした上で、やってみたら上手くいかなかったということはあり得る。走りながら考えるという言い方は乱暴かもしれないが、(今は)スピード勝負であり、とにかく、決めて、動いて、すぐに直すという、PDCAの超高速版を回すことが必要である。そのためには、プランナーが多くてはいけない。極力少ない方がよい。政府内での役割分担がそのようになっているのであれば、その方に任せるという意思決定があっていいのではないか。誰か特定の方を応援しているという意味ではない。

Q : 三菱電機の検査不正の問題が報じられている。鉄道車両向けの空調設備の検査をきちんと行っていなかったということで、経済産業省も早期究明を指示している。メーカーの検査不正の問題はこれまでもたびたび起きているが、なかなか現場に浸透していかない。モラルの問題もあるが、どのようなチェック体制を敷き、従業員に対する教育や指導を行えば、こうした問題はなくなっていくのか。受け止めも含めて伺いたい。

櫻 田: ご指摘の点が従業員に対する教育やコーポレート・カルチャーであれば、それは従業員の問題ではなく、経営の責任になってくると思う。今回は安全に関わるものでないと説明されているが、ルールや契約上、「調べる」としているものを「調べたことにしてしまった」というのはあってはならないことだと思う。程度の問題はあるが、こういったことがより深刻な問題・事象や事件に発展していかないようにすることが大事である。コンプライアンスやガバナンスについては、経営が不断の努力をしていくしかない。自社でも、役員に対し、ある意味疑いの目をもって「報告を見る・聞く」ことをしないといけないと言っている。もちろん、自戒の念を含めてであるが、それしかない。特に株主総会の前にわかっていたのかもしれないことが、株主総会の時に一切説明がされなかったことは、株主にすると残念だったと思う。他山の石としたい。

Q : エネルギー基本計画に、原発の建て替え方針が含まれないとのことで、脱炭素に向けてかなり見通しが悪くなったが、どう受け止めているか。

櫻 田: おっしゃる通り、「なぜだろう」というのが正直なところだ。プライマリーバランス2025年度黒字化(という目標)と同じで、どう計算しても、原発なしで2050年のネットゼロはおろか、2030年までに2013年対比マイナス46%という目標が達成できるはずがない。(原発の建て替えは)今は入れないが、3年後(の計画改定時)に見直しを入れるのであればわかる。3年後には検査に合格し、安全基準を満たす原発が増えているので、もっと明確な数字、(例えば)何基入れるかや、原発の発電シェアを何パーセントにするなどが言いやすいという理由で「3年間待つ」というのはわかるが、ただ先送りしたように映るのは大いに誤解を与える。計画の現実性(リアリティ)が遠のくという誤解を与える可能性があるので、好ましいこととは思わない。なぜそうしたのかをぜひ知りたい。

Q : 明日でミャンマーのクーデターから5か月経つ。現地での事業展開について継続・見直し、いろいろとあるが、今後の現状認識や見通しについて、SOMPOホールディングスの立場でも構わないので所見を伺いたい。

櫻 田: こういった事態は決して許されることではないと思っているが、皮肉なことに、(事態が)一旦落ち着いて小康状態に入ると、経済活動は戻ってくるという状況にある。当社駐在員・現地法人からの情報によると、特に危ない地域や反政府デモに参加しない限り、日常生活が戻ってきているということで、現地法人で働く日本人4人のうち、安全を確認したうえで3人を(現地に)戻した。おそらく他の企業もそうだろうと思う。ミャンマーにあまり将来性を見ていない一部の企業は撤退することになると思うが、残念ながら落ち着いた小康状態を保っている。(今後も)このままいくのかどうかは当然のことながらあってはならないこと(だと思う)。G7で厳しく非難する文書も出ているので、日本企業もそれに沿って対応していくことになると思う。今は落ち着いているが、一触即発であることは間違いない。似たようなことが香港でも起きている。蘋果日報が実質的にシャットダウンされ、逮捕者が出ているところもあるが、ハンセン指数を含めて香港の金融市場は持ち直してきている。経済活動は、政治・社会情勢と必ずしもパラレルには動いていない。ただ、これがサステナブルかというとそれは別の話だ。サステナビリティという観点では今の状態が続くとは思っていない。

Q : 冒頭のワクチンの話に戻る。河野大臣は、当初(職域接種について)どんどん申請してくれと言っていた。ワクチンが確保されていると考えられていたがそうではなかった。日本政府のワクチンに対する調達力が弱いのではないか。

