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小林喜光経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2017年5月16日(火) 13:30~
出席者 小林 喜光 代表幹事
横尾 敬介 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、(1)世界的なサイバー攻撃、(2)経済同友会憲法問題委員会、(3)AIIB、(4)こども保険、(5)1~3月期GDP予測、(6)東芝の経営問題、などについて発言があった。

Q: 世界的なサイバー攻撃が広がっており、日立製作所も攻撃を受け、障害が生じている。経済同友会や、代表幹事が関わっている企業・団体等への影響や対応、今後注視すべきことなどについて伺いたい。

小林: サイバーセキュリティ対策は、政府が音頭を取って具体的に(対応して)いるほか、個社においても、各企業の基本的方針に沿って対応しているとはいえ、非常に整備されているはずの組織でさえ、攻撃を受けて(障害が生じて)いる。正確な情報であるかは別にして、北朝鮮がソフトを上手く転用し、関与しているという情報も出てきており、この問題は相当根が深い。

今後、サイバー(セキュリティー)は、国の安全保障も含め、当然個々の企業の秘密をどのように守るのかということになる。アメリカやイスラエル等をはじめとして、政府も、既に具体的な共同作業に入っており、個々の企業も色々な訓練等を行っているが、教育の問題も含め、やはり絶対的に(少ない)AI、IoT、ビッグデータ等のデータアナリスト、データセキュリティなど、サイバーセキュリティそのもの(に対応し得る)人材を、官民ともにもう少し本気で、短期間のうちに教育・育成していくのか(という点について)、我々は、まず一番に対応し準備していかなければならない。

2~3年前にも同様の問題があった。銀行系は今のところ被害を受けていないが、(サイバーセキュリティが)弱いところは、長期的な人材育成も含め、性悪説にのっとって対応すべきである。

Q: 憲法に関して、経済同友会が(今年度、憲法問題委員会を立ち上げて、議論すると)発表した後、経団連、日商も憲法問題について議論することを表明した。改めて、経済界がこのタイミングで憲法問題を委員会で議論する意義、また、委員会を設置したプロセスについて伺いたい。

小林: これは先ほどのサイバーセキュリティとも絡む話である。2年前に代表幹事に就任し、2016年度に安全保障委員会を立ち上げた。(現在、安全保障委員会で)サイバーセキュリティに関して中間報告をまとめている。かつて安全保障(と)は物理的な戦車や北朝鮮のミサイル等(の武器)であったが、テクノロジーの変化によって、戦争や、国を守る形が相当変化している。戦後70年経った2017年という時代状況の中では、ロボットやAI、ビッグデータ等、かなりデータ中心になっており、データそのものが(富を生み出す)石油だと言われている。あと5年、10年もすれば、自動運転になり、シェアリング・エコノミーも広がり、世の中が非常に変化していく中で、基本的な人権にしても、安全保障にしても、様々なアイテムが戦後70年経っても相変わらずで、現状に合っていない。私学(助成についての憲法解釈や)、憲法裁判所があったほうがよいのではないかという議論もある。経済同友会では2003年に(憲法問題について)かなりまとまった意見を出しており、2003年から2009年までは憲法問題懇談会を通じてまとまった議論も行ってきた。ここへきて、サイバーセキュリティや、北朝鮮(含む)極東の状況が変化するなかで、経済人として、経済をいかに安定的に推移させながら国をしっかりと守っていくかという精神が必要である。憲法の専門家をお招きして、我々経営者の考え方を整理する時期に来ているのではないかと考え、この4月に憲法問題委員会を立ち上げた。まだ具体的にどのような点を深掘りするか、いつ頃どのような形で発表するかも決まっていない。戦後70年の談話が終わった中で、経済同友会は、(2016年11月21日に発表した)Japan 2.0スタートの年を2021年に設定している。(2016年から)2020年までの5年間で、新たな日本、バージョン2.0に対して、様々なアイテムを整理し準備する時期だ。2020年までは東京オリンピック・パラリンピックもあり、一つの区切りとしてかなり上昇していくであろう。しかし、2025年に向って大変な高齢化社会になり、人口も減っていくことに対応しなければならない。我々は2021年がちょうど節目だと考えているが、奇しくも安倍首相が2020年に憲法改正をされたいと発言され、時間軸的にはここ辺りで(ターゲットにするのは理解できる)。そもそも、個と人格、人間の権利、それと国家(の関係性や)、ロボットや人工知能の時代にふさわしい憲法、そうした議論が必要なのではないか。奇しくも2021年から新たに始まるバージョン2.0の日本に対して、我々は経済的にも、当然国を守る意味でも、すべて(の面で)準備していこうという思いである。

