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櫻田謙悟経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2020年7月14日(火) 13:30~
出席者 櫻田 謙悟 代表幹事
橋本 圭一郎 専務理事

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記者の質問に答える形で、新型コロナウイルス(感染状況と対策、感染拡大防止策、経営のあり方の変革、「Go Toトラベルキャンペーン」)、インフラの強靭化などについて発言があった。

Q : 新型コロナウイルスの感染状況について、東京都で昨日は119名だったが、200名を超えるような感染状況が続いている。そのような中で政府が7月22日から開始する「Go Toトラベルキャンペーン」に対する批判も地方自治体から出ているが、この一連の動きについてどのように見ているか所見を伺いたい。

櫻田: 非常に難しい問題で、旗幟鮮明にこうすべきということはなかなか言いにくくなっている。すなわち、片方に経済があり、片方に国民の安全がある中で、一律にバランスを取るための基準をつくることが難しくなっている。より個別具体的に、あるいは国全体というよりは都道府県別、場合によっては市町村レベルでそれぞれ基準を定めていくことまで考えていかなければならない時期に入ったと考えている。東京都と大阪府では状況は全く異なり、そのような中で重要なことは、市町村や都道府県別にそれぞれの首長がしっかりコミュニケーションを取ること、そしてその結果を地域の人々に情報公開をしながら、対策の是非を臨機応変に判断していくことである。そして場合によっては、今後もそのような事態が起こりうることを想定し、「新しい普通」(ニューノーマル)では、都道府県別に首長同士が連携を取っていくモデルをつくることが必要だと考えている。経済一辺倒、あるいは安全一辺倒というわけにはいかないというのが現状の認識である。

Q : 東京都では都知事選後、(新型コロナウイルス感染症に関する)具体的な施策が何も見えない。(休業要請等の)数値基準も撤廃した。3,000床の病床を確保すると言うが、医療従事者もかなり減っている。その中で、重症患者が入院した際に医療崩壊が起きないようにする体制を整えていると思うが、やっていることがなかなか見えない。菅義偉 内閣官房長官が「東京問題」と発言したことに対して小池百合子 東京都知事は反論したが、そういうことではない。代表幹事がおっしゃったように経済と感染防止の双方が重要だとなれば、感染防止があって、その次に経済を徐々に再開していくのだと思う。大阪府は一定の数値基準に達したことで、通天閣に黄色信号を点灯した。自治体によって(対応に)差があり、特に東京都の場合、最も感染症を防止しなければならない立場にあるのに、目に見える感染症防止策を講じていないように思われるが、これに対する所見を伺いたい。

櫻田: 同様の感覚は持つが、逆に言うと都道府県で一律に(対策を)講じなければならないというわけではないと思う。東京都と大阪府、東京都と北海道はどのような理由で違うのかということや、今後どうしていくつもりなのかということについて説明がないため、何もしていないように感じられると思う。実際にはいろいろ検討されていると思うが、少なくともファクトと今後の見通しを明示するとともに、再開と自粛の基準を具体化することで、予見可能性が明らかになるような努力をしていただきたい。(東京都が)最も(新型コロナウイルス感染者の)ケースが多いということは、PCR検査の被検者が多いということになる。何歳くらいの人がどのような場所で、どのような行動を取ったら罹患したのかといったことが把握できるはずで、それを個人情報には十分配慮しつつ、迅速に展開していく(ことが重要である)。東京都から外に出るなというような事態に発展していくことは全く好ましいと思っていないため、それ(感染する人の傾向)を他の都道府県と共有する、他の都道府県も東京と共有とすることによって、予見可能性を高めるような努力をすべきである。実際に世界に目を向けて見ても、ファクトとして40代までの(感染者の)死亡率は1%を切っている。これは日米独ともほとんど同じ割合で、50代から(死亡率が)上昇し始め、80歳以上の方々はおよそ3割がお亡くなりになっている。若い人達は、自分達が死なないという潜在意識がある、あるいははっきりそう言っている方々もいるが、加害者になることもある。その点についてモラルを高める努力もしていくだろうと思う。(各自治体には)ぜひそのような個別具体的なターゲットを意識した発信をしていただきたい。

