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櫻田謙悟経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2021年1月13日(水) 13:30~
出席者 櫻田 謙悟 代表幹事
橋本 圭一郎 専務理事

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記者の質問に答える形で、緊急事態宣言、新型インフルエンザ等対策特別措置法の罰則規定導入、ビジネス往来、医療体制、春季の労使交渉、出向や兼業・副業、などについて発言があった。

Q : 本日、緊急事態宣言が関西、愛知、岐阜などに拡大する方向だが、経済への影響をどのように見ているか伺いたい。


櫻田: 決して(経済が)良い方向に向かうとは考えていないが、仮に(緊急事態宣言が)1か月で終わるのであれば、早ければ早いほどよい。経営のスタンスとしては、1か月で終わってほしい気持ちがある半面、終わらない場合に備えてどのように対応していくのか各企業のトップが考えていると思う。経済への影響という点では、(緊急事態宣言が発令される)都道府県が広がれば、マイナスの影響も広がり、1~3月の第一四半期の経済は芳しくないのは当然だと考えている。ただ、問題はいかに早く回復するかであり、今回の緊急事態宣言、それを強化する新型インフルエンザ等特別措置法の改正、それによって促される国民の行動変容、特に20~30代の方々の責任ある行動、そして最後に2月末から(接種開始)と言われているワクチンがスムーズに国民の手に届く体制づくりによって、経済への長期的ダメージを最小化すべきだ。今からできることもたくさんあると思っている。

Q : 緊急事態宣言は今回で2回目だが、例えば若者など感染しても無症状の人たちがいる中で、一律(の対応)ではなく何かしら工夫することも考えられたのではないか。(緊急事態宣言は)最終的には医療崩壊を防ぐのが主眼だと思うが、補償金や支援金があるにしても飲食店ばかりにダメージがある。あまりにも一律(の対応)すぎるという声もある中で、2回目はもう少し工夫できたというお考えはないか。

櫻田: 少なくとも専門家の先生方(の見解)や報道の内容を聞く限りにおいては、飲食店、三密、特にお酒を伴う会合のリスクが高いことは事実であり、全ての飲食店を対象にする背景には、どの業種で区切るのか難しい問題がある。仮に業種や業態で良し悪しを判断するならば、基準をつくるだけで時間がかかる。全ての人を満足させることは難しいため、最もリスクが高い必要最小限の範囲に焦点を絞って短期間制限することは妥当な判断だと考える。問題は法に基づいた補償はもとより、(その他にも)しかるべき支援をすべきである。その中で、(営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金を)4万円から6万円に引き上げたことは、厳しい財政の中では踏み込んだ内容だと思う。これ以上、(要請範囲を)細分化することは現実的に難しく、結果として発令や決定を遅らせることにもなりかねないため、致し方ない苦渋の決断だろうと考えている。例えば、(営業時間を)夜8時までにする理屈もよく理解できるしやるべきだが、日中のランチにおいて、もう少し回転率を上げていくことも必要だろう。私が時々食事をする蕎麦屋でも20代後半と見受けられる人が4~5人で集まって、食事が終わった後に30分程雑談をしていた。現下の(緊急事態宣言が発令されている)事情やお店の売上を考えれば、(客席の)回転数を上げていく必要があり、法規制だけではなく国や東京都が運動としてやっていくことも必要だと考える。電車は相変わらず満員に近い路線もあり、交通事情も変わってないところを見れば行動変容が起きていないのが実態である。コロナ疲れ、コロナ飽き(に起因する感染リスクの高い行動)については法でペナルティをかけることは当然だが、それ以前にこのまま放っておくとどうなるのか危機感を強く訴える必要がある。その意味では、報道機関が日々流す情報は非常に重要で、国が出している6つの指標についても国民の毎日の行動によって良い方向に向かっているのか、そうではない方向に向かっているのか、予見できるような体制を敷くべきである。

