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櫻田謙悟経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2019年10月16日(水) 13:30~
出席者 櫻田 謙悟 代表幹事
橋本 圭一郎 専務理事

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冒頭挨拶の後、記者の質問に答える形で、(1)台風19号、(2)日経平均株価年初来高値、(3)災害への備え、(4)景気、(5)ブレグジット、(6)ノーベル化学賞などについて発言があった。

冒頭挨拶:
台風15号および19号によって、お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げる。被災された方々が、一日も早く普段の生活を取り戻されるよう、経済同友会代表幹事として、SOMPOホールディングス グループCEOとして心より願っている。損害保険事業を営む企業としても被害状況の把握に努め、お問合せやご相談等に親身にお答えし、保険金の迅速な支払いに全力で努める。次世代の方々が安心して暮らしていける国土・インフラを残していくことは、私どもの使命である。激甚化する自然災害にも対応するインフラの強化に向けて、私自身も積極的に議論に関与していきたい。

台風19号による甚大な被害があり、今回の大雨では東日本で50を超える河川で堤防が決壊した。去年の西日本豪雨を大きく上回る規模で、相次ぐ自然災害に対して改めてどう考えているか。また、関連で個社として保険金の支払額については現段階で、どの程度になると見ているか概算があればお伺いしたい。

櫻田: 5月に気象庁が地球温暖化と異常気象(昨年7月の猛暑)に関連性があるという正式なコメントを発表した。それを踏まえれば、今起きていることがアブノーマルではなく、ニューノーマルかもしれないという心構えをもって、ものごとを見ていく必要がある。前回の台風15号の際もそうだったが、今回もインフラの脆弱性が見える。また、例えば、当初は通常であれば、最大風速50mくらいだと想定していて、それに合わせて鉄塔やインフラをつくっていったが、それではレジリエンスが到底足りないことがはっきりしてきた。このような観点から、今回のようなことが今後も起きるという前提で、インフラをしっかりと見直していく必要がある。また、インフラの見直し、手当てには当然お金がかかる。今回は補正予算で対応することになっているが、補正予算についても真に効果が上がる方法をしっかり見極めなければならない。単に財政の負担(になり)、かつ効果が想定ほど出ないということにならないようにしっかりやっていただきたい。業界としても我が身の問題であり、必要な提言等は発信していきたい。また、インフラの強化というだけではなく、これだけインターネットあるいはデジタルのネットワーク技術が進んでいるため、できる限り早期に災害の規模や浸透度合い、想定される被災の程度を早期に発信することによって、国民が早期に備えることができるように取り組んでいきたい。事実、そのような技術はすでにできているため、それを地方自治体や民間企業と連携しながら広めていくことが重要である。前回(台風15号の際)も同じ質問を受けて、様々な前提を置いてお答えしたが、業界(日本損害保険協会)から前提をしっかり説明するように言われた。今回は災害の規模が大きく、範囲が広すぎるため、集計中で何とも言えない。ただ、前回よりは(被害が)大きいことははっきりしている。規模を数字で表すことはできない。できる限り迅速に日本損害保険協会会長から発表されることを期待したい。

Q : 台風19号の災害を受けての今後のインフラ整備について、効果を見極めたいとの話があった。堤防決壊への対策として、スーパー堤防などがあるが、お金も時間も相当かかる。ハード面のインフラ整備について、効果を含めて所感を伺いたい。また、デジタル技術について、SOMPOホールディングスが自治体と組み防災ネットワークを提供するなど、個社として取り組まれているが、デジタル化によってどのようなことができるのか、何にお金をつぎ込めばハード面の整備を待たずとも(防災、減災など)できるのか。深掘りして伺いたい。

櫻田: ハード面のインフラ整備への国費の投入が多かったとは思わない。各国比較においても、歴年の変化を見ても抑え気味だ。財政の制約があり、直接関係ないかもしれないが、社会保障の増加があったことから、インフラ補修はやや控えめだったように思う。様々な費用対効果の見方があると思うが、専門家の意見を聞きながらどのような投資をすれば効果的か、しっかり検討していただきたいし、説明責任を果たしてもらいたい。厳しい国費の中で、私どもはもちろん、メディアから見ても納得できるような投資をしていただきたい。補正予算も同様である。減災や災害予防について、一つの例として、SOMPOホールディングスが業務提携をしている米国シリコンバレーのOne Concern, Inc.は、自然災害の規模、地形、時間など、あらゆる要素をデータ化、AIで解析することによって、どのような範囲でどのような損害が発生しうるかを事前に予測でき、かなりの精度で当たる。これを自治体に提供、自治体が地域住民に提供することで、より具体的に防災、減災につなげることができる。現在、熊本県と実証実験中である。このような仕組みは、IT企業や損害保険会社、リスク管理を専門とするコンサルティング会社等も取り組んでいるはずだ。お互いに切磋琢磨しながら、防災・減災への知恵を国民に提供することが重要であり、経済同友会も触媒的な役割を果たしたい。

