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長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2014年01月17日(金)15:00~
出席者 長谷川 閑史 代表幹事
前原 金一 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、長谷川閑史代表幹事より、(1)日本経済団体連合会(経団連)の次期会長人事、(2)東京都知事選挙、(3)日本企業とグローバル化、(4)世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)、(5)消費税率引き上げ時の価格転嫁、(6)経団連の経営労働政策委員会報告書、などについて発言があった。

Q: 日本経済団体連合会(経団連)の次期会長に、榊原定征 東レ代表取締役会長が内定した。これについて所感を伺いたい。

長谷川: 榊原さんを個人的によく存じ上げているわけではないが、私が経団連で評議員会副議長や米州委員会委員長を務めていた際、榊原さんは副会長を務められており、様々な場面でご意見を拝聴する機会があった。産業競争力会議でもご一緒しており、私が(主査を)担当している雇用・人材分科会にも議員として参加いただいていて、接点は多々ある。非常に誠実なお人柄で、経営者としてもすばらしい実績を残しておられ、尊敬できる方である。海外駐在のご経験もあり、ビジネスの関係で韓国や中国とも非常に強いつながりを持っておられる。加えて、米倉弘昌会長が、常々、後継者は製造業から(登用する)、と述べられていたこともあり、適任の方が内定され、心からお慶び申し上げたい。

Q: 経団連の次期会長人事について、一度副会長を退いた方が就くことになった。現役の副会長の中にも適切な方がいたのだろうが、高齢を理由に固辞されたと聞く。また、2020年東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会会長も、財界からの起用は高齢を理由に叶わなかった。日本人の高齢化を鑑みれば高齢でも良いとの見方もあるだろうが、高齢が人事のボトルネックにならないよう、若い経営者・トップ人材を育成するためにはどうすればいいか。経済界の抱える課題と対処法について伺いたい。

長谷川: 経済界全体の課題と言えなくはないが、個々の企業が対応すべきものだろう。世代によって育った時代背景がまったく違う。高度成長時代に、意識しなくとも企業が大きくなり、ポジションも増え、そこで切磋琢磨するという競争状況の中で育ってきたわれわれ以前の世代と、長年の停滞の中で経営者として成熟する段階を迎えた世代とでは、経験に差がある。グローバル化が急速に進み、変化が極めて激しい時代には、個々の企業なりに、意図的に修羅場の経験を積ませることが何より必要である。また、先述の通り、買収を行った企業はグローバル・スタンダードに適う人材を獲得できる。日本人にまだ少し不十分なグローバル・スタンダードの経営ができるロールモデルを目の当たりにすることで、自らがそれに向かって挑戦する、そして、会社はそれをサポートすることで相乗効果が出せる。そのような取り組みをするかどうかで(企業や人材に)差が出るだろう。

一時、若い人は内向き思考だと言われていたが、必ずしもすべてがそうではない。高度成長期には、企業も経済も成長し、海外に出て行く雰囲気があり、特に意識しなくともそのような環境で育てば(外に出ることは)当然だと思っていた。しかし今は、全体の環境が異なり、世界に向かって羽ばたきたい、挑戦したいという人と、そうでない人とに二層化しており、そのような意識や能力、意欲の高い人を意識的に育てる必要がある。それによって、周りの意識も上がるように仕向けていくことも重要である。その意味で、責任を押し付けるつもりはないが、教育の果たす役割は大きい。グローバル化している企業で活躍したいと思う人や起業を考える人は、大学を卒業する時点で、世界ビジネスの共通言語である英語力を身に付ける必要がある。これは国家的命題であり、それぞれの立場でできることをやっていくことが肝心である。

Q: 東京都知事選挙について、細川護煕元首相が小泉純一郎元首相の支援を受け、「脱原発」を唯一の争点として立候補を表明した。具体的な政策はこれから発表するとのことだが、これについて受け止めを伺いたい。

長谷川: 経済同友会は不偏不党であるが、東京都は日本の最重要の自治体であり、国の牽引力であると同時に、様々な問題・課題も抱えている。2020年の東京五輪・パラリンピック(への対応)はもちろんのこと、急速に進む高齢化や首都圏直下型地震への懸念、待機児童の問題など直面している課題が多々ある中で、原発のみを争点とされることは、率直に申し上げて、いかがなものかと考えざるを得ない。経済同友会は、3.11の東日本大震災後、いち早く「縮原発」の方向性を打ち出した。一方で、アベノミクスが始まって以来、デフレ脱却、経済成長へのトレンドについて、本日公表された内閣府の月例経済報告にもあったように、全体の指標が順調に進んでいる中で、根幹を成すものの一つがエネルギー政策であり、原発が全基停止している状況で、化石燃料の輸入だけで年間4兆円近くが国外に流出している。それが電力会社の経営を圧迫し、このままでは電力料金の再値上げも避けられないかもしれない。国民や都民、都に事業所を設置する企業などへの影響を考えると、(脱原発が実現した際の影響について、)適正な見識・分析をもって納得を得られるような説明をしていただきたい。原発は、なくて済むならばない方が良いだろうが、感情的・感覚的にのみ訴えることは、日本の現状やようやく勢いがつきつつある経済の状態を考えると、決して好ましいものとはいえないと申し上げざるを得ない。

