代表幹事の発言

小林喜光経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

小林 喜光 代表幹事
横尾 敬介 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、(1)教育無償化等の財源となる3,000億円の事業主拠出金要請、(2)安倍首相の3%の賃上げ要請、(3)働き方改革後の従業員への賃金還元策、(4)野党のあり方、(5)中国共産党新体制、(6)トランプ大統領来日、(7)製造業の不祥事、(8)企業業績、などについて発言があった。

Q: 衆議院総選挙が終わって2週間も経っていないのに、安倍首相は、先日開催された人生100年時代構想会議で、(人づくり政策)パッケージ(予算の)2兆円のうち、財源不足の3,000億円を(産業界から拠出してほしいと)経団連の榊原会長に向けて言われた。これを教育の無償化に当てるという話であり、事業主拠出金の料率をどうするかが問題になると思う。政策議論を進めてほしいと経済団体から要望があったにも関わらず、まだ国会も開いていないのにいきなり財源の話をしている。(先の総選挙で連立与党が大勝したことを受け)勝てば官軍、与党は何をやってもよいのかという意見もあるが、代表幹事のお考えを伺いたい。

小林: 昨日(私が講演した『読売国際経済懇話会(YIES)』では)、基本的には(3,000億円の事業主拠出金には)前向きに対応すべきだろうと述べた。振り返ってみると、(先の衆院)選挙で(自民党は)消費税を8%から10%に引き上げると掲げた。もともと(消費税率引き上げによる増収分の使途)は、大まかに言って、5分の4を国庫に戻して財政を安定化させ、(残りの)5分の1を社会保障に充てて一体改革を行うというものだった。これを変更して、8%から10%に上げ、1.7兆円ほどを教育に充てるという公約で自民党は選挙を戦った。ほかの野党は(消費増税)即凍結とか、生活者がある程度豊かになったという実感をもってからでないと(経済が)弱まってしまうという点が、選挙戦における(与野党の)政策の違いであった。その前には、教育国債や、自民党の中ではこども保険という議論もあった。経済同友会では、以前から(消費税は)10%でもまだ足りないと指摘してきた。計算すれば普通に考えて、(経済再生ケースで)名目3%超、実質2%超の(成長)、あるいは(ベースラインケースで)名目2%、実質1%程度を仮定しても、(消費税率は)17%くらいにいかないと、プライマリー・バランス(PB)ゼロはおろか今までの負債を返していくレベルには届かない。やはり、あまねく全体から取る消費税というのがフェアではなかろうかと主張してきた。(しかし)いつまで経っても(消費税率は)8%で、2回も(引上げが)据え置かれた。野党は全くもって消費税大反対の合唱の中で、今回(自民党は消費税を)8%から10%に上げる(と主張した)。されど、国庫への(将来の)借金返済(額縮小のため)に(増収分の)かなりの部分が充てられてしまって、5分の1くらいしか社会保障に戻らないのであれば、増税感はぬぐえないであろう。特に日本人のメンタリティとして、日々の生活が厳しくなる雰囲気では、そう簡単にはいかない。そのため、(増収分の)一部を2兆円相当の教育投資として(国民に)戻したらよいのではないか。消費者にも一定程度還元されたということで、10%に上げることを認めてもらうという論法である。我々としては、(消費税率が)8%で固定化してしまうことはよくないと考える。消費税は、ヨーロッパではほとんど20%台が常識であり、8%で固定化してしまうというのは甚だ(問題である)。世代会計という観点で、次の世代にきわめて大きな借金を残してしまう。(次世代に)負荷をかけてしまうというのは本当によいのだろうか。やはり一定程度バランスを取って、(国の借入分を)返しておくものは返しておくという戦法、考え方は相対的には理解できる。他に手の打ちようもなく、8%に固定してPB(黒字化)がどんどん遠のいていくより、軽減税率を考えると(国民に)戻すのはせいぜい1兆円くらいになってしまうかもしれないが、2兆円なり(の教育投資で還元し)、消費税を上げるということが非常に重要である。選挙が終わって、次の予算編成も含めて非常にタイトな中ではあるが、(消費税率を)2%上げれば目の子勘定で(税収が)5兆円から5.6兆円位増える。その割り振りをどうするかという中で、それほど明確な数字ともいえないが、消費税(増収)分の1.7兆円分は何とか教育に使えるが、あと3,000億円分くらい足りない(状況なのだろう)。こども保険は、税金(で納める額)はステイしても、社会保険(料)が上がってしまい、会社だけではなく従業員にも負荷がかかるので、実態としてのロスが家計に出てくる。それをやめて民間(企業)に、事業主拠出金というかたちで会社だけが払うということで、3,000億円(なのだろう)。3,000億自体が、本当にリーズナブルかどうかは別として、いずれにしても、(借入分を)返すものは返し、(あとは)民間の企業体がそのくらい面倒を見てくれ(ということではないか)。今までの経緯からすると、こども保険や教育国債よりはいいので、真剣に対応すべきである。ただし、例えば保育所の拡張や強化といったことを含めて、使途をもっと明確にすること(が大事)だ。(予算が)足りなくなると、事業主拠出金なり、外税標準課税などを含めて、なし崩し的に民間企業体にだけに負荷をかけてくるというのは、永続的ではなく、どこかで止めなければならない。3,000億円なら3,000億円に箍をはめる方策など、具体的なところをどうするか(が重要だ)。経団連もそうだが、経済同友会としても委員会があるので、色々な情報と状況を整理して、それなりの意見を述べていきたい。ただ、内部留保や現預金に対しての見方は異なるが、感覚的には安倍政権になってから5年の間に、一般の事業体はかなり利益が出ている。マイナス金利で金融の一部は今後苦戦を強いられることも予想されるが、昨年は15~16%くらい増益になっている企業もあり、恐らく2018年3月期も10%以上の増益が期待されている。給料を上げるということを含めて、(教育投資への協力は)やはり企業の社会的責任の一つである。こども保険だと(従業員)個人からもお金を取ることになるので、そこからは取らないのは理に適ったことだと考えている。

