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長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2015年3月3日(火) 13:30~
出席者 長谷川 閑史 代表幹事
前原 金一 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、長谷川閑史代表幹事より、(1)東日本大震災から4年、(2)電気事業法改正案の閣議決定、(3)政治資金問題、(4)財政再建目標、(5)原発事故風評被害、(6)戦後70年談話について発言があった。また、前原金一副代表幹事・専務理事より、4月16日、17日に石川県金沢市で開催する全国経済同友会セミナーについて案内があった。

Q: 来週11日に東日本大震災発生から4年を迎える。経済同友会は本年、盛岡市でシンポジウムの開催を予定するなど、継続的にフォローしているが、現在までの震災復興の進展、人口減少下にあって、特に産業、「生業(なりわい)」の再生について進捗をどう見ているか。

長谷川: 復興の内容、あるいは県によってばらつきがあるというのが一般的な感想である。もともと被災地となった地域は、震災発生以前から過疎化が進み、企業も減少するなど、地方経済の衰えの兆候が見えていたところに震災が起こった。したがって、むしろ震災を機に地方復興を図ろうという動きがあり、住宅についても教訓を生かして高台に移転しようという方向が出されている。地域によっては、すでに高台移転の場所も決まり、実際に建設が開始されているところもある。一方で、報道によると、仮設住宅には依然として8万人以上が暮らしているとのことであり、これも時間がかかるものであろう。経済同友会も、東北大学や東北地方の各地経済同友会が主催している「東北未来創造イニシアティブ」に特別協力しており、具体的には、賛同を得ている気仙沼、大船渡、釜石の各市に会員所属企業から人を派遣し、各地域の産業振興と人材育成もやっているが、時間のかかることである。地域によって差があると述べたが、福島県では、先日、ようやく常磐自動車道が開通して、式典に安倍晋三首相が出席していただいたことも良かったことと思う。福島県のように、これから復興に向けた本格的な動きが始まる地域もあり、そのような地域のことも考えれば、新たに復興予算として何兆円か積み増ししないといけないという話になることも当然であると思う。仙台経済同友会代表幹事の大山健太郎アイリスオーヤマ社長が、(震災)当初から、インフラなどの復旧はすぐやらないといけないが、復興はある程度長い目で見て、将来ビジョンを描いてやらないといけないので、相当時間をかけてやるべきものであるといっていたのが印象的だった。今はそういう状況にあると認識している。

前原: IPPO IPPO NIPPONプロジェクトで支援活動を継続してきたが、地元の実業学校を支援してきて感じるのは、実業学校の生徒たちが、非常にたくましく、しっかりした若者として卒業し、かなり高いウエートで地元に就職し、地元の復興のために活躍していることであり、うれしい限りである。

長谷川: 今、石破茂地方創生担当大臣のもとで、まち・ひと・しごと・創生総合戦略が進められており、その後押しにもなれば幸いである。

Q: 電力システム改革について伺いたい。本日の閣議で、5年後に発送電分離を行う電気事業法改正法案を決定した。これまで改革されなかった電力業界を大きく変えるものになるのではないかと言われているが、今回の法案についてどう見ているか、また何を期待されるか。

長谷川: 期待は、国際的な価格比較をすると、日本の電気料金は、隣国である韓国や同じような先進各国と比較して極めて高いが、そのような状況が是正されることである。何年か前に言われていた六重苦の一つにも(高い電気料金が)挙がっていたが、電力自由化で(その解消が)達成されることが究極のゴールであると思う。2020年4月から発送電を分離し、分離の仕方にはいくつかの選択肢がある。もともと2018年から2020年の間とのことだったが、いろいろな状況を勘案して2020年になったのであろうが、いずれにしても閣議決定されたことは歓迎したい。それに先行して来年4月から小売の全面自由化が始まることになっている。これによって、まず、より良いサービスをより低コストで提供する方向が出てくればいいし、2017年を目途に都市ガスの小売り全面自由化も決まっている。そういうことで、エネルギー供給において長年の懸案だった市場の自由化による自由競争(が進めばいい)。一方で、競争の影として懸念される供給不足等への万全の対応についても考えなければならないが、自由化の方向性については歓迎するものである。