Q: 東京都知事選挙について、各政党内が一枚岩でないような動きが気になるが、これについて所感を伺いたい。

長谷川: 特に大都市型の選挙は、どちらかといえば無党派層の影響力が大きく、全国的な傾向でもあるが、特定の党の推薦を受けて出馬することはほとんどない。そのような背景もあり、党として明確な推薦などの体制を取りにくいということがあるのではないか。それぞれの事情で、過去の経緯は経緯として、都知事選に自身の考えに近い候補者に勝ってもらうためのサポート体制をとるという現実的な対応をされていると思うので、それについて私がコメントすることはない。

Q: 有権者にとっては、ますます分かりにくくなっているように思うが。

長谷川: 世の中分かりやすいことばかりではなく、分かりにくい中で判断をしなくてはならない。単一争点で戦うことについては、その結果がどういう影響につながるかについても、個々の有権者も勉強しなければならないが、争点にされる方も、自分なりの見識・分析を提示し、きちんと訴えかける必要があるだろう。

前原: 東京都には原子力発電所がないので、需要者側の意思表示として、「東京都知事になったら原発でつくった電力は買いません」というのであれば、あり得ると思う。

Q: サントリーホールディングスが米ウイスキー大手のビーム社を約1兆7000億円で買収するとの思い切ったM&Aを発表した。武田薬品工業でも、次期社長への外国人登用が決まり、企業のグローバル化が実際に目に見えるようになってきた。今年一年を展望して、日本企業とグローバル化との関係をどのように見ているか。

長谷川: 日本経済が長年の停滞、デフレを脱して、上昇の兆しが随所に見られるようになったことは大変喜ばしく、それを確実なものにするために、政・官・民がそれぞれの立場でできることをやっていく。とはいえ、特に2000年代に入ってからの顕著な傾向として、世界の成長を牽引しているのはやはり新興国である。新興国の成長や生活レベルを上げることに貢献しながら、富の分配を勝ち取り、日本に持って帰ってくるようなビジネスを、これから進めていくことが必要である。そうでなければ世界の競争にはついていけない。グローバル事業を展開する方針を打ち出している企業にとって、できるだけ短い時間で、自らのプレゼンスがない地域や分野で(ビジネスを)成立させるための有効な手段として、M&Aを実行することは理に適っていると思う。また、M&Aでは、多くのグローバル人材の獲得も同時に達成できる。自分たちに馴染みのないマーケットにおいて実績のある人材が獲得でき、その中から日本の本社に移る人もいるだろうし、(日本から)買収した企業に行って研鑽を積み、グローバル人材として育つチャンスも増えるだろう。それぞれの企業の立場、考え方によるが、グローバルに事業を展開し、キャッチアップしていこうとすると、一つの有効な手段として今後も当然(M&Aは)あると考える。

Q: 1月22日からの世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に出席とのことで、今年は安倍晋三首相も参加されるようだが、どのような論点を訴えていきたいとお考えか。

長谷川: 今年のダボス会議のテーマは“The Reshaping of the world”である。世界全体として、ようやく経済が回復しつつある。地域・国によってスピードは異なるが、米国はかなり順調であり、新興国もスローダウンしているといっても相対的には高い成長が継続、欧州も底を打ち、日本もこのような(デフレ脱却に向かう)形になりつつある状況である。その中で、グローバル化でもたらされている若年層の失業率の高さや所得ギャップの拡大の問題などをどう解消するかという点について、活発な議論がなされるものと思う。安倍首相も多用の中ご出席とのことで、プレナリー・セッションやインターナショナル・ビジネス・カウンシルとの非公開セッションでいくつかスピーチをされると聞いており、楽しみにしている。

Q: 経済産業省は、4月の消費税率引き上げを控え、増税分の価格転嫁を拒む事業者に対して立ち入り検査を行うと発表した。昨年11月に行った調査結果を受けて、268社を中心に検査を実施し、円滑な転嫁を促すとのことであるが、これについて所感を伺いたい。

長谷川: (11月の)調査結果の詳細を把握していないが、価格転嫁拒否については、かねてより日本商工会議所なども懸念されており、政府としてもできる限り(価格転嫁拒否が)ないように、法的措置・配慮を考えている。最終的には個別企業の関係になるが、本来(価格転嫁拒否は)あってはならないことであり、検証のために経済産業省が検査をされていると理解する。政治の立場から、そのような指導をされることは良いのではないか。インボイス制度があればこのような問題は起きないが、今言っても間に合わないので、現制度の中で、負担を一方的に強いられることのないよう、公正な取引を行うことが必要である。

Q: 経団連の経営労働政策委員会報告書において、内部留保に対する言及があった。労働組合側からの内部留保を賃上げに回せとの要求に対し、企業側からは単純にそうではない、との説明であった。今回の報告書は、ベースアップ容認も含め多様な選択肢を提示したものとなったが、内部留保も含め、代表幹事の所感を伺いたい。

長谷川: 内部留保については、冨山和彦副代表幹事がコラムで書かれていたが、キャッシュがいつでも使える形であるわけではなく、賃上げの原資とは必ずしも直接結び付かない。むしろ、企業の業績および将来の業績からもたらされるキャッシュフロー(の見通し)が、ベースアップや賃上げを考える重要な要素になる。業績が、向こう数年間にわたって安定的に伸びていきそうだ、維持できそうだ、という見通しができる企業は、デフレ脱却、あるいは設備投資や賃上げによって内需の刺激に結び付けようとの意図で、民間企業も協力すべきと考えるので、個々の企業ごとにできる範囲で考えるべきである。自社(武田薬品工業)でも、できるだけその方向で検討したい。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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