Q: 連合が2%のベア引き上げを要求している中で、安倍首相は3%の賃上げを求めた。組合よりも官邸の方が高い(要求をしているという)結果がある。今の企業業績を鑑みれば、出せない金額ではないが、個社の判断になるだろう。これまで4年にわたってベアを行ってきたが、経済の好循環に繋げたいというよりも少し強い要請だと思う。あらためてこの3%要請についてどうお考えか。

小林: 連合の2%(アップ)はベアのみであることに対し、安倍首相が(要請された)3%とは、定期昇給やボーナス、ベアのすべて合わせての3%であり、(実態は)連合の2%の方が高い(要求である)。ここ数年のトレンドは、大企業・中小企業で若干異なっているにしても、全体の給料アップは2%程度、ベアはその内0.5%程度だ。四分の一はベアで、四分の三は定昇相当分である。少なくとも連合の(述べている)ベア2%アップとは、これまでの(ベア実績)0.5%から比べると、4倍を要求しているからとても無理だろう。「2%程度は対応できるのではないか」と先日の会見(前回2017年10月18日の定例会見)で私も述べたが、それは安倍首相のおっしゃっている3%に対応する(年収ベースの値であり)、ベアも定期昇給もボーナスも、全て含めた額である。そういう意味では3%は少し高いと思う。世の中の業績を見ていると、3%はかなり高い目標だと思う。それよりも、ここ4~5年続いている官製春闘をいつまでもやるのかと(思う)。労使の問題は労使が主体的にやるべきであり、資本主義社会の自由の世界では、それが正常な状況である。企業は(世界の)どこで儲けても同じ儲けだが、円安とはいえ海外への進出が非常に進む中で、地方創生を含め、同じ状況ならば日本に投資するという状況に(意識が)向くよう、念を押したらよいと思う。