Q : 経済同友会として被災地への現地調査や支援などの予定はあるか。

櫻田: 現時点ではまだ予定していないが、まずは情報収集をしたい。会員所属企業の中にも被災されている企業があるだろうから、それも踏まえて議論、検討したい。

Q : 消費税率が10%に引き上げられて1週間ほど経過した中での台風被害だったが、経済や景気にどのように影響するとみているか。

櫻田: 景気と消費が結びついているという理論をもとに考えれば、家計、企業にかかわらず、やむを得ず支出をしなければならない中で、資金が投入されるという点については、景気刺激にはなるだろう。しかし、それをもって景気対策とするのはあり得ない話だ。純粋に資金が部門や分野に投入される点においては、経済にとってはマイナスよりプラスではあるが、それは一時的な話であり、消費者や国民の安心感、予見性が高まるかというとそうではない。社会保障がもたらす国民への不安、異常災害が異常ではなく、ニューノーマルになった場合に国民が感じる将来に対する不安から、結果的に消費への抑制が起きるとすれば、民間企業はもとより、国が積極的に情報を発信し、ファクトと備えを提案していくことが大事だ。

Q : 今回の台風19号は東日本を中心に(被害が)かなり広範囲だった。雨台風と表現してよいくらい、都心でも多摩川等の河川が氾濫し、「越水」という言葉が多く報道された。土手や堤防を超えて河川が氾濫し、土手の決壊によって、台風による被害はまだ広がっている。8年半前の東日本大震災から、毎年大きな自然災害が起きている。地域によって差があるが、のど元を過ぎると(脅威を)忘れてしまう。官邸、都道府県、経済界が連携できる仕組みづくりに向けてきちんと議論することが必要だ。復興庁が存続する構想もあるが、長期的な視野を含め経済同友会として提言を出すなどのお考えがあれば伺いたい。

櫻田: 現時点では組織的に(自然災害に関する提言を)議論している事実はない。先ほど質問があったが、これだけ(自然災害が)続いていることを踏まえると、経済界として何ができるかしっかり考えないといけない。今回の件は保険金を支払っておしまいという話ではなくて、そもそも保険金を支払わずに済むような体制をどう作っていくか、あるいは損害を最小化できるようにどうするか議論するきっかけになると思う。経済同友会のみならず経済三団体や日本損害保険協会、インフラ機能を担う民間企業も同じような問題意識を持っているかもしれない。どのような体制がいいのか分からないが、喉元過ぎれば熱さを忘れてしまうことのないように考えていかなければならない。日本人には、自然を手懐けるよりも、自然の猛威を受け入れるという良い点でもあり、悪い点でもある精神性がある。ご意見を踏まえて内部で検討していく。

Q : 東京株式市場で日経平均株価が今年の最高値を更新したが、代表幹事の所感と、米中貿易摩擦を含めて、先行きに不安要素がある中で今後の期待や展望をお聞かせ願いたい。

櫻田: 日々の株価の上下についてはあまり理論的に説明できないし、しない方がいいと思っている。需給で決まることや機械のトレーディング(システムトレード)を踏まえると、何かが引き金となって(株価が)変動することがある。少なくとも何かファンダメンタルな要因で株価が上昇したとは思わない。中長期的にはIMFが先日公表した通り、(経済状況は)だんだん悪くなっており、「心配しなくていい、来年は今年よりも良くなるから」という(楽観的な)考えにならないようにしないといけない。しかしながら、日々集まってくる情報は将来の予見性を狭めるものばかりであり、可視化する努力が必要だ。投資を控えたり、消費を控えたりするときは大抵視界が不良になり、とりあえず様子を見ようということで控える場合が多い。明らかに悪くなっているというよりは視界が不良だから投資や消費を控えている状態がいまだに続いている。先日の日銀の支店長会議での各都道府県の状況を見る限り、「良くなっている」と答えた割合は横ばいで、「悪くなっている」という回答はほとんどなかった。実態としてはそれほど悪くないが、視界不良だから今一歩前に出られない。これを解決するには英知を結集して将来の展望をファクトベースで示していくことが、霧を少しでも晴らすことに繋がると思う。経済同友会も微力を尽くしたい。

