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長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2014年7月1日(火) 13:30~
出席者 長谷川 閑史 代表幹事
前原 金一 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、長谷川閑史代表幹事より、(1)景況感と今後の見通し、(2)集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定、(3)夏の電力需給、(4)武田薬品工業の高血圧症治療剤「ブロプレス」臨床研究(CASE-J試験)調査結果と公職の進退、(5)代表幹事として注力したい課題、などについて発言があった。

Q: 本日、日本銀行が発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は6四半期ぶりに悪化した。また、消費税率引き上げから3か月が経過したが、日本経済に対する現状認識と先行きの見通しについて伺いたい。

長谷川: 短観(大企業・製造業)では、自動車などを含めて6四半期ぶりの悪化となった。また、昨日、経済同友会の会合で、各業界の業況を聞いたが、確かに自動車や住宅の分野で、少し落ち込みが長引いているとのことだった。一方で、消費の動向は、ほぼ想定の範囲内である。また、賃金や雇用の改善状況等に加えて政府の経済政策もあり、内需は底堅いのではないかとの見方もあるので、総合的に見ると、ほぼ想定の範囲内と考えている。気になるのは、輸出が少し弱含みであることである。消費税率引き上げ前の駆け込み需要への対応で、国内の生産が輸出に回らない部分があるとの見方もあったが、それが一巡した後でも、まだ(輸出に)力強さが欠けていることに、少し懸念を持っている。基調的には、緩やかな回復を続けていると言っても良いと考える。

先行きについては、現状の延長線上を考えれば、ほぼ想定通り、7~9月期にかけては回復していくと見通している。

Q: 本日の臨時閣議で、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更が決定される見込みである。集団的自衛権の行使が必要かどうか、また、憲法解釈を閣議決定で変更するという手続きについて、所感を伺いたい。

長谷川: 基本的に、本会としては、そのような考え方(集団的自衛権の行使)は必要であると考えている。手続き論も含めた(見直しの)手法について、現在は少し収まっているかもしれないが、東シナ海でも南シナ海でも波高しという状況であり、さまざまな想定外の事態が起こり得る中で、国としてどのように対応するか、コンセンサスを得た形でできていないことは、一独立国家として極めて不完全、不自然であると思う。そのような観点から、与党内での長い話し合いを通じて、今回、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」を自衛権の発動要件にする、との解釈で進められることについては、妥当であると考える。

Q: 集団的自衛権の行使について、高村正彦自由民主党副総裁は、「いまだかつて一つの閣議決定にあたり、これだけ慎重にやったことは私の経験では知らない」と発言された。一方で、もっと議論すべきとの意見もある。議論が十分であったかどうかについて、所感を伺いたい。

長谷川: このような難しい問題になると、必ず議論が尽くされていないとの意見が出るのは世の常である。特に、国会の場でもう少しきちんとした議論があった方が良かったとの意見には賛同するが、ポジションがかなり違う与党内での話し合い、合意点の模索にかなり時間を費やされた結果であると理解している。内容の評価に関しては、意見の分かれるところだろうが、先述の通り、独立国家として、国民の生活、安寧、領土の保全を守る最低限の義務があり、その部分についての明確な行動規範がないまま今日まで来たことを是正するのは、できるだけ早い方が良いということについては、大方の国民の納得が得られるのではないか。必要十分かと問われれば人によって(受け止めは)違うものの、しっかりした議論はなされたと理解している。

Q: 企業の海外進出にあたって、進出する国によっては、今回の集団的自衛権の行使容認がリスクを高めることはないか。

長谷川: 懸念はいろいろあるだろうが、基本的姿勢として、日本が国の防衛・保全以外に武力を行使すること自体は極めて限定的であり、抑制されている。今回の憲法解釈変更を一つの攻撃材料として使う国はあるかもしれないが、実際にビジネスに影響をもたらすことは考えにくいと思う。

Q: 本日から、政府による夏の節電協力要請期間が始まった。電力需給について、茂木敏充経済産業相からは、数値目標を設けた節電要請を含む追加的な対策を検討する、との話もあったが、電力需給の現状と将来の展望、期待について伺いたい。