Q : 今回の緊急事態宣言は、当初首都圏の飲食店に狙いを絞って発令され、結果的に関西、中部等の各自治体から要請を受けて追加して宣言を出している。大きめに網に掛けるのではなく、狙いを絞って、追加していくという方法をとったことに対する意見を伺いたい。また、政府は影響がある飲食店と取引する事業者に対し、中堅・中小企業に40万円、個人事業主に20万円の一時金を支給する方向で調整している。スピード感を重視する反面、影響を受けたことの証明が割愛されることになりそうだが、所感を伺いたい。

櫻田: 緊急事態宣言の追加発令について申し上げると、感染対策と経済との両立を避けては通れないし、常に意識しないといけない。必要にして最小限という線引きをどこに位置付けるか、司令塔である政府に求められている。今回、首都圏以外に7府県が追加されたことについては、ギリギリの判断だろう。緊急事態宣言の対象地域の感染状況をみると、いずれもステージ4の様相を呈している数値が出ている。今回追加となった地域のうち、福岡は九州の中心地であり、人流のハブになっているため、感染拡大を抑える必要がある。また、栃木は、多くの観光名所があり、首都圏からの出入りが多いため、栃木での感染を抑えることは、合理的だ。十把一絡げに網をかけるのは、経済への影響が大きく、協力依頼の対象となる事業者の納得感も得られないだろう。さらに言うと、一時金にも関わるが、極力早期に必要なところに一時金等の支援を届けるためには、条件を複雑にさせないことが必要だ。対象範囲を広げてしまうと、ただでさえ厳しい財政がさらにひっ迫することになり、(地域を絞っての緊急事態宣言発令は)妥当な判断だろう。しかし、すべては結果論だ。その覚悟を持って、政治に限らず組織のトップは取り組むほかない。しっかり頑張っていただきたいし、私としても応援したい。一時金に関しても条件を付けない方がいいと思う。ただ、時期尚早ではあるが、これだけ使ってしまった財政の大部分を国債で賄っていることを忘れてはならない。(財政再建について)早く議論を始めるべきで、また手法についても目的税含めいつかは議論を始めなければならない。

Q : 新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に罰則規定を導入することについて、野党や専門家会議から慎重な意見が出ている。刑事罰、行政罰という罰則の種類の議論も含めて、意見を伺いたい。

櫻田: 特措法における罰則規定は、罰則を与えて反省させることが目的ではなく、使わずに済むルールになることがベストなものだ。最大の効果を上げるために導入するのであり、はなから罰則対象の人が多く出てくるという前提ではないと思っている。刑事罰、民事罰などの種別は別として、刑事罰が必要な案件もあるかもしれないと思っている。一律、刑事罰、民事罰のいずれかにすべきとは思っていない。一切、刑事罰にはしないというのもいかがなものかと思う。非常に悪意のあるものがあれば特に(刑事罰の対象にすべきだろう)。いずれにしても、目的は行動変容であり、ありとあらゆる手を使って、短期間で新型コロナウイルスに打ち勝つための行動変容を求めていくための手段と考えていけば、ある程度の罰則規定は必要だと考える。

Q :新型コロナウイルスによる緊急事態宣言関連の質問が続いているが、行動変容という点について伺いたい。例えば20時以降の飲食を避けるという要請により、逆に20時までであれば良いと考えて動いている方もいるようである。この点については、どのように考えていらっしゃるか。

櫻田: 20時までは良いと言ってしまうと、形式的にはギリギリまでは良いとなってしまうが、今回のルールの趣旨はそのようなものではない。極力行動変容、すなわち、あえて外では食べないようにしませんかということが趣旨であり、私も含めた経済界も、そして特にメディアの皆さまにおいても、このような雰囲気を醸成していくことは、きっとできると思う。日本人は空気を読むとも言われており、ルールでしっかりと縛らないとできない国ではないと考えている。ご指摘いただいた点は非常に重要なことで、20時までであればギリギリまで大丈夫ということではない、という空気を作っていくべきである。