Q: 安倍首相は2020年までに改正憲法の施行まで目指すと発言された。その中で、憲法9条第3項、自衛隊のあり方についてどう定義するかと、高等教育の無償化を挙げた。経済同友会でこれから議論するのは大切だと思うが、代表幹事の中で、年内に提言をまとめるなり、安倍首相が発言されている9条第3項や、高等教育の無償化にフォーカスするのか(といったテーマ設定や)、議論のスケジュール感・進め方について見解を伺いたい。

小林: だらだらとやっていても仕方がない。今年中には、なんらかの中間報告的なものか、来年にかけて何をやるかを抽出し考え方を整理する。まだ委員会が発足したばかりなので、(委員長や会員の)皆さんと相談しながらやるというフェーズにある。当然、政治サイドは一定程度のスケジュール感をもって(行うだろう)。それと、3分の2(超の議席数)という大きなポイントもある。自民党だけでできなければ、他党の協力を得なければ勝算なしなので、そこで高等教育(の無償化)と、9条第1項、第2項を残して、第3項を付け加えるという形で、他の2つの党が協力できるような戦略だろう。それも含め、個と国家の関係性、あるいは人間の生存権、環境権も含め、我々経済人として、2045年(に迎えるといわれている)シンギュラリティを常に意識する。戦後100年にあたる年でもあり、東京オリンピック・パラリンピックを契機に、2021年から世の中が極めてドラスティックに変わっていく。一方では、グローバリズムとデモクラシーが、米国でもヨーロッパでも一部、逆方向に向かう部分もある。そういう面も含めて議論していく中で、時間軸については政府が2020年までと言っているが、我々(経済同友会)は、まだ(そこまで)詰めきれていない。そもそも今はアイテムを抽出する段階だ。だからといって、9条を避けて通ろうとは思っていない。それも真っ向からきちんと議論すべきだ。

Q: 経団連は夏季フォーラムで争点化するようだが。

小林: (経済同友会の)夏季セミナーのメインテーマはまだ決めていない。近いうちに、(今年度)どういうことをやるかのキックオフ(会合)もあるので、そういう場において皆で議論したい。

Q: 中国で「一帯一路」をテーマにした国際会議が開催され、日本からも自民党の二階俊博幹事長などが派遣されている。ちょうど、このタイミングで安倍首相もAIIB(アジアインフラ投資銀行)へのスタンスを変える発信をされ、前までは「高利貸しだ」と言っていたのが「条件次第で日本も(参加を)検討する」という発信もされている。日本にはADB(アジア開発銀行)もあるが、中国が主導するAIIBに対してどのようにお考えか。

小林: AIIBとADBの関係については、ADBから(AIIBに対して)コラボレーション、一緒にやっていこうというメッセージを出している。例えばトランプ氏が米国大統領になる2年前までは、グローバル化や環境問題はどちらかというと米国、ヨーロッパ主導であったのに、今年1月のダボス会議における習近平氏のプレゼンテーションを聞いていると、グローバル化と環境問題は、彼が主導していくかのような演説もあった。AIIBなど、中国そのもののアジアやヨーロッパへの一帯一路の方向性も微修正はしているだろう。ガバナンスが一番のポイントだと日本政府も前から言ってきている。その変化が、軍事も含めてアジアに対して比較的強引に、侵略的なニュアンスのあるものでなければ、共に栄えるという意味での経済的なバックアップ、それも中国主導でお金を出すということなので、前向きに対応するのは自然なことだと思う。

ただ、インドネシアの鉄道など、仕事を取るために時間も含め、コストも安く受注したものの、その後が上手く進んでいないこともあると思うので、そういったところもきちんとチェックしていくべきである。その意味でコンプライアンスとガバナンスを今後もチェックしながら、AIIB、ADBも含めて、企業、経済人としては明らかに発展の方向であると思うので前向きに捉えるべきである。

Q: AIIBとADBについてお伺いしたい。ここにきて安倍首相や自民党の二階俊博幹事長がAIIBに対して前向きな発言をしているが、仮に日本がAIIBに加盟したとすると、これまで築き上げてきたADBとの棲み分けはどうなるのか。所見をお伺いしたい。

小林: 麻生太郎副総理も述べているように、より質の高い部分をADBが行い、インフラの一部、分かりやすい部分、単純な部分はAIIBが行うということもあるだろう。(事業の)大きさが違うため、そこはなんとかなると思う。TPP11など米国に対する牽制も含め、あるいは今後の二国間交渉も含め、日本が単に100%米国追従でない姿(を見せることができた)。AIIBも含めて、米国はまだ前向きではないだろうが、日本が全方位外交というか、少なくとも北朝鮮以外に対しては、米国、ロシア、中国、韓国に対しても日本を中心軸に考えるようになってきた一つの兆候ではないかと思う。私は自立する日本という意味で、一つの現象だと前向きに捉えている。何事においても米国べったりという時期があったが、そうではなさそうだなと(感じている)。意外にそれなりのタクティクス(戦術)を持ち、日本の政治も比較的強く、成熟してきたという気がする。

