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櫻田謙悟経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2019年12月17日(火) 13:30~
出席者 櫻田 謙悟 代表幹事
橋本 圭一郎 専務理事

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記者の質問に答える形で、(1)かんぽ生命・日本郵便の不適切販売問題、(2)日韓局長会議、(3)COP25、(4)トゥンベリ発言、(5)英国総選挙、(6)デジタルプラットフォーマーへの規制、(7)全世代型社会保障検討会議、(8)ダボス会議、(9)今年の漢字などについて発言があった。

Q : 報道ベースでは、金融庁が不適切な保険販売を受けて、かんぽ生命と日本郵便への業務停止命令を出すというニュースが流れている。この件について、コンプライアンス等の観点から代表幹事の所見を伺いたい。

櫻田: 自社と近い業界ということを置いておいたとしても、法令違反として真正面から抵触し、相当な件数が発生していることについては、最終的に当局がどのような判断を下すかはともかく、あってはいけないことだ。古い過去に我々が経験したことが再度起きていることに大変残念で憤りを感じる。

Q : 昨日、日韓間の貿易輸出管理について局長会議が開かれたことは、関係改善に向けた最初の一歩だと思う。改めて経済界から見て、日韓関係が停滞していることによる経済界への影響、例えば風評被害や直接の輸出被害の影響について、経営者同士の会話やご自身の感覚を踏まえて伺いたい。

櫻田: 感覚的には前進の兆しが見えてきたことは良いことだ。かつての日韓関係のように互いにサポートし合う関係に戻るには時間がかかるかもしれないし、余談を許さない。実体経済への影響については、輸出は半導体材料の3品目以外にも徐々に影響が出ていることを以前申し上げた。インバウンドの影響についてはかなり大きいという見通しだが、額としてはそう大きくない印象だ。日韓関係がじっくりと正しい方向に向かうことを期待して、あまり慌てない方がよい。この段階でコメントするとすれば、少なくとも良い方向なのでじっくりと見守っていきたいということだ。

Q : 慌てない方がいいというのはどういう意味か。

櫻田: 日本の主張は、輸出管理をしっかりやってほしいというものだが、今回韓国は、自分たちの輸出管理のあり方について改めて説明してきた。緩和的な考え方で判断を急がず、原理原則にのっとるべきだ。

Q : COP25では気候変動が議論されたが、気候変動対策が成長戦略に繋がるのか伺いたい。日本は現実的な対策を国際的に訴えているが、欧州は「グリーンディール」という新たな成長戦略を強力に進めている。日本は成長とイノベーションを進めようとしている方向性は十分なものか、また成長に繋がっていくのか伺いたい。

櫻田: 結論から言えば日本にチャンスがある。もともと日本は環境、素材、エネルギーの分野では強い。日本は「化石賞」を受賞したわけだが、火力発電の効率性と環境負荷という点は世界トップクラスの技術を持っている。地球全体で技術革新しつつ、活用をして環境負荷を下げていく点においては日本の技術はますます評価されていくだろうし、成長へのドライブになる。また、プラスチックに代わる水に溶け、最終的に地球に還る素材にも可能性があり、EU以上に日本の技術が成長に使われる可能性が高く、大いに期待したい。

Q : 環境関連で若い世代の声が高まっている。グレタ・トゥンベリさんが発言しているように「本当の脅威は政治家やCEOが取り組んでいるように見せかけて、実際に行動していないことだ」という厳しい声に対してどのように受け止めているか。

櫻田: トゥンベリさんとは、今年1月のダボス会議のパネル討議の場で会話したが、当時トゥンベリさんのことは(あまり)知らなかった。年少な割にはしっかりとしたことを言う女性だなと思い、簡単に意見交換をした程度だ。記憶の中では大変厳しい顔で私を見ていたように思うので、CEOの一人として叱責の対象に入っていたのではないか。(取り組んでいる)ふりをしていることはないが、彼女の見方からすると全然危機感が足りていないということで、そのような言葉で表現されたのだろう。トゥンベリさんの言っていることについて、正面からノーと言える経済人や政治家は一人もいないだろう。大事なことは、現実的に解決策を編み出して実行していくことだ。その点において、日本は現実的環境主義者が多い。空想的環境主義者が日本の外に多いとは言わないが、日本の持つ現実的なソリューションを提示していけば、トゥンベリさんにも分かってもらえるだろう。来年1月に(ダボスで)トゥンベリさんにお会いできるかは分からないが、会う機会があればその話をしてみたい。

Q : 英国総選挙でボリス・ジョンソン首相率いる保守党が勝利し、英国のEU離脱がほぼ確定した。EU離脱によって英国がどのような方向へ進むか。例えば、アイルランド、スコットランドと(英国と)の関係がどうなるか。また、日本の中には、安全保障上(英国が)EU離脱した方が組みやすいとの意見もある。これらを踏まえて、代表幹事はどのように見ているか。

櫻田: 非常に難しい質問で、結論としてはわからないとしか言いようがない。来年1月31日に離脱するという宣言を正式なものとして発表し、EUとの交渉に入る。ジョンソン首相の抱えている課題がよりはっきりするだろう。彼の実力が試されるのは、まさにこれからだ。どれをとっても一つの方向にベクトルが向かっていない中で、どのような政治的統率をしてユナイテッド・キングダムをキープしていくのかという、とても難しく、かつてない政治的な試練、試験を受けることになる。とりわけ、結果として保守党が勝った一方、EU離脱を望んでいないスコットランドには(独立を志向する)スコットランド国民党があり、また北アイルランドでは独立を志向する党が躍進したと聞いている。どれをとっても発散しているベクトルの中で、ユナイテッド・キングダムとは何かを改めて示していかなければならない。EUを離脱した後に、今度はユナイテッド・キングダムをキープするという大きな課題を背負ったことにおいて、私はこの立場で簡単に答えを申し上げられない。大変なチャレンジが待っていると思っていると申し上げるほかない。

