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2018年度通常総会、理事会後記者会見発言要旨

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日時 : 2018年4月27日(金) 17:00~17:30
出席者 : 小林 喜光 代表幹事
志賀 俊之 副代表幹事(退任)
野路 國夫 副代表幹事(退任)
隅 修三 副代表幹事(退任)
秋池 玲子 副代表幹事(新任)
石村 和彦 副代表幹事(新任)

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志賀俊之、野路國夫、隅修三各副代表幹事より退任の挨拶、次いで、秋池玲子、石村和彦各副代表幹事から新任の挨拶があった。

その後、記者からの質問に答える形で、(1)南北首脳会談、(2)日銀展望レポートなどについて発言があった。

退任あいさつ

小林:副代表幹事3氏の退任と新任の副代表幹事2氏の就任が、総会と理事会で承認された。今日は5名のご紹介をし、(退任の3氏からは)今までの活動についての感想、(新任の)2氏からは抱負を伺いたい。

志賀:2013年の秋に副代表幹事の内示をいただき、2014年の4月に副代表幹事に就任した。そのタイミングは、私自身、日産(での役職)が最高執行責任者から副会長に変わったタイミングであったため、対外的な仕事や国の役に立つ仕事をしたいという思いもあり、経済同友会の活動を引き受けさせていただいた。個人的に申し上げると、非常に勉強になる4年間だった。切磋琢磨し、個社に閉じこもって考えるだけでなく色々な物の考え方を様々な経営者と議論してきた。副会長に就任してから視野を広げてどうするのだという思いもあり、経済同友会では現役の経営者時代に、より積極的に活動していただくのがよい(のではないか)と、退任にあたって改めて感じている。(2017年度は)経営改革委員会の委員長ということで、経営者の心の岩盤を打破する必要があるというような比較的刺激的な提言を出したが、正直に申し上げると、なかなか日本は変わらないと感じる。元々、対外的な仕事をしたいと思っていたが、日本の産業に対して非常に危機感を持っていた。ちょうど高度成長期に入社した世代で、(キャリアの)後半はバブルが崩壊、それ以降停滞した日本を経験してきた。このまま停滞した状態、あるいは坂を下っている状態で、次の世代にこの先どうバトンタッチすればいいのだろうという思いで仕事をしてきた。世界の潮流、例えばインダストリー4.0が発表されたころに(日本企業は)ドイツへ視察に行った。(しかし今、)IoT、ビッグデータを事業の中に取り入れているかというと、残念ながら(そうとはいえない)。例えば中国は中国製造2025を掲げ、はるかに(高いレベルで)デジタルを活用した生産性の向上を行っている。(日本は)もう少し頑張らなければいけない。個人的には少し無力感を感じたが、まだまだ可能性の高い日本が頑張っていけるように、次の副代表幹事に期待し、退任の挨拶とする。

野路:イノベーション分野(の委員会)を担当したが、自分の好きな分野だったので大変喜ばしく活動してきた。特に、アメリカではシリコンバレーや大学、研究機関、ドイツではフラウンホーファー研究機構を始め、色々な大学へ行って勉強して、2014年には提言『民間主導型イノベーションを加速させるための23の方策—産学官の効果的な連携を目指して—』を発表した。経済同友会をずっとみていると、いつも良いことを言ってはいるが、なぜできないのか(という思いがあった)。どうしたらこれを実行できるかというところに、任期の後半を費やした。いろいろな研究所、大学や、様々な分野の企業を訪問して「なぜできないのか」をディスカッションした。われわれ(製造業)の会社では「なぜなぜ3回」といって、「なぜ」を繰り返すと真の原因に突き当たるのだが、そういう形でずっと(委員会活動を)行ってきた。(それで得られたのは)結局、構造問題が複雑に絡み合っているので、提言だけすればできるというものではない(ということだ)。そういうことを(委員のみなさんと)一緒にやってきたと自負している。その後、経団連からも同様の提言が発表され、(経済界として)みな盛り上がってきたと感じている。特に脱自前主義、オープンイノベーション、ベンチャー創出などについては、若干ではあるが一歩前進しつつあるのではないか。大学でも産学連携が進んできており、そういう部分は次の方たちに頑張っていただきたい。また、2つめとして、イノベーション分野以外についても様々な勉強をさせていただいた(ことを挙げたい)。特に、農業、林業、地方創生関係の話を聞き、勉強になった。私自身の性格から、「それだったら自分でやってみよう」と、ほとんど自分で実践してみた。農業分野では石川県と協力し、バイオマス・ボイラーの制作、トマトの新しい栽培ハウスづくり、コメの(生産)コストも4割下げるなど、20件ほど(の取り組みを)行った。今、石川県ではコマツの評判が高く、これこそ農業のイノベーションであるといった評価を頂いている。私の実感では、隗より始めよ、ちょっとしたことでも自分でまずやってみるということが(重要で)、提言するだけではなかなか説得力が無いということも、これまでの活動で勉強させていただいた。これ(農業関連事業)については、経済同友会とは離れて実践していることであるが、私の今までの経験を活かして今後も引き続き活動し、社会的な課題をひとつでも解決できるように(努力)していきたい。あとは、代表幹事や皆さんに頑張っていただきいと思う。ありがとうございました。

