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小林喜光経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2017年2月14日(火) 13:30~
出席者 小林 喜光 代表幹事
横尾 敬介 副代表幹事・専務理事

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冒頭、横尾副代表幹事・専務理事より、「時間外労働規制等に関する意見」について説明があった後、記者の質問に答える形で、(1)日米首脳会談と今後の議論、(2)中国との関係、(3)東芝の決算発表、(4)インフラ投資、などについて発言があった。

Q: 日米首脳会談について、安倍首相がゴルフをしたことも含めて野党から問題視する声があがっている。今回の会談の成果について、所感を伺いたい。また、トランプ大統領が北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉について、カナダとの関係に限り微調整するとの趣旨の発言をし、若干トーンダウンしているようにも感じられるが、この点について所感を伺いたい。

小林: 最初の質問について、自分の立場で考えれば、(大統領から)ゴルフに誘われて断る首相はいない。(首相の)仕事とすれば、健康上の問題や(ゴルフを)やることによってネガティブなことがあれば別だが、二度目の出会いで、先方(トランプ大統領)がゴルフに誘ってくれるというのは、千載一遇のチャンスである。瑣末なようだが重要なことで、絆はそれによって築かれる。(首脳会談の)第一幕としては、安全保障にフォーカスして(行われた)。残念ながら北朝鮮が考えられないことをする政府であることがよく分かったわけだが、(軍事的な)テクノロジーが非常に進んでいる。中東も大きな(問題を抱えており)、未だに不幸な紛争が続いているが、極東とて呑気なことは言っていられない。我々国民も平和ボケしているのではないかと気付かされる意味で、あるいは、米国がどこにポイントを置くかについて、日本との今までの流れ(日米同盟)や安全保障が最も重要なところだという認識を持っていると思う。日本政府も、安全保障を明確にしたというのは、第一幕として基本的なところは成功したのではないかと思う。これはあくまで第一歩で、第二幕では、スティーブ・ムニューチン氏が議会で承認されて財務長官になり、麻生太郎副総理とマイク・ペンス副大統領を中心に、かなり深い議論に入っていく。その局面においては、経済、通商、為替等を含め、互いに深い絆で安全保障は進めつつ、一方では率直な議論をしていくことになると思うので、今後とも理論武装をして取り組んでいただきたい。

今回、トランプ大統領は、安倍首相の訪米に際して、為替や投資、人(雇用)の話よりも、安全保障に切り替えたように思う。NAFTA(再交渉)についても、あるいは一つの中国、台湾を前に出してきたのも、チューニングを変えてきている中の一つだろう。メキシコとは若干違うのかもしれないが、より具体的に色々なアクションを出している。(中東など7か国からの)入国一時禁止の大統領令についても上訴を断念し、かなり現実路線に変換している兆しではないか。

Q: 今回、麻生副総理とペンス副大統領を中心とする経済対話の場が設置されることとなったが、ペンス副大統領は日本にとって重要なキーマンである。どのような議論を期待するか、どのようなところに関心を持っているかについて伺いたい。

小林: トランプ大統領はビジネスをやっておられたので、経済だけでなく財政にも詳しいだろうが、今回(の首脳会談で)は安全保障にフォーカスした。(経済対話については、)より時間を使える、スタッフの多いところで実際に議論を深めるという意味で、麻生副総理とペンス副大統領(をトップにするの)は良い組み合わせではないか。そこに(本日議会で承認された)ムニューチン財務長官や、まだ承認されていないが商務長官も入るだろう。そのような形で4月頃から(の議論の)本格化を想定すると、インフラ投資、通商、為替等を含めたファクト・ファインディング、(これまで)どれだけ投資をしたか、雇用をしているかという事実は明確にあるので、(まずは)それらを冷静にきちんと出し合う。法人税率引き下げやインフラ投資、パイプライン、石炭産業の復活、石油化学、石油精製、シェールオイルも含めて、来年7月には日米原子力協定も有効期限を迎えることもあり、トータルな産業のコラボレーション(協同)に加え、自動車はフォーカスされるが一つのアイテムではなく、全体系で議論してもらいたい。日本は元々エネルギーの乏しい国なので、サウジアラビアなど中東から東シナ海を通って運ばれるルートとは別の、シェールオイルやLNGなどを運ぶ米国からのルートを確保することも、一つの大きな安全保障になる。そのような議論をしてもらいたい。

