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小林喜光経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2018年9月4日(火) 13:30~
出席者 小林 喜光 代表幹事
横尾 敬介 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、自民党総裁選、就活ルール廃止、サマータイム導入、リーマンショックから10年、倫理規範などについて発言があった。

Q : 9月20日投開票の自民党総裁選について伺いたい。現在、安倍首相と石破議員が立候補を表明しているが、どちらを支持しているか。また、次期総裁に期待することがあれば考えを伺いたい。

小林: どちらを支持するということは(申し上げ)ないが、折角のいい機会なので、今後の持続可能な日本というのはどうあるべきかを中心に、議論していただく良い機会ではないか。

Q : 昨日、経団連の中西会長が、就活ルールの2021年入社からの廃止について、機関決定ではないものの、会長の意見として表明した。これを受けて、麻生副首相・財務大臣や世耕経済産業大臣はじめ閣僚から発言が相次いでいるが、これについて代表幹事の見解を伺いたい。

小林: 私もコメントを拝読したが、深い内容と感じた。特に菅官房長官のコメントについては、(問題について)よく理解されているというか、うまいなと思った。経済同友会では、以前より通年採用や新卒採用についての議論(を行ってき)。インターンシップ(については)、1日や2日ではなく、1か月単位で進める意見発信など、これまで具体的なアクションをとってきた。いまや企業がこれだけグローバル化し、株主の約半数が外国人である中で競争優位に立つためには、採用が極めて重要な時代となっている。これまでのような、日本特有のメンバーシップ型の雇用から、ジョブ型の雇用へ(移行すべき)ということについては、本会でも整理をしながら、長い間議論をしてきた。そういう意味で、業界団体の集まりである経団連の会長があのような形で一石を投じられたということについては、非常に前向きに評価したいと思う。少なくともこれだけ時代が変革し、人生80年から100年(の時代)を生きていく中で、本当に大卒時一度(の機会)だけで人生を決めなければならないのだろうか。例えば、本会では、(大学卒業後、)3年から5年程度のバッファゾーンを設け、一度間違って会社に入社しても、辞めて再トライできるような仕掛けを考えてはどうかといったことを提言してきた。海外では、長いインターンシップを経て、自分なりに鍛えてから会社に入るというバッファゾーンもある。あなたは何ができるのか、どのくらいの給料が欲しいのか(といった視点)は、まさにジョブ型の基本であり、他の国ではそれが当然のようにできている。日本のような、大量生産、大量雇用を行い、社内で教育をして、一生面倒をみるという終身雇用・年功序列といった従来の社会体制は、明らかに変革を迫られている。いきなりダイレクトに変革することには問題もあるだろうから、経済界のみならず、大学人を含む教育関係者を含め、あるいは当然政府も含めて、通年採用のベースに則って、新卒をどう考えていくべきか(について議論していくべきである)。また、自分の感覚からすれば、就職活動するから勉強ができないというのは甘えだと思う。勉強しながら就職活動するのは当たり前だし、社会人も毎日勉強しながらルーティンワークもやっている。そもそも変に教育だけを切り離すべきではない。オン・ザ・ジョブ・トレーニングは当たり前のことである。そういった考え方も含めて、大いに議論する契機になったことはよかったと思う。

Q : 自民党総裁選では、安倍首相、石破氏どちらの候補も経済政策を掲げているが、日本の成長のために要望したい政策、あるいはやめてほしい政策などがあれば、意見を伺いたい。

小林: 前々から申し上げているように、人口が減少し、東京に一極集中する問題もなかなか方向が変わらない。一方では自分と同じ年齢層が2022年には75歳になり、病気になる確率が上がってくる。やはり、社会保障という健康維持等を含めた歳出が大幅に増えることが予想できる。また税収は、プライマリーバランスがまだマイナス17兆円(2018年度見込み)というレベルであり、これが永遠に続くということはありえない。やはり、どこかで財政を健全化しなければいけない。プライマリーバランス(黒字化目標時期は)2025年ということで動いているが、これも確実なものにすべく、社会保障なり財政再建を、数値をベースにして、より精緻な議論をしてもらいたいというのが非常に重要なポイントである。日本社会の持続可能性と国際的な比較優位がキーワードになるのではないか。

