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長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2015年1月14日(水) 13:30~
出席者 長谷川 閑史 代表幹事
前原 金一 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、長谷川閑史代表幹事より、(1)2015年度当初予算案、(2)今年の経済見通し、(3)社会保障制度改革、(4)フランスのテロ事件、(5)民主党代表選挙、(6)欧州情勢について発言があった。また、前原金一副代表幹事・専務理事より本会の会員数の推移について発言があった。

Q: 本日、来年度の政府当初予算案が閣議決定された。国債依存度が6年ぶりに30%台になったが、受け止めを伺いたい。

長谷川: いろいろと問題点を指摘すれば挙げられるだろうが、全般から見れば、財政再建にも配慮し、消費税率2%の追加引き上げを18カ月遅らせたことによる歳入減も視野に入れながら、育児や子育てにはできるだけ配慮をして予算配分を行われており、ある程度目配りされた予算案ではないかと思う。96.3兆円という過去最大の予算になるが、何と言っても税収が20数年ぶりに高い水準となり、また税外収入も増え、合計で5兆円の歳入増としている。社会保障の自然増をまかない、なおかつ国債(発行額)は6年ぶりに30兆円台になり、2015年度で基礎的財政収支(PB)の赤字を2010年度比で半減(させる目標)も当初予算案の段階では(達成)可能である。(アベノミクスの)第3の矢の具体的な効果が出切きっていない、あるいは地方経済の活性化が遅れている面があるにしても、歳入増がこれ(PB赤字半減目標)を可能にしていることを考えれば、まずまずの予算案として評価できる。

Q: 先日、政府が今年度(2014年度)の最終的な経済見通しと来年度(2015年度)の経済見通しを公表した。今年度のGDP成長率はマイナス0.5%、来年度の成長率は実質で1.5%とした。現状、足下の景気見通しと合わせて所感を伺いたい。

長谷川: 足下の景気見通しについては、(12月の)景気ウォッチャー調査の結果が出ている。現状判断DIも先行き判断DIも50を割っているが、若干改善の状況が反映されていることについては、ようやく消費増税の反動減が緩和され、そういう(改善の)方向が具体的に出てきたのではないかと思われる。年末商戦も、食料品や冬物衣料等も含めて好調であったようであるし、外国人観光客は空前の人数になった。それらがプラス要因になったといわれている。来年の成長見通しについて、政府見通しは会計年度だが、世界銀行は暦年で見ているため若干期間が異なるが、(政府の見通しは)世界銀行よりは若干強気の予想になっている。3カ月のずれを考えると、先般の3団体長の記者会見でも述べたが、年度後半に向けて(四半期ベース・年率換算・対前年比で)2%台の成長率もある。そう考えれば妥当な見通しだと考えている。逆に言えば、それを実現することによって、デフレ脱却と好循環を作っていかなければならないと思う。やや想定外だったのは、原油価格がさらに低下し、場合によっては40ドルを切るという予測も出ていることである。長い目で、グローバルの観点から見れば、原油価格低下は経済全体にとってプラスである。ただ、それがどのくらい長く続くかということもあり、そう大幅なプラスにはならないというのが世界銀行の見方のようでもある。このあたりが成長率に影響を与える要因となるため、先行きを読むことは難しい。

Q: 予算について、社会保障費は自然増分を去年より抑えたものの、消費増税分もあり、1兆円増となっている。毎年、切り込みが甘いと言われているが、今回はどう評価するか。

長谷川: これまで何度も申し上げているが、三党合意の根幹が税と社会保障の一体改革である。税制改正については、今回も法人税改革などが盛り込まれているが、もう一方の社会保障の改革は遅れている。そもそも消費増税分は社会保障に使う目的であるので、増額分を含め、子育て等に厚く配分はされている。しかし、(社会保障改革の)ポイントは、国民に負担を求める一方で、痛みを伴う社会保障経費の削減を政府がイニシアチブとってやらないといけない(ということである)。その部分に関して、具体的な形として表されていないことは、これまでの会見でも申し上げており、政府にはきちんと早く対応していただきたい。

前原: 経済団体の健康保険組合の理事長も拝命しており、経済3団体で高齢者医療費について意見「医療保険制度改革への要望」(2014年10月23日発表)を表明したが、今回、さらに高齢者医療に関する負担が重くなる方向に動いていることについては、残念である。

長谷川: 今回も介護報酬について、2.27%、金額で1,700億円を削減するというように、一部切り込んだと言えるところもあるが、包括的な見直しについて早く手をつけないといけない。そこは努力不足だと思う。

Q: 介護施設には民間企業も参入するようになったが、厚生労働行政において、将来介護は自宅で面倒を見るという方向性が見え隠れしている。民間企業から見て、社会保障の抜本改革は難しいと思うが、その中で政府として徐々に着手されているが、方向性があまり良く見えないことについてどのように思うか。

長谷川: 最低限必要なことをやっている、というところであろう。例えば(基礎)年金の原資は半分を税負担と法律で決まっていたが、今まで実現しなかった。本質的には、全般的に見直してどこまで削減できるかである。(先進国の中で)相対的に中福祉・低負担である現状について、負担と給付の関係をどのように整合させるのか、そのあたりの切り込みがなされていないので、早急に是正されるべきである。