Q : 本日17日、政府はデジタルプラットフォーマーへの規制に関する原案を決めた。経済同友会は公正取引委員会の出しているデジタルプラットフォーマー規制に対して意見を発表しているが、政府の決めたデジタルプラットフォーマー規制に関する受け止め、今後ルール化が進むにあたっての立場など、見解を伺いたい。

櫻田: 詳細のコメントは了知していないが、従来から経済同友会が発表していることに基づいて申し上げる。今回の法案の骨子は、よく起きるレント問題、独占の利益を、期間も含めて、過度に得てはいけないことからきているのだろう。定期的に報告を求めて、特に優越的地位である巨大化したプラットフォーマー、あるいは巨大化した組織が必然的に持つ優越的地位を乱用しないよう牽制をする趣旨だと思っており、それ自体は正しいことだと思う。報告と規制が、競争を促進するのではなく、規制強化へと進む懸念があるが、現時点で政府はそのような趣旨を持っていないと見ている。正しい方向へ向かっていると思っている。

Q : 12月19日に予定されている全世代型社会保障検討会議について、代表幹事も委員の一人としていろいろ考えをお持ちのようであるが、報道ベースでは、75歳以上が2割負担、簡単に言えばお金のある方が全員ではなく、またワンコインも少し見送りと、また時期的なものは今後どうなるか分からないが、その辺りの今のご感想を伺いたい。

櫻田: 報道ベースでしか了知していないので、また明後日(全世代型社会保障検討会議が)あるので、その時にはっきりするとは思う。前回(の会見で)確か少しがっかりしているというようなことを申し上げたが、ほとんどが先送りになるというような報道に接したので、がっかりしていると申し上げた。昨今の報道を見るとそうでもないようである。もう少し言うと、当時から申し上げてきていたお金持ちが出せという意味ではなくて応能主義というか、応能負担について医療、介護、年金それぞれに渡ってその考え方が踏襲されているというように見受けられるので、だとするとこれは大いに評価したいと思っている。ただ、ワンコインの問題など細かいところについては、最終的にどういうような落とし所になっているのか分からないので、最終案を見ながら大事なことは来年の6月の骨太の方針に向けてしっかりと宿題があるとすればそれを解決していく、そしてしっかりと法案に上げていくということだと思っている。

Q : 来年のダボスに出席されるとすると、アメリカのラウンドテーブルも行き過ぎた「株主至上主義」をどう見たら良いか、という内容も議題に上がる見通しとなっているが、そのあたりに関して、どのような発信をしたいと考えているか。

櫻田: 発信の場がどのように与えられるかというところであるが、今の時点で私が発信する場としてあるのは、TIMEと共同で行うパネルで発信をしたいと思っている。その中で、経済同友会で言っている「いて欲しい国、いなくては困る国、日本」というのは、ラウンドテーブルが言っていることとかなり近いものであり、マルチステークホルダーというものは今頃かという気持ちもある。経済同友会もそうであるが、日本企業はそもそもそういう企業理念のもとで、経営してきており、もう少し前向きにいうと、このグローバリズムのもたらす負の部分、あるいは課題に対して、新しい国や企業経営のあり方を示すという意味において、日本は最適なポジションにいるともう一度訴えていこうと思っている。まさにチャンスが来たというところである。

Q : 先週「今年の漢字」が発表されて「令」という字になったが、これに関する所感と代表幹事にとっての今年の漢字は。

櫻田: 「令」という字については、かなりの方が「令」になるであろうと思っていたのではないか。そのような意味では、大穴ではなく本命が来たということで、良いと思う。私自身は、発表の前日に、ある会で改革の「改」と申し上げた。もし漢字以外も使うことが許されるなら、"今度こそ"「改」というものにしたかった。「改」とした心は、改めるだけではなく「改革」であり、しかも「今度こそ」が入っている。ひとつは、認識を改革しなければならないという点においては、ニューノーマルである。自然災害でもそうであるし、経済規模を測るGDPやCPIにしても、感覚と数字が違うというというのは何であろうかと考えている。それはもしかすると、数字の捉え方が違っているという点において、意識の改革が必要なのではないかと思う。何十年に一度の異常な災害が起きていると考えるのではなくて、来年も来るかもしれないと思うとどのような生活、経営をするだろうかという点においての意識の改革である。もうひとつは、櫻田同友会の一丁目一番地と申し上げている社会保障改革と財政という問題についての、財政改革、社会保障改革が必要である。明日、独立財政機関のシンポジウムを本会が開催するので、ぜひ関心をもって注目していただきたい。3つめは、この改革というのは経営者の意識改革というものになる。令和の時代を、来年を含めてどう捉えるかというと、日本にとって新しい意味での高度成長時代の始まりであると自分に言い聞かせている。このGDPやこれまでの経済数値では測れない豊かさや成長というものを日本は体感し、世界に発信していくことができる最初の年になるのではないかと期待している。そのためにも、人材への投資や強靭性、レジリエンスを高めていくための投資、これは必ずしもデジタルに限らないが、そういった投資をしていくという点において、経営者の意識改革をしなければならない。これら3つの意味を含めて「改」というのを申し上げた。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)


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