Q : 安倍首相、石破氏の両候補に、質問されたいことがあれば伺いたい。

小林: 企業は、株主と向きあって事業を行っている。外国人の(株主が)4割、(多いところでは外国人株主が)7割の会社もあるため、グローバルに戦わざるを得ない。先ほどの新卒採用、あるいは通年採用も含めて、(事業)環境をいかによくするかということを考える。
しかし、政治の場合は、当然国を守り、国家というバウンダリーというかボーダー(の中で考える)。企業はボーダーレスでものを考えやすいため、採用にしても積極的に(グローバルな視点で考えられる)。しかし、国内政治の世界では、誰に裁かれるかといったら、最後は国民である。当然国の中だけを考えてしまう。財政再建についても、政治の世界では、国民の財産というか個人資産も国のものだと思われがちなところがある。(国の財政と個人の資産を)連結で考え、国家としたら借金はあるが、トータルでは相殺できるという論者も多い。自分の考えはそうではない。企業は国を選ぶ。あるいは個人も、本当に国がおかしくなったら、当然日本人であることを第一義に考える人も多いとはいえ、こういうグローバルな時代になると、国家を選択する人々も増えていくだろう。そのあたりの財政に対する国家感というか、国民感を聞いてみたいと思う。

Q : 安倍首相が自民党にサマータイム導入の検討を指示したが、代表幹事としてはこの議論をどうみているか。メリット、デメリットなどあると思うが、お考えを伺いたい。

小林: CO2削減、環境問題などに理由にすることももちろん可能かもしれないが、ヨーロッパでは現在、サマータイムを導入している国々の7割から8割の国民が、逆に反対している。長い間やってきたものの、やはりなんとも納得できない人が多いというのは、まずひとつのエビデンスとして、しっかりみなければいけない。森 元首相が言われている(のは)、(東京)オリンピック(・パラリンピック)が(開催される時期に)今年ほどの猛暑が続くと、早めに(競技)時間を設定した方が良いと(いうことだと思う)。2時間程度の時差を(設け、競技開始時間を)7時からにすることは、午前中に競技する種目には良いが、夕方開始するサッカーなどは、逆により暑い時間に実施することになってしまう。オリンピック委員会において、(競技)スケジュールが相当程度決まってきている中で、(国)全体のサマータイムの導入を、この1~2年で簡単に(行うのは難しく)、当然システム変更もあり、混乱を招く(可能性がある)。競技によっては時間を早めに行う、むしろ遅めにスタートするなど(の対策を取りながら)、放映権を持っている世界のメディアとどう交渉するか(が重要)で、これはやるべきだと思う。サマータイムの導入は、もう少しシステムや(社会)全体(について)考えながら(行うべきで、)何も拙速に、オリンピックに合わせるという類のものではなかろうと思っている。

Q : オリンピックや猛暑対策を除いて考えた場合、今の日本がサマータイムを導入することをどう考えるか。

小林: 日本の場合は冬と夏で(日照時間に)そこまで大きな(違いはないが、)白夜のある北欧など(において)は一定程度の意味がある。日本では、夏は(午前)5時頃に明るくなり、冬でも7時頃なら明るくなる。わざわざ1時間も2時間も(時間を)ひっくり返す必要があるのだろうか。(私も)海外出張に際しては、夏時間・冬時間によって、いちいち時計(の設定)を変える。北欧のように、冬と夏で日照時間が異なるところは仕方ないが、日本には本質的にあまり必要ないのではないか。むしろ省エネやCO2が問題ならば、(午前)5時に明るくなるので、太陽光をいかに利用するか。あるいは、朝の6時から夕方の5時頃までを中心に働く時間を変える方が、よほど効率が良い(と思う)。それによって、CO2の削減もできるのではないか。

Q : 新卒採用について伺いたい。これまで経済同友会が通年採用を提言してもなかなか変わらなかったように、今回の経団連中西会長のご発言も、そのとおりにスムーズに進むかは分からない。今まで進んでこなかった理由は何か。また、これから働き方を変えていくためには何が必要か。