Q: 働き方改革により(従業員の)残業代が減ってしまい消費拡大につながらないという指摘がある。経団連が、(減った分の)残業代を従業員に還元する手当などの方策を春闘で検討するよう、会員企業に要請したとの話もある。これについて所見を伺いたい。

小林: (働き方改革によって)残業代が(最大で年)8.5兆円減るという試算がある。労働の質が高くなり、残業代を減らした分だけ結果が出ていれば、各企業体がそれぞれに考えて(従業員に)還元するのが当然だと思う。全体としてこうあるべしというのは、今はなかなか解がない段階だ。どういう方策をとって還元していくかは、さきほどの(賃上げ)2%や3%とは違った見方で検討すべきアイテムである。非常に難しい問題である。

Q: 衆議院総選挙が終わって1週間が過ぎ、明日、特別国会が開催される。野党は民進党が分裂して離合集散という動きがあったが、これまでの1週間の状況を代表幹事はどうご覧になるか。また、そういった中で、健全な野党のあり方はどういうものなのか伺いたい。

小林: 日本に二大政党制(が根付く)というのは、なかなか難しいと感じている。小選挙区制や二院制という体制が本当にいいのだろうかという問題提起をされているような感じがする。一強とはいえ、自民党はここまでやるべきことをしっかりと行い、経済的にもアベノミクスを進めてきた。本日、日銀は金融緩和を当面続けると発表したが、米国も欧州もそろそろ出口(戦略)を探る中で、おそらく(日銀も)準備もされ、頭の体操をしていると思うが、我々としては持続可能性をみざるを得ない。自民党は、右(派)から左(派)のものをなんとか包含して大人の世界を作っている。野党も、トータルで妥協することをやらないと四分五裂の世界となり、ますます弱っていく気がして、頼りにならないと思う。

Q: 中国共産党の新執行部体制について、どう評価するか。また、鉄鋼については動きがみられるものの、日本企業は過剰生産に対する対応をどのようにとっていくべきか。新体制で過剰生産は加速していくのか、それとも(日本として)歓迎すべき方向になるのか、どう評価するか。

小林: 習近平体制における個々の人物はどうあれ、ますます独裁的、専制政治に、より習近平氏が(執政を)やりやすいようになっている。社会主義強国論だ。侵略はしないが強い中国、世界に勝てる中国(を目指す)という中で、現在64歳の習近平氏の目線はおそらく、最低でも20年、30年先を、ひょっとして鄧小平氏と同じように100年先を見ているのではないか。(習近平氏は)この5年で辞める気はないだろう。最低あと10年は(国家)主席の座にいて、自分の権力のもとに世界制覇を目論んでいるだろう。(それは例えば、)南シナ海や、(各国の)港湾に対する戦略、一帯一路、尖閣諸島に対する対応である。日本の持続可能性について、金融、財政、社会保障などを20~30年先まで見ると、どう中国、北朝鮮に対応するかは重要なポイントであるとみざるを得ない。9月に日中友好45周年記念式典で北京を訪れ、これまでナンバー4(を務めていた)兪正声氏や、唐家璇氏の話を聞いた。(日本側の出席者は)彼らの父親時代から長い付き合いをしてきた河野洋平氏や田中真紀子氏のような方々が中心だった。(中国側は)日本、また、安倍政権に対してかなり強い口調であり、南沙諸島や尖閣諸島について、非常に厳しいことを述べていた。安倍政権は5年におよぶ長期政権で、これまでの1年ごとに交代してしまっていた首相と違って、グローバルに海外対応をし、外交ではヘゲモニーを握っている。ロシア、トルコ、オーストラリア、ヨーロッパ、米国とも友好的である。(それに比べ)対北朝鮮(問題)を含めて、(関係が)取り残されているのは中国だ。相手があることだから難しいが、民間も含め、中国と日本がどういう関係に進んでいくかが、日本の持続可能性にとって最も重要だと、今回の(中国)共産党大会を見て感じた。

