ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

小林喜光経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2015年6月16日(火) 13:30~
出席者 小林 喜光 代表幹事
横尾 敬介 副代表幹事・専務理事

動画を拡大する

記者の質問に答える形で、小林喜光代表幹事より、(1)労働法制、(2)景気認識、(3)財政健全化、(4)安保関連法案、(5)環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉、(6)中東呼吸器症候群(MERS)、(7)マイナンバー制度とサイバーセキュリティ、などについて発言があった。

Q: 本日、規制改革会議が公表を予定している答申では、いわゆる「解雇の金銭解決制度」について、年内に有識者会議を設置し、検討を開始するとの文言が盛り込まれる方向である。この制度については、「労働者の地位が不安定になる」などの批判もあるが、どのように評価をしているか。また、この制度の意義についてどのように考えているかを伺いたい。

小林: (この制度については)だいぶ長い間議論されてきたが、ようやく具体的に、雇用主と労働者の両サイドが予見可能な場で議論できるようになった、と前向きに評価してよいのではないかと思う。今後、最終的にどのような形の答申になるか推移を見守り、我々としても意見を述べていきたい。

Q: 昨日、内閣府が公表した6月の「月例経済報告」では、設備投資が上方修正された一方で、個人消費については期待していたほどではなかった。経済の現況および今後の個人消費の見通しについて、どのような認識かについて伺いたい。

小林: ご承知の通り、2015年1-3月期は急激な回復がみられ、第2次推計値もだいぶ明るい結果となった。しかし、あくまで前期比での話であり、前年同期比でみれば駆け込み(需要の影響)もあったわけで、ちょうど消費増税前の水準に戻ったのがこの2015年1-3月期であったと認識している。2015年4-6月期の中でも注目していたこの6月の月例(経済報告)では、設備投資がかなり前向きに増えてきているとのことであった。しかし、どちらかといえばメンテナンスやリプレイスが多く、経営者が本格的に日本国内に再投資するというエビデンスが出されたという状態にはない。一方で、実質賃金がプラスに転換し、失業率も3.3%に改善したということで、ここ十数年来で見ても非常によい方向に来ている。供給サイドではだいぶ改善がみられ、タイムラグがあるにせよ、(個人)消費も上向いていくだろう。為替と、とりわけ原油価格が50~60ドルの間で安定的に推移していけば、ここ1~2年はかなりポジティブに予想して間違いがないだろう。むろん、個別の業界によって影響の度合いも異なるだろうが、相対的には、明るさが続くだろうと期待している。

Q: 財政健全化に関する議論について、自由民主党の特命委員会がまとめた2018年度における歳出の上限を、明確に骨太に盛り込むべきだという案が、今日、総務会を通り、午後にも官邸に申し入れの予定である。一方、経済財政諮問会議では、歳出の数値目標を設けることに慎重な議論が続いている。このようなねじれをどう見ているか。

小林: ねじれというより、経済財政諮問会議・財務省・自由民主党の三つどもえだと思う。自由民主党については、稲田朋美政務調査会長の下、ジャンヌ・ダルクのように、出ずるを制すのが基本ということで、近年まれにみる明確なきつい数値を出した。一方、財務省も(歳出の)定量的な数値を出さずに歳入増だけに依存するのは危険だということで、(社会保障関係費の増加額を)5,000億円のレベルに抑えていくべきとしている。安倍政権はここ2~3年、そのような形で抑えられたのだから、それを延長すれば7~8兆円(の財源ねん出が)でき、成長戦略の加速により9.4兆円も(みえてくる)。ただし、2018年度に向けてKPIをしっかりと踏まえていくことも必要だと(考えている)。経済財政諮問会議は、2018年度にGDP比1%という、かなりチャレンジングな定量的な数値をしっかりと提言して、詳細についてはKPI設定やPDCAを回す専門調査会を立ち上げると(している)。ただし、甘利明経済再生担当大臣は、融通を利かさず3年先まで歳出にたがをはめるのは、経済成長やデフレ脱却なくして財政再建なしという論理からすると、いかがなものかと(考えており)、フレキシビリティを付与しておいた方が良いと(発言している)。考え方の違いは薄まっていないが、今日、自由民主党からの提言があり、それに経済財政諮問会議がどう対応するか。甘利大臣のこれまでのコメントからすると、2018年度に1%という目標は明確にして、9.4兆円のうち、5兆円強を弾性値1.2~1.3を前提とした歳入でまかなって、歳出抑制は4~5兆円というところに落ち着くと思う。ただ、実質2%、名目3%の成長率で、やっと9.4兆円ということを忘れてはいけない。これは相当厳しい。(見通しは)若干楽観的という印象だ。

Q: 安保関連法案の行方について伺いたい。本日も国会会期延長について一部報じられているが、憲法審査会で有識者が違憲と判断した中で、どのような見解をもっているか。また、経済界にとって、安保関連法案が通ったらどのようなメリットがあるのか。