Q: 消費税の再引き上げが延期になり、社会保障改革が中途半端になっていて、道半ばとなっているという印象があるが。

長谷川: とりあえず(社会保障については)手をつけられるところだけ、手を付けたということで、道半ばというよりは、まだまったく進んでいないというのが実態ではないかと思う。

Q: 日本は平和だが、フランスの一連のテロ事件について、40カ国以上もの代表が集まり、各国の思惑がある中でデモ行進が行われた。(今回の事件には)日本的にいうと多様性ある移民政策、あるいは多文化共生といったことと関係がある。この点について、日本では危機感が薄いが、グローバル企業(の経営者)から見て、今回の事件をどのように見るか。

長谷川: 私は(今回のテロ事件の)背景について詳しいわけではないが、民族の多様性や、表現や意見表明の自由について、欧州・先進国のみならず、守るべき最低限のものであろうと思う。パレスチナ自治政府のアッバス大統領、ヨルダンの(アブドラ)国王、イスラエルのネタニヤフ首相が一緒にデモ行進されるということについて、あのような問題となれば、当面の意見の食い違いを克服してでも、断固(守るべきものを)守るのだというデモンストレーションの効果はあると思う。(私も、)当然守っていかなくてはならない問題だと思う。おそらくどの宗教であっても、基本には人々に対する無条件の愛とか、そういうことがあるのだと思う。イスラム国の支配地域近辺に住む(クルド少数派の)ヤジド派が迫害を受けて難民になっている状況を見ると、極めて許容できない状況であり、憂慮する。

前原: 今回の事件で思い出したが、20年以上前に『悪魔の詩』を日本語訳した筑波大学の五十嵐一助教授(当時)が何者かによって殺害された。日本も(こうしたテロ事件の)枠外にあるわけではないということを強く感じている。

Q: 民主党の代表選挙が今週末に行われる。誰が代表に適任かとは質問しないが、通常国会が1月26日に開会されるとの話もあり、代表選挙の結果によっては、野党のあり方に一つの道筋をつける可能性もあるが、今後の野党のあり方について伺いたい。

長谷川: 個々の政党についてとやかく申し上げるつもりはまったくない。民主党政権が誕生した時に、同党に投票した人の気持ちがどこにあったかを大きく集約すると、自民党の(当時の)体たらくに対して、一度政権交代をすることでメッセージを送ろうということもあっただろう。多くの人たちが二大政党を頭の中に置いていたのではないか。残念ながら、二大政党を実現した結果は、惨憺たるものであり、そのことについての失望・落胆が国民の間に広がった。日本の民主主義を成熟させていく過程で高い月謝を払ったと思うが、その(二大政党の)方向については、民主主義の一つのあるべき姿として今後も追求していただきたい。政権があまりに長期にわたると、どうしても組織が緩むため、プラスよりもマイナスが目に付くようになる懸念がある。その時に、政権をきちんと担う準備ができた、国民の支持を得られる野党の存在は極めて大事であり、(野党は)その方向を目指していただきたい。

前原: 経済同友会の会員数の計画は今年度1,350名でスタートした。1月に1,367名となる予定で、おそらく2014年度末には1,370名を超えるだろう。この20年、1,600名以上いた会員は一時期1,200名台まで減少したが、この3年間は順調に会員数が増えてきた。特に、今年はこの20年で最も会員数が増えた年である。新入会員が増加したこともあるが、退会者が非常に少ない年であった。幹事に就任した会員がほとんど退会していないのは、とてもありがたいことである。新年なので、情報としてお知らせする。

長谷川: イアン・ブレマー氏がプレジデントを務めるユーラシア・グループが、毎年年初に10大リスク予想を発表している。今年のトップが「欧州の政治」であった。その背景として、イスラムのテロ、ロシアとの想定外の衝突、米国との関係への懸念などが挙げられている。これに加えて、ギリシャでは(国会議員による)大統領選挙で大統領が決まらなかったので1月25日に総選挙が行われる。ユーロ地域でさまざまな跛行現象やコンフリクトがある。現在、米国一国が世界経済を引っ張っている。もちろん、新興国の中では(経済が)スローダウンしているとはいえ中国が大きな役割を果たしているが、米国ほど広くあまねく(経済に影響を与えている)とは、政治の状況からしてもなっていない。(米国と並び)もう一つの大きな経済圏であるユーロ地域の安定は、世界経済にとっても極めて重要なことである。私や多くの日本のリーダーが、来週ダボス(会議)に行くが、そこでもテロへのセキュリティやサイバーセキュリティ、そして欧州の危機をどのように克服していくかということが大きなテーマになるのではないかと思う。それに対して、「こうすればいい」という答えがあるわけではない。それにしても、先進民主主義国とイスラム過激派との間にコンフリクトやテロが続くことについては、何らかの形で互いに手を握って終止符を打つということが実現できないと(困る)。それでなくても、世界全体が経済の復活、成長で苦労している時に、不安定要因を増すようなことは何とか避けたいというのが皆の共通の思いだろう。私自身もダボスなどでどのような話があるか、注意深く学びたい。

以上

(文責: 経済同友会 事務局)


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