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小林喜光経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2018年2月27日(火) 13:00~
出席者 小林 喜光 代表幹事
横尾 敬介 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、(1)働き方改革関連法案をめぐる国会の動き、(2)2018平昌冬季オリンピック、(3)東日本大震災復興支援活動、などについて発言があった。

Q : 働き方改革関連法案が提出される前に、裁量労働制に係る調査データをめぐって、与野党間でもめている。安倍首相は、精査する前提でデータそのものは取り下げないという立場だが、野党は再調査を求めている。この問題についてはどのようにお考えか。


小林: 今国会において、働き方改革(関連法案)は、いかに労働生産性を上げるかという点において、極めて重要なパーツである。日本の労働生産性、とりわけサービス産業は、世界と比較して相対的にまだ低い(にもかかわらず)、働き方改革法案を通すところまでいってない。(年収)1,075万円以上の人は(時間にとらわれず)自由に働ける(という高度)プロフェッショナル制度や、今回の裁量労働制についても、一定程度の時間的自由度を与えて創造的な仕事をするということは企画職や研究職については従来もなされてきたが、その(適用)範囲を広げるという意味においては、われわれ経済界は基本的に大いに賛成している。(しかし、今回の調査データの議論では、)最初から比較できないものを比較しているのではないかという気がしている。裁量労働というのは、成果によって評価される考え方であり、(必ずしも)朝9時から5時半(まで働くの)ではなく、自分なりに時間を自由に裁量できる(という考え方である)。(ここにいる)新聞記者の皆さんも、基本的には裁量労働型(の仕事)といえると思うが、いい記事を書き、結果を出すという(ことが求められている)。既に一部はそのような仕掛けに進んでいる一方で、(例えば多くの)工場労働者は、(例えば)朝9時から5時半(の勤務)で、四直三交代のような枠で進められており、あまり残業をさせないというのは当たり前のことである。(その一方、)研究所などで(勤務している人が)、(例えば)子どもの面倒をみなければいけない時、午前10時頃から会社に来て、その代わりに夜に実験をやるとか、そういう自由な研究体制のもとで結果を重んじるということは、もう20年来、あるいはもっと前から続いてきている。(このように、労働の)質が違うものをただ量で測るということに本当に意味があるのか(と感じてしまう)。そもそもデータが間違っているというのは論外で、これについては猛省を促したいが、(今回の議論については、)グラムとセンチメートル(の数値)を比較しているような問題であるように感じてしまう。そもそも裁量労働の考え方というのは、成果をメイン(の目標)にして、ある程度(時間的)自由度を与える(というものだ)。一方、その他の一般労働者は(自分の)時間を売っているという考え方でもあり、成果以前にまずやること、(あるいは)その場にいるということが必要となる。したがって、(勤務時間として裁量労働と時間労働の)どちらが長いとか短いといった比較をすること自体、そもそも違和感がある。それよりやはり議論してもらいたいのは、本当の(意味での)労働の流動性とか、国際的に見て生産性の高い労働市場を日本に作るにはどうすればいいのかと(いったことではないか)。労働者の健康(問題)という事実はある。しかし、競争社会の中では、働かされているという感覚ではなくて、いかに効率的に参加意欲をもって働く(ことができるのかといった)、そのような本質的な議論をしてほしい。データが間違っているという理由で(働き方改革関連法案の議論が)頓挫してしまうのは、甚だもったいない。これは日本が今やらないと(いけない問題だ)。今後 AIや ロボットによって労働そのものが凄く変革していく中で、国会は、5年先、10年先にどう(労働)マーケットが変わっていくのか(という視点で議論していただきたい)。例えば2035年や、2045年のシンギュラリティーの時代になれば、現在の仕事の50%がなくなってしまうという予測さえ出ている中で、そういう時代の労働とはそもそも何なのか。クリエイティブな労働をしないと、全体的に世界と張り合っていけない(という現実もある)。ネットの社会がメインになる中で、今までの理念なり感覚ではコントロールできないという問題について、もう少し議論してほしい。裁量労働時間の方が少し長いとか短いとか、グラムとセンチメートルを数値だけで比較(するようなことを)しても、ほとんど意味を成さないのではないかというのが自分の感覚である。

Q : 働き方改革関連法案について、(代表幹事の発言のとおり)確かにグラムとセンチメートルを測るのは意味がない面もあるが、野党がデータの再調査を求めている。一方、与党はデータの精査・見直しで対応したいとしているが、再調査についてはどうあるべきか。