為替については、専門家が長い間、議論を蓄積してきたので、互いに納得できるソリューションがあるのではないか。米国は少なくとも金利を上げていく方向だろうし、日本の事情としては、物価を上げていかなければならず、そう簡単にはテーパリングできない。それらを含めて、冷静なる論理と事実をベースにした議論をやってもらいたい。適切なキャスティングではないか。

Q: 経済対話の対象は、これからもっと広がっていく可能性があるとの認識か。

小林: 単に自動車などの個別産業というより、最後には農産物も含めてトータルな方向(で議論してほしい)。それが二国間(バイラテラル)になるのか、TPPのように大きな多国間の中でとらえていくのか。どちらが有利なのか(を考える必要はある)。

Q: 日米首脳会談の前に、トランプ大統領と中国の習近平国家主席が電話会談を行い、トランプ大統領は「一つの中国」を尊重するメッセージを送ったとの報道があった。日本の場合は、尖閣諸島問題も含めて(対中関係の姿勢が)クローズアップされることが多い。日米同盟も大事だが、北朝鮮の核・ミサイルの問題に備えて日中関係の深化に取り組み、日本の選択肢を増やすべきではないか。

小林: まさにご指摘の通りだと思う。当然、米国にとっても中国との関係がうまくいく方が良い。対北朝鮮という意味でもう一つ重要な国は韓国であり、まずは日米韓という形が望ましいのではないか。今後、(韓国では朴槿恵)大統領がいつ弾劾されるかも分からず、大統領選も控え、どちらかというと反日の政策を持つ候補が多い中ではあるが、対北朝鮮における韓国(の存在)は重要なポイントになる。今、慰安婦像問題で駐韓大使を召還しているような異常な状態であるが、早く解消しなければいけない。(日本にとって)中国、韓国が要になるだろう。

Q: 日米首脳会談について、(首脳同士の)ハグやゴルフでのハイタッチの画像がツイッターで流れ、蜜月が演出されたようにも見えるが、まだ腹に一物あるかどうかが読み切れない。これをどう見るかによって日本の経済界の心構えも変わってくると思うが、一連の印象を伺いたい。

小林: 互いにwin-winの関係をつくりたいというのは掛け値なしの事実であると思う。特に、経済人はwin-winであることが一番重要であり、心からは接するが、最後は儲からなければいけない。最初は自分から心を出して(相手を)信じなければ、相手も信じてくれない。そうした会話の中で(信頼関係を築いていくのであって)、win-winゲームができるかどうかの判断は次の段階だろう。まずは、互いに非常にうまくいったと見ておくべきだろう。

経済関係(の確立)も、麻生副総理とペンス副大統領との成り行きを見ながらになる。(トランプ大統領が掲げる)TPP(離脱)やCO2問題など、長期的な戦略が持続可能性の意味で本当に正しいかは別として、インフラ(投資)の活性化や法人税率引き下げなど、短期的には決して悪い方向ではない。原油価格は50~60ドルで推移しているが、シェールオイルはますます重要になる。重化学工業への回帰と同時に、西海岸のソフトウェア、インターネット関係の産業に蓋をすることもないだろう。全体としては活性化する方向だと考えており、経済界としては前向きに対処して、遅れを取らないようにしていくのが正しい道だと思う。

Q: 日米首脳会談について、産業界はひとまず安堵している一方で、これで終わるわけではないと思っている人も多い。これについてどのように見ているか。

小林: 第一幕は非常にスムーズに入ったということで、株価も、急激に上がっているわけではないが、少なくとも下がらなかったし、為替も113円辺りで安定している。マーケット、経済界としては、とりあえず安堵の表現をしたということだろう。