小林: 日本人は、変えることに億劫な人が多い。変革が突然起こることは歴史的にはあるが、徐々に変わっていくものに対しては、ずるずると遅れてしまうというところがある。また、学問や教育の世界にいる方々と、経済に携わって日々グローバルに戦っている人達とでは、自ずとやはり切迫感が変わってくる。したがって、世界の中で比較優位でないと生きていけない経済人が(改革を)主導して(いくべきである)。おそらく教育界からの反対もあるだろうし、大企業の中でも色々と意見があると思う。しかし、最終型(についての議論)と、当面何をするかという議論になってくるかと思う。当面ハイブリッド型でやるにしても、不公平がないように、どのような手立てを使って皆の納得性を高めるかが第一の議論になるのではないか。教育現場からみると、就職活動するから学問ができなくなるということは、果たして本当かなと思う。自分の経験からすると、40年以上前の12月2日に入社したが、今、社会人として学生時代より勉強しているので、学生時代はよく遊び、卒業してから勉強するのもいいのではないかとも思っている。情報を頭にインプットするだけなら、現在は、スマートフォンでみれば歴史の年代もわかるし、百科事典も中に入っている。それより、どのように社会を判断するか、自分自身が生きるというということとは何かという、基本的な選択や考え方を学ぶべきではないか。そのためにはキャンパスにいるだけではなく、外に出て、例えば、半年ぐらい海外旅行をするようなことこそが、本当の教育だと思っている。そういうことも含めて議論したらいいのではないか。
ただ、AIや統計学、データサイエンティストのような人材が不足している中で、優秀な人は18~19歳くらいが一番活躍する時かもしれない。そういう意味でも新卒一括採用というものは、社会全体の損失ではないかと思う。

 Q : 9月15日でリーマンショックから10年が経つ。この10年で日本は景気回復してきたが、振り返ってどのように捉えているか。また、リーマンショックの教訓をどう活かしていけばよいか。

小林: (リーマンショックが起こったのは、自分が三菱ケミカルホールディングスの)社長に就任して1年少し経った後の2008年9月だった。いきなりのことで(最初は)感覚がピンとこなかった。バブルが泡立っている時というのは、みな心地がよいので茹でガエルになってしまう。(ある時に)突然死したというのが最大のポイントだったと思う。その後、金融緩和などを日欧米で行った。昨日のある新聞によれば、日本企業の(17年度末の金融・保険業を除く)内部留保が(2011年の)約300兆円から約446兆円、この8年間(2009~2017年度)を数値で見ると、企業の売上は約1,368兆円が約1,544兆円、現金の保有も約157兆円から約222兆円と非常に全体が順調に伸びてきている。この10年間で、海外のM&Aが相当増えたため、有価証券が増え、バランスシートでは内部留保が一見増えているが、(この間に)貯めた現金は約65兆円ぐらいである。企業の売上を見ると約176兆円増え、またここに来て設備投資も増えている。(しかし)経済活動はグローバルにみるとアメリカが最も元気で、また中国は過去10年間の成長により、GDPが日本の2倍以上になってきている中で、相対的にみて日本はそこまで早く成長しているわけではない。企業は以前まではアセットをたくさん持ち、モノを作っていたが、(過去10年は、)アセットを軽くして、知的な部分を増やしていくという転換の時期だったと思う。この間、政治も経済も諸般の条件が決してよくない中で、よくがんばったといえるのではないか。しかし、これを継続するために、今後も金融緩和を行うことが本当に持続可能であるか、よく考えるべきである。これだけ借金が増えていく中で、サドンデスにならないように対応していかなければならない。今までは良かったが、経済活性化を続けるために、今後もマイナス金利を続けられるのかどうかも含めて、持続可能性についてより深く議論する時期に来ているのではないか。

