ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2013年12月05日(木) 13:30~
出席者 長谷川 閑史 代表幹事
前原 金一 副代表幹事・専務理事

動画を拡大する

記者の質問に答える形で、長谷川閑史代表幹事より、(1)消費税率引き上げに備えた経済対策、(2)賃上げ、(3)特定秘密保護法案、(4)産業競争力強化法と規制改革、(5)猪瀬直樹東京都知事の徳洲会資金問題、(6)武田薬品工業の社長交代と財界活動、(7)軽自動車税の増税案、(8)甘利明大臣の検査入院、などについて発言があった。

Q: 本日夕方にも、5.5兆円とも言われる経済対策が閣議決定される見通しであるが、これについて所感を伺いたい。

長谷川: 以前から主要閣僚によって公言されていたが、予定通りに閣議決定されることは二つの意味で大事だと思っている。一つは、来年4月1日からの消費税率3%引き上げへの反動を緩和するために必要である。もう一つは、大丈夫だとは思うが、実質GDP成長率は、4.3%(1-3月期)、3.8%(4-6月期)、1.9%(7-9月期)と低下気味で(成長の)鈍化がみられる。7-9月期を見ると、内需については、在庫、設備投資が寄与して成長しているものの、輸出の牽引力がなく、(成長が)少しスローダウンしている時期に、(経済対策の)予算を組んで刺激を与えることは非常にいいと思う。

Q: 来年4月からの消費税率引き上げに関連して、景気の腰折れを防ぐため、来年度予算については補正予算を含めて15か月予算と言われている。昨日、国土強靭化法が成立し、公共事業にも力を入れていくと思われるが、財政の支えがなければ4月以降厳しいのではないか。この辺りについて、所感を伺いたい。

長谷川: もともと(経済対策)5.5兆円という規模は、消費税(率3%引き上げ分の)2%分程度にあたると言われており、景気の腰折れの緩和をするにあたり、そのような経済対策がとられることは、一般的には納得できると思う。また、15か月予算については、今年度からすでに実施している状況である。異常な事態であるデフレから脱却しようとすれば、経験のない施策をいろいろとやってみて、ようやく景気が上向きつつあり、デフレからも脱却しつつあるトレンドを腰折れさせないように、とにかくさまざまな手を打つことは、短期的にはあって然るべきではないか。補正予算は単年度のものだが、消費税はいったん上がれば税収が保証される。そこ(短期的な補正予算)に目くじらを立てるよりも、景気を腰折れさせないことに重点を置くべきであると考える。

国土強靭化法は、当初(今後10年間で総額)200兆円(規模のインフラ投資を行う)とも言われていたが、結果としていま挙げられているのは、昨年来問題となっている高度成長期に設備投資を行った社会インフラの老朽化に伴うさまざまな事故に対するメンテナンスである。新たな公共事業というよりは、社会インフラとして維持するために必要なものであり、これらのメンテナンスを中心に、このタイミングを選んで実施することは理にかなっている。

Q: 間近に冬のボーナスを控えているが、来年の春闘で賃上げの果実を取りたいということで、連合は、経営側に定期昇給(定昇)の確保と1%以上のベースアップを要求する2014年春闘方針を正式決定した。定昇分として月給の2%が前提とされているが、経営者側は定昇やベースアップよりも一時金に重きを置いている感がある。この点について所感を伺いたい。

長谷川: 冬季賞与について、すでに妥結しているところは前年度比5.79%増ということで、業績の上昇を的確に反映している数字であり、クリスマス前でもあり内需の喚起には貢献し得るだろう。来年の賃上げについては、デフレの状況下では(経営側も)定昇は難しいし、(労働側も)要求しにくいが、ようやくデフレ脱却の兆しが見えてきており、黒田東彦日本銀行総裁も2%の物価上昇目標は修正しないと述べている。(定昇の要求も)、基調がデフレから若干のインフレに移ってきているので、理にかなっていると思う。業績上昇を賃上げに反映させるのか、業績の中長期見通しの立たないところは賞与に反映させるのかは、経営者の判断になる。政府も、異例ではあるが、経営側に賃上げの要請を行った。それと引き換えという訳ではないが、復興特別法人税を1年前倒しで廃止することも決定している。経営者はそれらを勘案し、業績を先に反映するのは賞与であっても、ある程度の見通しがつけば賃上げにも反映していくことが望ましい。一律ベースアップが今の時代に合うかは別として、できるところは考えていかなければいけない。(景気を)腰折れさせないために、企業側もできることをやっていくということで、全体のトレンド、雰囲気を盛り上げていくことが極めて重要だと思う。

