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櫻田謙悟経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2020年2月18日(火) 13:30~
出席者 櫻田 謙悟 代表幹事
橋本 圭一郎 専務理事

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橋本専務理事から新型コロナウイルスに関する経済同友会の対応について冒頭挨拶があった。その後、櫻田代表幹事が記者の質問に答える形で、(1)新型コロナウイルス(経済への影響、今後の見通し、政府・個社・経済同友会の対応)、(2)GDP、(3)企業の災害対策などについて発言があった。

冒頭挨拶(橋本専務理事):
昨日、私ども(経済同友会)の会員と、各地経済同友会に「公益社団法人経済同友会の会合等における新型コロナウイルスに関する当面の対応方針」をお配りしている。政府のウイルス感染症対策本部が国内の発生早期という認識を示されたことを受けて、私どもも本会の会合等について現段階で、こういうことをやりますよということ(当面の対応方針)を出させていただいた。特に今は、今後様々な会合が控えているので、どのようなことをやっていくのかというところを具体的に書いたものであるのと、感染地域へは訪問中止ということにしている状態である。現状確認としては、繰り返しになるが、5段階あるうちの3段階の国内発生早期ということで、それに基づいて作ってあるが、今後政府の発表等を見た上で、段階的な対応のところで、今第1段階(「当面の対応方針」(2020年2月17日)の周知・協力依頼)ということをしているが、発表内容等を見た上で段階等については、内部でまた決めた上で発表させていただくという手順となっている。

Q : 新型コロナウイルスにより、日本国内でも大きな展示会の中止や東京マラソンでの一般ランナーの参加取りやめなど、影響が拡大してきている。感染者数が増加し、感染ルートが不明な方もいらっしゃる。だんだんフェーズも変わってきているように感じるが、現状をどのようにご覧になるか伺いたい。

櫻田: 五里霧中というのが正しい表現のように思う。実に複雑で、バリューチェーン、サプライチェーン、人の行動、潮流、物流など、いろいろなものが一緒になって(新型コロナウイルスの問題が)起きている。中国から発生して日本へウイルスがきたのか、第三国から中国を経由してきたのか。感染ルートが不明なのが非常に大きな問題だ。感染ルートや原因が不明で手の打ちようがない、というところからくる不安が一番大きい。経済同友会の会員にヒアリングをしたところ、各社とも一生懸命に情報収集しているが、真実がわからない(のが実情だ)。現地に連絡をとって、自社のことはわかっても、周囲の状況がわからない、地方政府の対応が異なるため国としての対応がわからないなど、正しい情報を得ることに苦労している。感染そのものを極小化し、終息させるという最大の問題はあるが、経済界からみると経済への影響は無視できない。今回の場合、サプライチェーンよりバリューチェーンの方が重要だ。中国から輸入している部品への影響、中国からのインバウンド減少による日本経済への影響、日本から中国に対する輸出への影響、さらには中国から第三国への輸出の影響が日本から中国への輸出にどのように影響するか。バリューチェーンが複雑に絡まっているので、全体としての影響がわからないと会員からも意見があった。明確なのはインバウンドだ。2019年の訪日外国人旅行消費額は、速報値で約4兆8,000億円、うち約36~37%を中国からの訪日客が占めている。金額にすると1兆8,000億円近くとなる。ストレートに影響を受ける可能性がある。ヒアリングしたところ、すでに3月末までに札幌市内での予約が13万3,000泊(推計)キャンセルされており、具体的なダメージを受け始めている。どのくらい影響するかは慎重に見なければいけない。また、経営者へのヒアリングの結果、中国部品のサプライの観点では今のところ深刻な状況にはなっていないようだ。日本経済への影響、各機関が発表している世界経済への影響を含めてみると、実体的な経済への影響よりはセンチメントへの影響が大きい。「やめておこう」、「控えよう」といった行動が億単位で出てくると経済に大きな影響を与えるので、早く安心させることは必要だと思う。そのためには、正確な情報を迅速に提供する必要がある。

Q : 景況に関して、17日に内閣府が公表したGDPの速報値が年率換算で6.3%減と大きく落ち込んでいる。今回の結果の受け止め、今後の見通しについて、所見を伺いたい。