Q : 経済同友会の広報誌7月号で、日本企業の時価総額トップ10企業がリーマンショック前と大きく変わっていないとのレポートがあったが、どのように考えるか。

小林: 企業価値は時価総額をみるのがわかりやすい。ROEだけ考えると若干ショートターミズムに陥りやすいとこともあるが、しっかり儲けて、いかに経営の効率性をマネージするかがポイントになる。もう一つは、社会にどのようなイノベーションやテクノロジーを創出するかも企業価値(のひとつ)ではないか。さらに重要なことは、ESG 投資やSDGsと言われるように、企業の存在理由は社会性だと思うので、そのようなものに対してどれだけ貢献ができるか。やはり三つの軸(経済の豊かさ、イノベーションによる未来の開拓、社会の持続性)で評価することが大切だと思う。この10年間、日本企業の時価総額上位の顔ぶれは変わらない。ところがアメリカの場合、Google、Amazon、Facebook、Appleなど(が時価総額の上位に躍進し)、特にAppleは100兆円を超える企業となっている。Amazonは、数年前までは、次から次へ投資を行い経常利益は赤字で、最近になってようやく利益が上がるようになった。あるいは、イーロン・マスク氏の事業では時価総額を全部足すと約450兆円もある。中国のアリババとテンセントと JDドットコムの時価総額を足すと約150兆円。(その一方で、)トヨタは2兆円も儲けているのに時価総額が約20兆円(にすぎない)。つまり今の時代、ROEが8~15%、20%レベルの企業(に達すると)、一般的な(日本の)大企業の場合(収益力に応じて)時価総額が変わるが、世界はもっと先に進んでいて、期待値ビジネスというか、ネットやIT、バーチャルの世界の将来に対して、ある意味ではショートターミズムを議論しながら、はるか将来の現在価値のようなものをマーケットで評価している。単純に今の儲けをみているだけではない。この辺りが日本に最も欠けている。(これからは、)金や土地をベースでもない、金本位制とも違う、いずれデータ本位制、(いわゆる)データイズムの時代が来るのではないか。民主主義がどうなってしまうのかという話や、資本主義(キャピタリズム)がデータイズムになるという(話がある中で)、21世紀のドラスティックな変革の時代には、そのような感性も持たないといけない。なぜ日本や欧州からはGAFA が生まれなかったのか、あるいは、なぜアメリカと中国がアクティブに新しい産業を創出してきたのかについて議論すべきだと思う。

Q : 就職ルールについて伺いたい。戦後からの流れを振り返ると、1953年に就職協定が始まって以降、一定のルールがあり、その下での終身雇用制によって経済発展してきた歴史もある。通年採用にすれば一気に変わるが、それが企業のグローバル化、競争力強化に繋がるというのはどういうロジックか。

小林: 大企業の多くが海外子会社を有している。海外(子会社)は、当たり前のように通年採用を行っており、新卒への期待はそれほど高くなく、(人員の)補充として課長や取締役などをよく採用している。一方で、日本だけが新卒一括採用(の比重が高い)。いまや企業経営は完全にグループ経営であり、(日本)単体が良かろうが、海外の業績も全て入った連結決算でみる。そういう意味で、メンタリティなり給料も含め、当然、マーケットププライスで社員は決まってくる。できればグローバルな規範に則って人事評価や採用をする方がスムーズだと考えるのは当然だ。現在、例えばメーカーでも、データサイエンティストや計算科学に強い人材を採用し育成しようとしており、50歳代、60歳代も多く採用している。その意味では通年採用だ。だから、課長クラス、係長クラスでも、通年採用は一般化しつつある(といえる)。ましてや、大企業以外のベンチャー企業、中堅企業などは、新入社員を取りづらいので、(通年採用は)当たり前になっている。一方、新卒について、ドラスティックにいきなり1年次から4年次まで(採用活動は)いつでもよい(とするのも難しい)。卒業後3年程度のバッファをとって、年に何回か採用試験を行うなど色々な枠組みはあるだろうが、段階的にやっていくべきだ。通年採用は、20歳代から50歳代、60歳代(までやる)。あるいは、定年後の人材をどう活用していくかも重要だ。早く通年採用を定着させるのと、新卒採用についてはもっとフレキシビリティを考慮するという順番だと思う。

