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小林喜光経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2018年1月17日(水) 15:30~
出席者 小林 喜光 代表幹事
横尾 敬介 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、(1)物価見通し、(2)春闘、(3)経団連会長人事、(4)商工中金の改革(5)中国経済、(6)北朝鮮情勢、(7)安倍首相訪欧、(8)財政再建などについて発言があった。

Q : 原油価格が上昇している。日銀の2%の物価安定目標には追い風になると思われるが、今後の物価見通しと、需要を伴わない物価上昇が起こりうる懸念について伺いたい。


小林: 2017年末の会見では、1バレル65~70ドルまで上昇するかもしれないが、シェールオイル、シェールガスの価格を考えるとそれ以上にはならないだろうと述べた。それが思ったよりリニアに伸びている。石油を原料とする産業では株価の動きが鈍く、そうした部分もマーケットは見ているという印象である。65ドル前後であれば、資源という点ではダメージ、インパクトはさほど大きくないのではないか。物価への影響という意味でも、コアコアCPIにはエネルギーは含まれないので、影響はあまりないだろう。この数日の値動きで2~3円の円高になっていることを考えると、少し動きがあると思うが、それによって景気が左右されるレベルではない。物価は2014年に1.数%上がったことを除けば、ここ4~5年マイナスから徐々に上昇してきて、0.8%前後を行ったり来たりしている。こういうトレンドなので原油価格が上昇することは良いことであり、日銀の2%の物価安定目標にも追い風になる。

Q : これから春闘を迎える。野菜も高騰しており、光熱費などの価格が上がると家計の節約志向がますます強まり、高い賃上げをしても効果が薄れるのではないかという懸念がある。この点について伺いたい。

小林: 今までは、給料の2%くらいのレベルで賃上げをしても、社会保険料などを加味すると、可処分所得が(必ずしも)上がっておらず、消費を喚起できなかった。私が理解するところでは、ベースアップは物価上昇率を加味して毎年補正すべきものであり、定期昇給は、(勤続年数や)年齢を加味し、一人ひとりの生産性や役職が上がると想定して1.7%程度と考える。これに一時金を加えても、物価上昇が予測できるのであれば、ベースアップは今までと同程度の0.5%では低いと思う。経団連が一時金も含めて3%の賃上げを言及しているが、一つの目安としてはよいところだと思う。あとは個々の会社の判断による。

Q : 経団連のトップ人事が発表され、中西宏明 日立製作所 取締役会長兼代表執行役が次期会長に内定した。代表幹事から見た中西氏の印象と、新生経団連と経済同友会の今後について伺いたい。

小林: 中西会長は、私が子会社(三菱化学メディア社)の社長時代、日立のハードディスク事業の責任者をされており、サンフランシスコに社長として赴任されていた頃から存じ上げている。同業だったこともあり、日立マクセルの会長をされていた川村隆 前・日立製作所会長含め、昔から存じ上げている。中西氏とは最近でも政府の会合などでご一緒しているが、ざっくばらんで誠実な、感じのよい方である。今後、経団連で縦横無尽に活躍されるポテンシャリティが最もある方だと思う。もともとエレクトロニクス、コンピューティングなど(の事業に携わられており)、今まさに第4次産業革命やIoT、AI(が重要になりつつあるなかで)、打ってつけの人物の一人である。(中西氏が会長職を)受けられたことは日本経済界にとっては非常に喜ばしいことであり、大いに期待している。
今後の経団連と本会の関係については、従来通りである。経団連は企業・団体の代表であり、政府の受け皿としてのファンクションが第一義的にあるだろう。本会は経営者個人の集まりなので、自ずと(求められる役割が変わってくる)。日本商工会議所は中堅・中小企業の代表であり、私は(他団体長に比べて比較的)自由に発言できるとみられることもあるが、本会にも右から左まで様々な意見があり、イエス、ノーもはっきりしているので大変な面もある。互いの団体のそうした違いをしっかり認識し、それぞれの個性を出しながら、日本全体を良くしていくべきだ。政治に対して一定程度の発言力を持ちつつ、妥協するところは妥協し、主張すべきところは主張していくということと理解している。

Q : 商工中金の次期社長にプリンスホテルの関根正裕常務が内定した。商工中金の在り方検討会でも、4年後に民営化するかどうかも含め(判断すると中間とりまとめ提言がなされた)。ある意味では棚上げという部分もあるが、商工中金の一連の改革姿勢について所見を伺いたい。

小林: 経済産業省出身の方が社長をされてきた中で、いろいろなご苦労もあったと思う。経済同友会はだいぶ前から(商工中金の)民営化を主張してきている(2007年2月6日『改革の理念に沿った政策金融改革の実現を—政策金融改革関連法案の審議入りにあたり—』北城恪太郎代表幹事、2011年4月22日『目指すべき政策金融のあり方~規模の適正化とコストの可視化を図る~』政府関係法人改革委員会 梶川融委員長)。結果としてもっと早めに民営化しておけば良かったのではないかというのが率直な印象である。今回、(民営化を判断するまでの期間として)4年という時間軸が本当に適切なのかどうか(疑問がある)。もっと早く結論を出せるのではないかという感じはする。