櫻田: 経済同友会での直近の調査結果では、弱含んでいる。マイナス成長ということではなく、投資の伸び率が弱含んでいる。消費も同様だ。原因については、消費税率引き上げによる駆け込み需要の反動があったが、前回2014年よりは反動は小さい。他に、台風被害や、暖冬で冬に売れるべきもの、レジャーが芳しくないなどの影響があったところに、新型コロナウイルス感染症が発生しているため、(現在の)センチメントはよくない。しかし、私が会員から聞く限りでは、すでに計画している設備投資等を縮退させる、少なくするという決断をしている企業は(今のところ)ない。消費については、センチメントの影響が非常に強いため、やや悲観的にならざるを得ない。(政府は)早く新型コロナウイルス感染症を収束させるとのことだが、今の状況で4月までに収束するという見方は楽観的過ぎるので、(収束は)もう少し先になるだろう。その分、経済にも影響があると見ている。全体としては弱含みだが、景気が大きく下落するようなスピード、要素があるとは見ていない。

Q : 先ほどのご回答の最後に、4月までにはおそらく収束するという見立てをおっしゃったのか伺いたい。

櫻田: 4月までに収束すると考えるのは楽観的すぎると申し上げた。というのも、SARSの事例では6か月かかっているという状況である。

Q : 大企業において、テレワークや時差出勤に関する決定や発表が行われているが、このような動きについてのお考えを伺いたい。

櫻田: 昨日も、この点に関する意見交換を行った。まず現地での対応という点では、基本的にはマスクを送るというものや、可能な限り自宅待機をするということ、あるいは日本人駐在員の家族については、早く引き上げ、しばらくは渡航しない。あるいはこれから渡航する人に関しては、多発地域に隣接する所への渡航はできるだけ避ける、ということで、ほとんど同様の対応であった。一方で、企業によって若干分かれたのは、国内対応であった。ある企業は、オーバーリアクションと敢えておっしゃっていたが、悲観的に捉えて早めに手を打つという方針にて、例えばラッシュアワーでの通勤を禁止とし、可能であればテレワークを原則とするという製造業の企業もあった。基本的には、政府の対応をよく見ながら、注意してというと変であるが、全体として言えることは、これを折角の機会と考え、社員やその家族の安全を考えながら、新しい働き方について考え、テレワークを積極的に推進しようという動きが非常に多かった。もう1つは、個社名は言えないが、悩ましいと言っていたのが、物理的に活動しなくては意味をなさない産業、例えば物を運ぶなど、こういった産業については、今の新型コロナウイルスが国内でパンデミック状態となると、これの対応には解がないということである。お客様の所に行って物を届けなくてはいけない、しかし、お客様に会うと、うつる、またはうつしてしまう。一方で、お客様に会わないようにすると、物を届けられない。正直このような状況には答えがなく、例えば直接会わないよう置き配にするなどが考えられるが、大変苦しんでいらっしゃった。ただ、現時点ではこれは「たられば」の状態であり、深刻な事態にはなっていないが、各社がBCP(事業継続計画)の中で想定していたものを、更に再点検する良い機会になっていると思う。

Q : 新型コロナウイルスに関連して、社員が会社に出たくない、テレワークをしたいという希望が今後出てくる可能性があるが、これらの対応について、経営者のひとりとしてどのような判断が適切とお考えであるか。

櫻田: テレワークそのものは平時においても積極的に推進すべきと考え自社ではそのようにしているが、これは会社に出たくないのでテレワークとすべきという訳ではない。本件の場合では、感染を防ぐために出社を避けるというものであると思うが、これは職場や職種、業務実態などにもよるため、個別に相談してもらうしかないと思う。「何を言っているんだ」という反応をしてはいけないというもので、嫌なら来なくていいとルールにするまで踏み込む必要性は、現時点ではないと思う。

Q : 先の質問の趣旨としては、9年前の3月11日の東日本大震災の際は、午後2時46分(発災時刻)が日中の時間であり、会社によっては解散をしたり、ある銀行では支店長命令という形で、全員が山ではなく屋上に逃げたところ、その全員が亡くなったという事例があった。社員が子どもを迎えに行きたいので一旦帰宅することを許可するかなど、災害時にどこまで社員を拘束できるのかという点が1つの大きな議論でもあり、今回もこのようなケースの1つと思い、この点へのお考えを伺いたい。

櫻田: 少なくとも、屋上に避難させた事例はマニュアルの問題であると思う。つまり、震災時の防災マニュアルに従って指示を出した結果であり、支店長というより会社の責任、あるいはマニュアル策定の際のあり方の問題である。結果がそうなったのが問題ということになるのかもしれないが、事前に予知できなかったことが悪いかについては、私はコメントする立場にない。もう1つは、今回のようなケースにおいて、一気に広がっていくというものではないので、事前の予防措置としてどうするかについては、各社各様の考えでやらざるを得ないと思う。ただ、例えば先ほどご指摘いただいた、子どもを保育園に迎えに行かなくてはならない、しかも保育園では近くで感染者が出ているという話があるといった場合、それをもって、「いやだめだ」と言うのも問題であると思う。多くの会社がこれを機会に、あるいは可能なところからテレワークを推進し、混雑する電車を避けるなどの動きがある中、明らかに感染リスクがあるということで、子どもを迎えに行くということを拒否するのは問題と思う。

