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2013年度通常総会、理事会後記者会見発言要旨

日時 2013年04月25日(木)17:00~17:30
出席者 長谷川閑史 代表幹事
稲野和利 副代表幹事(退任)
髙須武男 副代表幹事(退任)
伊東信一郎 副代表幹事(新任)
菅田史朗 副代表幹事(新任)
冨山和彦 副代表幹事(新任)
御立尚資 副代表幹事(新任)

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稲野和利、髙須武男各副代表幹事より退任のあいさつ、次いで、伊東信一郎、菅田史朗、冨山和彦、御立尚資各副代表幹事から新任のあいさつがあった。

その後、記者からの質問に答える形で、(1)長谷川代表幹事2期目への期待と注文、(2)世界同一賃金、(3)消費税還元セール禁止、(4)政権との距離と提言内容への影響、(5)雇用制度の柔軟化、(6)女性の登用促進、(7)円安の決算への影響、について発言があった。

退任あいさつ

稲野: 長い間ありがとうございました。副代表幹事の任期2期4年が終了したが、来し方を振り返り、一入の感慨を覚えている。任期中は金融資本市場委員会の委員長を1年、経済成長戦略委員会の委員長を3年務めさせていただいた。この間、残念なことに日本経済は成長を果たせなかったが、私にとっては得難い経験となり、その結果、自己評価ではあるが自身は少し成長できたのではないかと思う。代表幹事をはじめ、多くの経済同友会メンバーに心より感謝申し上げる。アベノミクスを受け現在の株式市場は活況であり、海外投資家からの日本株のみならず日本への注目度は著しく高まっている、と日常の業務を通じて実感している。これは非常に良いことだと思う。先週、2012年度経済成長戦略委員会の提言「地域・都市の国際競争力強化に挑む」を発表し、その副題を「世界から人と企業が集まる2020年のNipponをめざして」とした。その姿を実現することは十分に可能であると感じている。グローバルな地域、都市、国家間競争の時代にあって、人や企業を惹きつける魅力あるNipponをどう築いていくのか。既に理念も処方箋もある、あるいは現在できつつあると思う。最終的に問題なのは行動で、その点を自身もよく意識していきたい。副代表幹事は退任となるが、今後も「行動する同友会」の一翼を担い、積極的に活動に参加していきたい。

髙須: 4年間大変お世話になり、ありがとうございました。副代表幹事としての4年は、医療制度改革委員会、社会保障改革委員会の委員長を務めさせていただいた。現在、社会保障制度改革国民会議の議論が盛り上がっているが、われわれから見ると、一体改革と称してはいるが、一部改正・一部改革のような技術論の方向に進んでいるように感じる。実質上破綻している賦課方式や世代間格差是正にまで踏み込まないと、社会保障制度改革は実現しないのではないか。日本の現在の経済、人口構成の状況を踏まえた上で、将来の社会保障制度のあるべき姿を議論していただきたい。3月28日、私の卒業論文でもある「『社会保障制度改革国民会議』に向けての意見書~国民に負担増と給付減の選択肢の提示を!~」を発表したが、社会保障制度は受益と負担の両方から切り込む必要があると主張している。社会保障制度改革国民会議が終了する8月20日以降にポスト国民会議を設置すべきと述べたが、すぐに法改正ができる国会議員を中心とした体制で、ポスト国民会議を実現してほしい。副代表幹事や委員長は退任となるが、引き続きこの問題を注視し、これからの経済同友会活動にも多方面から協力していきたい。

新任あいさつ

伊東: (経済同友会は)長谷川代表幹事の下、活発に活動し多くの情報発信をされている。微力ではあるが、行動する経済人として努力していきたい。(昨年度から)中国委員会委員長を務めているが、現下の厳しい環境の中、GDP 2位と3位の国の関係がこの状況では世界経済にも影響を及ぼす。委員会活動を積み重ね、少しでも今後の日中関係の改善に貢献していければと考えている。

菅田: 2001年から経済同友会会員として活動を始めた。2007年に幹事となり、アジア委員会を中心に活動を行ってきた。2011年度は科学技術振興PT、2012年度はイノベーション・競争力強化戦略PTの委員長を務め、今年度は副代表幹事とともに企業経営委員会委員長を務めることとなった。これまでの活動の経験や、昨日発表された第17回企業白書「持続可能な経営の実現」(2012年度経営改革委員会、委員長:小林喜光(三菱ケミカルホールディングス 取締役社長))を踏まえ、安全・安心で豊かな日本社会の維持発展に必要な一定水準の経済成長を達成するためには、日本企業の競争力を高め、企業とそれを取り巻く社会の在り方や、企業経営者がすべき判断・行動を考える必要がある。昨今の目まぐるしく変化する環境の中、その変化にどのように追随していくかを会員間で議論し、発信し、それが実現できるように、行動することを念頭に活動していきたい。