Q : 新卒採用について伺いたい。学生の声をみると、1年次から就活するのかといった声がある。

小林: 一定程度の規制は要るだろう。例えば、3年次までは勉強し、(就職活動は)4年次からとすることなども考えられるが、まさにそういった議論をしていけばよい。ただ、就職活動を早く始めると勉強をしなくなるというのは違うのではないか。先ほども申しあげたように、必ずしも机上の勉強のみを企業は求めていない。体力も必要であり、世間も知っていなければならない。インターンシップもせめて一か月ぐらい行うべきである。しかしインターンシップをしたなら当社に来いというやり方はよくないと思う。本会では、もう少し社会的な意味で行うことを提言している。そういった(活動の)中で自ずと解は出てくるだろう。学生が心配したとおり、1年次から(就職活動をする)というのはやはりおかしい。(逆に、)1年次で企業に内定しても、(卒業までの)3年後は保証できない。企業も自ずと常識的なところで決めるようになる。教養(課程)を終え、専門(課程)に進み、ある程度の専門性と常識を備えたレベルにならないと(採用できないのではないか)。将来は分からないが、当面はできないだろう。

Q : 現在の経団連「採用選考に関する指針」は守られていないという認識か。

小林: 6月には早くも6割が内定したなど(の調査)を見ると、守られていないと見るべきだろう。守られていないルールを、束縛がない単なる協定として行うことについて中西会長が虚しく思うのは当たり前だと思う。

Q : 夏休み中に、文科省前局長ご子息の入試不正に係る収賄や、中央省庁による障害者雇用の水増し問題があった。民間でも、ある金融機関の融資が問題視されている。倫理規範について思うところはあるか。


小林: 欧州のGDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規制)などをみると、罰則が非常にきつい。性悪説に則って罰則を設けないと、人間はいい加減になってしまうのではないか。(障害者雇用率制度については)民間には罰則がある。(100人超の企業で法定雇用率)2.2%を下回ると、不足1人当たりに付き納付金が徴収される。これが官にはない。性善説だけではなく、欧州のように罰則を強くするのもひとつかという気がする。いつまでたっても人間というのは悪いことをしてしまう存在だと思う。

Q : 65年前に就職協定ができ、途中廃止されたこともあるが、拘束力はそれほどない。やりたい放題にできるルールともいえるが、この点について見解を伺いたい。

小林: 罰則というか何らかの規制は要るだろう。なぜ日本だけこうなってしまったのかについてもう少し解析したほうがよいが、今更というのが実感だ。これだけ世界が人材争奪戦を行っている中で、こういう(就活ルール見直しという)状況になったことを考えて、皆さん本気で議論すべきだと思う。

Q : 全くのフリーで、何もない状態で採用活動を行ってもよいと思うか。

小林: 全くフリーにしてしまうと、今の状況では教育関係者の混乱を招くと思う。いくら何でも1年次から(の採用活動)は止めるなど、スタート時期については一定程度の規制は当然要る。特に、特殊なIT、AI、サイバーセキュリティなどに長けた人材には、中学生、高校生から目星を付けるような国もあり、それとどう戦うかも含めて議論すべきだ。スペシャリティによっても違うのではないか。ジョブ型とはそういうことだと思う。

Q : 昨日、中西会長は、経団連が(ルールを)作ることに違和感があるとのご発言だった。

小林: (経団連は)日本の代表的な企業や業種別団体などから成る組織であり、大企業がほとんどなので、今まではそれでよかった。しかし(日本では)中小・中堅企業が99%を占め、ベンチャー企業もどんどん活躍していく中で、いつまでも経団連で(ルールを策定する)ということについて、ご本人に思うところがあったのではないか。経済同友会は経営者個人の団体なので、提言する機能はあるが(企業体として)決定するパンチ力はない。当社(三菱ケミカルホールディングス)も経団連所属会社だが、そういう意味でも(今回の中西会長の考えは)良いと思っている。

Q : (就活ルールの廃止について)三菱ケミカルホールディングスはいち早くコメント出されたが、事前に中西会長と打ち合わせしていたのか。

小林: そういったことは全くない。しかし、同じようなことを考えていたのかもしれない。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)


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