:副代表幹事に就いてから、毎月の幹事会や夏季セミナーなどに出席して思ったのは、ビジョナリーな論客が揃っているなかで、大変勉強になったということだ。私自身も勉強しないと付いていけないというところが多々あった。また、全国経済同友会セミナー委員長を務め、地方の経済界の認識がどう変わってきたかを3年間かけていろいろと見てきた。地方の方たちの危機感が高まり、自ら行動しなければならないと、深刻に、一生懸命考える姿勢が増えてきたことを実感している。私は国家戦略特区PTの座長から始まり、地方創生委員会委員長を3年間務め、提言を2回出した。2018年3月に発表した提言は、需要サイドからの林業再生を訴え、日本の中高層ビルを全て木造建てにしようという内容で、これは私のライフワークにしようかと思っているテーマである。(また、提言については)野路さんと全く同じことをずっと考えている。すなわち、提言するだけでは何の意味もない。実行に移し、行動に繋げなければならないということを考えながら書いたのが今回の提言だ。ぜひ記者の皆様にもご一読いただき、メディアを通じて発信していただきたいと強く思っている。

新任挨拶

小林:これより二人の新任の副代表幹事を紹介する。秋池さんは「Japan2.0」に対応した「経済同友会2.0」を中心的にまとめておられ、石村さんは環境・資源エネルギー委員会で、環境問題、Co2の削減等(の課題に取り組むなど)ご活躍されている。本会は(退任される)三名が話したように、提言を行うだけのシンクタンクではなく「Do タンク」だということを、(今後)実践していただく二人である。

秋池:副代表幹事という大役を仰せつかり、身が引き締まる思いだ。私は2005年に経済同友会に入会し、13年間活動を行ってきた。その間、経済同友会の活動やそこで出会った多くの方々から、たくさんのことを教えていただき、学び、貴重な経験をさせていただいた。本日も代表幹事から、所見『「国家価値」の最大化に向けて』の発表があったが、そういった(所見で述べられたような)内容も含めて、是非実現に努めたい。副代表幹事就任を機に、経済同友会、そして社会へ、少しでも恩返しができればという気持ちだ。私たちが当たり前のように享受しているこの快適な社会をどう維持していくのか、サステナビリティ、持続可能性は非常に重要なことだと考えている。経済同友会に入会したのは前職(産業再生機構)で、日本で最初のバス会社の再生の事例に経営者として取り組んでいた時期だった。その時の経験からも、人口が減っていく中、社会環境や生活を維持していくのが非常に重要だという課題意識を持っていた。これは国内に限らず、地球規模で重要なことだと考えている。また同様に、財政の健全化も持続可能性を考える上で非常に重要な課題だ。これは経済同友会だからこそ、訴え続けていくことができるのではないかと考えている。これからの社会は、利益を配分するだけではなく、我慢を配分することも考えていかなければいけない社会である。残っている課題の中で、簡単に、皆が一斉に賛成できるものは、もう少なくなっているのではないか。また、そういう課題だからこそ、経済同友会が(世の中に解決策を)訴えていく必要があるのではないか。例えば、国家の財政状況への理解を多くの人に深めていただくことも大事で、偏りのないファクトを中立の立場で訴える、しかもプロだけが分かる言葉ではなく、多くの人に理解できるような言葉で伝えていく。これによってより良い議論が行われる素地を作っていくことも重要な役割ではないか。経験豊かな経営者が個人の資格で集まっている経済同友会だからこそできることがあると考えており、持続可能であるために経済力、それを生み出すイノベーションを含め、「Japan 2.0」「経済同友会2.0」の実現に向け、経済同友会に所属する世代だけではなく、広く多くの方に訴えかけ、また経済同友会も刺激を受けながら、努力をしていきたいと思っている。