Q :先週、熊本県南部が集中豪雨でかなり厳しい洪水に見舞われた。昨日、安倍首相が現地に入り、復興に4,000億円以上の予算を活用することを表明した。昨年は台風だったが河川が氾濫するケースが多く、河川の工事が不十分ではないかという指摘もある。新型コロナウイルスで財政状況が非常に厳しい中で、公共事業、特にインフラの強靭化にはある程度規律を持っていかなければならないと思うが、今後の対策について所見を伺いたい。

櫻田: 昨年12月に、26兆円の事業規模の総合経済対策が組まれたが、この時の大きな柱の一つが国土強靭化計画をさらに手厚くすることだった。それがどうなったのか現時点では分からないが、その際に、過去(約10数年間)の公共投資に対する財政の支出が薄かったために、国土の脆弱化、特にインフラの脆弱化が進んでいる中で、(国土強靭化が)必要だと申し上げた。逆に言えば、今回もその一環として、国土・インフラの脆弱性が露呈したことになり、引き続きワイズスペンディングの対象になると思う。重要なのは、そのような支出をすることによって、どのようなメリットがあるのかを説明することである。ただ単に安全とか、地域の人が安心して暮らせるというだけではなく、その結果、どのような経済的・社会的メリットがあるのかをきちんと説明する(ことが重要である)。EBPM(Evidence Based Policy Making; 証拠に基づく政策立案)の習慣をつけることが必要である。今回の熊本県の災害については財政を出動すべきだと考えており、それだけの価値や意義がある。同様に、他の地域にも似たような脆弱なインフラはあるはずで、(国の)財政を使うのか、あるいは都道府県の財政を使うのか、あるいはPFIの仕組みによって民間の知恵を使うのか、しっかり見極めながらしっかり判断していく仕組みをつくり、提言していきたいと考えている。

Q : 新型コロナウイルスの対応に関し、NHKの実施した世論調査では、「経済活動」より「感染拡大防止」に重点を置くべきとの回答が約7割となった。大丈夫か疑問に思っている国民が多いと思う。夏の時期に感染が拡大しているため、この先、冬はさらなる感染拡大が心配されるが、今のやり方で懸念がないか、所感を伺いたい。

櫻田: ファクトだけ申し上げると、日米独の感染状況を比較した時の罹患されている方の年齢ごとの死亡率は先ほど申し上げた通り(40代以下は1%未満)だ。また、良い例かは別として、新型コロナウイルスによる死亡者数を単位人口対比でみると、日本は1万人あたり0.08名の方が犠牲になっている。一方、米国は日本の27倍の2.16名、ドイツは13.5倍の1.08名である。(人口対比での日本の死亡者数が少ないのは)なぜか、としか言いようがないが、死亡者数を抑えられていることは評価できる。これを科学的、統計的に説明できるようになって初めて日本モデルと言って(他国に)胸を張れるのであって、現在はそのような状況になっていない。日本は、少なくとも第1波については悲惨な状態にはなっておらず、医療崩壊や介護崩壊からは一応逃れられた。取り組むべきことは、第2波は必ずくるという前提に立ち、今のうちにすべきことを具体的にわかりやすくターゲットを絞って、年代、職業など、個人情報に配慮しながら発信していくことだ。国民一人一人が自分事として、必要な行動や準備を理解できるようにする必要がある。インフルエンザの流行や、新型コロナウイルスの第2波、首都直下地震、富士山の噴火が同時に起こることは、可能性としてゼロではない。それを言い出すときりがない。個人、家庭のBCPを考えることが大事だ。

Q : 新型コロナウイルスが長引いている中で、経済同友会はじめ色々な経済団体の方が、経営のあり方の変革や、デジタル・ガバメントの推進を主張されている。現状の進み具合をどのように見ているか。不足している部分、進んでいる部分など、進捗状況をお聞きしたい。