Q : 少し歯がゆいが、一歩前進という総括で良いか。


小林: 民間から(社長を)登用したということで、説明責任を含めて、皆がウォッチしていくということ(が重要)ではないかと思う。

Q : これまで経済同友会は日本銀行の総裁を3人輩出している。(黒田東彦総裁が)続投するという説もあり、5年という任期を考えると、通算10年で史上初となる。誰が(次期総裁に)なったとしても、今年中に金融緩和の出口戦略に手をつけなければならないのではないか。また、株価がどうなるかなど、かなりシリアスな状況になると思うが、次期総裁に求める(人物)像があれば伺いたい。

小林: 私は申し上げる立場にはない。(任期が終了する)4月を待つしかないのではないか。(日銀総裁の人選とは)文字通り、日本の今後の経済政策に対する大いなるメッセージであるので、我々がいろいろ言うことではないと思っている。

Q : 昨年はほとんど金融政策が動かなかった。商工中金の話にも関係するが、市中金融、特に地方の金融機関は統合を進めているところが多い。民業圧迫と言いながら、今回の商工中金の件を考えると、危機管理対応と融資の部分は異なるように思う。民営化になっても生き残れるかわからない。

小林: それは自由な競争の中でやればよい。また、(金融政策が)動かないというよりは、少なくとも緩和を続けたという動きであった。それは、大いなるメッセージの一つであったことは間違いない。

Q : 経団連次期会長の中西氏と小林代表幹事は同じ年齢だが、大学時代に接点はあったのか。


小林: 学年は中西氏が1つ上で、大学時代は特に接点がなかった。(中西氏は)米ウエスタンデジタル社のスティーブ・ミリガン社長も慕っている人物であり、仕事を非常にバリバリやられている方という印象がある。

Q : (中西氏が)内定した後のぶら下がり取材で、政権との距離感については、言うべきことはしっかりと言うという話だった。しかし、日立製作所は原発事業、高速鉄道で、政府のバックアップをかなり受けている。企業が政府と一体となって、仕事の関係で保証を受けるのは一概に悪いことではない。ただ、あまり(政権と)近くなると、経済界の役割を果たせなくなるのではないか。副会長も歴任されたので、その辺りの間合いの取り方はご存じかと思う。小林代表幹事も既に(就任から)3年経たれたが、政府との距離感についてどうお考えか。

小林: これは非常に複雑で難しい話だと思う。かつての経団連(会長)が財界総理と呼ばれていた時代とは異なる。自民党一強、なおかつ安倍一強という中で、かつてとはシチュエーションはかなり異なる(といえるのではないか)。しかし、やはり政治は政治、経済は経済という独立性は最も必要なことだ。(一方)日本に本社を置く企業としては当然のことだが、日本全体が良くならなければならない。もう一つ、日本人、日本を守るという思いは、基本的には(政治も経済も)一緒だ。間合いを取ることを考えて進む(ことだけ)よりも、まずもって経済団体として何が正であるかを忘れてはならない。出身企業にあまりにも拘泥すること自体が(中西氏の選択を)束縛するという気がする。やはり人物として選ばれているわけなので、原子力事業、あるいはインフラ事業と完全に独立した(立場をとる)ことはできないにせよ、経団連会長個人として働かれることを期待したいと思う。

Q : 商工中金について、もっと早く完全民営化できると考える理由は何か。

小林: (想定外の)アクシデントに対して、一定の保証ができる組織体を(どのように)置いておくかの基本的な考え方(の問題)だと思う。本質的にはすべて民間で可能なはずだ。郵政(民営化)の時も同じような議論をしているが、特例や大きな災害があった時には、このようなこと(危機対応融資)をすることも含め、すべては自由なマーケットで判断する方向が最終的な形だと思う。個別に(判断をして)やればよいと思う。

Q : 明日、中国の2017年通年GDPが発表される。李克強首相からは6.9%前後になるとの発言もあった。2年前、中国経済はクラッシュの可能性があったが、成長速度を調整し、上手くシフトしたようにみえる。これについて、どのようにみているか。また、日本の産業界のアプローチとして、中国のサイバー関連の法制度などが障害になる問題もある。中国経済で日本企業はどのように生き抜いていけば良いか。

小林: 景気に対するリスクが、中国なのか、あるいは米国なのか。いろいろな意見があると思う。習近平体制が安定し、それを維持する経済の重要なファクターが一党独裁なので、アクションは極めて早い。中国リスクは、こと世界経済に対しては、一般的に言われるほど大きくはないと思う。今後も案外コントロールしていくのではないか。逆に、米国の北朝鮮対応や中東戦略の方があいまいであり、不確実性が高い気がする。トランプ米国大統領は、法人税を下げるなど(経済的に)ポジティブな面もあるが、怖いのは北朝鮮の核の問題と、エルサレムの首都容認やイラン対応を含む中東問題である。(中国の)一帯一路に対しては、(日本の)インド・太平洋戦略をどう絡めていくかがポイントになるだろう。(昨年は)日中国交正常化45周年、(今年は)日中平和友好条約40周年であり、中国もかなり前向きに関係改善に取り組むのではないか。AIIBとADBの関係についても前向きに議論すべき時がきている。ただし、インターネット安全法という形で、データをすべて自分で取り込んで外に出さないという中国の政策に対しては、米欧と共に対抗していく必要がある。日本個別ではできないので、TPP11などの通商交渉を通じて、データ保護も含め、米欧日で共闘していくことが必要ではないか。これは非常にクリティカルで、将来を決定づけていく重要なポイントだと思う。