櫻 田: ワクチンに関して、調達力も開発力もなかったことに国民はがっかりしていると思う。今回も、蓋を開けるとそうではないということで、クレディビリティ(信用)が少し傷ついたのではないか。そうは言っても、1日100万回(接種)の目標はほぼ実現されつつある。本会試算では、8月中旬~末には1回目の接種を受けた人の割合が4割を超えると見ている。9月中旬には2回目の接種を受けた人の割合が4割を超えてくるだろう。(接種率が)4割を超えると経済活動が巻き返してくるので、私としては4割にこだわりたい。今回起きていることは、恥ずかしい、残念なことと言えばその通りだが、ケチをつけても致し方ない。善後策をすぐに打ち、一刻も早く、まず(接種率)4割を超えるべきだろう。4割が安全域で、経済(活動)につながるある種のメルクマールだとすると、8月中旬までは4割を超えられないが、その時期にはオリンピックは終わっている。ワクチンだけに頼ってオリンピックを敢行することは現実的ではない。ありとあらゆる手段が求められる。現在のやり方だといつごろまでに、どれだけ進みそうか(示すべきだろう)。世界的に見て、4割を超えると経済も良くなる、国民の気持ちも明るくなるということだが、いつ頃それを達成するのか、(日本では)見通しが示されていない。努力目標と見通し、そして我々がどこにいるのかが分かれば、国民の気持ちもすっきりとすると思う。ワクチンが足りていなかった、(新規)受付を止めるといった発表が繰り返されると、国民が(政府を)信用しなくなることが心配である。今回の東京都議会議員選挙についても、論点を何にするか(注視している)。今回のコロナ禍で経験したことをしっかりと総括し、(新型コロナウイルスを)コントロールできるようになった時に、何をすればサステナブルな東京を作れるのかを提案し合うような選挙戦にして欲しい。

Q : 東京オリンピック・パラリンピックについて、以前無観客が望ましいと言っていた。今はどう考えているか。

櫻 田: いまだにそう思っている。必ずしも経済同友会としての意見とは言えないが、経済的な得失の観点では、有観客で得られる経済効果が2兆円弱。逆に有観客にしたことで、万が一、もう一度緊急事態のようなことが起きると5~6兆円の損失が出てくる。国民の命を守るという点でも、極力安全サイドに立つべきだろう。もう一つ、有観客と無観客の差に関して突き詰めた議論を聞いたことがない。有観客だとこんなに素晴らしいことが起きるが、無観客だとこんなにつまらなくなるという議論がもっとあってもよい。日本はこれだけデジタル大国であり光ファイバーを含めたインフラは世界に冠たるものがある。そこにデジタル技術を駆使し、世界最高の技術で選手たちの動き・表情を茶の間に届けることができれば、有観客よりもはるかに大きな成果がでるのではないかと思う。どうして有観客にしなければならないのか、国民が「それはそうだ」と思えるような説明があったほうがよい。 (有観客にこだわる意味が)私自身はよくわからない。

Q : 先週、東芝の株主総会で会社提案が否決されるという結果になった。これをどのように考えているか。

櫻 田: 正しいかどうかはともかく、ある種の株主民主主義が働いたのだろう。選ばれなかった人が間違っていたとか、選んだ人が正しかったということではないが、いずれにしても今のガバナンスの状態を作ってしまったことに対する株主の不満があのような形で現れたので、未来志向で考えていくなら、追加の取締役の選任をしなければならないだろうと思っている。一方、この問題に関して常日頃思っていることは、経営陣・取締役会・監督官庁に問題がないかといえば、そういったことではないと思う。むしろ説明が足りてない部分がある。ひいては東京証券取引所のクレディビリティの問題にもつながっていく。(私は)前回の会見で、(この問題に関して、株主総会の議決権行使に疑義が呈せられたことで)東京証券取引所が国際市場になるのは夢のその先と極端なことを言ったが、(改正)外為法の背景には、日本にとって大変重要な安全保障に関わる技術について、国としても然るべき手をうっていかなければならないという課題がある。そして、その(安全保障に関わる)技術がどこにあるのかといえば、本質的にはエンジニアの頭の中に入っている。東芝は世界に冠たる素晴らしい企業であり、世界有数のエンジニアがいる。その方々が本件をどのように思っているか、国民・経済界ももう少し関心を寄せなければいけない。この人たちが(東芝を)見限って(出て)いかないようにしなければいけない。さらに国外に頭脳が流出し、結果的に安全保障に関わる技術が抜けてしまわないようにしなければならない。ここに関しては法律の議論(だけ)ではできない。やはり、ガバナンスとコーポレート・カルチャー、日本全体に関わる企業文化を見直しながら、技術を持っている人たちを大事にし、やりたい研究ができる環境を作らないといけない。これは、法律を作って一罰百戒のようなやり方でコントロールできるものではないし、本質的には違うことである。技術は人の頭の中にある。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)


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