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長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2015年3月31日(火) 13:30~
出席者 長谷川 閑史 代表幹事
前原 金一 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、長谷川閑史代表幹事より、(1)アジアインフラ投資銀行(AIIB)、(2)東京電力、(3)大塚家具株主総会、(4)規制改革会議における解雇の金銭解決提案、(5)景気認識について発言があった。

Q: アジアインフラ投資銀行(AIIB, Asian Infrastructure Investment Bank)が現在44の参加国を得ている。日本と米国は様子見であり、オリジナルのメンバーにはならない模様である。アジア開発銀行と住み分けや、AIIBのガバナンス等といった問題もあるようだが、代表幹事の所見を伺いたい。

長谷川: 2010年から2020年にかけて、アジアのインフラ投資需要は800から900兆円になるという莫大な金額が推定されている。アジア開銀、もしくはインフラ投資銀行だけでこの需要を満たすわけでないにしても、セカンドの選択肢があっても全然おかしくない。こうした機関が必要とされるだけの十分なインフラ投資の需要があるというのが第一点である。第二点は、数日前に中尾武彦アジア開発銀行総裁が、(AIIBと)協調してやっていく旨の発言をされている。また、米国でも世界の金融機関と協力してやっていくべきとの意見が表明されている。当然、コミュニケーションをしながら、協力すべき点はするということが基本となる。第三点は、私の所属する会社はインフラビジネスではないので直接関係はないが、産業界からすれば、最終的には政府の判断ではあるが、これに参加しないことによって、インフラビジネスが不利になるようなことだけはないようにしていただきたい。(AIIBに)入ったら有利になるのか、入らなかったら不利になるのか、いろいろ考え方はあるにせよ、その辺りはよく考えるとして、産業界としては以上が述べたようなポジションであると思う。

Q: (AIIBに日本も)入ってほしいという要望が産業界からあるとは思うが、米国のジェイコブ・ルー財務長官は中国の李克強首相と会談し、協力する趣旨の表明をしているように聞いている。そうなると日本が出遅れて、取り残されるという懸念がある。一方で(AIIBの運営は)フェアな形でやると習近平国家主席も発言している。先程代表幹事が述べられたように、インフラ投資需要はアジアでこれから拡大する要素がある。むしろ協調して(AIIBに)入ったほうが、将来見据えた場合に良いのではないか。

長谷川: (米国とは)同盟国であるが、安全保障の同盟であって、経済同盟ではなく、基本的にはそれぞれの国の考え方で決めるべきである。既にアジア開銀で協力している国とそうではない国との間で差はあるかもしれないが、最後は日本が独自に考えて決めるべき問題であると思う。

Q: 先般、経済同友会の環境・エネルギー委員会(朝田照男委員長(丸紅取締役会長))が「縮・原発」ということで、原発依存度は20%程度を下限とする提言を発表した。長谷川代表幹事は、6月の株主総会後に東京電力の社外取締役に就任予定である。社外取締役への就任に際しては、経済同友会のスタンスを継承されるのか。

長谷川: 本会のスタンスは(自身の)フレームワークにはなるが、東電の社外取締役という立場になれば、東電のステークホルダーのベストインタレストを考えなくてはならない。選任されて、内情を理解した段階でまた考えたい。

Q: 大塚家具の株主総会が終わり、社長側の提案に決まった。同族企業、コンプライアンス、ガバナンスといった問題で難しさがあったように思う。今回の一連の動きについて、武田薬品工業のトップを長く勤められてきた代表幹事の目にはどのように映ったか。

長谷川: 親子の骨肉の争いといった側面ばかりが強調された感じがしないでもない。実際は、ガバナンスの問題であると同時に、ステークホルダーのベストインタレストをどちらがアピールできるか。それをどれだけのステークホルダーが支持するか。会社の経営の原則に従って粛々と決まるべきものである。そこに親子だから、ということを考慮する必要はないと思う。結果として社長が60%を超える支持を集めた。企業経営は、経営のリーダーシップを持った者が、いかにコンプライアンスを実践しつつ結果を出し、株主・ステークホルダーの期待に応えるかということである。社長が業績の改善を示されることが、ステークホルダーから一番期待されていることだと思う。

Q: (日本のAIIBに対するスタンスが)産業界に不利にならないように、とのことだが、経済同友会の中で、この問題について具体的な議論になっているか。

前原: 聞いていない。

Q: 経済界として、個別の意見をある程度まとめて、政府に訴えることは考えていないか。

長谷川: 今のところ、経済同友会としては考えていない。

Q: AIIBに参加するとすれば、新しい銀行として、どのような条件をクリアすべきか。

長谷川: 今の内情が良くわからないので、コメントは難しい。報道によれば、中国が(AIIBの)発案者で、最大の出資者となり、3月末までに参加表明すれば、ルールメイキングに参加できるとのことである。そこから後に入る国はルールメイキングに参加できないのかといえば、そこははっきりしない。もう一つ、ルールメイキングの問題も、EUの主要国、G7でも日米を除いて多くは参加表明を検討していたように思う。そうなると、そうした国々がルールメイキングで影響を及ぼし、グローバルスタンダードを主張される。日本が入らなければグローバルスタンダードのルールメイキングができない、という状況はもう過ぎたのではないかと感じる。結局は、さまざまに考えた上で、どのように決断するかという政府の判断による。