Q : 大規模な感染の拡大は、過去にもSARSやMARSのような事例もあった。経済のグローバル化が進む中でより大きな影響が出ている。今回の事例を通じて企業は感染症に対してどのように備えるべきだとお考えであるか。

櫻田: SARSは急激に劇症化したが、拡大の範囲は狭かった。一方で今回はSARSよりも劇症化する可能性が低く、拡大の範囲が広い。今回の方が状況のつかみどころが少なく、複雑だ。感染の拡大に対して、今回はすぐに対応しないからといって、企業や従業員が危険にさらされることは少ないだろう。各社とも、政府のガイドラインは順守するとして、対策本部を組織して議論したり、現場からの意見を集めたりして、できる限り危険度を高く見積もって対応している。今回のケースを教訓に各社がBCP(事業継続計画)や感染症予防対策を大きく見直すほどには至らないだろう。

Q : 中国経済が停滞をしている中で、日本や世界経済への影響はどの程度になるか。

櫻田: 物理的に部品が作れない、あるいは消費活動が滞ることによる中国経済への影響は甚大だろう。実質GDP成長率は6%には届かないだろうし、場合によっては4~5%台もありうる。新車の売り上げ台数等でも、中国経済はすでに下方傾向にあり、厳しい状況だ。何らかの形で財政出動が必要になるとみている。日本経済にとってはインバウンドの影響が最も大きく、中国への輸出と中国からの輸入の変化が世界経済に大きな影響をもたらすとは考えていない。世界経済への影響は数字としてまだ出ていないという理解だ。米国や日本経済について、試算は出ているが、実態経済への影響は現時点で言えない。より恐れているのはセンチメントの影響で、実態として関係はなくても、結果として各国の経済活動を鈍らせる可能性がある。

Q : 新型コロナウイルス対策について、現状で政府に何を求めるか。個社で感染予防の取り組みが行われている。また、個人では咳エチケットや手洗いをこまめにすることにより、インフルエンザの患者数が減少したと考えられている。経済同友会が発表した対応方針にあるように、感染予防には咳エチケットと手洗いの徹底しかないと思う。2月の終わりから3月の初めがピークかと思われるが、われわれは政府の発表を座して待つしかないのかお考えを伺いたい。

櫻田: 政府に何かしてほしいという要望は、経済同友会の会員から出ていない。自分たちでできる努力はしている。政府からは総額153億円の対策費が出ている。対策費を積み増すべきだという意見はあまり出ていなかったと思う。むしろ議論になっているのは、国会である。重要法案がまだたくさん残っている。予算案審議などをしっかりと進めてほしい。中国との関係についても、なぜそれが必要なのかを含め、しっかりと説明責任を果たしてほしい。新型コロナウイルス関連で日本政府の対応への不満や要望は、少なくとも経済同友会からは出ていない。

Q : 経済同友会の新型コロナウイルスへの対応方針に、「感染国・感染地域への訪問中止の可能性」とある。経済同友会が予定するミッションなどへの影響は具体的にあるのか。また、訪問中止はいつごろまでを視野に入れているか伺いたい。

櫻田: 海外については、米州委員会の会議で、米国より要人をお呼びする予定である。米国側が、来られるかどうかを含めて確認をしている。近々に(結論が)出ると思う。訪問中止については、当面の所で予定され、100人前後が集まるであろう会合については早急に決めなければならないという形だ。通常の委員会については、お示しした通りとなる。

Q : 国内特定地域における流行が確認され、国内感染期に入り、いずれかの都道府県で患者の接触歴が追えなくなった状態の時に、(経済同友会が)国内出張を取りやめる、禁止するなど予定されている対応があるか伺いたい。

橋本: 政府発表の出され方もあると思われるため、決定していない。今後発表があった際に、その発表を見た上で、特定地域でそのような状態が発生した場合には、経済同友会は地方創生委員会が(地方へ)お伺いしているので、延期あるいは相手方の状況も踏まえて、よく相談し対応していきたい。ケースバイケースということもあるだろう。

Q : 2月19日に自民党から経済団体へ、新型コロナウイルスによる経済への影響についてヒアリングがあるが、どのようなことを発言されるのか伺いたい。

橋本: そのようなスケジュールは聞いていない。
櫻田: 仮にあったとしても、会員企業からヒアリングしている内容を伝えることになる。


以 上
(文責: 経済同友会 事務局)


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