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櫻田謙悟経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2020年4月14日(火) 13:30~
出席者 櫻田 謙悟 代表幹事
橋本 圭一郎 専務理事

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冒頭挨拶の後、記者の質問に答える形で、新型コロナウイルス(緊急事態宣言、緊急経済対策、オンライン診療など)について発言があった。

冒頭挨拶:
新型コロナウイルス感染症が急拡大する中で、医療の最前線で戦ってくださっている医療関係従事者の方、それから国民の生活維持や都市機能維持に必要な事業に携わって働いてくださっている方々、この方々に心から感謝の気持ちをまずお伝えしたい。そして、全国の経済同友会にお願いし、経済産業大臣の要請に基づく医療用ガウンや防護服の縫製に協力いただく企業を、今募っているところである。私たちも、感染拡大の防止にこれまで以上に取り組んでいく。経済同友会では、テレワークなどの活用によって足元では(事務局の)出勤率が30%前後まで低下している。会員総会も延期の決定をした。したがって、これに伴う事務量も延期によって減少し、この出勤率は一段と低下する見通しである。会員総会の延期によって、4月28日の記者会見はなくなったが、緊急事態が発生した場合には、急遽お集まりいただくこともあるかと思うので、どうかご協力とご理解をお願いしたい。

Q : 3月末の定例記者会見ではだらだら続けるよりは迅速に緊急事態宣言を発令した方がよいとおっしゃっていたが、4月7日午前0時からの発令のタイミングについて改めてどのように感じているか。同時に、発令の際は都市機能維持に必要なインフラを明示するべきとおっしゃっていた。国と東京都の間で休業要請の対象などについて調整が難航する場面もあったが、必要なインフラの明示というご提案について説明はうまくされたのか所見を伺いたい。


櫻田: タイミングについて言えば、十分に迅速であったかどうかはともかく、適切だったと思う。そして、経済対策も表裏一体の関係にあるため、(経済対策も)同時に(講じることが重要)と申し上げたことについて今でも気持ちは変わっていないが、翌日あるいは数日後には出てきたことは一定の評価をしてよいと考えている。重要なことは経済対策の効果、すなわち最も大きな点では給付金が遅滞なく間に合って、必要な人に必要な分が届くことである。その点について言えば、まだまだ明確にはなっていない部分がある。あるいは、少なくとも当該対象者がどのようにすれば、いつ、いくら入ってくるのかということについて十分周知されているかと言えば、若干疑問を持たざるを得ない。これについて当然政府は引き続き努力することと理解しており、本会も現場が何を困っていて何を求めているかをしっかりと伝えていくことによって、コラボレーションを図っていきたい。

Q : 持続化給付金について、本日の西村康稔 経済再生担当大臣からゴールデンウィーク明けにはなんとか(支給する)という話もあったようだが、ゴールデンウィーク明け早々ということについて言えば、既に実際に休業と言う形で影響が出ているところもある。ゴールデンウィーク明け早々の持続化給付金の支給が始まるのであれば、その点について所見を伺いたい。

櫻田: 申請条件を満たしている、申請書類あるいは仮にオンラインでできるとしても申請情報が整った後でゴールデンウィーク明け(の支給)ということだとすれば、むしろ課題は申請条件がよくわかるか、どのような書類を揃え、どこに提出すればよいのか(対象者自身が)わかっていることが非常に重要である。やむを得ないとは言え(申請には)一定の条件がある。したがって、例えば、昨年対比で今いくら減収しているのか、それをどのように証明するのか、個人事業主の場合はどうするのか等々、必要な書類を揃えるのが大変である。これが一気に簡素化されるのであれば話はだいぶ違ってくるが、私の知る限りにおいてはそこまでは明確になっていない。町の店主さんに聞いてみると、何を揃え、どこに行けばいくら支給されるのかわからないため困っているという声もある。さらに(行政窓口に)聞きに行こうとすれば長蛇の列ということもあり、現実はそう簡単にいかない。ただ、政府も努力していることは間違いない。本会としても何を支援すれば最も円滑に進むのか毎日考えていきたい。

Q : 休業要請の対象となる事業者への経済支援に関して、福岡市や市川市が独自の財政支援を発表している。自治体によって受けられる支援が変わってきてしまう点について、どうお考えか。