Q :ビジネス往来に関して、11の国と地域については、入国時の検査体制が甘いとされている。検査に漏れがあってはならず、国を閉めるか閉めないかという議論もあり、新型コロナウイルスの変異種の感染拡大が発生している状況の中で、代表幹事の所感を伺いたい。

櫻田: 当然、問題意識をもっている。日本は海外との関係において成長している国であり、(ビジネス往来は)大切なことであるが、うっかり人流を開いて(新型コロナウイルス対策を)元も子もなくす事態にならないよう、より厳格にすべきである。少なくとも変異種については人流を開いた所で発生しており、結局は感染経路が追えないことがはっきりしている。このことから、現在の国の開け方では、水際対策において十分防ぎきれない可能性が濃厚になっており、より慎重に判断していくべきである。

Q :昨日、東京都は都立広尾病院と公社荏原病院、豊島病院の3病院について、新型コロナウイルスの患者を集中的に受け入れる重点拠点とし、病床も1,100床から1,700床に増やすとしている。医師会会長からは医療崩壊についての言及もあり、新型コロナウイルスの患者を受け入れている病院における医療崩壊は起こりうると思うが、他の民間病院も新型コロナウイルスの対応をした方がよいのではとの声もある。医療体制が十分でないという意見において、代表幹事の所感を伺いたい。

櫻田: 少なくとも国民一人当たりの病床や医療施設については、OECDの中で日本はトップレベルにあるはずである。それにもかかわらず、このような事態となっている背景はさまざまと思うが、医療体制という点で明らかなことは、医師や看護師、専門家の数が少ないという点であり、今回のような問題を生んだ要因のひとつと考えている。また、感染症についての研究が進んでいなかったことも挙げられる。さらに、医療崩壊を引き起こす原因の大きなものとして、高齢者の方々、つまり基礎疾患があり、命の危険のある方々が新型コロナウイルスに感染されると、直ちに入院していただかなくてはならない状況となる。その際は介護施設から来られる場合も多いが、その上流行程の介護要員不足や介護施設でのキャパシティーオーバーが問題を生み、介護崩壊が医療崩壊につながることもある。医療に限らず、介護や保健所等を含めた社会保障全般における体制に問題があったことが、今回の反省材料として明らかになった。デジタル庁が設置される中、デジタル技術を活用し、可能な限りの情報共有や申請を行えるようにしていくべきである。また、医療、介護機関が、都道府県を跨いで協力する体制も必要であるが、これらは都道府県知事のもとにあるため、各都道府県それぞれのボランタリーな協力が難しい。箱ものはしっかりしている一方で、それを動かす人材やノウハウが不足していることが明らかであり、この点に関して医師会は問題意識を持っていると思うし、全国の医師会でも十分議論していただきたい。

Q : 春季の労使交渉についてコロナ禍で賃金と働き方について経営者としてどのように考えるか。

櫻田: 日本らしいという資本主義を維持していくという点では、雇用を守ることを重視して経営すべきだと思う。ステークホルダーの信頼を得る必要があるのは言うまでもない。ステークホルダーの中には株主だけでなく、社員やお客様も含まれ、お客様が最も大事な存在である。コロナ禍では社員はお客様と同じくらい重要な位置づけにある。賃上げについては各企業の判断と実力に基づいて実施すべき。雇用を守ることは全業種で一律に意識する必要がある。

Q : コロナ以前から衰退産業から成長産業への労働移動を唱えておられたが、コロナ禍で出向や兼業・副業が広がりつつある中、どのように考えるか。

櫻田: 雇用を守ることは、今の企業がそのまま、雇い続けることではなく、既に出向を促す仕組みがあり、それに対する支援や補助の程度も引き上げられており、これを機に良い意味での人材の流動化が起きるように考える必要がある。(個々人にとって)適性のある企業に、可能な限り社員が移動できる仕組みは「新しい普通」の重要な取組みの一つといえる。テレワークもそうだが、企業のトップが(家で仕事が)できない理由を説明できないならば、必ず実施するというくらい追い込む気持ちが必要。今回のコロナ禍で進まなければ、元に戻るだろう。