Q: 特定秘密保護法案について、本日、参議院の国家安全保障特別委員会で採決され、本会議も行われる見通しである。これについて、どのような見方をしているか。

長谷川: 防衛、安全保障、外交を含めて、国が特定機密について保護をする、機密を漏えいした者に罰則を与える法律は、どの先進国でも持っている。これまで日本に包括的な法律がなかったことは、他の先進国と比べて出遅れていた感もあり、それ自体はあって然るべきだと思う。法律の内容や期間、チェックのあり方などがさまざまな形で論議されてきたが、昨日来の安倍晋三首相の国会答弁を見ても、一般(国民)や野党の懸念に応えるような、例えば、(主に)次官級職員を対象とした保全監視委員会を内閣官房に新設することや、第三者を中心とした機密指定の基準づくりに関わる情報保全諮問会議の設置、秘密文書の廃棄の可否を判断する独立公文書管理監を審議官級でつくることを約束している。メディアや国民から見れば、これだけ野党が反対しているのだから慎重に進めるべきとの考えはあるだろうし、私も(時間が)許すならそう(慎重に)した方がいいと思うが、最終的には民主主義においては政権与党の判断になる。あまり強硬なことは望ましくないが、会期を延長せずに決めるかは政権の判断で、それをもって国民が政権与党に対してどう判断するかに尽きる。

Q: 特定秘密保護法案の審議は、ねじれ国会でなくなったひとつの特徴が表れている。政権与党はより慎重に国会運営をすべきであるが、与野党間で議論がかみ合わず、衆議院以上に参議院でうまく歩み寄れない現状について、どのようにお考えか。

長谷川: 基本的に民主主義の社会では、国民の多くが反対すれば、政権与党は慎重に判断すべきである。難しいのは、国民が十分に納得していないから国会でもっと論議を尽くすべきという話があるが、国民にとって分かりにくい法案について、1か月論議を延長すれば国民全体が納得するのかと言えば、なかなかそう簡単にはいかないように思う。ある段階で、政権与党としての審議に対する判断が求められなければいけない。十分に論議を尽くしたかどうかについては、感覚的に責めるのではなく、通常の法案審議の時間は40時間なので、これは80時間すべきというように、具体的なものを決める方が良い。双方の感覚の問題では折り合いがつかず、今朝未明のように、引き延ばし(阻止)のために委員長を更迭するというような望ましくない方向にいってしまう。ビジネスマンとしては、どのくらいの時間審議をすれば妥当なのかといった具体的な話をすべきではないか(と思う)。国会は、そのような単純なところではないのかもしれないが。

Q: 特定秘密保護法案については、さまざまな著名人や有識者が異論を唱えている。メディアに顔や名前を公開して反対をするといったことは最近少ないが、このような反対の声が続々と挙がる現状をどのように考えるか。

長谷川: 難しいところである。知識人が自ら街頭に立ち反対することには十分な配慮が必要だが、国民の過半数が反対している政策はやらないということとは違う問題だと思う。例えば、国民の過半数が増税に賛成するのは極めて稀なケースであるが、一方、財政規律は、国民ではなく政治家が責任を持つ問題であるから、国民の過半数が反対しても進めなくてはならないこともある。この法案がそのようなケースに該当するかは、判断が難しい。法案の全文や詳細は把握していないので、断定的には判断できない。

Q: 産業競争力強化法が成立したが、その評価と、規制緩和等が不十分で当初の案より後退したのではないかとの批判もあるが、その辺りの所感を伺いたい。

長谷川: 産業競争力強化法が成立したことは、安倍首相も約束していたので当然のことであり、喜ばしい。むしろ気になっているのは、国家戦略特区法案がまだ通過していないことである。「第三の矢」は、ゲアハルト・シュレーダー前独首相も述べていたが、効果が出るのに時間がかかる類のものである。国家戦略特区の構想をうまく使えばより早く効果が出るので、この法案こそぜひ通してほしい。

規制改革については、産業競争力会議雇用・人材分科会主査を務めていて(不十分との)感覚はよく分かる。ただし、大きな問題として、例えば雇用であれば、成熟産業から成長産業への失業なき移動を大前提としている方針は変わらないが、法制化の面で無理にでも押し通すのか、あるいは、政・官・民それぞれの知恵と財源とを持ち寄り、実態的・具体的に起きていくように進めるのかといえば、後者を取るのがいい。前者の見方からすれば、雇用法制の改定ができていない(という批判になるだろう)。シュレーダー元独首相は、政権は失ったが“sick man”と言われたドイツ経済はよみがえったと述べているが、日本には日本の労使慣行があり、私は実態で何とかしていくべきだと思っている。規制改革について、岩盤規制をすべて壊すという期待には十分に応えていないかもしれないが、例えば、大衆薬のネット販売について、99.8%は実現したが0.2%が残っているから失敗だ、と決めつけるものではない。何のために0.2%を残したかを今後も問い続けていくような、継続的な努力が必要だと思う。