Q: 当初はAIIBに対してガバナンスなどについて指摘する声もあったがその点についてはいかがお考えか。

小林: 今はそれをきちんとウォッチしていかないとまだわからない。中国は環境問題も前向きに取り組んでいるが、北京の現実はそこまでいっていない。鉄も気が付けばオーバーサプライの元凶のように(なり)、化学製品のバルキー(な汎用品)はほとんど中国が作り、オーバーサプライで(業界)全体がおかしくなるような(状態にある)。そのような部分はまだよく見ていかなければならない。また、GDP(成長率)も6.7%、6.7%と続いてきたものが6.8%、6.9%と一見上がっている。これはある意味ではきわめてバブリーというか、財政の極めて一時的な刺激で上がっているのかも含め、まだまだ中国は成熟したマネジメントを行っているとは思えないため、よくウォッチした方がよいと思う。いまだ先進のヨーロッパ、日本などが協力しなければできない(レベルの)コントローラビリティーにある。

Q: 教育の無償化を巡って、「こども保険」という考え方がある。経団連は現役世代や企業にのみ負担を求めるのは、著しくバランスを欠いていると表明しているが、代表幹事はどのようにお考えか。

小林: 経済同友会で長い間主張しているのは、消費税という形で、あまねくすべてのジェネレーション、すべての人々に負担してもらうということだ。世界では(一般的に)法人税・消費税・所得税のバランスが取れているが、日本では、日本人のメンタリティーというか、消費税に対してものすごく抵抗感があるので、政治がタブー視してきた。しかし、2019年10月から消費税率を上げるというスケジュールがあるので、全体として税なのか保険なのか(考えていくべきだ)。税で徴収すると非常にヒステリックになるが、健康保険を含めて、保険料で取るとなかなか気付かない。こども保険という形で、子どもがいない人も保険料を負担するという(ことに)フェアネスがあるのか(考える必要がある)。世代間(の不公平さ)や、取りやすいところから取るというのが今までの流れなので、恐らく経団連が反対しているのはそのあたりだと思う。これは色々なオプションを(考え)、消費税なのか保険料なのか、あるいは所得税なのか、(大きく)税か保険かということになると思う。これだけ日本の財政がひっ迫している中で、今いい思いをするがために、次の世代に悪いものを先送りするということはやめるべく、我々は主張していこうと思っている。

Q: 子どもがいない人からも保険料を取るのはフェアではないのではとのことだが、その人が将来(老後の社会保障を支える世代から社会保障等の給付を)受け取る立場になるので、そのような意味では、結果的にはフェアではないか。

小林: そのような意見もある。高等教育の無償化は憲法を改正しなくてもできることだし、その財源については、子どもがいてもいなくても、社会に対する貢献という意味での理念がしっかりしていれば、一つの意見だと思う。

Q: 今週18日に1~3月期のGDPが発表される。個人消費や設備投資など含め、代表幹事の見通しを伺いたい。

小林: 民間の予測だと、(日本経済研究センターの)ESPフォーキャスト調査で2017年度が1.37%くらいになっている。日銀や政府は、もう少し高い値を予測しているかもしれないが、間違いなく良くはなっている。特に輸出が良くなっているので、比較的、アジア含む新興国も含め、全体的に世界が良くなっている。ヨーロッパでも、(前期比)0.5%くらいのGDPを保持している。米国は(前期比年率)0.7%と一見低いが、輸出に引っ張られているのが大きい。製造業もそれなりに伸びており、消費は一概に伸びているとはいえないが、全体として、ゆっくり温もっていることには変わりない。2017年度は(年率換算)1.3%~1.4%くらいは十分(いくだろうし)、2018年度には少し下がる予測が多いが、IMFの予測よりは良くて、日銀が予測している数値よりは少し低いのではと思っている。

Q: 東芝が昨日、監査意見が付かない形で決算を発表したが、この状況についてどう思うか。

小林: 本日は経済同友会の記者会見であり、東芝の件はコメントを差し控えたい。

Q: 国際仲裁裁判所への申し立てについて伺いたい。スズキが独フォルクスワーゲンとの提携解消を求めた際はずいぶん長い時間がかかったが、国際仲裁裁判所が関わることは、企業にとって重いものか、認識を伺いたい。

小林: わからない(のでコメントは差し控える)。

以上

(文責: 経済同友会 事務局)


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