櫻田: 難しい問題だ。東京都と千葉県の問題も同じだが、財政状況によって、支援に差が出てくる。世界各国を見ても、たとえば米国の連邦政府が補償するものと州政府が補償するものでは差があり、如何ともしがたい。現段階においては、各首長は精一杯のことをされている。足りないのは現金であり、運転資金をいかに早く届けるかが重要だ。多寡で大問題になることはない。近いうちに各自治体のファクトがわかるはずだ。この差があまりに大きいようであれば、改めて考えていく必要があり、国も何らかの形で相談にあずかる。各自治体の財政の余裕の度合いによって、違いが生じるのはある程度は受け入れざるを得ない。現に給付金は住民税の非課税基準が一つの基準になっているが、非課税基準は都道府県によって異なる。すでにそうした問題は起きている。

Q : 政府が人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減してほしいとの要請を出している中で、11日に安倍首相から、事業者や企業に対して、出勤者を7割削減してほしいという要請が改めて出された。これに対する受け止めを伺いたい。また、街中を見ると、現実はそういかないという部分も見受けられる。出勤者7割削減を達成するためにどのようなことが必要か。

櫻田: 今回の特措法に基づく要請は、法律に基づくものではあるが、外出自粛やテレワーク等の基準は、基本的には要請に基づく自主判断であり、罰金もない。今回の要請の目的の一つは、意図された、計画された需要の削減だと推測している。私が心配しているのは、(緊急事態宣言や新型コロナウイルスが)長引くと意図しない供給の削減が起きる可能性がある。そうなると、新型コロナウイルスがピークアウトして、消費者の皆さんが消費しようとしても、消費できるものがない。意図しない供給削減が起きないようにすることが重要だ。機械的、強制的に止めてしまうと、結果としてサプライチェーンの混乱が生じ、需要が戻っても供給が足りない。これが一番いけないと思っている。70%削減の件も同様で、各企業、少なくとも経済同友会の会員所属企業に聞いている限りでは、出勤者70%削減に向け、必死で努力している。角を矯めて牛を殺さないようにという表現は適切でないかもしれないが、ぎりぎりのところで各企業がタイミング含め(達成を)目指しているところだと思う。むしろ、各国の強制的なロックダウンと今回の特措法の違い、趣旨を踏まえて対応せざるを得ないし、そうすることが正しいと思う。70%削減の達成が困難な企業も、マスク着用、手洗い、アルコール消毒の徹底、間を空けた座席配置など、工夫している企業はある。

Q : 生産に影響を与えないように対応すべきということか。

櫻田: 完全に止まってしまってから生産を立ち上げる状況から始める、生産体制を破壊してしまうようなことになってはいけないと思っている。これは必ずしも大企業だけでなく、中小企業も同様だ。たとえば寿司屋が職人を全員解雇してしまって、ピークアウト後、これから職人を探すというのでは話にならない。一時解雇でなく休業の状態を保てるような仕組み、今の雇用調整助成金でいいのかなど、見直して、検討してもいいのではないか。

Q : 1点目として、これまで経済同友会としても求めてきたオンライン診療が解禁されたが、まだ実施できる医療機関が限られているため、それを根拠としてこれまで反対してきた方々から、利用が少ないので時限措置にしたいという圧力が働く可能性もあるが、今後オンライン診療に関してどうあるべきと考えていらっしゃるか。2点目として、先日、加藤勝信 厚生労働大臣などから要請があり、財界としても様々な企業がマスクや医療関係物資等の増産を行っているが、一方で人工呼吸器など重症の方々が必要なものについては、昨晩に厚生労働省が規制緩和を公表したものの、まだまだ外国のような大胆な規制緩和をすべきという声もあるが、これについての考えを伺いたい。

