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長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2013年10月16日(水) 13:30~
出席者 長谷川 閑史 代表幹事
前原 金一 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で、長谷川閑史代表幹事より、(1)台風26号の被害状況、(2)米倉弘昌 日本経済団体連合会会長の賃上げ容認発言、(3)靖国神社の秋季例大祭への安倍晋三首相の参拝、(4)JR北海道の不祥事、(5)みずほ銀行の不正融資問題、(6)東京電力の分社化、(7)第185回臨時国会、(8)米国議会の債務上限引き上げ問題、などについて発言があった。

Q: 昨日から今朝にかけて台風26号が関東地方に接近した。幸い首都圏では交通の乱れはあったものの被害は大きくないが、伊豆大島では現時点で亡くなった方が13人、行方不明が50人と伝えられている。台風26号による被害の受け止めと、経済同友会としての対応について伺いたい。

長谷川: この時期に今年最大級の台風が、人口密集地に大きな影響を与えるような進路で接近し、その結果、多数の行方不明者や死者が出ていることは、大変痛ましい。日本列島は、地震だけでなく、台風の進路になる位置にあり、年によって濃淡はあるが毎年のように台風の災害を被っており、このようなことが繰り返されることは大変痛ましく思う。安倍晋三首相も、国を挙げて全面的に救援・支援活動を行うと述べられており、それが速やかに行われることを望んでいる。経済同友会としての今回の台風被害に対する活動は、現時点では考えていない。

Q: 日本経済団体連合会の米倉弘昌会長が、春闘に向けて、景気が良くなりつつあるタイミングや安倍首相の要請もあり、各企業に賃上げを働きかけても良いのではないかとの見解を示したが、経団連トップがこのように言及したことへの受け止めと、賃上げに対する経営者としての所感を伺いたい。

長谷川: 賃上げに対する見解は、これまで何度も述べている通りである。今年の年頭見解『経済の成長なくして日本の再生なし』(2013年1月1日公表)で、企業には供給サイドと需要創造サイドの両方の役割があり、供給サイドの役割を果たすと同時に、需要創造の意味では、できる企業から賃金を上げ購買力を高めることを実行すべきと述べた。また、産業競争力会議や4月に経済3団体長が官邸を訪問した場でも、協力できる企業から賃上げを実行することで、ようやくデフレ脱却の兆しが見えているこのモメンタムを少しでも確かなものにしていくことが重要であると述べており、(政・官・民)それぞれが役割を果たしていくべきであると考えている。米倉経団連会長のコメントは直接聞いていないので内容は分からないが、おそらく同じような趣旨で、賃上げできる企業から実行すべきとの考えを述べられたのだろうと推測するし、そうであればまったく異論のないところである。

Q: 明日、17日から靖国神社の秋の例大祭が予定されている。安倍首相が行くのではないかとの観測もあるが、行った場合は中国・韓国の反発やそれに伴う経済的影響が予測できる。この件について、所感を伺いたい。

長谷川: 安倍首相は、(靖国神社に)行く、行かないは、言明しないと述べられている。春季例大祭は、私費で真榊を奉納されただけでご自身は参拝されなかった。秋季例大祭をどうされるかは首相のお考え次第であるが、現下の状況を考慮の上、賢明に判断されることと思う。

Q: JR北海道で、事故や点検ミス、補修の不備などが続出しているが、企業の危機管理の面、また、公共交通機関という性質から、今回の一連の不祥事をどう見ているか。また、経営陣刷新を政府が強く言及しており、異例なことだと思うが、これについての所感を伺いたい。

長谷川: 公共交通機関をあずかるものとして、点検をしながら報告が保線の担当部署や経営者に届いておらず、結果として放置されたままになっているという状況が何年も続いていたのはあるまじきことである。早急に対策を打ち、今後そのようなことが繰り返さないようにする必要があると言わざるを得ないし、当然の対応だと思う。
政府による経営陣刷新の言及については、JR北海道は民間企業であり、経営責任をどう取るかは(経営者)自らが判断すべきと考える。結果として国の関与がなされるかどうかは分からないが、一経営者としては、自らの出処進退は自らが判断することに期待したい。

Q: みずほ銀行の一連の(不正融資)問題についてはどう見ているか。

長谷川: これも金融機関としてあるまじき事態と考える。今回の問題については、報道で知る限りであるが、関連会社のオリエントコーポレーションが信用審査をして(みずほ銀行が)融資をする形になっていると認識しており、取締役会に過去4回ほどそのような書類が提出されていたようである。コンプライアンスの問題については、当然その場できちんと論議され、対応が決定されて然るべきであるが、報道によるとそのような形跡はなかったとのことであり、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス体制に欠陥があったと見ざるを得ない。そうであれば、金融機関としてあるまじき状況であり、早急に是正されるべきである。