Q: 猪瀬直樹東京知事の資金問題が今日の都議会でも主要な論点になっているが、東京五輪に与える影響と知事の進退について、所感を伺いたい。

長谷川: 最終的な政治家の進退は自身が考えるべきことである。5,000万円というお金を無利子無担保で借りることは、普通の感覚ではにわかに信じがたいというのが基本的な感想である。知事は、議員会館で徳田議員の前で書いたという借用書を見せているが、その信憑性等についてはいずれはっきりするだろう。どこまで納得できる説明をされるかに尽きると思う。

東京五輪への影響について、東京都が主催都市であり、招致の主役の一人であった猪瀬知事が、このような問題で万が一辞めるということになれば、決して好ましくないし良い影響は与えないので、懸念している。

Q: 猪瀬都知事の進退について、東京五輪招致の主役の一人なので辞めるべきではない、という趣旨での発言か。

長谷川: (そういう趣旨ではない。)辞めるか辞めないかは、最後は本人が決めることで、コメントのしようがない。都議会、都民、そして国民の納得性をどこまで得られるかに尽きると思う。

Q: 先週末、武田薬品工業の次期トップの発表があったが、今後の財界活動に対するスタンス、力の配分はどうなるのか。

長谷川: 会社(武田薬品工業)にも(経済同友会)事務局にも迷惑をかけており、兼務は好ましくないと思っていた。(武田薬品工業社長の)後継者についてさまざまな検討をし、あのような結果になった。(新社長の)ガーデニング・リーブ(同業他社に転職する場合、ノウハウの流出防止や業務妨害防止などのために強制的に取らす有給休暇)が決まっておらず、あのような形で発表したが、遅くとも来年4月には来られるだろうということで、しばらくは何も変わらない。(経済同友会代表幹事は)2期目に入り、現在3年目である。新社長の着任の頃には最終年度に入っているが、残りの一年間は、社業に少しでも余裕ができれば、これまで迷惑をかけた分、経済同友会にお返しをしたい。それ以降は何も考えていないし、できればゆっくりしたいというのが本音である。

Q: 今回の人事は、グローバル競争を勝ち抜くための大事な判断だったと思うが、世界と伍していく経済界をリードする経済団体のトップとしては、グローバルな観点や年齢についてどのように考えるか。

長谷川: 個別の会社の事情で考えるべきである。自社の観点から述べると、製薬産業では、高品質、低コストなどで技術的に圧倒的な差別化をすることはなかなか難しい。そのような状況で、それぞれのマーケットにおいて真っ向勝負で戦わなければならない。製薬産業では、成長の7割が新興国で、この傾向は2018~2020年くらいまでは続くとの専門機関のレポートも出ている。そこ(新興国)で自らの力でしっかり成長を実現できなければキャッチアップができないし、自ら陣頭指揮をとって(新興国で)販売活動をした経験がある人の方が望ましい。もう一つ、今の時代の経営者に必要な資質で重要性が増してきているものは、スタミナである。世界中を飛び回り、各地域・部門のパフォーマンスを自らがチェックし、フォローし、アドバイスし、指示を与え、その上で揺るぎのない経営をすることが望ましく、そのようなことができる人を選んだ。

Q: 経済団体のトップにもスタミナは大事か。

長谷川: 大事だと思う。

Q: 消費税率引き上げに関連して、軽自動車税を引き上げる案が浮上し、自動車業界だけではなく、三村明夫日本商工会議所会頭も反対を表明している。経済同友会のスタンスを伺いたい。

長谷川: 経済同友会としては、個別の税制にまで検討が至っておらず、コメントを述べる段階にはない。個人的にも専門分野でなく、特に意見は持ち合わせていない。660cc以下の軽自動車税という仕組みが日本特有であることは確かであり、また、時代の変化や技術の進歩とともに、排気量による差も少なくなってきているだろう。自動車税全体についても配分見直しの機運がある中で、全体のバランスを見ながら、政府税調などで決められると思う。

Q: 産業競争力会議等を取り仕切っている甘利明大臣が検査入院している。間近に検査結果や今後の見通しも出てくると思うが、所感を伺いたい。

長谷川: 甘利大臣は、現内閣で中枢的な閣僚の役割を果たしておられ、極めて憂慮している。12月7日からTPP閣僚会合を控えているという大詰めの状況であり、報道によると、菅義偉官房長官は本日午後にも何らかの対応ができると述べられていた。先般、マイケル・フロマン米通商代表部代表との会談後に「これ以上は1センチも譲れない」と述べられていたように、重要な役割を担っている方でもあり、できるだけ早く現場に復活できることを望んでいる。

以上

(文責:経済同友会事務局)


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。