櫻田: 危機をチャンスにという言葉を使った記憶があり、必ずしも賛同を得られているわけではないが、申し上げたいことは、要するに「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という状態になってはいけず、今の危機を奇貨として受け止め、危機が去った後も日本が学び、さらに成長して良い国となっていくための材料を、必死になって国も企業も取り組むべきと思っている。その点において、そもそもオンライン診療やオンライン教育、オンライン系の新しいビジネスは、新型コロナウイルス危機が起こる前から推進すべきと考えていたものであり、この危機の間だけではなく、危機が終わった後もむしろ通常状態において使えるものにすべきと思っている。その点において、特別措置としてオンライン診療を認めていくという方向には反対である。また、診療費がオンラインと実際の対面において格差がある点についても見直すべきである。最悪なことは、今、日本がまさにパンデミックというニューノーマルが去った後にまた忘れてしまい、いつもの通りの生活や世界に戻ってしまうということが起きてしまうと、一番ダメージを受けるのは変わりきれなかった日本であり、もう間に合わなくなる可能性もあるという危機感を持っている。そして、マスクの増産等における規制緩和については、一言でいうとスピードが遅いと思っている。しかし、今の法律のもとで行おうとすると法改正が必要となるが、少なくとも特措法においては盛り込まれていないため、そのような立て付けの法律が正しいのかどうか、見直すべきと思っている。今回でおしまいということではなく、今回起きたことによって、今後も続けていかなくてはいけない規制緩和とは何であるか、むしろあぶりだしていくべきである。ちなみに本件と直接的には関係ないが、マスク増産の点では、加藤勝信 厚生労働大臣と梶山弘志 経済産業大臣より要望を受け、民間の知恵も是非という話の中で、仙台経済同友会の代表幹事所属企業であるアイリスオーヤマでは、10億円の投資によって新たに月6,000万枚マスク生産が可能になったとのことである。2枚のマスクを全国に配るために400億円を超えるコストがかかっており、どちらも努力とはいっても、民間の知恵がこれほど効くということの1つの例として申し上げておきたい。

Q : 櫻田代表幹事は以前の定例記者会見で、経済対策は小出しではなく、一気にやるべきだと発言された。東京都は「感染拡大防止協力金」を、福岡市や市川市も独自の財政的な支援を発表している。一方で、西村康稔 経済再生担当大臣が「地方創生臨時交付金」の1兆円を休業補償に活用する案に言及したが、国の対応は中途半端な印象だ。1か月間、休業要請をするなら、1か月後の想定を示さなければ、感染者数が増えれば次の手を打たなければならなくなる。政府と自治体の休業補償に違いが見られていることについて、ご意見を伺いたい。

櫻田: 「新型インフルエンザ特別措置法」による、首相から都道府県知事への権限委譲の趣旨は、できるだけ現場に近い人が判断すべきだというものであり、現時点における東京都等の地方自治体の対応については評価したい。国の役割は、地方自治体ごとの財政規模による給付金の差が過大でないか、バランスを取ることである。国全体として捉えた際に、日本の経済規模や消費の落ち込みの度合いに応じて、足らなければ追加で拠出すべきだ。経済対策の総額が108兆円で足りているかどうかではなく、注目すべきは「真水」の部分だ。私は、今回の経済対策の「真水」は新規国債発行額の16.8兆円分しかないと理解している。この規模で十分かは分からないが、足りなければ新規国債を発行できる仕組みが必要だろう。私は地方自治体が独自に休業補償を行うことには賛成であり、国はバランスを見ながら不足していれば新たに追加する、という姿勢を明確に示すべきだと考えている。書面上のお金ではなく、現金を一日でも早く、必要な人に届けることに知恵を絞らなければならず、民間も協力する。

Q : 「雇用調整助成金」の申請には、11種類の文書が必要で大変だと聞く。実際に拠出され、手元に届くのは7月以降であることから、手続きの簡素化が検討されている。減収した世帯に対する、30万円の「生活支援臨時給付金」も申告にあたって審査が必要だ。国民の中には、家賃のような固定費だけでもはやく現金給付を求めるという声が挙がっている。シンガポールのように、1人あたり5万円弱が現金で口座へ迅速に振り込まれた事例もある。「雇用調整助成金」や「生活支援臨時給付金」について改めて強調する点はあるか。

櫻田: 他国の例を常に倣うのがすべて良いとは思わないが、危機においてはできるだけ条件を付けずに、はやく現金を届けることが必要だと思う。日本は、米国や英国、ドイツ、シンガポールと比べると条件が複雑だ。事態の悪化に伴い、申告すればするだけ給付するという財政規律が緩む状況は避けるべきだ。現状を踏まえ、最後の一手のつもりで申告の簡素化や迅速化を検討してほしい。給付の条件は複雑でないことが好ましい。意図された需要の減退だけでなく、意図せず供給が破壊されてしまうと、危機が去った後に持ち直すのは大変である。