Q : 北朝鮮情勢について、平昌オリンピックを契機に、韓国や米国は北朝鮮と対話をする機運が生まれている。一方、日本では、安倍首相は圧力をかけることを重視し、河野外務大臣も(同国について)「微笑み外交」と述べている。日本のあるべき対応として、どういった見解をお持ちか。

小林: 私も新聞情報しか得ていないが、今まで10年、20年の彼ら(北朝鮮)の態度を見ていると、こうやって時間を稼ぎながら、ミサイルや核弾頭の技術をゆるぎないものにするまでは、微笑みつつ対応しているのだと思う。ここで急に心変わりしてくれればありがたいが、米国も言っているとおり、核を完全に放棄させるまでは気を許すことはできない。とりわけ日本はそうした状況に置かれているというのが、間違いのない事実だ。微笑みは微笑みとして、絞るものは絞っていかなければならないのではないか。本日(カナダで開催された外相会合で)の話を見ていると、ティラーソン米国国務長官も非常に難しい立場であろう。韓国は慰安婦問題の(追加措置の)話など、なかなか予測不可能なアクションを取るようになっているので、一番のポイントは日韓関係を今後どうするかである。ティラーソン米国国務官は、慰安婦問題は日韓の極めて感情的な問題だから、二国間で解決することだと述べている。まさにそこが日米韓関係のネックであり、防衛上どう悪影響を及ぼさないようにするかというのが、政治の知恵の出しどころであり、安倍政権もしっかりやっていただきたい。

Q : 現在、安倍首相は外遊中であり、その外遊に30~40社ほどの日本企業トップが同行している。外遊へ(企業が)同行するスタイルは定着しており、必ずしも先進国ではなく、商社などがビジネスチャンスを切り拓けていない地域に政治が入り込んで行くのは、経済界にとっては一見良いように思えるが、安倍首相の属人性に頼りすぎているのではないか。政治的にどうなるか分からない中で、続けていくのがよいことなのか、あるいはシステムとしてやるべきなのか。経済界から何か工夫があるのか、先行きについてどう見ているか伺いたい。

小林: 日本だけではなく、トランプ米国大統領が中国を訪問された際に(企業が)同行したように、世界的に一般的な動きではないかと思う。特にバルト三国なり東欧を攻めていくのは(国と国の関係が)、そういう段階に来ているということなのではないか。逆に、先進国同士の関係は首相自らが行かなくても(成熟しているので必要がないということだろう)。7年ほど前、(私も)経団連のヨーロッパ委員会委員長を務めていた際に、バルト三国とポーランドなどを訪問した。(安倍首相はこれまで)70カ国・地域を回って、(今回)バルト三国などを訪問されるというのは、文字通り「地球儀を俯瞰する外交」の一環といえるのではないか。首相が行かれることは大いに結構だと思う。企業同行については個社の判断であるから、そこでビジネスを興したい方は同行されればよいし、そうして集まったのが30~40社かと思う。大いに結構なことだと思う。

Q : 来週以降に発表される予定である財政再建の中期見通しに関して、一部メディアによれば、PB黒字化が2027年になると報じられている。2027年というのは(PB黒字化を達成するまでの期間として)長すぎるか、あるいは妥当か。受け止めを伺いたい。


小林: 長すぎではないか。自分も4、5年前に経済財政諮問会議の議員だったのでよく覚えているが、そもそもアサンプション(仮定条件)が高すぎた。ずっと言い続けていたが、消費税を2、3%上げただけで財政再建ができるはずがない。そのようなアサンプションのもとに計算をして消費税を上げて、それでも尚且つ(PB黒字化には約)8兆円足りなかった。計算をすれば明らかであり、(結果としてPB黒字化の達成年が)2027年になってしまった(ということではないか)。(これからは)それをベースとして、(歳出の)削るものは削るという議論をしてほしい。消費税を上げたから、(増収分を)使っても良いということではなく、今の世界の経済状況の中で日本の成長性を仮定し「消費税を10%に上げても、未だこのような見通しだ」ということを示さなければならない。また、景気が良くなると金利が上がってくるので、累積債務に影響する。(こういった点も踏まえ、)正確に現実を見据えた試算を前提に議論していただきたいと思う。2027年は10年先だが、そこまで日本の財政は耐えられるだろうか。どれだけ債務が貯まっていくか、金利が上がった時に金融市場がそれを許してくれるのかも含めて、もう少し精緻に議論するべきだと思う。これは、最終的には国民の資産の問題に関わることだ。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)


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