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長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2014年5月13日(火) 13:30~
出席者 長谷川閑史 代表幹事
前原 金一 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、長谷川閑史代表幹事より、(1)集団的自衛権の行使、(2)環太平洋パートナーシップ(TPP)協定、(3)公的年金支給開始年齢の選択制、(4)消費税率の10%への引き上げ、(5)日韓経済人会議、(6)経常収支の悪化、などについて発言があった。また、長谷川代表幹事より、「選択する未来」委員会の中間報告について、コメントがあった。

Q: 本日の閣議後会見で、菅義偉 官房長官より、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認について、15日に安倍晋三首相が国民に向けて見解を表明するとの発表があった。5月3日の憲法記念日に合わせて報道機関が行った世論調査の結果には、解釈変更による行使容認に反対する意見が多いものもあった。一方で、堂々と憲法を改正して集団的自衛権を行使できるようにすべきとの声もあるが、この件について見解を伺いたい。

長谷川: 15日に、安保法制懇(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)の報告を受けて(首相が)会見されるとのことであり、進め方についても考えを表明されるものと理解している。経済同友会においても、これまで安全保障委員会等で検討を重ね、意見表明を行っている(提言「『実行可能』な安全保障の再構築」(2013年4月5日公表)等)。基本的には、憲法改正はもちろん望ましいが、それ以前に、最近では東シナ海でも南シナ海でも波高しという環境にあり、また半島の北側には核を保有する国が存在する。そのようなさまざまな情勢を考えると、一義的には日米安全保障の紐帯をさらに強めることが大事である一方で、日本として、限定された状況とシビリアン・コントロールや国会への事前承認等さまざまなガバナンスは守りながらも、集団的自衛権(の行使)を認めていく方向については、本会としても容認している。15日に公表予定の具体的な内容をよく見た上で、会としての意見表明が必要であれば考えたい。

Q: 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定について、12日からベトナム・ホーチミンで首席交渉官会合が始まった。知的財産の分野では前進して合意しそうな雰囲気であるとの声も伝わっているが、あらためて今後の交渉の進め方やTPP協定について、所感を伺いたい。

長谷川: 日米二国間のマーケットアクセスの問題が一番大きな障害になっていたが、バラク・オバマ米大統領の訪日を機に、大きく進んだと理解している。機密保持が極めてよくなされており、報道にも幅があるため、本当のところは分からない。オバマ大統領訪日後の甘利明 経済財政・再生相やマイケル・フロマン米通商代表部代表の発言等を総合的に判断すると、ほぼ(合意の)道筋は見えてきているのではないかと感じる。その他、著作権や医薬品のデータ保護の問題について現在詰めが行われており、著作権については、(保護期間)70年で合意が形成されつつあると聞く。また、国有企業の問題についてどのような形で合意を形成するかなど、分野によりいくつか積み残しはあるだろうが、日米のマーケットアクセスが大きく前進している方向で進みつつあると期待しているし、TPP協定の大筋合意が少しでも早く発表される形になることを強く期待している。

Q: 田村憲久 厚生労働相より、公的年金の支給開始年齢の上限を75歳まで繰り下げる検討をするとの発言があった。これについて所感を伺いたい。

長谷川: あくまでも希望者が対象と理解しており、選択権が受益者に与えられているという前提であれば、そのような選択肢を増やすことは良いと思う。法律で強制的にとなれば問題が出てくるだろうが、十分に生活に支障がない収入がある方については、選択肢を与えることで、結果としてネット・プレゼント・バリューで計算した場合には少なくなるかもしれないが、月々で見れば少し多くなるということがあっても良いのでないか。

前原: 個人的には、支給開始年齢上限を繰り下げる案は良いと思うが、手を挙げて繰り下げた人には何らかの形で褒めることも検討してはどうか。

Q: 消費税率を引き上げて一カ月経った。実態は4-6月期の数字を見なければ分からないが、それほど景気低迷の不安がない、むしろ業種によっては良い形で推移しているようである。来年8%から10%に引き上げることの判断も含めて、どのように対処すべきと考えるか。

長谷川: 三党合意(社会保障と税の一体改革に関する合意)に基づくものであり、使途も社会保障の原資に限定することが決まっている中で、現状を考えれば、予定通りの消費税率引き上げが望ましい。一方で、社会保障制度改革国民会議の議論に基づき、その実行を加速すべく検討を前倒しで進めるべきである。