Q: 本日の衆議院予算委員会でも質疑応答が繰り広げられていたが、西川公也前農林水産大臣の献金問題など、政治資金規正法に抵触しかねない企業献金が相次いでいる。経済同友会としては、民主党政権時の2010年、企業献金は原則禁止すべきとの提言を発表しているが、今の段階での企業献金に対する経済同友会の立場をあらためて伺いたい。また、この問題についてどのように対処すべきとお考えか。

長谷川: 1994年に政党助成法が成立し、政党助成金の導入が決められた際は、いずれ企業・団体献金は廃止することが(導入の)条件となっていたはずである。経済同友会はその原点をいつも見つめているため、企業・団体献金はやめるべきであると主張している。維新の党も、党としてそのようなことを決めたと記憶している。予算委員会でのやり取りについて、私が大上段から言うのはいささか口幅ったいことだが、やはり、予算委員会では予算審議をしていただきたい。国政に関することは、何でも予算に関係すると言ってしまえばそれまでであるが、延々と政治資金問題を挙げていた当の足下で、実は補助金を受給していた企業から寄付を受けていたという問題が起きている。もう一度本質的に、(政治資金のあり方を見直す必要がある。)安倍首相も同じようなことを述べていたと思う。補助金は税金から出されており、税金の使い道には、当然透明性を担保してしかるべきなので、例えば、各省庁が、補助金を受けている企業をすべて一覧表にして、政府のホームページ等で見られるようにし、(補助金交付が)決定した時期が分かるようにしておく。資金管理を担当している秘書がそれをチェックしなかったとなれば、法律上の問題はある。法律の見直しは別にして、やってみることを考えてはいかがかと思う。同時に、予算委員会はテレビ中継されるため、選挙権を持つ国民に訴える気持ちもあるのだろうが、(国会審議の)貴重な時間をそのようなことに延々と費やすのではなく、小委員会を設置するとの話もあるようだが、そのような問題については、別途小委員会で議論することとして、予算委員会では本来の予算審議に集中していただきたい。与党ももちろんのことながら、野党もせっかくの機会であるから、衆議院は与党が3分の2の議席を占めており、(予算が可決され、参院送付後に)30日で自動成立するなどと言わず、自分たちなりの分析をした上で与党に切り込んでいくことを、本来、国民は期待しているのではないか。

Q: 榊原定征日本経済団体連合会会長は、企業に政治献金の自主的な実施を呼びかけている。そもそも政党助成金自体は税金から拠出されている。したがって、政治資金のあり方については、献金する方も含めて考え直す必要があり、そうでなければ予算委員会の審議は進まず、不毛の議論が繰り返される。個々の企業の問題ではあるが、あらためて政治献金のあり方について伺いたい。

長谷川: ITが発達した今の世の中ならば、このようなこと(透明化)はやろうと思えば必ずできるはずである。予算の効率的な活用も当然チェックするわけだが、このような問題について、税金を使っているからには、透明性を担保する(必要がある)。ぜひ透明化を図っていただきたい。企業・団体献金については、先ほど述べた通り、われわれ経済同友会としては、本来の原点に戻って、(企業・団体献金の廃止に)けじめをつけていただきたいとの立場である。政党助成金の法案が成立した時の趣旨を(忘れずに)決着をつけていただきたいと考えている。

Q: 政権の中からは、補助金を受けた企業側に対し、役所等から献金不可の通知を出すべきとの意見が出ている。一方で、補助金の種類や利益の上がり方によって献金の可否が異なるなど、補助金制度そのものがややこしくなっているようである。これも混乱の一因になっていると思われるが、補助金のあり方についてどのようにお考えか。

長谷川: 必要な補助金だから出されていると認識している。したがって、何も隠し立てする必要はないので、公明正大に開示していただきたい。補助金にもさまざま(な種類・条件が)あって、良い場合、悪い場合があるといったような細かなことについては残念ながら承知していない。もっと簡単に、通常、そのような場合には、(交付)決定後1年以内に寄付を受けてはならないことを一目瞭然にして、まずは(政治)資金担当がチェックできるようにすることで単純化しなければ、あれがいいとかこれがいいと言い出すと、(ややこしいことになる。)自分で法律を詳しく調べて判断するのは勝手だが、できるだけ単純(な制度)にしたほうがいい。