Q : 経済同友会は2020年度通常総会の開催を延期するとのことだが、企業は株主総会が開催できるかという心配があるかと思う。株主総会のオンライン開催についてのお考えを伺いたい。2020年4~6月期の実質GDP予測平均が前期比年率で約11%減という深刻な数字となっているが、給料・賞与への影響、個人消費との関連をどのようにお考えか。

櫻田: オンライン総会については、基本的には賛成である。ただ、オンライン総会の結果、本来できるだけ多くの株主の意見を聞かなければならない場が、特定の株主によって議案や質問事項が独占されるという弊害は除けるようにし、なりすましを避けるなど、そういった点はあろうと思うが、方向性としては当然そうだと思う。同様に、経済同友会としても、そのような仕組みが取れるか考えなければならない。さらに言えば、これは統治機構のあり方そのものである。以前から経済同友会が主張しているインターネット投票についても、やるためにどのような弊害があり、その弊害をどうすれば取り除けるかというスタンスで臨めればと思う。GDP予測については、驚くほどではないと思う。これは意図された需要の縮退であるので、人為的に作られている部分がある。したがって、これは墜落しているのではなく、一瞬失速している状態である。スーっと下に、需要の面で落ちてきている。その結果として今の動揺が起きている。原因ははっきりしているので、なぜ起きているかという不安はない。ただ、生き延びなければならず、失速しても墜落してはいけない。そのために必要なのはキャッシュである。キャッシュを出さなければいけないので、今全世界が、国が、地方が、企業が努力をしている。この結果GDPの7割を占める消費需要にどのような影響が出るか。当然影響は出ると思う。この1年間を、例えば、会計年度2020年度をとって、その時のGDPのうちの消費が何パーセント対前年減っているか、計算することにどういう意味があるのかと思っている。どういうモメンタム(勢い)で2020年を、各クオーターを終えるのか。上昇するモメンタムで終えるのなら、マイナスであっても構わないと思っている。第二次微分ではないが、マイナスの勢いが減っている、プラスの勢いが増えるという、モメンタムが大事だと思う。今の11%という数字を以て、大変な事態だと思う必要はないと思う。

Q : 先ほど「ニューノーマル」という言葉をおっしゃられた。これが終わったら、もとに戻るのではなく、ニューノーマルに生かすために、今どのようにすべきか。

櫻田: たくさんある。一言でいうと規制緩和となり、一言でいうとダイバーシティ&インクルージョンがあると思う。日本が世界の中でこれまで優れていて、それが成長して勝っていく源泉となっていたものが次々に崩れ去っているという危機感は多くの経済人、皆さんもお持ちだと思う。それがニューノーマル、例えば、激甚化する災害、異常な低金利の継続、あるいはSNSによる世論の動揺、そして今回のパンデミックのような、昔だったらあり得なかったことが、次から次に起きている。これが新しい普通なのだと考えていったとき、今まで変化しなければいけないと思ったことをやらなくても、痛みがそれほど大きくなかった。だが、平成の30年間やってきたら、こんなに遅れたと気がついた。ニューノーマルにおいて、変化しないことによる、この国の持つペナルティはもっと厳しくなるはずだ。今回の新型コロナウイルスの危機を、なんとか危機感に変えて、乗り越えていかなければならない。具体的には、なぜオンライン診療(緩和)に時間がかかるのか、なぜ人工呼吸器の参入承認にそんなに時間がかかるのか、なぜ労働法制はこんなに時間がかかるのか、なぜいまだに就職の解禁時期が問題になる新卒一律採用を続けているのか、なぜ年齢によって賃金が違うのか等々多くの課題が、既に経済同友会はもとより、経済団体から5年10年、山ほど提出されてきたが、変わってこなかった。私は過去に背負っている宿題を乗り越えていくことによって、日本は必ずプラスになっていける、勝てる国になっていけると思う。「いなくては困る国、日本」になれるはずなので、このチャンスを逃してはいけない。やるべきことははっきりしている。次やらなければいけないことはDo、どうやってそれを実現するかに尽きると思う。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)


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