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小林喜光経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2018年2月14日(水) 13:30~
出席者 小林 喜光 代表幹事
横尾 敬介 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、(1)会社法改正、(2)経済同友会2.0を実践推進するPT報告書「『経済同友会2.0』実現への組織運営改革」、(3)為替と株価、(4)GDP、(5)東芝人事、(6)経団連人事、(7)マーケットの動きと春闘、(8)日銀総裁人事などについて発言があった。

Q : 本日、法制審議会で会社法改正について議論されており、夕方に中間試案の取りまとめが発表される予定である。試案の柱として、株主提案数の制限が挙げられているが、これについて所見を伺いたい。また、社外取締役に関して、これを今後義務化すべきか、現行法のままにするのかについて所見を伺いたい。


小林: (今般の)会社法改正の議論については、どういうものが出てくるのか詳しくないが(自らの経験から申し述べる)。まず株主提案については、会社によっては20も30も束で出てくる。個々に対応するのではなく、まとめた形で一括して討議する、あるいは返答するといった手法があれば、数を制限するだけというのは単純すぎる気がする。また社外取締役については、3~4年前は(導入比率が)20%程度しかなかったが、現在は1人以上の社外取締役を導入した一部上場企業は既に約9割以上の水準まで来ている。コーポレート・ガバナンス・コードの導入も進んでいるので、むしろ今後は、社外取締役にいかにチェック機能や監督機能を付与できるかというフェーズに入っている。(会社形態の)3つのカテゴリー、従来通りの監査役設置会社のほか、監査等委員会設置会社、あるいは指名委員会等設置会社があり、会社の業種や規模によってそれぞれスタイルがあるので一概には言えない。スチュワードシップ・コード、コーポレート・ガバナンス・コードをはじめ、2~3年前からレギュレーションが変わってきている中で、(義務化云々の議論よりも)いかにこれを実体化していくかというフェーズであると思う。

Q :あえて義務付ける必要を感じないということか。


小林: 義務付ける必要はないと思う。最終的には株主が判断することだ。やらないなら説明するというレベルで、大きな支障があるとは思わない。

Q : 先日、経済同友会2.0を実践推進するPT 秋池玲子委員長(ボストンコンサルティンググループ シニア・パートナー&マネージング・ディレクター)から発表された、「『経済同友会2.0』実現への組織運営改革」について伺いたい。若手経営者や起業家の参加を促すために、従来の入会資格を満たさなくてもよい特別枠を設けるとのことだが、これに関する代表幹事の問題意識や、背景はどのようなものか。また、どういう方に参加してほしいのか、目星をつけている人物や声をかけている方がいるのか、業種などをお聞きしたい。

小林: (経済同友会の創立)70周年記念の際に、『Japan 2.0』(という提言を発表した)。戦後100年となる2045年頃には、シンギュラリティの時代(を迎え)、すなわちAIやロボットなどが人間の知性を凌駕する(と言われている)。バーチャル空間の経済が発展し、インターネットを中心に重さのない経済・サービス(に移行していくこと)を想定し、(そこからバックキャストして)今なにをすべきかの議論をこの1年深めてきた。今までの重化学工業や重さのある経済から、バーチャルの経済に転換していくなかで、GDPなどの付加価値や人々が実感する効用(との関係)が、単純ではなくなった。個と集団、企業と個人の問題、労働者階級と資本家階級など、階級闘争の時代ではなく、個の自由が保障されながら集団としてどうアクションをとるかという時代に入ってきた。あるいは、リアルエコノミーからバーチャルエコノミーやシェアリングエコノミー、プラスチックや鉄のサーキュラーエコノミーなど、非常に状況が変わっている中で、経営者は何をやっていかなければならないのか。(社会がJapan 1.0から)Japan 2.0になるのなら、経済同友会もバージョンアップしなければならないという流れの中で、『経済同友会2.0』(を発表した)。従前のように、経営者だけで議論をし、閉じこもっていてよいのだろうか。日商・東商は中堅・中小企業の代表であり、経団連は業界団体や会社の代表として、権益を一定程度確保するために集約した意見を出す団体である。経済同友会は、会社の経営者(個人からなる団体だ)。個人の自由で、個人の発言を旨とする団体でありたい。これは設立理念から一貫している。防衛、財政健全化、エネルギー、教育など、すべては持続可能性にポイントを合わせ、(議論している)。そうとはいえ、欧米に比べると儲けの効率が悪いということで、儲けの部分と、新しい世界に冠たるイノベーション、テクノロジーを創出していく部分(も必要だ)。それに加えて、先述した財政や防衛、安全保障など、国あるいは個人の持続可能性を議論するなかで、本当に(会員の)経営者だけで閉じこもっていて(よいのか)。あるいは、そこで議論した内容を政府や地方自治体、各企業に対してメッセージを送るだけでよいのか。持続可能性を考えるのであれば、やはり若い人に参加してもらわないと(いけない)。今、議論しているのは高齢の(会員の)方が多い。シンギュラリティの時代があと27年後に訪れるのであれば、現在、30歳の人が57歳になり、経営者として脂がのっている時期だろうから、30歳代、40歳代の方にも入ってもらい、議論していかなければならない。それが(経済同友会を)母屋として、語り合う場をつくろうという「テラス」構想だ。シンポジウムや若手団体との議論など、そういう基本骨格をつくる議論を、経済同友会2.0を実践推進するPTでまとめた。その中で、必ずしも会員ではなく(ても経済同友会の活動に参加できる方)10人ほど(への呼びかけを検討している)。ベンチャー魂が溢れていればどのような業種でもよいが、結果としてバーチャル系が多くなるかもしれない。当会会員の(若手経営者の)中でも、ITだけではなく、野菜宅配サービス会社の社長もいる。儲けに対する考え方、政治参加に思いの強い方、イノベーション喚起に思いの深い方、そういう30歳代、40歳代の方に入っていただき、議論の場(をつくりたい)。また、シニアの思いもわかってもらう契機となる場をつくろうというのが最大の趣旨だ。具体的に誰というのは、今は決まっていない。