小林: 再調査であれ精査であれ、早くやるといってもどのくらいの時間軸でできるのかがわからない。その結果が出ないと法案も提出できず、審議が始まらないというのは、非常にもったいないことだ。データを精査するか(否かの問題)は置いておいて、もう少し本質的な議論を行ってほしい。(働き方改革関連法案には)これ(企画型裁量労働制)以外にも、高度プロフェッショナル制度もあり、残業時間の抑制、同一労働同一賃金の問題など、現在の日本の労働市場全体をみた上で、10年先の状況を想定し、労働の流動性を付与するためにはどのような考え方が必要なのかなど(を議論すべきだ)。女性の活躍、シニアの働き方も含め、(労働市場)全体の議論がなされていない。一つひとつの(個別の問題を取り上げ)、非常に限られた人を対象にした議論になってしまっている。世界との競争力の比較の中で、労働の全体系を議論し、そういう施策を進めることで相対的に生産性がアップするからこういう形にしよう、といった話をすべきだ。個別に(議論を)して、一つひとつにクラシカルな判断をしていくのはもったいない。これだけ激しく世界や市場が動く競争社会の中で、GDPという点では製造業(が占める割合)は18%もない。サービス業(の比率)が非常に増え、なおかつ世界の標準からすると(日本の)生産性は相当低い。それをどうすれば向上させることができるのか(が課題であり)、なおかつ世界の標準からすると(日本の)生産性は相当低い。それをどうすれば向上させることができるのか(が課題である。)それよりも、国会では基本的な議論をしてほしい。財政問題でもそうだが、(議論が)非常に細かいところに入ってしまっている。

Q : データの精査・調査については、国民の感情からすれば実施すべきで、世論調査でもそうした結果が出ている。しかし、それでは今国会での成立は不可能になるが。
小林: 調査データをここまで公表したのだから、(再調査なり精査を)並行してやればよいのだろうが、それは置いておいて、もっと基本的なことを議論して法案を出し、進められるべきは進める。そもそも、私からすれば、こちらが5ミリグラムで、こちらが6センチメートルだと(比較できないものを)議論しているようなものとしか思えない。(裁量労働制は仕事の)結果を出す質で勝負し、もう一方(の働き方)は、基本的には時間という量で勝負している。質と量の数値が同じかどうか(比べるのは)極めてナンセンスだ。

Q : 働き方改革について、補足して伺いたい。政府与党は、今国会で法案提出を目指したいと言っているが、野党は法案提出を断念させることに意義があるとしている。非常に政治的な駆け引きだが、代表幹事は法案制定に関して今国会での成立を望んでいるか。


小林: 高度プロフェッショナル制度の議論は何年も続いており、裁量労働制も長い間議論され、対象を企画関係業務より幅を広げようとしている。そのくらいは進めないと世界標準から遅れるだろう。また、量ではなく質を評価する時代にしないと、生産性の議論を行っても難しい。ただ座っていて時間になったら帰るという感覚を変えなければいけない。何か新しいものを作り出すなり、効率よく働くなりしないと、世界の中での優位性がどんどん弱まっていく。特に近隣の韓国や中国を見ていると(このままでは)勝てないと感じる。そのような思いから、働かされているというのではなく、喜んで働けるような環境をつくる議論が必要ではないか。ただ時間を制限すれば健康が保てるのか、あるいは、どうすればクリエイティブな仕事ができるのだろうか、働く楽しみを得るにはどうすればいいのだろうかといった議論は全く出てきていない。ひたすら時間を守るというだけで、何を守るのかとのせめぎ合いではないか。極めて政治的であり、法案が出る前からこのような議論になっている。比較すべきではないものを(比較し)、その上、データが間違っているので、野党が噛みつくのは当たり前だ。そこは率直に整理して、今国会で何とか法案を成立していただきたいというのが、経営者や、世界で戦わなければならない立場の人たちの意見だ。24時間世界は動いて、そういった中で、一定程度の自由度を付加した働き方をする人たちと、時間(単位)で給料をもらう人と、同じ働き方で良いのだろうか。結果を出すことを背負っている人とは明確に違う。例えば、自己管理をしながら、24時間働いている国際弁護士もたくさんいる。記者の皆さんのように、24時間いつ何時も仕事ができる用意をしておかないといけない職種に対しては(あまり)ケアがされていない一方、工場労働者や製造業の一部を代表する人たちの意見が強いように感じる。もったいない議論をしているような気がする。

