ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

経済3団体長 新年合同記者会見 経済同友会 小林喜光代表幹事 発言要旨(未定稿)

日時 2016年1月5日(火) 15:15~16:15
出席者 榊原 定征 日本経済団体連合会 会長
三村 明夫 日本・東京商工会議所 会頭
小林 喜光 経済同友会 代表幹事(幹事)

記者の質問に答える形で、(1)2016年の経済見通し(株価・リスク要因)、(2)賃上げ、(3)安倍政権への期待、(4)デフレ脱却のタイミングなどについて発言があった。

Q: 2016年の経済と景気見通しについて、年明け早々に株価は乱降下し、本日も下落している。現状での足元の株価の動きの受け止めを伺いたい。また、中長期的な観点で、日本経済はゆるやかな回復基調を辿るというシナリオに狂いはないとお考えか。さらに、中国経済の減速および中東の情勢等のリスクが顕在化し、日本経済に影響するといったリスクシナリオをどのように見ているか。

小林: 三村会頭、榊原会長のお二人がほぼレビューされており、同じことは言わないとなると、なかなかたくさんは言えないので手短に話したい。今年の経済はどうかということだが、六重苦も含め、三村会頭が述べられたように、例えばTPPは心が非常に活性化されるが、実態として(効果が)表れるのは5~10年先の話である。そこ(時間軸)をどのように整理するかが一つある気がする。現実に、少し変動(フラクチュエイト)はしているが、非常に安定した円安と、かつてないほど原油が安くなるとは想像もしなかった。特に石油化学をやってきた人間としては、1バレル100ドルが当たり前だと思っていたものが、いつの間にか20~30ドルになり、大変なインパクトである。円も1USドル80円だったものが120円になり、極めて状況としては良くなった。それはアベノミクスの金融緩和であり、たまたま神風が吹いて、シェールガスが安く手に入り、サウジアラビアがなかなかバルブを締めないという状況の中で、今回、イランとの断絶で様子は変わるかも知れない。しかし今年一杯、そこまで大変な変動は起こらないとのベースでいけば、今後、ますます交易条件は良くなり、GDPデフレーターも上昇するので、今後も日本経済は、ゆるやかな上昇を辿るだろうというのが、少なくとも今年一年なのかなと思う。
 設備投資も、インタンジブル(無形)というか目に見えない、重さの無い、いわゆるR&Dだとか、海外への投資というかM&Aは、11兆円を超えており、その意味で、経営者マインドとしては相当お金を使うようになっている。かつてのようなデフレマインドから完全にアクティブになりつつあるということが言えるかと思う。その辺のお金の使い方が、M&Aの場合は投資にならない(カウントされない)とか、そういったGDPそのものの計算なり、バランスシート上の投資とはいったい何なのか、この定義をもっと明確にしていかないと、なかなか何を語っているのか分からない。時代がここまでバーチャルに、IoTなどをベースにしたまさにデータ駆動型社会というか、かつてはモノ、機械から情報になり、次にデータをどれだけ処理するかといった、ビッグデータを利用する経済の時代になると、なかなか現状のGDPの数値そのものが何を表現するのかというあたりを、そろそろ考えていかないと、指針そのものが方向を間違えてしまうのではないか。そうは言っても景気そのものは、今年はまさにゆるやかに暖かくなっていくと思う。中小企業へのトリクルダウンはないという人もいるが、日本の場合はお互いにプロフィットをシェアするという心、良い文化が未だに残っているため、大企業が良くなれば当然全体がよくなると僕は信じている。
 物価については、アメリカの金利が極めて慎重に上げていくと予想され、それほど急激に円安・円高に振れることもないだろう。なおかつ、エネルギー価格が30~20ドルで推移するのであれば、やはりコアのCPIもそれほど高く上がらないだろう。ただ、コアコア(CPI)は1%以上を超えているのであれば、もっと上がる可能性はある。
 株価は昨年の10月ごろ日本経済新聞社の景気討論会で、1万8,500円プラスマイナス500円(2015年末の株価見通し)と言ったが、暮れには1万9,000円を超えた。ただ、今は1万8,500円くらいまで戻ってきており、そのあたりの数値が妥当だろう。今年も1万8,000円~2万2,000円くらいで(推移すると予想しており)、一応当たるも八卦、当たらぬも八卦で言っている。
 リスクについては、お二人(榊原会長・三村会頭)から語っていただいたところがまさにその通りだと思う。僕自身は、リスクは逆にいえば大変なチャンスでもある。日本における本当のリスクは、われわれ経営者の心のリスクであり、相変わらず心にスピード感がない。海外では大型合併があり、どんどん新陳代謝を進めていく、あるいはバーチャルなど新しいコンセプトをどんどん出していくのに、今の日本の経営者が本当にそれらに対して果敢に当たっているのか。アジャイル経営というか、10年も20年も前からスピード、俊敏性が必要だと言われて久しいが、われわれ含めてそれほど果敢にやっているようには思えない。結局、基本は「和をもって尊しとなす」というか、農業文化のような助け合いの文化の中で、絆は強いけれど、イチ・ゼロの社会のように勝ち抜いていく、あるいは国際競争の中で競争優位な自分自身をどう作っていくかといった(視点がない)ことが一つのリスクだと思う。とりわけ新陳代謝や集約してコンソリデーション(整理統合)を進めていく中で、やはり雇用の労働法制はもう少しアクティブに変えていくことが基本的な規制緩和(の方向性)であり、雇用の流動化、(人材の)質の高質化はやはり一つの重要な将来のポイントだと思うし、一つのリスクでもあるなと思っている。