Q: トランプ米大統領が11月5日に来日されるが、日米首脳会談を含め、経済面や安全保障面で期待されることを伺いたい。

小林: (トランプ大統領は)ASEANやAPECなどいろいろ(な国際会合が)ある中でアジアを歴訪される。去年の暮れから安倍首相とトランプ米大統領の個人の人間関係を育ててこられた。電話会議など(も頻繁にされており、報道など事前情報で)聞こえてくるところによると、ゴルフなどで非常に親密さをアピールするようだが、悪いことではない。問題は北朝鮮や中国がどうみるかだ。こういう状況に至っては、日米を基軸にして外交を展開する以外には道はない。安全保障、防衛に関する解は1つかもしれないが、問題は、どう経済を絡めて日本に妥協を迫るのか(という点だ)。(安保問題とは)完全に独立して、経済は経済として日米経済対話のレベルで麻生副総理とペンス副大統領の対話に任せるのか、あるいは、トランプ大統領が直接、二国間FTAなどを求めてくるのか。このあたりは見てみないとわからない。今の段階では、日本としてはこの方策以外はなかなか簡単に見つからない状況なので、大いに友好関係をアピールしたらいいのではないか。

Q: ものづくりの現場における不正問題について伺いたい。現場のルールが外部のルールと齟齬をきたしているが、なぜこのようなことが起こるのか。現場のルールがブラックボックス化してなかなか外からの目が届きにくかった。現場に対する過信もあり、それが甘えやおごりになったのではないか。不正が30~40年続いていたということは、今の経営陣も当然知るチャンスがあったと思うが、それがなかったというのはどう考えればよいのか。

小林: 今、5、6社でさまざまなスキャンダルが出てきたが、それぞれのスキャンダルは必ずしも同じ根ではない。たとえば、国土交通省の法令に対して、安全性(の基準)などにあまり意味を感じていない企業が勝手に対応してしまったという事象がある。意味がないと思うのならば、官と民でもっと議論するべきだったのではないか。そうは言っても、それを上(経営者)が全く知らなかったのか、あるいは伝わらなかったのかというと(疑問である)。(不正が)30年来続いているとしたら、その人(現経営者)たちが若い頃から本社勤務の超エリートで、どこにも異動がなく、デスクワークしかやってこなかった場合以外はわかるはずである。あるエートス(習慣)、文化に毒されてしまい、そうしたエリートたちが社長になってしまったことをどう考えるかが一つだ。もう一つは、安全性などとは関係なく、特別採用(トクサイ)といって勝手に現場で解釈してしまうことだ。経済産業省の指導も何もなく、自分たちでお客様とスペックを決め、それに対してスペックオフしたものも出(荷)してしまうというのは、話にならない。段々と現場から離れ部長になり、本社に転勤になり、部長から常務になり、そして社長になるまでには十数年かかるので、(現場を)忘れてしまい、現場任せになってしまったような事象もある。今、災害の話はないが、保安面で言えば、10年程前に当社も爆発事故を起こし、関係会社の方が4名お亡くなりになる事故があった。また、独占禁止法で指摘を受けた経験もある。経営者は、コンプライアンスと保安・安全のどこかに齟齬をきたせば、会社がダメになり、自分自身もマネジメント(経営者)を去るという緊張感を、常に持っていなければならない。(東証上場で)社外取締役2名以上(を選任する企業が)が90%になったというような、形式の問題ではない。最近は、欧米流資本主義に見られるように、株主のために会社はあるという(風潮が強い)。このような部分も当然必要だが、会社というのはステークホルダー全体のためにある。それは社会のためであり、従業員とその安全のためであり、やはり社会正義のためである。あるいはインベスター、銀行のためでもある。収益だけを上げて、そういうところ(法令・ルール)に若干目をつむっても結果を出せばいいというような風潮を、もう一度見直す(必要がある)。要するに、コーポレートガバナンスを形だけ(整えるの)ではなく、仏に魂を入れるためにはどうしたらよいのかを考える必要がある。それはトップがいかに忙しくても、現場を常に見る姿勢(を忘れるべきではない)。コーポレートガバナンスも重要だが、私がガバメントガバナンスあるいはステートガバナンスと呼んでいる、国家のガバナンスにとっても同じように重要になってきている。私たち経営者も、互いに自己に厳しく、他の経営者を他山の石として自己反省(していくべきである)。外に厳しく自己には甘くというのではなく、非は非として互いに議論していくということが、当会のような経営者の団体にとって、重要な課題を突き付けられていると感じる。

