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経済3団体長 新年合同記者会見 経済同友会 小林喜光代表幹事 発言要旨

日時 2019年1月7日(月) 15:15~
出席者 中西 宏明 日本経済団体連合会 会長
三村 明夫 日本・東京商工会議所 会頭
小林 喜光 経済同友会 代表幹事(幹事)

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記者の質問に答える形で、(1)2019年の経済見通し、(2)外国人材の受け入れ、(3)2019年の抱負と国民に望むこと、(4)円相場・日経平均株価予測、(5)賃上げ、(6)政権への期待、(7)消費増税、(8)財政・金融政策、などについて発言があった。

Q:2019年は10月に消費増税が予定される一方、TPPなどの発効による輸出への追い風が期待される。年末から年明けにかけて市場の変調もあったが、今年の景気見通しを伺いたい。また、4月から外国人材の受け入れが進むことで、日本経済のボトルネックとなっていた人手不足の解消がどこまで進むものかについても、併せて伺いたい。

小林:  景気のことは景気に聞いてくれと言いたいところだが、やはり2月末までの米国・トランプ大統領と中国・習近平国家主席の関係性が一番のポイントになると思う。FRBが金利を上げる方向性の中で若干、(株価が)急落した部分もあるが、おそらく日本株も神経質な動きを2月末まで続けながら2万円台にとどまるであろう。米中の関係については(冷戦時代の)鉄のカーテンのように、テクノロジーやセキュリティーなどの厄介な問題が表面化したといえる。そう簡単に明るい兆しが見えるとは思えないが、一定程度の方向性が見えれば株式市場も安定してくるだろう。為替についても、米国が利上げを止めることで当面は円高傾向が続くかもしれないが、よほど米中間に亀裂を生じない限りは、景気そのものがサドンデスで急に悪くなるということはないだろう。本日の某新聞では、(日本企業の2018年度)ROEが10%を切りそうだという報道もあった。資本効率的な意味では飽和状態が起こりつつあるが、まだまだそう急にシュリンクすることはないのではないか。0.7~0.8%のGDP成長率の巡航速度でゆったりと進んでいくだろうと見ている。外国人材については、明らかに人手不足不況という面もある。当座は外国人材、それもどちらかというとルーティンワーカーに近い方々を入れるのは大いに結構で、(人手不足の対応として)一部では仕方がない。しかし、語学教育(はもちろん)、長期的な外国人への教育、住居問題、環境問題を含めた対応を並行して進めていくべきだ。それをモニターする機関をしっかり(機能)させることも非常に重要だと思う。
中西会長: (略)
三村会頭: (略)

Q:今年は改元もあり、節目の年となる。経済団体として、国民のために何ができるか。また、国民に何を望むか。

小林:経営をうまくやり、きちんと儲け、景気を良くしていく。これが経営者としての基本である。経営者団体として最も考えるべきは、これだけ借金のある国においてもGDPをしっかり成長させ、経済を活性化し、儲かった会社はステークホルダーである従業員にきちんと報いるということだ。これは当然だと思う。(さらに)社会的な問題として、地球環境(への対処もある)。2040年、2050年に向けて、化石燃料はもう(それほど)使えないというのが、世界的なアジェンダである。それに向かって経営としてどういう方策があるのか。イノベーティブに、自分の持ちうる資源を投入して、世界市民として価値ある企業体をつくっていくことが、一番やらなければならないことだと思う。次に、国民に何を問うか。これについては、正確な事実をメディアや我々のような団体を通して(伝えることだ)。(国民は)今、日本が置かれている(状況を)正確かつ定量的な事実として勉強し、その中で自分の意見をしっかりと持つ。健全なる民主主義を(掲げる国家は)、今や非常に限られつつあるので、(日本が)最後の砦というくらいの気持ちをもって、国民が自立し、自分から正確な情報を取りに行き、自分なりの意見を持つということを求めたい。
中西会長: (略)
三村会頭: (略)

