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櫻田謙悟経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2021年6月3日
出席者 公益社団法人 経済同友会
代表幹事 櫻田 謙悟

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記者の質問に答える形で、①ワクチン接種、②国際課税、③政治とカネの問題、④経済界の発信力、⑤成長戦略と経済安全保障、⑥改正育児・介護休業法、⑦東京オリンピック・パラリンピックなどについて発言があった。

Q: 6月21日から職場でのワクチン接種を進めると政府が発表し、企業も準備を急いでいるようだが、どう受け止めているか。また、何が課題となるか。

櫻 田 :原則論として、今となっては、とにかくワクチン接種を進めることが最大のテーマだと思う。それに向けて、ありとあらゆることを検討すべきである。その一つとして、職域接種には当然賛成である。事実、経済同友会会員にアンケートを取ったところ、自社施設での従業員へのワクチン接種に協力できると回答した会員が約4割であった。しかし、いくつかの課題がある。まず、医療体制について、打ち手は自社の医療関係従事者だけでやるのか。自社の社員・従業員だけであれば致し方ないが、対象を拡げる場合に、どのような支援を医療団体や関係者から得られるのか。また、コスト負担はどうなるか。仮にワクチンがモデルナ製であれば、必要な冷蔵庫の性能が他のワクチンとは異なる。対応できる冷蔵庫が間違いなく届くのか、それはいつになるのか等、コスト負担から始まり体制整備まで、いろいろな質問が出ている。これに対して、まだ明確な答えは出ていないので、是非早く(出して欲しい)。おそらく、政府もそれに向けて必死にやっているところだろうが、とにかくスピード勝負である。一刻を争うため、政府に対して強く要望していきたい。

Q : 国際課税について、巨大企業への課税、法人税への最低税率についての議論が大詰めを迎えており、G7でも大きなテーマになる予定だ。コロナ対策で拡張的な財政政策が世界各国でとられている中、新たな課税ルールがまとまった場合の意義、最低税率の導入がされた場合に日本企業の活動に影響があるのか、所見を伺いたい。

櫻 田: 全体感としては、もともとのBEPSの流れからきているものと理解している。妥当な税金を支払うのはそれぞれの企業の責任である。今回の動きそのものは昔からあった流れである。その一方で、中央銀行や政府当局は、「底を探しに行く」と言われるような税率の引き下げ競争に懸念を表明していた。コロナ対策の中、BEPSの考え方や引き下げ競争でよいのか、反省も含めて見直しを図り、今回の動きになったと思う。
日本企業の一員としては、今回の動きは悪くないと思っている。発言力をもつ米国が主張する(法人税の国際的な最低税率)15%という線はあるのだろうが、具体的にどこで線が引かれるのか。20%なのか15%なのか、その数字がよいかどうかではなく、法人税をできる限り少なく払うことが戦略だという動きが是正されていけばよいのではないかと思う。日本企業全体への影響は今この時点では何とも申し上げられない。

Q : 遅きに失した感があるが、菅原一秀 衆議院議員が議員辞職した。政治とカネの問題はたびたび出てくるが、河合議員夫妻についても自民党は責任を明らかにしていない。代表幹事はどのように見ているか。

櫻 田: おそらく平時であれば世論が呆れや怒りに向かった可能性はあるが、新型コロナウイルス感染症の影響でそちらに意識を向ける余裕がなかった。結果として鈍感になっている。日本に限らず、政治とカネの問題は常に付きまとうが、民主主義・自由経済を標榜する日本としては、何としてもこうしたことの再発は避けなくてはならない。(こうした問題が)避けられない背景には、政権交代は遠いという感覚があり、それがある種の緊張感を失わせている原因になっていると思う。残念なことだ。個人的には、まだそんなことをやっているのかという感覚が拭い去れない。

Q: 十倉雅和経団連会長が就任され、日本の経済界に注目が集まっている。これまで代表幹事は「発信力が課題」と発言されていたが、どういう危機感や背景があってこの発言を繰り返されているのか、また、それを高める手段としてどういうことを考えているのか。記者には見えない場面で、経済同友会の幹部に呼びかけている場があるのか。