Q: AIIBに参加しないことでインフラビジネスが不利にならないようにということであったが、不利にならないように政府ができること、すべきことはどのようなことだと考えるか。

長谷川: 個別論としてはなかなか難しい。当初、中国が過半を出資し、中国が投資案件を決定することで、中国企業が有利になるのではないかという懸念もあったかもしれない。G7の欧州の主要国もAIIBに入ることになり、習近平国家主席も、そうしたことはしないといっている。あまり懸念するのは過剰反応かもしれない。

Q: 東京電力の社外取締役への就任について、引き受けた理由は何か。

長谷川: 個別の話である。

Q: 東京電力の社外取締役には、これまで數土文夫氏、藤森義明氏らが就任し、「同友会人脈」とも言われているが、経済同友会として、これからも東京電力にグリップを効かせていくつもりか。

長谷川: 経済同友会の基本スタンスは、あくまでも個人の集まりであり、(政治的に)ニュートラルである。経済同友会として東京電力と特別な関係にあるわけではなく、たまたま(依頼があったということ)である。(なぜ経済同友会のメンバーが選ばれるかは)直接、數土会長や東京電力の経営陣に聞いていただきたい。

Q: 政府の規制改革会議が、解雇の金銭解決制度の導入を提言した。さまざまな意見があると思うが、代表幹事の所見を伺いたい。

長谷川: 解雇の問題に関連する今回の規制改革会議の発表は、(裁判で)不当解雇と認められた場合は職場復帰が原則になるが、その際(労働者)本人からの申し出があれば、金銭解決を図ってもいいのではないか、との内容だと理解している。それであれば、経済同友会としても、かつてそのような方向の提言を行ったこともあるため、サポートしていきたいと考えている。

Q: 景気の認識について伺いたい。新年度予算の年度内成立は難しくなってきたが、新年度景気がよりよくなるためには、企業の設備投資や個人消費を促進するために何が必要と考えるか。新年度スタートにあたっての認識と、景気の浮揚要因について伺いたい。

長谷川: 景気は緩やかに回復している状況にあると考えている。さらに景気を良くするためには、これまでやってきたことを辛抱強く続けることだと思う。具体的には安倍首相もよく言っているが、好循環を創るということであり、GDPの6割を占める民間消費を増やすこと、そのために賃金を上げる必要がある。大企業の(春闘の回答状況の)発表を見て、もう少し高いかと思ったが、連合の第2回集計結果(3月26日発表)を見ると、昨年の2.23%から今年は2.36%と、0.13%しか上がっていない。意外と低い印象である。賞与は、昨年も一部企業での満額回答もあり、今年もそういう状況にあると思う。ただ、今、中小企業での交渉が進んでおり、去年はいわゆるトリクルダウンによって、中小企業や地方企業に影響が及んでいなかったところ、景気の回復と相まって、去年は(業績回復の)バスに乗れなかったところも乗ってくるということになるのではないか。そうすれば消費は上向く可能性がある。また、海外からの旅行者が増え続けている。昨年の1,341万人の訪日客がさらに2桁で伸びているというのが1月、2月の実績であり、彼らが地方にも行くようになっている。これは地方にも金が回るプラス要因である。観光庁長官によれば、インバウンドは2兆円産業と聞いている。それに加えて、「爆買い」の影響で百貨店売り上げも久しぶりに2月はプラスになった。そういうことが現実に起きている。それに加えて、設備投資、雇用の増加もある。雇用の増加に関しては、この2年間で80万人以上の女性が新たに労働に参加していると聞く。非正規社員としての労働増加によって、賃金水準をスローダウンさせるという部分はあるだろうが、賃金総額は全体として見ればプラスである。こういうことが積み重なってきていることに加えて、原油価格が安値で推移している。例えば地方においては、車が主要な足になっており、ガソリン代が下がれば、可処分所得の増加になる部分もある。そういうことで今のところ良くなる傾向にある。企業業績も好調である。気を緩めずに好循環を回していくことが大事である。

前原: 原油価格が下がったことで、交易条件が急速に良くなっていることもある。この統計を見る限りでは日本経済はプラスになる。また、中国への輸出額が減っているが、一方で「爆買い」と言われるように、中国からの観光客がかなり買い物をしており、それを加えると(輸出としては)プラスになる。いろいろな面でプラス要因が出てきている。

Q: 消費税について、明日で8%への増税後ちょうど1年になるが、個人消費に対して一部影響が残っているのではないかと思われる。1年経過したところで、あらためて受け止めを伺いたい。

長谷川: 1年経過し、4月1日で(消費増税の物価指数への影響は)リセットされる。現在、消費税除きで物価指数はニュートラルとなっているが、今後実質的に消費税分のゲタがなくなるということである。一方、今、原油価格が下がっている中で、さらに賃金は上がることで、好循環の方向に行きつつあると前向きにとらえている。

以上

(文責: 経済同友会 事務局)


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