Q : 為替が一時106円台につけ、それにつられるように日経平均も下がり続け、21,000円を割る局面もあった。潮目が変わったのか、調整の一つなのか、見解を伺いたい。

小林: 今までの流れだと、(理論的には)米国の長期金利が上がれば、日本円は安くなる。それがここ4~5年の流れだった。日本の金利をマイナスに操作し、差分で安定的な円安(に導き)、適温で推移してきたといえる。そのロジックより、比較的安定した円に買いが入るという局面が一部で出てきたのではないか。株価は、正月の高揚した(雰囲気では)、このままぐっと(上がって)行くのか、はじけないバブルがあるのかと思ったくらい(好調だった)。バブルはバブルだろうが、スモールバブルというか、米国にしても、急激に上がったものの調整レベルではなかろうかと楽観的に考えている。日本経済も、本日の発表ではGDPは8期連続のプラスとなった。実質GDPはプラスだが、原油価格の上昇によるものか、名目GDPがややマイナス、GDPデフレーターは再度マイナスになるなど、すべてのパラメーターが良い方向ではないが、実体としてはかなり安定しており、(このトレンドは)当面は続くだろう。金融政策、財政、われわれ企業による事業展開などは、そう簡単に予測できない時代だと思いつつ、されど楽観してやる他はない。

Q : 四半期ごとのGDPは、バブル期以来28年ぶりの2年8期連続のプラスとなった。しかし、先送りしたとはいえ、プライマリーバランス(PB)の黒字化という目標がある。(GDPのプラス成長は、今後も)続くと期待できる伸びなのか、もう少し打ち手が必要なのか、所感を伺いたい。

小林: (本日の発表によれば)2017年全体では実質GDPは1.6%、名目GDPは1.4%だ。それを(現在のGDPに)掛けていくと、2020年では600兆円に到達しない。昨年の暮れ時点で、(日本の名目GDPは)546兆円なので、(毎年の経済成長率を)3%くらいとして(2020年まで)今後3年と計算しても、600兆円にはやや足りない。いわゆる成長実現ケースでは、PB黒字化の最終年度を2027年度として、実質GDPは2.1%、名目GDP3.5%とかなり高い。今が実質1.6%だとしたら、2年連続というレベルではなく、GDPがもっと毎年増えていかなければならない。実質GDPで2.5%、名目GDP3%超、GDPデフレーターもプラス、需給バランスもプラスとなって初めて2020年にGDP600兆円に届く。PBについて、ベースラインケースでは、消費税を上げても2027年度には黒字化しない。成長実現ケースで、実質GDPは2.1%、名目GDP3.5%でかつ、消費税を上げて2027年度に達成できる(ということではないか)。いまの実質GDP1.6%ではまだ厳しい。今のレベルでは、(PB黒字化は)2030年頃になってしまう(のではないか)。出ずるを制することと、もっと経済成長をしないと計算が合わない。そのくらい厳しい目標だという思いで見ていかないといけない。

Q : 経済同友会絡みの人事でお伺いしたい。元三井住友銀行副頭取の車谷暢昭氏が東芝の会長兼CEOに就任するが、その背景や受け止めは。

小林: (この場で)東芝個社の人事に関してはコメントをする立場にないが、車谷氏は(本会において)教育改革委員会の共同委員長を務められ、社会全般や財政健全化についても一家言ある方だ。非常に良い方にお引き受けいただいたのではないか。私もほっとしている。

Q : 東京海上ホールディングスの隅修三会長が経団連の副会長に内定したが、受け止めは。

小林: 経団連がどうお考えになっているか、詳しく聞いていないのでわからないが、東京海上ホールディングスとして隅会長を経団連副会長に推したのは会社の判断なので、本会としてコメントするべきことではないと思っている。