Q : AIシステムで事前に起きうる災害の種類を予測し、事前に備えることができるのではないかとの話があったが、インフラにおける備えのほかには、予測を受けてどのような備えができるとお考えか。

櫻田: 保険というのは、マイナスをゼロに戻すのが精一杯である。ゼロをゼロのままにする、ましてやゼロをプラスにすることはできず、そこが限界である。このシステムでは、例えば、台風何号がどのあたりに発生し、このようなルートを通りそうだと判るとすると、そのモデルを回すことにより、この地域に最大風速がどれくらいの台風が来そうだ、特にこの地域は河川が氾濫する可能性があり、床上何センチ、何メートルまで来そうだというところまで(できる)。データを食べさせれば食べさせるほど、賢くなってくる(のが)AIである。(予測を)事前に流すことがとても大事だと考える。地震の場合、なかなかできにくいが、それでも震度いくつかの地震が発生するとすれば、冬の何時に発生し、このようになりますということを事前に流せる。国民の皆さん、私共の契約者もそうであるが、備えることができるというのは、非常に大きいと思う。例えば、数年前に関東で大雪が降ったとき、保険はすごく大きな支払いとなった。その対象の多くが、駐車場のカーポートであった。カーポートの支えがない側に雪がたまり、カーポートの屋根が倒れ、車が潰れてしまう。上から雪が落ちてきてカーポートに当たり、潰れるなど(の被害があった)。だが、部品の柱を追加して備えておけば、ほとんど何もなかった。このようなことを事前に提供することで、保険にもお世話にならずに済む。こういったことをしっかりやっていけるのではないか。

Q : 関西電力の金品受領問題について、就任のお祝いや、お付き合い等において、どれくらい(の金額や程度)まで許されるのか、代表幹事の所見を伺いたい。

櫻田: 各社それぞれあるのかもしれないが、どの程度が妥当なのかは、その会社によって違うのかもしれない。他社のことなので、(妥当性について)触れられない。私どもの場合には、明らかに高く、(あのような金品は)いただけない。

Q : 関西電力が結果的に3回の記者会見を行うことになり、最終的には会長・社長が辞任することになった。これらの3回の記者会見について、(企業が)社会に対する説明としてどうあるべきなのか、代表幹事の見解を伺いたい。

櫻田: 前回の定例記者会見と重複するが、今回の経緯を見る限りにおいて、事実を分かっていた、監査役も知っていた、取締役会には報告していなかったという事態は、どのように考えてもガバナンスが緩かったとしか考えられない。3回の記者会見を開いたということと、当初は否定されていたが、(会長・社長が)果たす責任から取る責任に変わったということであり、会長・社長が辞任されるということ自体は(ご自身の)ご判断である。事の本質はそこではなく、経済界的には、エネルギー政策をきちんとやっていくためには、どう考えても、原発の再稼働は必須である。再稼働に向けて、今やるべきことは、財界ももちろん、電力業界が原発に対する信用を得ていくことが何よりも大切な時期に、こういったことが起きてしまったことが、一番の痛手、打撃である。今、関西電力がやるべきことは、二人が辞めるということではなくて、そのようにお考えになっていると思うが、どうやって原子力発電に対する信用を回復していくことを、続けていくべきである。それしか国民の理解を得る方法はないだろう。

Q : (先の質問の)景気の部分に関連して、視界不良の状態が続いているという(代表幹事の)発言について、具体的にどういったことを指しているのか、考えを伺いたい。

櫻田: 国内では、社会保障、消費税、異常気象、そしてその裏側にあるインフラの脆弱性といった不安材料があるが、経済的な事象という点について言えば、それらは全て現在の景気の足を引っ張るという状況になっているとは思っていない。視界不良の一部である。それよりも大きいことは、日本の外で起きていることが、日本に与える影響が見えないことが、不安で仕方ないということである。具体的に言えば、米中(関係)である。どこまで(この問題が)行くのか分からない、先日も(米中の)閣僚会談があったということで、一旦は、ほっとしているが、私は今回の会談によって、将来の予見可能性が高まったとは思わない。ひとつのことで反対側に(議論の方向が)行く可能性があると思う。それから中東で勃発している事件、先日起きたトルコの(シリアへの)侵攻、クルド人にまつわる色々な方向にそれぞれが引っ張られる構造、そこにロシアが入ってきたり、北朝鮮(情勢)、香港(情勢)、ブレグジットと、当初予定していなかったことが、脈絡もなく、次から次へと起きていることに対して、企業も国民も、竦んでしまっていることが実態であり、これが視界不良の原因である。どうやって霧を晴らすのか、それは、その事態が起きてしまうこと、もしくは(結果が)こうなるということが見えてくることの、どちらかしかないと思うが、起きてしまう事という点で言えば、中東で実際に事が勃発するということは、あってならないことであり、少しでも霧が晴れることを、時間をかけて粘り強く解明していく努力をしていくしか方法はないだろう。我々経済界から言えることは、ミクロ(経済)であるが、皆様に(実態を)良く見てください、実態はそんなに悪くない、ということを、エビデンスを付けて、発信することが出来る。外交やマクロ経済について、私たちは発信することは出来ないが、一般企業として日々接していることについては、ファクトとして、エビデンスを付けて、説明をすることができる。皆様が不安に思ってることは、実態もそうです、あるいは(実態は)そうではない、ということを、エビデンスを付けて、企業体として発信していけるということが、(我々の)強みであり、(霧を晴らすために)そのような努力を、(今後も)していきたいと考えている。