Q: 経済同友会の会員にも多くの金融機関の方がいるが、何らかの対応を考えているか。

長谷川: (経済同友会では)これまでもコンプライアンスの重要性についてさまざまな提言の中で述べてきたが、最終的には経営者の覚悟や各々の企業のガバナンスの問題である。このような問題が起こる度に、自社は大丈夫だと安心せず、他山の石として常に確認・再確認し、経営者のリーダーシップで戒めていくしかない。少しでも気を緩めると看過されがちであるが、安心せず常に緊張感を持って対応すべきである。

Q: みずほ銀行の佐藤康博頭取は、役職には就いていないが、経済同友会の会員である。経済同友会として処分、あるいはみずほ銀行から何らかの意向が伝えられているか。

長谷川: 経済同友会は個人の立場で参加している組織であり、懲罰などは過去にも行っていないし、今回も考えていない。みずほ銀行からも、今のところ特に連絡はない。

Q: 自民党の一部で東京電力の分社化が検討され始めたようだが、所感を伺いたい。

長谷川: 自民党の一部で検討されている分社化の内容は承知していない。経済同友会では、提言『需要者の視点で電力システムのイノベーションを』(2011年11月18日公表)において、発送配電分離の考え方をまとめた。今回の臨時国会で、先般の通常国会で流れた電気事業法改正案が提出され、審議、成立するものと思うが、それに基づいて発送配電分離の方向で進めていただきたい。ただし、分離の方法は、先述の提言でいくつかのシナリオを提示しており、分社化する/しないについては、それぞれのメリット/デメリットを検討の上判断されることで、現時点で当会として分社化の是非についての見解は明確にはしていない。

Q: 第185臨時国会が召集されたが、求めるものがあれば伺いたい。また、重要法案の審議が山積している中で、53日間という会期についてはどのように考えるか。

長谷川: 安倍首相自らが「成長戦略実行国会」と名付け、産業競争力強化法案を提出、成立させると宣言されている。法案の中身は追々明らかになってくると思うが、規制改革や新陳代謝を促す税制改正、あるいは今後3年間の実行計画を作成して毎年見直すプログラム法案など、さまざまな内容が盛り込まれるようである。昨日のマーケットの反応は、6月の(成長戦略発表時の)ようにネガティブなものでなく、ニュートラルもしくは若干のポジティブだったと思う。重要なのは今後の法案の中身とその実行である。所信表明演説で「実行なくして成長なし」と述べられたが、文字通り実行されることをマーケットも経済界も期待している。

Q: 臨時国会について、今回は重要法案の審議もあり、世間も注目する大事な国会だと思われる。与野党でどのような論戦が展開されるべきか。

長谷川: 過去の国会運営上の慣行からいけば、所信表明演説に対する質問や予算委員会(の開催)など決まったプロセスがあり、法案審議の期間が十分でないという懸念もある。重要法案を必ず成立させねばならないという政権の覚悟次第だが、最終的には若干の(期間)延長もあるかもしれない。重要法案は必ず通してもらわねばならないし、(政府も)認識しているだろう。必要な措置を講じて、最低限やらなければならないことは必ずやっていただけると期待したい。

Q: 米国議会での債務上限引き上げ問題について、前回の記者会見では比較的楽観視されていたが、少し長引いており、抜本改革の結論に時間がかかりそうである。米国債にも混乱が広がっているようだが、所感を伺いたい。

長谷川: チキンレースをここまで続けることは誠に嘆かわしい。しかし、これが米国議会の実態であることも事実である。米国債がデフォルト(債務不履行)を起こして世界的にネガティブな影響を与えることは、あり得ないと思っている。デッド・シーリングは、これまでに15~16回更新しているはずで、今回に限って更新しないことはあり得ない。共和党内に、ティーパーティーのような強硬な意見があり、それをある程度斟酌せざるを得ないのであれば、最終期限である夜中の0時などギリギリまで粘るとか、かつての団体交渉のような形になるかもしれない。そこまで長引くことは嘆かわしいが、そうせざるを得ないのかもしれない。それが(米国債の)デフォルトにつながることはあり得ないと思っているし、(動向を)冷静に見ている人もそのように判断しているだろうから、結果としてカタストロフィック(破局的)な影響を与えることにはならないと思っている。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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