Q : かつて経済同友会で勉強して経団連の副会長、或いは会長になろうという人もいた。一方、先ほどの話の通り、経済同友会は門戸を広げ若い人と会話をすることで存在価値を上げていこうとしている。経済同友会のあり方を変えようという意識が強くなったのか。

小林: 個人が何を選択するかは自由だし、会社の選択も自由であるべきだ。本会は志を持った人の集合体で、勉強したからどこかへ行くというのではなく、ある程度まできたら、あとは組織なり個人の自由ではないか。その話と、次の場を担う若い人たちと、或いはアカデミアも含めてもっとオープンな組織にしようという『経済同友会2.0』の話は、脈略や関係がないことだと思う。経済同友会では、日本でイノベーションを生むにはどうすればいいか、もっと儲けるためにはどうしたらいいのか、この国を守るというのはどういうことなのか、財政の健全化とは何なのだろうか(といったことを議論している)。あるいは、これだけネットの時代になり、エネルギー費用が莫大になる中で、原子力(発電)をどう考えるか。自然エネルギーはどうなるのか。そういうことを議論し、勉強するのが(活動の)メインであって、必ずしも政府に提言を出していればいいというわけではない。両方やらなければならない。あとはまた(会員同士の)親睦の意味もある。そういう組織として、今後もしっかり発展していくことが望ましいのではないか。

Q : 昨日、榊原定征経団連会長と中西宏明次期経団連会長が共同会見を行った。Society 5.0を実現することが、中西次期経団連会長のミッションだと強調されていた。小林代表幹事のJapan2.0と同じ方向を目指していると思う。同じ世界を目指すのであれば、意見交換などする機会はあるのか。

小林: 意見交換しなくても大体理解できる。米国のIndustrial Internet、ドイツのIndustrie 4.0、あるいは世間で知られている第四次産業革命、Society 5.0と、Japan 2.0がどう違うのか。本質的に同じものだ(と思う)。社会的な変革をメインに形にしたのがSociety 5.0だと見ている。第四次産業革命も社会についてのものなので、意味合いはかなり近いのではないか。Industrie 4.0は少し違っていて、よりIoTやものづくりに(特化されていて)ニュアンスが違う。Industrial Internetも(産業の)一部(に限定されている)かもしれない。(しかし、)本質的に新しい社会に変革するという意味では(どれも)全く同じだ。Japan 2.0は、むしろ日本において、戦後70年、荒廃の中から立ち上がった若手経営者たちが創った経済同友会が、今明らかに大きな節目に立っている。折しもバーチャル・テクノロジー、IoT やAI、ロボティクスの時代に対して、(欧米の)プラットフォーマーと比較すると、日本は後れを取っている。日本らしい儲けの軸、イノベーションの軸、持続可能性の軸をどのように深めて、お互い切磋琢磨して、日本社会を変えていくかというのがJapan 2.0だ。(しかし本質の部分では)みな同じだと思う。日本政府も、中西次期経団連会長も、Society 5.0については、(基本的には)同じ議論をして同じ認識を持っているので、若干のニュアンスの違いだと思う。

Q : マーケットの変動が、実体経済に悪影響を与える可能性をどのように考えるか。本日、全日本自動車産業労働組合が春闘の要求書を提出し、春闘も山場に向かっている。異様な経済環境により、あまり賃上げをしやすい状況ではなくなるのではないか。

小林: 輸入・輸出も順調に増え、原油価格も上がってはいるが、(経済は)比較的安定している。中国や欧米の経済も実体としては良い中で、突然死が来るとは誰も思っていない。賃金は結果ベースである。ボーナスもどれだけ予算より高く(達成)できるか(ということによって決まる)。ベースアップについても、一定程度の(経済の)流れの中で決めるので、ここにきて少し円が強くなったと言って経営者が弱気を出しても、組合は納得しないだろう。(経済環境は、)今のところ調整に入っているというレベルでみておけば間違いない。(今年)正月1月5日の経済3団の新年祝賀パーティーでは、みなマーケットの状況を喜んでいたが、1カ月経って株価が下がり、円高になることは、誰も予想していなかった。(マーケットの)プロも予想していないのだから、何とも言い難い。

Q : 日銀総裁人事について、黒田東彦総裁の続投となる見込みだが、期待を伺いたい。

小林: マーケットがバブルや調整など色々と言われているが、フラクチュエイト(変動)していることは間違いない。ボラタイル(不安定)と言うか、動きやすいアルゴリズムなどの理屈はあるだろうが、そういう時代でも安定していた時はある。明らかに、米国の金利上昇をトリガーにして、不安心理を持っている。そのような時こそ、あまりドタバタしないことである。それと同時に長期を見て、このままずっとこの延長線上でやるわけにはいかない中で、どのように手を打つか、同時並行で考えてもらうことではないか。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)


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