Q : ブレグジットについて伺いたい。EU首脳会議が今週あり、(離脱期限の)10月末までの最後の首脳会議と言われている。先行きは不透明だが、10月末という期限が近づいているブレグジットをどう見ているか。ブレグジットについて「はっきりしてくれ」という企業の声を耳にする。ブレグジットに対して備えても、延期の繰り返しで結局決まらないことに対するブレグジット疲れが起きているとも言われているが、その点も含めて、回答をお願いしたい。

櫻田: 組織で(経済同友会として)論議している訳ではないため、公式回答ではない。先週、トルコとイギリスに出張した。たまたまではあるが、出国した日にトルコのシリア侵攻が起き、イギリスに向かうとブレグジットの議論に火が付いた。ご指摘の通りブレグジット疲れは、ややある。(ブレグジットが)ハードであろうが、合意に基づくものであろうが、おそらく日本の企業はサービス業、金融業含め、織り込み済みだろう。そのため、日本経済に大きな影響は与えることはもうすでにない(と思う)。もしサプライズがあるとすると、散々議論した結果、総選挙があり、もう1回国民投票でノーブレグジットとなる(ことである)。この間の議論とは何だったのかとなり、それに伴う機会損失が大きい。むしろ、今や関心はノーブレグジットもある(ことに移っている)という感覚を(先週の出張から)持っている。民間のレベルで議論した話であり、それぞれの国や立場の正式な見解ではない。(ブレグジットの方向性は)予測しないほうが良いと思う。

Q : 昨今の災害を鑑みると、インフラ(に対する)投資をしなければならない一方で、社会保障費の増大や1000兆円を超える借金を抱える財政の問題も非常に大きい。予算を増やし続けるわけにもいかず、(予算が)限られた状況で何を減らすべきか、どのようにすべきかを代表幹事に伺いたい。

櫻田: 非常に重要な問題である。部分最適と全体最適という言葉があるが、インフラはその中でどう最適化するか、社会保障は負担と給付をどうするか、例えば教育や安全保障はどうするかとそれぞれの部分最適がある。品目や事業分野を跨るものについて全体最適をどう作るかはどこで議論するのか。おそらく経済財政諮問会議や未来投資会議等の国レベルでやると思うが、経済界の立場でも、社会保障問題やインフラについてそれぞれ「こうすべきだ」と述べるのではなく、国費の最適配分の仕方をどう考えるかについての議論を始めなければと思っている。ただそういった大上段の議論をするためにはどう考えても1000兆円を超える負担、100兆円を超える予算の3分の1を占める社会保障についての議論を避けては全体の議論も進まない。一丁目一番地は社会保障である。そこで少しでも生産性を上げて効率化できたものはインフラ、安全保障、教育に回して行く努力をする必要がある。

Q : ノーベル化学賞に吉野彰氏が企業のフェローの立場で受賞されたが、何か特別な感想があればお聞かせ願いたい。

櫻田: コメントで公表した通りだが、毎年のように受賞者が出ており、日本はすごいと思う。吉野氏が話していたようにリスクを取らなければならない時には取らせてあげることが必要だ。例えば30歳代の若い研究者や心技体が充実した研究者にちゃんと機会を与えて、リスクを取らせるのは、企業にも当てはまると思う。私のような歳になるとリスクを取れと言われても、失うものがないので手遅れだ。経済同友会でも取り組んでいるが、スタートアップ企業や経営者をいかに元気づけるかが重要であると、吉野氏の言葉から学んだ。大変素晴らしいことだと思うし、ラグビーワールドカップの日本代表の活躍と同じくくらい元気を与えてくれる(ニュースだ)。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)


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