Q: 賃上げについて小林代表幹事の見解を伺いたい。また、榊原会長には、三村会頭の「大企業が上げた利益を中小企業にも分配してほしい」という旨の発言に関連して、春闘を迎えるに当たって、会員企業に向けてメッセージを発信するつもりかどうか伺いたい。

小林: 基本的には、儲かった分をステークホルダーの重要な一人である働く人にお金を分配するということは当たり前のことである。そのような意味で、かなり暖まってきた経済により、特に大企業においてはかなり増収増益を続ける中で、それにリニアというか比例して賃上げをするというのは当然だと思う。むしろ、単にマーケットで決まるプライスではないため、日本全体の社会として労働分配率がどうなのか、あるいはどのような方向に向かうのかという部分を見れば、やはり相対的にまだまだ(賃金を)上げるべき余地はあるのではないか。
 ただ、問題は好循環や設備投資(の必要性)等が非常に言われている中で、利益をため込む(と言われている)内部留保は、大企業だけではない。おそらく家計も中堅・中小企業も将来への不安がある。あるいは若者もシェアリング・エコノミー的にモノに対してのこだわりを捨てる人がだんだん増えていく。自動車も住宅も洗濯機も、ましてや家の中にあるコモディティー商品については、ほとんど買ってもっている。一方で、それに対して食欲(興味)を持っていない。あるいはバーチャルなどのバリューの異なるモノに興味を持つ人や文化も存在する。このように消費志向が変わっている中で、今までの数値(GDP)ベースでの議論だけで本当にいいのかなということもある。確かにお金は増えた。されど使わない。どこかに溜まってしまう。これをどう使わせるかという議論も必要だと思う。

Q: あらためて、今年アベノミクス四年目に入る、安倍政権に対する期待を、ポイントを一つに絞って伺いたい。

小林: 先ほどの文脈でいえば、労働法制をアクセラレート(加速)して、法律を通していただくと。労働基準法にしても、予見可能な金銭解雇などをやることによって、より経営の、結果としては生産性アップというか、それが企業のいわゆる新陳代謝を促すなり、大きな企業同士が一緒になるなり、そういうことをやりやすくするというのはやはり(必要である)。もう軽減税率、法人減税等々やられている中で、一つスピード感が足りないのは労働法制かなと。こう思っている。

Q: 経済三団体祝賀パーティーに安倍晋三内閣総理大臣が出席されなかったが、自身の記憶の限り、毎年参加されていたと思うが、参加されなかったことに所感があれば伺いたい。

小林: 神を選ばれたということではないか。やはり総理としては、(新年にご参拝されている)お伊勢さん(伊勢神宮の参拝)を重要視されていると思う。

Q: デフレ脱却のタイミングは、近いところなのか、年内なのか。参院選の前にデフレ脱却宣言がなされるべきなのか、タイミングをどのように見ているかを伺いたい。

小林: そもそも「デフレ脱却」の定義が、僕は経済学者でも何でもない素人なのでよく分からないが、物価が定常的に1四半期だけではダメで、3四半期くらい(続けて)物価が2%になるのを脱却というのか。GDPデフレーターがプラスになり半年くらい続けば脱却といえるのか。あるいは経営者マインドセットが次から次へと投資なり賃金を上げるような(ことがあっても、果たして)何パーセントになればデフレ脱却といえるのか。定義がないので、何とも、いつとも言えない。「もう脱却しているではないか」と言ったってそれが正しいかもしれず、難しい。心を(デフレから)脱却したと思えばよいのではないか。

以上

(文責:経済同友会事務局)


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。