Q : 緊急事態宣言に伴う行動変容についてお伺いしたい。大企業がテレワークを進める一方、ビジネス街での人出は減っていない。企業の変化、経済同友会会員の反応はどうだったか。

櫻田: 法律でテレワークを縛り、働き方を規制していくことは全く好ましくないと思う。働き方は、企業、従業員、株主、お客さんにとって、プラスになることが大事だ。(テレワークは)自主的な判断の元にやることだ。1回目の緊急事態宣言に比べ、(テレワーク率が)悪くなっているのが実態だ。なぜテレワークが定着しないのか、行動変容できないのかについて、ミクロベースで調べていかなければいけないと、政府・大臣に申し上げた。ただ、政府にお願いしていれば、なんとかなることではない。企業が、それぞれ自社の状況を調べていかなければならない。(SOMPOホールディングスでは)現時点で本社の内勤部門は2、3割の出勤率で、政府の要請である出勤者7割削減をクリアできている。不要不急でない、常に必要になる保険金支払い部門、コールセンター部門、エッセンシャルワーカーの塊である介護事業はテレワークをできないが、どのように支援できるか工夫しているところだ。少なくとも保険金支払い部門では、システムを導入することで、自宅でも個人情報を保護しながら保険金支払いに必要な情報や書類を引き出せる仕組みを作った。かなりの割合で、事故発生時に自宅から保険金支払い対応ができるようになり、テレワークができると思う。コールセンターも徐々に(テレワーク対応可能に)なりつつある。問題はマーケティング・営業部門だ。マーケティング部門はお客さんがBtoB、BtoCの場合がある。現場に行くと、(テレワークをするように)声をかけても、第一線のお客さんと接している所で、ライバル他社が訪問していることが分かると、「私たちは行かない」と堂々と言いにくい状況になっているのは事実だ。常に大事なのはミクロだ。政策的に言っても、現場でどう受け止められたかを無視して、いくらマクロを走らせても、現場つまり一番重要な車輪であるミクロの所には伝わらない。各企業はしっかりと自社の問題として捉え、コロナ禍だけではなく、新しい普通、新しい働き方の中で、ただ訪問する、1人でも多く声をかけることによりマーケティングすることは、これからの時代は違うのだということを意識して、会社として推進することは必要だ。

Q : 本来、今回の緊急事態宣言については、夜間の会食のリスクが一番高いということで、それに限定させる方向で、政府は議論を進めていたと思う。それがいつの間に、テレワーク、在宅勤務といった話が出てきた。企業としてはもともとそのようなつもりはなかったはずで、今年の初めの段階では(職場出勤者)7割(削減)を目標に掲げる企業はほとんどなかった。政府の要求、呼びかけが拡大しすぎているような気がするが、それについてはどのようにお考えか。

櫻田: 最初に聞いた時に3つと聞いていた。(職場出勤者)7割(削減)と、(特に)20時(以降の外出自粛とイベントなどの制限)と、つまり五月雨的に最初に(特に)20時(以降の外出自粛)が出て、次に(職場出勤者)7割(削減)が出てと、徐々に政府からの要請が増えてきたというようには思っていない。ただ、新型コロナウイルス対策という観点でいえば、20時以降の問題はそうかもしれないが、テレワークやリモートの推進は、新しい働き方やビジネスモデルの推進していくために、プラスに捉えて臨んでいくという態度が必要であるため、仕方ないのでというだけではない。ただそうはいっても、飲食の目的の一つには、皆で集まってわいわいすることの楽しさもあるため、どのような仕組みにしたら、飲食店の方々がこれからの商売を続けていけるのかについては、皆で知恵を絞らなければいけない。ただ、今だから仕方ないことと、これからもそうであることを分けて考えなければ、この問題はやらされ感だけが出てくる。それは非常に良くない。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)


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