Q:金融市場の動向について、今年1年間の円相場、日経平均株価の見通しを伺いたい。円相場については10円未満、株式は5,000円未満の単位でお答えいただきたい。また昨年末の時点では、今の景気拡大局面は東京五輪が予定されている2020年下半期まで続くと予測する経営者が多かったが、最近の金融市場の荒さ、米中貿易戦争、TAG交渉なども踏まえ、今年は変調の兆しを感じているか。感じている場合はその理由をお聞きしたい。

小林: ジオポリティクス(地政学)はジオエコノミクス(地経学)に影響されており、またその逆もあって相互に強い影響を持ち、関係性が深まっている。政治的状況が読めない中で経済だけ(を読む)というのは難しいという前提で、当たるも八卦、当らぬも八卦というつもりで言えば、円相場はすでに104円をつけてしまっており、1月~2月あたりは104円くらいいってしまうのではないか。本日は108円(台)で安定しているとはいえ、4円程度は簡単に動くだろう。(1ドル)104円~115円、希望的観測でこれ以上の円高にはいかない(と考えたい)。日経平均は、日経新聞の正月紙面で18,500円~23,000円と予想したが、(その考えは)今のところ変えていない。2~3月は波乱要因もあり、米中関係はリスクの一つだが、実体経済については、今後1年程度はリーマン・ショックのようなクラッシュは起こらないだろう。消費増税が8%から10%へつつがなく行われる前提で、23,000円くらいはいってほしいと思っている。(そろそろ景気後退局面に入るかという質問については)今年はないが、オリンピックが終わったら元気がなくなる危険性はあると思う。
中西会長: (略)
三村会頭: (略)

Q:これから本格化する賃上げについて伺いたい。本日、安倍首相は挨拶で、去年に比べるとまろやかな表現で、「榊原前会長に続き、中西会長も宜しく」とおっしゃっていた。なぜ、去年は(賃上げ目標の)数字を出していたのに、今年はそうでなかったのか、背景と思われることを伺いたい。その際に、民間の力が試される春闘になるとも思うが、企業経営者はどういったマインドで賃上げを考えていくべきか。関連して、安倍政権は今年で7年目に入る長期政権となった。経済界として、政権に今年1年しっかり取り組んでもらいたいことは何かを伺いたい。

小林: 以前から申し上げているが、賃上げそのものは労使で決めることだ。「政労使」は新しいコンセプトかもしれないが、自分の家庭については夫婦間で決めるように、企業のステークホルダーは、お客様や社会であり、もっとも身近なのは労使である。企業は運命共同体という部分を基本的な考えとして、株主がどのように評価するか。企業価値は基本的には株主が決めることだが、運営そのものは、多くのステークホルダーにより成り立っている。政治もその中の一つかもしれない。給料は前年のパフォーマンスをベースにして、企業によってはフォーミュラ(計算方式)をもっていて、ボーナスも含め、ある法則に則って決めていく。あくまでも個別(企業)の問題であり、(業績が)いいところはボーナスを入れて10%というところがあっていいし、悪いところについては「出せないものは出せない」というのが基本だと思う。安倍首相がマイルドだったのは、(賃上げについてだけでなく)話全体がマイルドだったのではないか。聞くところによると、経団連でお話された際は「昔は5%くらい上げていた」と示唆したと聞いているので、本心は3%や5%(の賃上げをお願いしたい)と言いたいのかもしれない。(新春パーティーで首相が挨拶に引用された)猪ではないが、ふっと横によけたということだろう。政治へのリクエストはたくさんあるが、概念的に言えば、かつて国家は百年の計と言われていた。民間企業の場合は、ショートターミズムにより、1カ月、3カ月単位で儲かった、儲からないと株式市場に評価されることが多い。しかし経営者は、10年の計、20年の計で研究開発や社会貢献を考えている。国家も最低10年、20年先の議論を、野党を含めてなぜできないのか。GDPはGross Domestic Productではなく、Gross Debt Productとなっている。借金を増やせばGDPも増えるだろうが、結果として次世代に大変な借財を送っている。次世代に対する思いを考えていただきたい。選挙システムにガバナンスが効いておらず、「自分さえ良ければ、今さえ良ければ」となってしまう。長期的な国家百年の計とは言わないまでも、少なくとも20~30年の計はスコープにおいて議論をしていただきたい。
中西会長: (略)
三村会頭: (略)