櫻 田: 他の経済団体に関してコメントする立場ではない。経済同友会が抱えている課題について、また、さまざまな課題を克服して、経済同友会が目指す方向にもっていくために何が必要であるかを申し上げたい。
今、日本や世界に投げかけられている課題はあまりにも複雑で、それにかかわるステークホルダーが非常に多い。いわゆる経済団体や経済界だけで解決できるテーマはますます少なくなってきている。新型コロナウイルス感染症に関わる問題だけでなく、コロナ禍で明らかになってきた地政学的な課題、原発・エネルギー、日本が抱える脆弱性や先送りしてきた問題など、いずれにしても経済界だけで回答できるものは何もない。むしろ、経済界や各企業がサステナブルであるために、社会の一員としてどういう価値を社会に提供しているのかを明確にせよというのが、世界中・日本中の声でもある。経済活動と、社会の一員としての社会価値創造活動は同じであろうと思っている。その意味で、経済団体として何かをするというよりは、社会を構成する一員として、他の団体ともコラボレーションしながら課題に対応していくことが必要である。その一つの形として提示したのが、昨年9月に始まった未来選択会議である。特に若者の政治参画についてはすでに3回議論を行ったので、そろそろ論点や対立軸を示していきたいと思っている。そうした時に、社会の一員である経済団体として、「どんなことを考えているのか」、「何をやろうとしているのか」について、世間や社会に関心を持ってもらわないといけない。世間や社会に対して発信する中身が影響力を持つためには、どのような活動をしているのかというコンテンツと、発信するための力や手段が重要になってくる。経済団体が取り組むテーマは広くなってきた。解決するための手法も変わってきた。経済同友会が何をやろうとしているかについて、より社会に理解を求め、政治に対しても影響力を行使していくためにも、発信力が必要である。今後は、ますますそのような様相が強くなっていくと思う。

Q: それに関して、総会等で新しいメンバーと話し合われたことなどはあるか。

櫻 田 :(話し合いは)ある。総会の時に申し上げた所見は、正副代表幹事会・幹事会で話し合い、意見交換している。しっかりとした提言をしていく従来のThink Tank(機能)に加えて、その実現にこだわるDo Tankであろうということは、(会員の間に)かなり定着してきたと思う。それに加え、経済同友会ならではの点として、現役の経営者が次代の経営者を育てるTraining Tank、この三つの機能を強化したいと幹事会でも話し合った。

Q: 昨日、政府成長戦略会議で成長戦略実行計画案がまとまった。経済安全保障を強化するために、半導体の生産拠点を国内に誘致することが一つのポイントと思うが、計画案に対する受け止めを聞きたい。また、経済安全保障のあり方について改めて考えを聞きたい。

櫻 田 : 私も(成長戦略会議の)議員の一人であり、ルールとして、私がそこで話したことはよいが、他の議員の発言については言えない。その前提を了解して欲しい。
成長戦略実行計画案に書かれたこと、全体については賛成している。書かれているすべてのことを、いつまでに、どうやるかはこれから(決まること)である。それなりのマイルストーンは書いてあるが、優先順位はこれからつけていかなければいけないと理解している。何をどの順番で実行し、それぞれのメニューがどう進捗しているのかを誰がどのようにモニターしていくのか、進捗がはかばかしいもの、はかばかしくないものを見極め、どう打ち手を変えていくかもこれからの議論である。(成長戦略実行計画案には)50を超える新しいテーマが追加されており、民間人としては、(すべて)同時にできるとは考えにくい。
その中で特徴的だったのは、内容に経済安全保障が入ったことで、これは大いに結構だと思っている。これまでも何度も申し上げたが、今や純粋な経済(活動)はありえない。米中の問題に端を発したのかもしれないが、ジオ・エコノミクス、ジオ・ポリティクスなど(の観点や)、世界から独立した純粋な利益追求型の経済はない。経済安全保障をしっかりと視野に入れて、そのフレームワークをベースに、各企業、日本が成長しなければいけない。成長戦略会議に与えられたミッション、目的は何なのかも併せて考えていかないと(いけない)。経済安全保障を成長戦略会議で議論するのか、規制改革はなぜやらないのかという疑問を私自身は持っている。しかし、これらはこれからの議論であり、今回出されたものとしては、経済安全保障が入ったことは正しいと思う。あわせて半導体(の問題)については、前から言われ、気づいていたことが、ここに来て一気に(顕在化した)。これは新型コロナウイルス感染症の影響であり、その裏にあるのは経済安全保障である。すなわち、米中の技術覇権争いから見えてきた(課題だ)。そこで慌てて日本には半導体を作る工場がない、あるいは工場はあっても、最先端の半導体を作る工場がない、技術がないと言われる。また、データセンターはどうなっているかという指摘もある。個人的に、自戒の念も込めて言えば、「今さらか」という印象だが、今さらであっても気づいたのであれば早くやることが重要である。
もう一度申し上げると、あれだけのメニューをいつまでにどういう順番でやっていくのか。成長戦略のなかで最も重要なことの一つは技術だが、技術の(分野で)どこに注力し、どこをあきらめるのか、それを誰がいつ判断するのか(決めなければならない)。二つ目は資金である。EUや米国も、財政を含めて桁違いの資金を投入しようとしている。日本の2兆円ではスケールとしては小さく、当然、民間資金や海外からの資金を呼び込む必要があり、そのための戦略や施策はどうなっているのかはこれからしっかりやらないといけない。(それを議論するのが)成長戦略会議という会議体かは別として、官民が一緒になり、今度こそ(日本を)成長させるためには課題は山積している。実行にこだわりたい。