櫻田: 私の知る限りでは、経営者の皆さんの危機感は非常に強い。今までは、新型コロナウイルスの影響を受けての行動だったが、むしろコロナ危機を奇貨として捉えている経営者も増えてきていると思う。新型コロナウイルスを忘れるということではなく、新型コロナウイルスによって進んだテレワークをどのように継続させるか、遠隔医療やeラーニングを通常の医療、教育にどのように定着させるか(という問題意識)に変わってきている。しかし、現実問題として、トップだけが旗を振っても意味がない。(定着のためには)従業員や国民が、テレワークや遠隔医療、eラーニング等を継続させたいと思うことが重要だ。そのために経営者がすべきことは、まず、トップが同じことを言い続け、これが変革の最後のチャンスかもしれないと主張し続けることだ。二つ目は、従業員や国民の皆さんが、テレワークなど、「新しい日常」が常態化した中にあっても良いと感じるようなサービスや製品を一生懸命考え、生み出すことだ。これらができれば、新型コロナウイルス前の状態に戻ることなく、新しい日本、社会ができるのではないか。そろそろ明るいメッセージを出していってもいい頃だろう。

Q : 政府の「Go Toトラベルキャンペーン」に対して地方から心配の声が挙がっている。青森県むつ市の宮下宗一郎市長は感染が拡大した場合、「政府による人災だ」と憂慮している。

櫻田: 必要な財政支出は実施すべきだ。「Go Toキャンペーン」は消費を活性化するもので、落ち込んだ消費を取り戻すまで消費者の行動を待っている時間はない。旅行者が青森県でお金を落とすまでにお店が潰れてしまうので、現在の各種支援金の仕組みを拡充することも必要だろうし、そのための予備費の10兆円だと思う。いざとなったら国が面倒をみるというように、国が説明責任を果たすことを前提として、追加の財政出動は必要になる。「Go Toキャンペーン」は感染症対策が正常に機能し、第2波も到来せず、状況が改善に向かった時に、経済に勢いをつけるためのものだ。むつ市の宮下市長は、現在はそのような状況ではないと仰っているのだろう。

Q : 「Go Toトラベルキャンペーン」は、7月22日から始まることになっているが、状況が改善に向かっているという判断か。

櫻田: すでに第1波のピークは過ぎている。現在の段階で遅らせてしまうと、ただでさえクーポンが配られるのは8月に入ってからであり、キャンペーンが始まって地方の観光地にキャッシュが入るのは8月のお盆期間を過ぎ、夏休みの終盤になってしまう。キャンペーンが始まる前提で、国民に旅行でお金を使ってもらうと考えるべきだろう。(実施を)遅らせることは、感染拡大の不安をさらに煽ることにも繋がるため反対だ。

Q : 「Go Toトラベルキャンペーン」が来週22日から始まる。感染者の多い地域からの旅行者が、地方で感染を拡大することが懸念される。一方で、大相撲やプロ野球は、(感染防止策を講じた上で)観客を動員した興行を再開しており、一定の制限を設ければキャンペーンも実施できるのだろう。こういった点について国土交通相や官房長官からの発信があまりないが、どのようにお考えか。

櫻田: 国土交通相や官房長官にその知恵を出せというのは、酷だと思う。これこそ民間の得意な分野であり、民間の知恵を募ることがとても大事だと思う。県をまたぐ旅行者を受け入れられる地域と、知事や県民の考え方によっては抵抗のある地域もあると思う。それを含め、域内で実施する方法について、民間の知恵を募るのも(行政の)リーダーシップの一つではないかと思う。民間企業では、企業内のWEB飲み会に補助金を出すという知恵もある。サザンオールスターズはWEB上でコンサートを開催し、相当の収益をあげていると聞いている。知恵を出しなさいということを、官は民間に対しもっと言うべきではないか。そのために懸賞を募ってもいいくらいだと思う。

Q : 経済同友会の会員に、知恵を募るおつもりか。

櫻田: (知恵を出してほしいと)言いたい。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)


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