Q: 本日夕刻、麻生太郎財務大臣に岡本圀衞副代表幹事 財政・税制改革委員会委員長が提言「財政再建は待ったなし~次世代にツケを残すな~」(1月21日発表)を手交される。財政再建については、2020年のPB(プライマリーバランス、基礎的財政収支)の黒字化目標について、債務残高の対GDP比の目標に代えるという動きもあるように聞くが、こうした動きについて、どのように考えるか。

長谷川: 財政再建については何度か述べているが、経済成長による増収効果、増税による増収効果、社会保障等を含む歳出削減の効果の3つのコンビネーションとタイミング、そしてどれぐらいのウエートでやるか(が重要である)。竹中平蔵氏が以前よく紹介されていたのが、ハーバード大学のアルベルト・アレシナ教授の研究で、債務危機からの脱出に成功した国は、歳出削減が7割、増税が3割であるという。まず、政治が身を切る姿勢を選挙民に示し、その上で負担増の協力を求めるという説得力のある態度が求められる。成長によって債務比率を下げる考え方には一理あるが、借金の増え方を成長が上回るという担保がないとできない。少なくとも、PBの黒字化は、これまで何度も約束をしては繰り延べてきた。ここでベストを尽くして実現を目指す(べきである)。仮に(歳出抑制が)経済成長の面で明らかにマイナスがあるという分析などがあれば、1年程度(の健全化先送り)なら国民も理解すると思う。きちっとした詰めを行わないままに、いわゆる「上げ潮」的な考えで、成長によって相対的に比率を下げていけばよいとの理屈は、具体的な成長戦略があってのものだが、大体成長戦略は当たらないものである。そこ(債務比率)に逃げるのは、あまり好ましくないと思う。

Q: 東京電力福島第一原子力発電所で汚染雨水が海に流出していた問題が発覚した。原発の風評被害が相変わらずなくならない。経済同友会では何度も現地を訪れて、現地産品が売れないという話を聞いていると思う。これは、時間が解決するしかないのか。

長谷川: 一般論からいけばそうだが、それに水を差すような事故が度々発生している。その結果、また風評被害が復活する。こういうことは避けていただきたいというのが率直な感想である。(各原子力発電所では)懸命な努力をされているにしても、それは企業側の論理であって、一般の消費者、あるいは住民の立場からすると「またやってくれたか」と思われるのはやむを得ない。その都度、自分たちのやっているところで漏れや油断がないかを徹底的に検証し、(事故を)なくしていくしかない。誠に残念であるし、今でもわが国からの食料品の輸入禁止を解除していない国があったように記憶している。そのような状況を解除するためには、実績を積み上げることが絶対に必要であると、再度肝に銘じていただきたい。

Q: 先般、戦後70年談話の有識者会議(=「20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会」)の初会合が開催された。安倍首相は、全体的なトーンは村山談話を踏襲すると明言している。談話は夏ぐらいに出される予定だが、代表幹事としてはどのような談話を期待するか、所見を伺いたい。

長谷川: 村山談話、あるいは小泉談話のどの部分を踏襲されるのか、詳細に承知していないので何ともいえないが、基本的には、過去の反省の部分では、ほぼそのまま踏襲していただくものだろうと私としては理解している。一方で、日本が積極的平和主義の外交で、これからどのように世界に貢献していくかについて、実際にコミットできる部分は大いに訴えるべきであろうと思う。

前原: 本会をはじめとする全国44経済同友会では、1988年より毎年、各地の交流、相互連携強化を目的として「全国経済同友会セミナー」を共催している。このセミナーでは、全国の経済同友会から企業経営者約1,000名が集まり、日本が直面する様々な課題について意見交換を行っている。

4月16日、17日の2日間にわたり、石川県金沢市にて「戦後70年。地域活性化で日本の再生を。」をメインテーマに開催する。案内状にプログラムの詳細などを記載している。近藤誠一前文化庁長官を招き、「21世紀:日本の再生、世界への貢献と地方の役割」と題して基調講演をいただき、その後4つの分科会を開催して地域経済の活性化、人口問題への対策、観光振興、ものづくりを中心とした企業経営の分科会を開催する。翌日は、分科会の総括を行う他に、作家の村松友視氏から「金沢の不思議」と題した特別講演が行われる。ご多用とは思うが、取材にお越しいただきたい。

以上

(文責: 経済同友会 事務局)


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