石村:先程ご挨拶された3氏の後任ということで、身が引き締まる思いだ。私はAGC(旭硝子)グループで(の職務を通じて)社会貢献をしてきたが、2015年に社長から会長になったのを機に、経済同友会を通して社会貢献できるのではないかと考え、入会した。直接的には、尊敬する小林喜光さんが代表幹事を務められているということ、また、経済同友会は、個人が自分の頭で考えて活発に議論し、そこから得られた結論を発信していくという団体と聞いており、非常に良い活動だと思った(ことも、入会の理由である)。2015年の入会後、一昨年と昨年は、環境・資源エネルギー委員会委員長として活動をさせていただいた。AGCグループはエネルギー多消費産業で、エネルギー問題について関心を持って活動してきたが、より広い立場として、経済同友会を通して環境資源エネルギーという問題を取り扱い、真面目に取り組んできたつもりである。特にエネルギー問題の重要な課題は国内にある。明治維新の頃の日本は人口約3,000万人で、江戸時代末期頃の人口許容量はこの水準が限界だったと言われている。当時は木炭をエネルギー源にしていたため、日本の山はほとんどはげ山になってしまい、エネルギーが枯渇する寸前であった。だからこそ、3,000万人が限界であった。その後、石炭が発見され、日本の人口が増えることが可能になった。エネルギーが日本の人口や経済力を支える大きな原動力になっているのは確かだ。東日本大震災以来、日本のエネルギーは、日本特有の問題も抱えており、非常にセンシティブな課題でもある。非常に活発で多様な意見もあるが、経済同友会としての意見を纏めることを(目指して活動を)実践している。今後もこの活動について私自身、副代表幹事として注力していきたい。今後は、経済同友会の副代表幹事という立場になるので、共に就任された秋池玲子副代表幹事と力を合わせて、小林代表幹事を支えていきたいと考えている。どうかよろしくお願い申し上げる。

質疑応答

Q : 本日、歴史的な南北首脳会談が行われ、両国の首脳とも笑顔でお互いを迎え合うという結果となった。この会談の受け止めと、今後の南北平和への道筋がみえてきていると考えるかを伺いたい。またその場合、日本経済や世界経済に与える影響をどのように考えているか。
小林: 先程まで通常総会に出席していたため、最新の情報に接していないが、本日昼過ぎ頃までの報道の限りでは、金正恩・朝鮮労働党委員長はなかなかの演出家で、若々しくハツラツとしていい笑顔(を見せていた)というのが第一(印象である)。日本は、(これまで)何度も裏切られているので、あまり積極的に捉えていない部分もあるが、自分としては、やはり同じ言語で通訳なしで語ることができるあの二人からは、何か新しい雰囲気が出てくるのかなと(感じている)。結局は米朝首脳会談(を経て)、(朝鮮半島の)非核化がどこまで進展するか次第であるが、金委員長、トランプ米大統領、文・韓国大統領に、ノーベル平和賞が授与されるくらいの夢を持ってわれわれは見守るべきではなかろうか。そうすればいい方向にどんどん転がっていくだろうし、日本としても大いに歓迎し、今後前向きに対応すべきである。日本なりの問題、特に拉致問題もあるわけだが、積極的に対応してもらいたいと思う。(日本経済・世界経済への影響については、)朝鮮半島の非核化を含め、平和の方向に行くということは、良いことしかないと思う。当座、経済的な状況はそう簡単に変わらないとはいえ、米国や中国を含め、世界が極めて保護主義的な方向に行っている中では、明るい方向になっていけばいいと(思う)。経済的には決して悪い方向ではないと思う。

Q : 本日、日本銀行が物価安定目標の達成時期を展望レポートから削除し、達成時期を明示しないこととなった。これまで既に6回、達成時期目標の先送りをしてきたので、あまり批判されたくないという考えがあったのではないかとの憶測も呼んでいるが、今後のインフレ期待を高める上では、達成目標がないとなかなか難しいのではないかという気もする。これについて見解を伺いたい。
小林: (これまで)達成時期をずらし、ついに明示しなくなったというのは、リアルの経済とバーチャルなデータベース(の経済)になってきた中で、例えばGDPのような付加価値と効用の乖離(が影響しているといえるのではないか)。これまでは、効用と付加価値がリニアに対応していた時代が続いてきた。例えば、かつてIBMのビッグブルーのコンピューターは何百万円もしたが、今ポケットに入っているiPhoneは10数万でそれ以上の機能(が備わっている)。カメラもあり、レコーダー、ワープロ機能などといった効用と、結果としてのお金になるGDP、あるいは物価というものが、あまり一対一で対応しない中で、いつまでも2%にこだわること自体が不思議だと思っていた。(これまでの政策目標は)一つの考え方だったかと思うが、いつまでも2%にこだわることをやめるか、(目標は)2%のままタイムリミットを迎えるか、いずれか(の状況)が来るのではないかと思っていた。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)


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