Q :オリンピックの関連で2点伺いたい。オリンピックが閉幕し、過去最多のメダル獲得数となった。小林代表幹事は日本の活躍をどう見られたのか。そして、北朝鮮問題に関しては、選手ファーストではなくて政治色が濃かった気がする。オリンピックが終わり、この後の米韓合同演習の有無を含め、北朝鮮をめぐる情勢についてどのように考えているか。


小林: 今回のオリンピックは(金メダル)4、(銀メダル)5、(銅メダル)4と、よく健闘したと思う。まず感じたことは、やはり女性が見事に活躍しているということだ。また、団体競技では日本はやはり強いと感じた。個人競技は羽生結弦選手のように飛び抜けた選手もいるが、全般的に今回感じたのは、日本は団体戦に強く、一人(個人)だけで強くあろうとするヨーロッパやオランダなどの国と比較すると、非常に頼もしく、日本らしさを感じ、嬉しかった。働き方改革でも、女性に本当に元気に働いてもらうような仕掛けを作っていくべきだと感じた。北朝鮮問題については、彼ら(北朝鮮)もこういった機会を使って融和の雰囲気を作った。ましてや(北朝鮮と韓国の人々は、)同じ言語で通訳なしで話せる。(しかし)先日、韓国の経済人と話す機会があり、彼らによれば、今の(韓国)文在寅政権にはやはり違和感を覚える(とのことであった)。(同一)民族としての意識はあるのかと質問したところ、全くないと答えた。やはり北に対する韓国人の思いというのは色々あるのだと感じた。確かに言葉が同じで、歴史的に民族として一つなのかもしれないが、あのような(北朝鮮の)政権時代を通って来た人たちとはとても付き合えないという明確な答えを持った経営者もたくさんいると感じた。北朝鮮・米国・韓国がどういう関係になるのかは、パラリンピックが終わってからの話だとは思うが、米国が新しい制裁を加え、そういう中でかなり苦しくなっている北朝鮮がどういう出方をするのか。文大統領がすぐに北朝鮮に行くとは思えないし、訓練はせいせいと行われると思う。いずれにしても、北朝鮮もそんなに単純に、核弾頭を搭載したミサイルをテストするとは思えない。


Q : 来月の3月11日には、東日本大震災から丸7年が経つが、経済同友会は、震災直後から色々な支援を行ってきた。日商は、2年後の2020年東京オリンピック・パラリンピックを「復興五輪」として、東北地域の復興を忘れないようにとの提言を出した。経済同友会は震災から 5年間、東北で夏季セミナー等を開催してきた。中小企業の販路拡大は厳しい側面が続いているが、WHOの勧告もあり、韓国が水産品について輸入を開始する等、改善されてきている。震災から7年が経ち、代表幹事としての率直な感想と、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、東北に対して何が支援できるかを伺いたい。


小林: (震災後、)仙台を始め東北で5年間、夏季セミナーを開催してきたが、一つの区切りをつけ、昨年から軽井沢での開催に戻した。もう一つの区切りは、2020年東京オリンピック・パラリンピックといえるのではないか。正確には(震災後10年が経つ)2021年かもしれないが、経済同友会としては、オリンピックだからといって、(震災復興に対する)具体的な活動はまだ考えていない。ただ、7年目になり、風評被害(の払拭)を含めた具体的なアクションとしては、水産品など東北の食材を使ったお弁当やお土産等(を積極的に購入したり)、各企業で物産展を行ったりしている。一つの区切りをつけたところで、中小企業や大学も含めたベンチャーと東北3県で、新しい事業ができないかと検討を進めている。その他には、国際リニアコライダー等、新しい大プロジェクトを持ってくることに関して、我々がどこまで協力できるか。かなり具体的なアクションとして働きかけている。しかし、5年間行った「IPPO IPPO NIPPON プロジェクト」のような活動は区切りをつけたこともあり、今後は、地方創生の全体像の中で東北を位置づけて進めていく。本会の東京オリンピック・パラリンピック2020委員会は、日商ほど明確なビジョンは出ていないかもしれないが、オリンピック(・パラリンピック)開催に関連して、復興はどうなっているのか、そこに人を呼ぶにはどうしたらいいのか(も考えていきたい)。また、2020年のオリンピック(・パラリンピック)に限らず、2019年にはラグビーワールドカップの開催地のひとつとして釜石が予定されるので、そのようなところでも応援していく。キャンペーンのようなものは予定していないが、地方創生の中で一番重みをもって見ていく必要がある。経済同友会では、現在も震災復興PTを設置していて、具体的な議論をしている。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)


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