長谷川: (今夏の電力需給が)憂慮すべき状況であることは間違いない。日本として初めて、原子力発電所がまったく稼働しない中で迎える夏になる。東西間のサイクルの違いを越えて電力を融通するという前提で見ても、関西電力や中部電力、九州電力では(安定供給に必要な)予備率が3%程度、あるいは下回るかもしれない状況で、多くの電力会社で古い火力発電所を稼動してピーク時をなんとか乗り切ろうとしている。万一、それらにトラブルが発生すれば、たちまち電力供給が不足する事態もあり得る。まずは、各家庭、国民、企業がこの状況をよく認識して、節電に努めなければならない。その上で、東日本大震災後には東京電力管内の電力使用率が逐次報道されていたが、それをするかは現状を見ながら判断されるとしても、政府や供給側が注意喚起や需要抑制を呼び掛けることで、なんとか乗り切るしかないと考えている。

Q: 電力料金への影響も含めて、産業界としてはどのように受け止めているか。

長谷川: このままいけば、いくつかの電力会社は年内に債務超過に陥る可能性があると聞いている。企業としては、やむを得ず値上げを考えなければならない、ということにもなりかねない。異論はあると思うが、本会では東日本大震災後の(2011年度)夏季セミナーでも「縮・原発」という立場を明確に打ち出しており、その考え方は今も変わらない。原子力規制委員会の厳しい審査をクリアした原発については、再稼動をすることによって、電力の供給不足が生じないようにし、かつ電力料金の値上げもできる限り抑制する、そのような対応が望まれるのではないか。

Q: 個社の話になるが、武田薬品工業の高血圧症治療剤「ブロプレス」の臨床研究(CASE-J試験)について、6月20日に第三者機関による調査結果が発表された。その記者会見で、公職についてはこれから考えたいと述べていた。その後、経済同友会の監査役に報告されたと聞いているが、現在の公職に対する考え方と、この間の経緯を伺いたい。

長谷川: 本会の監査役に、現状を報告した。現時点では、公職を辞任しなければならない状況にあるとは認識していない。

Q: 公職を辞任しなければならない状況にないと考える理由を伺いたい。

長谷川: 組織的、継続的に関与があったことについて、医師主導臨床研究の中立性、客観性に疑念を持たせたことは大変遺憾であり、お詫び申し上げる。少なくとも第三者機関の調査報告では、データへのアクセスやデータの解析作業への関与は見られないとのことであり、今の状況をもって(公職を)辞任する必然性はないと判断している。

前原: 代表幹事より、監査役に詳細に報告があり、監査役からも代表幹事職辞任に至る問題ではないとの結論をいただいている。

Q: 産業競争力会議の民間議員を含めて辞任を考えていないということか。

長谷川: 現時点ではそう考えている。

Q: 代表幹事の任期は来年4月までである。武田薬品工業の株主総会も終わり、あらためて経済同友会代表幹事の最終年をどのようにハンドリングするか。

長谷川: 3年少し前(2011年4月)に代表幹事に選任されたときから、日本にとっての最大の課題は、デフレ脱却を含めて経済を成長路線に戻すことである、と述べてきた。本会としてもここに最大限の力を注ぎ、(代表幹事)在任期間中にせめて具体的、数値的な兆候が見えるところまでもっていきたいと考えていた。その後、本会の力というより、安倍政権の「第一の矢」「第二の矢」が見事に功を奏し、先般、成長戦略『日本再興戦略』改訂版が策定された。昨年の成長戦略発表後は、特に海外の投資家を含めネガティブな反応があり、株価も下がってしまった。その反省もあり、今回、首相は、あらゆる場を使って、周到に決意表明と具体的改革を公約として約束し、自らにもプレッシャーをかけ、経済財政諮問会議、規制改革会議、産業競争力会議等で議論を重ね、さらに岩盤規制の分野で既得権益を守っている利害関係者にもメッセージを送り続けてこられた。(成長戦略改訂版の内容は)決して十分と言えるものではなく、(岩盤規制に開いた)穴の大きさも分野によって異なるが、農業、医療・介護、雇用・労働法制について、風穴を開けることができたことは、海外の投資家を含めそれなりに評価されていると思う。今後は、これらの改革を具体的な形で法制化し、実現していくことが重要である。経済の成長をけん引する民間企業が、自らの手で成長に貢献していく、まさに「第三の矢」の意図であるように、民間企業からの投資を喚起して成長に結び付けることが問われており、代表幹事任期の最後の一年、それに向けて各委員会の力を集中していきたい。

以上

(文責: 経済同友会 事務局)


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