Q: かつて日本企業は現場が強いと言われており、それが今までの経済成長を支えていたと思うが、結局、現場に対してマネジメントも口出しができなかった。小林代表幹事も製造業(の経営者)ということで、現場とマネジメントの距離感はどうあるべきと考えるか伺いたい。

小林: 上から下には(情報が)伝わりやすい。社長メッセージ、あるいはメディアを通して、わが社はこのような状況にあるからこうしよう(と伝えることができる)。しかし、下から上には良いことしか伝わらない。とりわけ何かに優勝した、賞をもらったなどの良いことはすぐに伝わってくる。ところが悪いことは隠す。したがって、下で悪いことをやっていれば、(それを)どうピックアップするか、ここが一番のポイントである。これこそ性悪説として、どこかで悪いことをやっている(かもしれないという目も持たなければならない)。特に孫会社になると、なかなか目が届かない。これは社内の監査室や監査委員会、あるいは取締役会の監査委員など重層構造で監査をしているが、隠されれば(なかなか)わからない。社外取締役といっても、(取締役会の)議題に上らなければ議論にもならない。議題に上げる、すなわち現場で何が起こって、何が一番危ないのかということを、率先して下から上げる文化をどうつくっていくかが最大の課題である。これは安全もコンプライアンスも同じである。いい加減な作業が事故につながり、世界に比べればまだ少ないとはいえ、日本は数々の大事故を起こしてきている。結局、隠す文化をどうオープンにするか(がポイントとなるが)、そのための方策はものすごく難しい。日頃から、悪いことをやってはいけないという当たり前のことを言い続けることだ。

Q: 本日、上場企業が中間決算のピークを迎えている。どの企業も業績が良く伸びているが、これは本当に企業の力が付いて改善しているのか、それともアベノミクス始まって以来の円安の影響によるものか。この先の通期決算に向けてのリスクなど、所見を伺いたい。

小林: (日本の景況だけでなく)世界全体がよい。(GDPは)中国で6.8%増、欧州で2%程度、米国3%以上と成長している。リーマン・ショックの後に(欧米・日本において)相当な金融緩和を行い、経済を活性化した。それから10年は経ってはいないが、ようやく(成果が)出てきた(といえる)。実態はどうなのかは難しく、新規事業が育っているのかといえば、日本の場合はまだまだであろう。(金融緩和により)全体が底上げされ、グローバルにもよい状況であり、ましてや金融緩和の最大のメリットである円安に導いてもらったために、日本は海外で稼いだ分が換算益で3割ぐらい(上がっている)。(円安により例えば)かつて100(億円だった収益)が130(億円)で戻ってきているのは大きい。だが、国内の単体損益はまだ回復されていない。輸出で食べる(儲ける)スタイルから、現地で儲かったものを連結(決算で日本)に取り込むというスタイルに変わったが、今は環境がいいだけの話だ。企業の本質的な強さは、地道なリストラをした(ことによる)。弱いところを切り、そのために内部では社内失業者も出ているが、強いところを(さらに)強めてきた。コストダウンのみならず、ポートフォリオ・トランスフォーメーションをしっかり行ったことが結果に繋がった。儲けの少ないもの(事業)をやめて、儲けの高いものに集中した事によって(ここまでは)うまくきたが、もっと新しいものをクリエイトするのが今後の最大の課題だ。結果が出るのに5~10年かかるかもしれないが、(アベノミクスにより)この5年間の時間(的猶予)をもらったので、各社それぞれに新しい戦略を練って、今は時間を有効に使って次に備える時だと思う。

以上

(文責: 経済同友会 事務局)

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