これからの第二弾こそが本命で、非常に専門的な議論なり、データ、エビデンスをベースにした議論になると思う。日本にとって変な方向に議論が進んでしまって、急に円が強くなるような極端なことはないだろう。ムニューチン財務長官も、ドル高の方が米国経済にとっては良いと発言していたようだし、恐らく極端な為替の振れもないだろう。米国は金利引き上げ、引き締めの方に進むだろうから、日本との金利差はそれほど縮まることもないだろう。トレンドとして円安の方向になるかは別として、極端な円高にはならないと考える。エネルギーコスト、米国のインフラ投資等の政策を含めると、日本の産業にとっては、少なくとも数年のオーダーで見る限りは、良い方向と考えるのが一般的である。マーケット(株価)が2万円を伺っているのは、そのような状況からだろう。

Q: 東芝について伺いたい。本日午前中に取締役会があり、(2016年4~12月期連結決算について)正午に適時開示、夕方に社長の記者会見が予定されていたが、異例にも延期となった。何か不測の事態が起こったのか、どのような議論が行われたのか。

小林: 時間が(当初予定から)ずれているだけで、(会見は)やるのではないか。

Q: 延期となった理由は何か。

小林: 分からない。

Q: ウェスチングハウス(WH)で会計に関する不適切行為がなかったかについて、(東芝が)新たに調査する方針を固めたとの報道があったが、本日(取締役会で)議論はあったか。

小林: その辺りは社長が明確に説明すべきで、私から言うことではないので、差し控える。

Q: 改革の方向性については、今日の(取締役会で)議論はまとまったのか。

小林: そう簡単にはいかない。

Q: (東芝の決算発表について、)監査法人と揉めているために発表できないとの報道もあるが、その辺りは本日の取締役会ではどうだったか。

小林: その点も近いうちに社長から正式発表があると思う。私から誤解を招くようなことは言えない。

Q: 決算の開示が遅れているが、特別なハプニングが起こったわけではない、ということか。

小林: 何をもってハプニングというかは定義による。

Q: (東芝の)株価が急落しているが、理由について心当たりはあるか。

小林: 分からない。

Q: 東芝について、「やるのではないか」との発言があったが、今日予定されていたものを想定しているか。発表内容について監査法人と揉めていて、延期になるという情報が出ているが。

小林: 私が知る限り(会見は)やると思っていたが、その話はしてもしょうがない。

Q: インフラ輸出に関して、原子力発電所は経済産業省のインフラ輸出の柱の一つである。今後の見方、どうあるべきか伺いたい。

小林: 東芝に限らず、コンシューマー・エレクトロニクスが殆ど敗退を喫してしまった中で、日本が何で稼いでいくのか(を考えなければならない)。資源がない、エネルギー(コスト)も高い国であるが、サービス産業だけで生きていけるはずがないし、グーグルやフェイスブックのようなプラットフォーマーで生きていけるはずもない。基本は、モノづくりにサービス産業やバーチャルなものをどう組み合わせていくかがメインになるとすれば、国内は特に研究・開発を中心に、イノベーティブで先端的な環境、情報産業、ヘルスケアに取り組むことになるだろう。海外への原発や鉄道、高速鉄道などのインフラ輸出はまだまだ重要だと思う。

原子力産業は、極端なことを言えば、廃炉一つにしても、残念ながら11兆円の見積もりが21兆円になってしまうような、安全に対して膨大なコストがかかる。3.11(東日本大震災)以降、海外も含めて極端に(コストが)かかるような産業において、一企業として成り立つかを考えていかなければならない。強いテクノロジーは日本に残さなければならないが、そうはいっても民間企業としてどういう連合体をつくっていけばいいのか。この点を考慮しながら、今後、産業そのものをシフトしていくことがポイントになる。

Q: 東芝について、原発事業の損失を知った時期と、どういう経緯で知ったのかを伺いたい。

小林: 東芝の社長に聞くべきことだろう。(聞いた時期は、)昨年12月22日の少し前だ。社長もその頃と聞いている。

以上

(文責: 経済同友会 事務局)


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