Q:今年10月に消費増税がある。政府は過剰かと思うくらいの経済対策を打ち、平準化を進めたが、それでも消費増税することで、景気が下降する不安はあると考えるか。また、増税によって、2020年以降の景気に影響が出るかを伺いたい。

小林: 定量的に言えば、あと半年残っている。1年ベースで言っても、2兆円程度と見込んでいる増税分に対して、2.3兆円の経済対策を予定しているので、算数で見る限り消費減税になっている。日本人消費者のメンタリティをどう定義するかは難しいが、ヨーロッパでは法人税、所得税、消費税が(どの国も)同じようなレベルだ。消費税も20%程度を受け入れており、21%になろうがあまりケアしない。もともと頭の中が平準化している。(それに対して)日本は、ヒステリックに反応していると感じる。そこをどう見るかだ。いくら補填しても所詮、消費税が上がったというメンタルが強いとしたら、やはり景気は少しは下がる。しかし、5%から8%に消費税率が上がった時よりは、相当緩和されるレベルではないか。
中西会長: (略)
三村会頭: (略)

Q:財政と金融政策について伺いたい。(現在の日経平均)株価20,000円というのは、日銀が買い支えているような状況だ。消費税対策が手厚いといっても、日銀のファイナンスによって支えられた財政で成り立っており、これが恒常化して皆が馴れてしまっていると感じる。これに対する財界からの声が少ないという印象を持つが、どのくらいの危機感を持っているのか。また、政権へのメッセージを伺いたい。

三村会頭: (略)
中西会長: (略)
小林: 最近、株価が下がっているが、米中の新しい亀裂から来ていると同時に、日本ではもともとPBRが0.5とか1.0、PERも10%、15%という会社がほとんどであり、GPIFの資金が入ろうが入るまいが、外国人(投資家)が逃げている現実をどう考えるかがポイントだ。ROEに限らず、日本企業の資本効率が欧米(企業)と比較して十分な魅力を持つところまできていない。かつては六重苦、とりわけエネルギーコストの高さ、雇用の流動性の低さなどが言われていたが、一番(の問題)は為替の問題だった。(1ドル)80円台ではとても戦えない。その為替を100円以上にもってきたのは、欧米並みの緩和をして、2%の物価上昇目標を立てたことによる(ものだ)。六重苦から解放し、(現在までに)企業には6年間という時間ができた。イノベーションをベースにした成長戦略(が必要で)、金融政策、財政政策で時間を稼いでいる間に、企業がもっと元気にならなければならなかったのだと思う。なぜGAFAやファーウェイのような元気がいい、ああいった形の企業が(日本に)それほど出てきていないのか。それなりの利益を出しているが、先程言及したような指標について、大きな成長が目に見える結果がこの6年間でまだ出せていない。出口戦略は当然必要だが、このままの状態で出口に行くと元も子もない。一回パンドラの箱のふたを開けてしまった状況の中で、最後の砦としては、やはり企業が元気になって儲けるということしかないのではないか。

Q:昨年11月下旬に、2025年大阪万博開催が決定した。中西経団連会長は日本国際博覧会協会のトップへの就任が内定されている。関西だけでなく、オールジャパンのイベントとするために、どのような仕掛けづくりが必要だと思うか。中西会長にお答えいただきたい。もう一点は、会場整備費の1/3にあたる400億円を民間で負担することになっているが、この集め方について、現段階での中西会長のお考えを伺いたい。他の団体にも、資金集めのアイデアがあれば伺いたい。

中西会長: (略)

以上
(文責: 経済同友会 事務局)


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