冨山: 「行動する同友会」の真価が問われる時期に副代表幹事を拝命し、身が引き締まる思いである。今後、サービス産業生産性向上委員会委員長、改革推進プラットフォーム事務局長として活動を盛り上げ、頑張っていきたい。言うまでもなく、経済同友会は民間団体であり、経済人個人として政策に関わっていくことになる。しがらみや利害関係にとらわれず、この国の全体像や将来性を見据えて活動していくところが最大の特長だと思っている。学者で最もそのような活動をされていたのが、故・加藤寛先生(慶應義塾大学名誉教授)だと思うが、今日は加藤先生の形見分けでいただいたネクタイを着けてきた。加藤先生や経済同友会の先輩たちに恥じぬ活動をしていきたい。現在のアベノミクスの政策は、三本目の矢が的を射なければリスクが大きい。このようなハイリスク/ハイリターンの政策パッケージしか道がないほど(日本経済は)追い込まれており、これが最後のチャンス、みんなで力を併せなくてはならない状況であり、微力ではあるが頑張りたい。

御立: 経済団体は、コンテクストと環境によって期待される役割が大分変わる。マルチ・ステークホルダーが意識されるようになってきたが、政・官・民が本気で対話をし、時には真剣に喧嘩をしながら、最後は自身の持ち場に戻って日本を良くするためにやるべきことをやる、という流れが久しぶりに出てきているように感じる。このようなタイミングで副代表幹事の大役を仰せつかり、緊張しているが、どのようにお役に立てるかを考えていきたい。2011年度は医療・福祉ビジネス委員会、2012年度は医療・福祉ビジネス推進PT、今年度は医療・福祉改革委員会を担当するが、この分野が本当に役立つためには、イノベーションと生産性向上の二つが必要だと思う。イノベーションについては、日本版NIHやドラッグ・ラグ問題、iPS再生医療など的を射た議論がまとまってきたが、生産性向上については(議論)が不足しており、それでは雇用や賃金を増やすことができない。具体的には、医療・介護サービスを提供する人の生産性を上げること、そして質・生産性ともに高いサービスを提供している人にいかにインセンティブを与えるかが重要である。日本のGDPの3/4はサービス産業であり、そのかなりの部分を医療・福祉・介護の分野が担うので、ここの生産性が上がり日本の経済が良くなるために、微力ながら委員会や副代表幹事としての役割を通じて貢献していきたい。

質疑応答

Q: 退任・新任副代表幹事に、2期目を迎えた長谷川代表幹事への期待と注文を一言ずつ伺いたい。

伊東: いろいろな場面での発言が最近頓に多いが、われわれ経済人の代表として的確な意見を主張されており、非常に頼もしく感じている。

菅田: 持ち前の強いリーダーシップで、政府に対する影響力を最大限行使していただきたい。

稲野: 2年間一緒に活動したが、発言のトーンも発信力も段々強くなっていると感じており、それをますます強められると良いと思う。あまりに強くすると時には踏み外しもあるかもしれないが、それでもタブーなく強く発言・発信していただきたい。

髙須: 「行動する同友会」というテーマがあるが、これからは「戦う同友会」でなければならない。6月の「骨太の方針」取りまとめまでは空中戦に近いが、現実の法律や制度にするには省令や通達などにまで持っていかなければ不可逆的な状態にはならないので、今後は泥臭い部分を含む地上戦、ゲリラ戦を戦い抜かなければならない。

御立: 日本のグローバルなビジビリティ向上への長谷川代表幹事の役割は非常に大きい。ダボス会議等、発言して顔が見えるリーダーは(日本には)片手で数えるほどしかおらず、そのうちの一人として活躍いただくことが、間接的ではあるが日本を良くすることにもつながる。

Q: ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が「世界同一賃金」の導入に言及した。この考え方について経営者としての所感を伺いたい。

長谷川: 報道を読み、すごい経営者だと感じた。本来そうあるべきで、どのくらいの時間をかけて実現するかについて、常々頭を悩ませている。ただし、マネジメント層以上の賃金レベルを米国と同じにすることは極めて難しいし、またそれが日本にとって良いかについては未だに疑問に思っている。少なくとも、欧州とはできる限り合せていかないとグローバルの(人材)ローテーションに弊害が出るので、そのレベルで合せていき、かつ世界と伍して利益率も上げていける企業にならないと日本が強くなれないので、ぜひ実現したい。(世界同一賃金の考え方には)基本的に賛成である。

Q: 政府は、消費増税の際の消費税還元セールを禁止する転嫁特別措置法案を検討しており、民間企業の活動に制約が出る可能性があるが、この法案について所感を伺いたい。

長谷川: 基本的には、市場やそこでビジネスをしている企業などに任せるべきである。歪な形で力が働き、本当は転嫁したくてもできない、もしくは転嫁しなくても良いのに義務付けられる、など自由裁量での判断が歪められるようなことは好ましくない。そこに政府が介入するかどうかは現時点では分からず、状況を見て判断するしかない。