Q: 本日、国会で男性の育休取得を促進するための改正案が成立した。政府は2025年までに男性の育休の取得率を30%にするという目標を掲げている。現状では7%程度だが、法律によって男性の育休を後押ししていくことになると思う。この法律が成立したことに対する受け止めと、企業にも制度整備が求められるようになると思うが、課題としてとらえているものがあれば伺いたい。

櫻 田 : 働き方改革の一つというには大げさだが、この法律が成立したことは小さくとも重要な一歩だと受け止めている。大切なことは(取得)率を上げること(だけ)ではなく、中身の充実である。(育休を)2日間とる方が1,000人いるよりも、1ヶ月間とる方が100人いる方がずっと価値があると思う。また、それを後押しする企業がたくさん出てくることが重要だ。一方で、要員の制約や代替手段がない中小企業もあるので、実情に配慮することが必要と思う。(育休に)対応できる企業が、実際に働いている社員だけではなく、ステークホルダーから評価されるためにも、積極的に取得率・中身・課題についてディスクローズしていくことが必要だろう。置いてきぼりにされた企業が不当なマイナス評価を受けないよう配慮は必要だが、積極的に対応している企業は数字を開示していくべきと思う。日本人は数字のひとり歩きを嫌うが、やはり数字を示さないとだめだ。定性的な情報だけではなく、積極的に数字を出すべきだ。

Q: オリンピックについて伺いたい。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、オリンピックの(開催)日程が迫っている。政府分科会の尾身茂会長が、国会で、「いまの状況でやるというのは普通はないわけで、このパンデミックでやるということであれば、開催の規模をできるだけ小さくして、管理の体制を出来るだけ強化することがオリンピックを主催する人の義務だ」との発言をした。一方で、菅首相はオリンピックを開催する意味として、「まさに平和の祭典で、一流のアスリートが東京に集まって、スポーツの力で世界に向けて発信していく。障がい者も健常者もそうしたものをそうした努力を世界に向けて発信していく」とし、安全対策をした上で(開催する)と述べた。少し抽象的で(ある)。こういう状況の中で、オリンピックを開催するために、国民が感染拡大をしないように決意し、そのリスクと国益の観点からのより具体的な説明が欲しいと思うがどう考えるか。