小林: 安全保障という問題は、経済と不可分ではあるけれども、経済界としてという言い方はなかなか難しい。例えば、ホルムズ海峡が封鎖されたらどうなるのか、あるいは日本周辺の有事の際などはどうなるのか。その場合の経済的影響は大変なものである。では、それが明日に起こるのか、20年後に起こるのかは、神のみぞ知る世界であるので何とも言いがたい。70年間続いてきた戦後の日本国憲法を守ってきた日本人のメンタリティというか、平和を享受できた戦後の状況であれば、それで結果としてはうまくいった。一方では、世界の政治状況が、ここ5~10年で、極めて大きな変化を成してきてしまった。そのような中、自国を守る方法として、単に個別的に自衛するのか、あるいは集団的に自衛するのか、そのあたりの境界線をどうするかという議論の中で、調査によると憲法学者のうち、わずか2%が合憲であるとしており、あとは何となく違憲か相当グレーと判断していると聞いている。学者の見解として分からないことはないが、このような時代の変革をどう捉えるかという問題がある。例えるなら、鍵をかけないで、家の中で安穏として眠っていられるかどうか。極めてクリアにするなら憲法改正という方法があるが、これとて3分の2や2分の1といった大きな制約があるので、これは時間軸としてはそう簡単にいかないだろう。厳然と憲法がある中で、どのようなアクションがとれるのかという議論だとは思う。去年の閣議決定でスムーズに、それほどの大きな世論との乖離もなくここまで来た。たまたま委員会で有識者の意見が出され、このような状態になったのであれば、徹底的に議論をして、8月末になるか9月にずれこむかは別として、大事なことなので、納得できるよう、されど(自国を守る体制づくりの)時間があまりないという意識も持ちながら、やはり最後は国民が決めるということは忘れず時間をかけて議論したら良いと、少し最近考えが変わってきている。

Q: TPP協定交渉は大詰めを迎えているが、最終段階でなかなか合意できない。ゴールが見えながらも合意に至らない状況を、どう経済界として捉えているか。

小林: EUとのEPAに5~6年関わったことがある。特に欧州諸国は、国益にこだわり、さまざまな戦略と戦術で攻めてくる。米国も、TPA法案は上院を通ったが、(下院で否決されたTPA関連法案の)TAA法案(の再採決期限)が7月末で、場合によってはうまくいかないリスクもある。世界には、自分のことしか考えていない人たちが多いのでは、というのが実感だ。世界レベル、地球レベル、人類レベルのことを考えるべきで、情けない。現代は甲斐の国と越後の国が戦う時代ではない。ゆくゆくは地球号になるのだから、心を開き、国を開くというのが、21世紀を生きる人間としての責務だと思う。理想論かもしれないが。

Q: 今週、労働者派遣法改正案が可決される方向となった。現段階での考えを伺いたい。

小林: 働く側にとっても、経営者側にとっても、いろいろなオプションが付与されることになる。制度の運用について、経営者側も心して(いくべきだと思う)。性善説ではないとり方をされる方も多いが、堂々としっかりと議論し、制度ができたからと言って、危惧されているような方向へ持っていかないように、心してやっていくこと(が大切)だと思う。

Q: 韓国で感染が広がるMERSコロナウィルスについて、被害状況もさることながら二次感染、三次感染と、対策のまずさがクローズ・アップされているが、この状況に対する受け止めを伺いたい。また、現地に拠点を持つ日本企業も多いと思うため、経済界としての対策などがあればお聞きしたい。

小林: 今日の菅義偉官房長官の会見では、相当対策を練っているようで、韓国で隔離された邦人が戻ってくるにあたってのフォローもしっかりとしているようである。エボラ出血熱の時の日本のブロックは相当うまくできたという経験がある。MERSによる死亡者が現在19人との報道があるが、これがどの程度で止まるのか。このままのアクションでいいのかは少し気になる。韓国の対応は少し後手に回ってしまったのではないだろうか。日本のブロックという意味では、渡航や受け入れの対策について、このままで大丈夫だろうかという思いはある。

Q: 日本年金機構では、サイバー攻撃によって年金の個人情報が流出した。それに関連して、マイナンバー制度の施行を10月に予定しているが、順次予定通りに進めるべきだとお考えか。また、他の経済団体もサイバー攻撃を受けたが、経済同友会の対策は万全か。

小林: 後の質問から回答したい。作為的に、悪意を持って攻撃されたら万全とは言えないと思う。当然、(セキュリティに費やす)コストとの問題もある。少なくとも、個人名、電話番号など(経済同友会が所持している)情報を確認して、どの程度のコストでセキュリティ対応が可能になるか。これらの検討は以前から行っており、今回、再検討を始めている。また、経済団体だけでなく、個々の企業でも(サイバー攻撃を受けた)経験はある。作為をもって行われた攻撃に対する防御は難しい。むしろ、このような問題が起こり、団体としてそれを認識した場合に、どれだけ早く行動し、社会に対して対応策を開示するか。最低限、どのような手法でやるべきなのか、再復習することが重要なポイントである。また、経済同友会の状況については横尾敬介専務理事より説明申し上げる。

マイナンバー制度との関わりについて、私はまったくの独立事象だと思う。(予定通り)10月1日に番号を通知し、来年1月に整斉と運用を開始すべきである。サイバーセキュリティは年単位でどんどん変わっていく。抗生物質とウイルスの関係のようなもので、その時点で対応できたから今後も安全であるという幸せな時代ではない。ハードウェアの安全保障もさることながら、ソフトウェアであるサイバーセキュリティはもっと難しい時代に来ている。今回の流出問題とマイナンバー制度は分けて考えるべきだと思う。

横尾: 経済同友会では、調査の結果、本日現在まで、特段その(攻撃を受けた)形跡はないことが確認できている。今後、情報漏えいの有無については、時間をかけないと完全には分からないところもあるが、内部の管理システムによって、ログなどの形跡を確認した限りでは、特に(情報流出の形跡は)ないとのことであった。また、数ヶ月さかのぼって調査したが、その期間についても攻撃の形跡は見られなかった。個人情報保護について、今後はシステムの管理業者とも協議し、セキュリティレベルをどれだけ高められるのか、対策を検討中である。

以上

(文責: 経済同友会 事務局)


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。