消費税率引き上げの反動は、想定の範囲内、産業・業種によっては想定より落ち込み幅が小さかったところもあり、結果としては良かったと判断している。97年の増税時が引き合いに出されるが、当時の教訓も踏まえ、大型の補正予算や経済界も対応策を講じてきたことから、想定の範囲内の影響に収まっている。問題は、7-9月期で成長路線に戻せるかであり、決して安心することなく、経済界も成長路線への復活のために、それぞれができることを加速してやっていく必要がある。その結果として、10%への消費税率引き上げが実現できるものと考えている。

Q: 明日から日韓経済人会議が開催されるが、所感を伺いたい。

長谷川: 日韓経済人会議の詳細は把握していないが、日韓外務省局長級協議も15日に開催されるようであり、さまざまなコミュニケーション、意思疎通の場が持たれることは大変良いことである。日中間でもそのような兆しがあるように思う。政治は政治の立場として、相手国に対して言わざるを得ないことはあるにしても、経済の連携・協力については、日韓、日中ともに大きな補完関係にあり、政治の緊張感が経済関係に影響することは最小限に留めるべく、コミュニケーションを継続し、関係を改善することは大変良いことである。

Q: 経常収支(の黒字)がいよいよ1兆円を切るところまできた(2013年度全体で7,899億円黒字)。燃料輸入増などが悪化原因のひとつであるにせよ、経営者からは輸出で外貨を稼ぐモデルはなくなりつつあるとの声もある。経常収支の金額の推移をどのように見ているか。

長谷川: 米国や英国は、経常収支が赤字でも経済としては安定的に運営されており、必ずしも経常収支の悪化が日本にとって即壊滅的かというとそうでもない。経常収支の赤字を補って余りあるような海外からの投資があれば、米国的な経済運営も可能だろう。基軸通貨であるドルやイノベーション・センターも持つ米国に対し、それらのいずれもなく、さらにレギュレーションの使い勝手が悪く海外の投資家から見ると魅力に乏しい状態を放置している日本にとっては、経常収支が赤字に推移していくことは厳しい問題である。輸出は円安に戻ればJカーブが効果を表し、燃料輸入増があっても貿易収支が(黒字に)戻るとの希望的観測もあったが、現実的には難しい。長期的に見れば縮・原発の方向であっても、当面は原子力委員会の厳しい検査をクリアしたところから再稼動をしていくことも考えざるを得ない。

一方、成長戦略の一環でもあり、国家戦略特区でまずは突破口を開こうというところであるが、海外から日本へ来て起業をしたい人たちへのビザ取得や滞在許可の緩和、あるいはそのような人たちが必要とするであろう家事代行や育児を含むいわゆるナニーの方々についても、実験的に導入してはどうかと特区諮問会議で論議されていると報道されている。これらは私も常々提言していることであり、できるところから実施し、日本が投資にとっても観光にとっても魅力的な国になることが重要である。訪日外国人は昨年初めて1,000万人を突破したが、今後も2ケタ単位で伸びるだろう。できることをやって、2020年の東京オリンピック・パラリンピックや2019年のラグビー・ワールドカップなどのタイミングを契機として、環境を整備していくことも極めて大事である。

<「選択する未来」委員会の中間報告について>

長谷川: 経済財政諮問会議の下に設置された「選択する未来」委員会(三村明夫会長)が、本日、中間報告を公表するとの報道があった。人口減少問題について、1億2,800万人(2010年時点)が50年後(2060年)に8,800万人程度になることが推計されているが、1億人を維持するよう留めるべきとの指摘である。例えば、第三子以降への手当てを厚くするなどが提言されており、甘利経済財政・再生相も骨太の方針に反映していきたいと発言されている。政府が初めて、このような中長期の問題について方向を出そうという姿勢を示していることは大変大事なことである。ある程度の期間、安定的な政権運営ができていることのメリットのひとつである。第二次安倍政権発足から一年半、閣僚も一人も代わっていない安定政権が、長年どの政権も手を付けられなかった課題にも、ようやく方向性を出す形で具体化しつつあることは大変喜ばしい。

例えば、社会保障制度改革も、特に将来を担う若い世代の負担が相対的に大きく、もちろん経済成長に貢献してきたが、退職者にその部分(若い世代の財産)が移転しつつあるという状況は、早晩メスを入れざるを得ない。消費税率が10%に上がり、上がった分をすべて社会保障費に傾注しても足りず、(社会保障の)充実に加え、効率化にもメスを入れざるを得ない。このような問題についても、中期的に安定が期待できる政権が、先鞭をつけて方向性を出すことが極めて重要である。

以上

(文責: 経済同友会 事務局)


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