櫻 田 :そのとおりである。首相が仰っていたが、この時期にオリンピックを開催することの意義(自体)について反対する人はいないだろう。世の中が新型コロナウイルス感染症の影響で疲弊し、ささくれ立ち、分断という言葉が流行っている。オリンピックを開催することで、日本においてユニティ(団結)が示されることには、大変価値があると思うし、それ自体は否定しない。ただ、その反対側で、国民が大変不安に思っていることも事実である。それにしっかり向き合い、具体的なものを示していく必要があるだろう。それは、数字を含むものであった方が良い。また、国民から見て、基準や目標、特に、安心・安全に関する目標に(社会の状態が)近づいていると分かるものが必要だろう。実現可能性が高まっていることがわかれば、やる価値があるということになる。国益というのは、いわゆるハピネスや満足感という抽象的なものもあるが、経済的には、オリンピックを開催することによるプラス面と開催しないことによるマイナス面、あるいはパンデミックがさらに拡がることで経済に及ぼす影響を考える(必要がある)。オリンピックを止めることの経済損失は2兆円弱と試算されている。また、これまで行った緊急事態宣言による経済損失は5兆円~6兆円と試算されている。これを見れば、オリンピックをやらないマイナスよりも、緊急事態が引き続き伸びることの方が、経済的な意味で国益にとってのマイナスは大きいと言える。それを考えればどうすべきなのかという判断が生じる。もう一つは、祭典を催すことの意義、ユニティを実現したいのであれば、国民の心配に対して、具体的にこのように(対策)するのだということを示す必要がある。菅首相が仰ったとおり、今や(対策は)ワクチンしかない。緊急事態宣言を発令したり、まん延防止等重点措置で地域を狙い撃ちにした対策をしたりしても、いわばこの程度の効果である。今、皆が待っているのはワクチンである。あれだけ(感染拡大で)困っていた米国やイギリスが(ワクチン接種により)あっという間に先に行き、今やインフレーション、好景気を心配している。これはワクチンの効果である。米国や英国の1日当たりのワクチン接種回数は、日本よりも圧倒的に多い。日本は、遅ればせながらファイザー製、モデルナ製のワクチンを手配し、菅首相は1日100万回を打つ体制にしたいと言っている。(しかし)現在は60万回を切っている状況だ。接種回数を大きな目標にし、早く100万回を達成すべきだ。そうすれば必ず1回目の接種をした人から感染は減っていくので、政府が出している五つの指標も改善していくだろう。改善傾向が継続的に確認できれば(開催すべきだが)、それでも無観客でのオリンピック・パラリンピックの開催が限界だと思う。ただし、日本はこれだけの技術を持っている国なので、最高レベルのデジタル技術を用いて、今までになかったような、素晴らしいオリンピック・パラリンピックを開催する(ことが考えられる)。例えば、予選まで含めて、家庭で観戦が可能にする(などが考えられる)。無観客ではあるけれど、デジタル技術を活用して、日本ならでは、史上初めてのオリンピックを開催することを早く宣言すべきではないか。もちろん、それほど簡単ではないかもしれない。いずれにしろ(目標)数値を示すこと、具体的な形を早く提示することがよいのではないか。もう時間的な余裕はない。

Q:オリンピック・パラリンピックを開催しないことによるマイナス2兆円よりも、緊急事態宣言が続くことによるマイナス5兆円のほうが金額の方が大きいと数値を述べられたが、どのような意図か。

櫻 田 :既に起きてしまったことは仕方がない。6月20日までの緊急事態宣言(の影響)については織り込み済みでしかない。今(緊急事態宣言を)止めても、オリンピック・パラリンピックを開催してもしなくても5兆円のマイナスは発生する。私が心配しているのは、緊急事態宣言がだらだらと延びて6月20日を超え、結局オリンピックも開催できなかったとなると最悪である。既に発生している損失については諦めて成長にもっていくしかない。少しでも損失を少なくするという観点では、緊急事態宣言を止める状態までもっていき、オリンピックは先ほど述べた形(無観客)で開催し、少しでも国民がアクティブに消費に向かって動けるようにすることが大事だと思う。

Q:オリンピック・パラリンピックを開催することで感染が拡大すると、また緊急事態宣言が出され、損失が出るという意味合いで受け止めたが、異なるということか。

櫻 田 :そうした事態が想定される、つまり指標が良くならない、(ワクチン接種1日)100万回も実施できないのであれば、残念ながらあきらめるしかないというのが合理的な判断だろう。国民の、世界の祭典ということでは説明がつかないだろう。

Q:改正育児・介護休業法の成立を受け、企業が対象社員に取得を働きかける必要が出てくる。企業にとっても子育てをしながら働ける環境を整える意味で意義があるが、取得が難しい職場もある。企業にとってのメリット・デメリットを伺いたい。

櫻 田 :企業にとってのデメリットは、私自身はあまり感じていない。当該男性社員が一騎当千で1,000人分の働きをしているというなら別だが、そのようなスーパーマンはいない。しかも赤ちゃんは突然生まれてくるわけではないので、職場においても(人員)計画を立てることでマイナスを最小化することができる。一方、働き方改革に対する企業のイメージはプラスに働く。女性が出産した時の精神的・身体的ダメージは、女性ホルモンが激減する産後1ヵ月間(が大きい)と言われる。これはメンタルヘルスにも影響し、場合によっては一生涯続く可能性もある。それほど大事な時期だとすれば、まさに男性社員に幸せな家族(のもと)で働いていただくのは企業にとって大いにプラスだ。マイナスはあまり考えられない。(産休取得率を)対外的に発表すると数字がひとり歩きするので良くないという意見は、(私には)よくわからない。むしろどんどん発表をしていったほうが良い。ただし、リモートワークをしようにもできないことについて、国としてどういう配慮をするのかは別の問題として取り組むべきだ。できないところがあるからやらないというのではなく、できるところからやるべきだ。これに対しては、どのような支援ができるのかは別の議論とすべきだと思う。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)


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