髙須: メーカーサイドからの意見になるが、消費税還元セールは消費増税直後だけの一時的な話であり、そこになぜ神経を尖らせているのか疑問に思う。原則は、各企業が自社の収益体質を考えて対応する自由裁量であるべきである。

冨山: (日本は資本主義の国で)社会主義ではないので、価格統制的なことは止めた方が良い。

Q: 2%の物価目標を掲げている政府の政策としては有効ではないかと思われるが、賛成意見はないか。

冨山: 市場経済のメカニズムを誘導し、需要/供給の交差点(価格)を上げる政策を講じるべきであり、価格統制で物価を上げようとするのは筋が違う。

Q: 菅田新副代表幹事より、長谷川代表幹事への期待として、政治への影響力という話があった。経済財政諮問会議、産業競争力会議、規制改革会議など政府の会議に、学者枠も含めて7-8人の経済同友会関係者が参加しており、非常に大きな影響力であると思われる。なぜこのような評価を得ていると思われるか、あるいはこの状況をどのように見ているか、長谷川代表幹事に伺いたい。一方で、政権との距離が近付き過ぎることで、経済同友会らしい提言を行いづらくなるのではないかとの懸念も聞かれるが、この点について所見を伺いたい。

長谷川: 経済同友会は経営者個人での参加が原点であり、個人として参加して切磋琢磨し、ネットワークを作る。その成果として提言に結び付けたり、発言したりという影響力を行使し、良い方向に持っていくと自覚されている方々が幹部におり、そういう方々が(政府の会議等への参加を)求められるのは極めて自然だと考える。それが今、結果として経済同友会から多く出ているということになっているだけで、特に感想はない。優秀な方が多く(経済同友会に)いることは、代表幹事としてありがたい。
政権との距離と提言内容との関係については、(政権との距離によって主張が変わることは)あってはならない。本来、自分たちが信じるあるべき姿が(政権との距離で)変わるようなら、何のために民間から(政府の)会議に入るのかということになる。その原則は踏み外してはいけない。一方で難しいのは、(会議の場で)言って気が済めばいいというのではなく、ビジネスマンは結果を出すことが重要である。その辺りの判断として、今ここで突っ張って主張することで、場合によっては(提案自身が)潰れてしまうこともあり得る。経済同友会の中にはいろいろな情報を持つ方もおり、基本線は変えずに、どのタイミングでどのような主張をすべきかを十分に検討すべきであると考えている。

Q: 雇用制度について伺いたい。先日、産業競争力会議において、雇用制度の柔軟化について長谷川代表幹事より提言があった。同時に、(労働者の)セーフティネットについて、転職者の教育・訓練、ハローワークの見直し、ダブルインカムで生計を立てられる社会などの話もあったが、こうした環境整備は一朝一夕にはいかない。環境整備が図られない中で柔軟化だけが進むと、米国のようにクビは切りやすいがセーフティネットがないといった状況になる懸念もあり、議論が進まないことが予想される。この点について所見を伺いたい。

長谷川: それぞれの国の慣行・カルチャーがあり、米国型(の雇用制度・環境)を望んで提言しているつもりは全くない。基本的に、政府・経済界ともに絶対に外してはいけないのは、成熟産業から成長産業への労働移動を、失業を経ずに行わなければならないということである。そのために、ハローワークの求人情報を全国どこでも閲覧することができるよう開放することや、求職者個人の了解が得られれば、求職情報も(民間事業者に)開示することで、マッチングのチャンスがより広がる。あるいは職業訓練、教育などに関しても、例えば雇用調整助成金として膨大な予算を(雇用継続の助成に)費やすのではなく、転職やそれに向けた知識・技能を得るための行動を全面的にサポートすべきであると考えている。同時に首尾一貫して主張しているのは、解雇のルールをもう少し明確にすべきということである。手続きはきちんとやるが、裁判をしてみないと結果が分からないのは、労使双方にとって好ましくない。できるだけ明確化されることを追求していきたい。仮に裁判で雇用者側が敗訴した場合、双方が納得の上、最終的に金銭による解決ができるという選択肢は残してはどうかということを述べているところであり、決して米国型を目指しているものではない。

Q: 代表幹事所見の表明でも、女性の登用促進に触れていたが、経済同友会幹部においても同様ではないか。現在、副代表幹事に女性は一人である。今後、女性の副代表幹事を増やしていこうとするのか、資質ベースの話だとは理解するが、その点について考えを伺いたい。

長谷川: 少なくとも複数の女性が正副代表幹事に入ってほしいし、それに向けてバックアップしたい。

Q: 2012年度決算が始まっているが、円安が各社の決算にどのような影響を与えているか。

長谷川: 業種・企業によって異なる。自社(武田薬品工業)で述べれば、円安は、売上にはプラスの影響を与えるが、利益面ではほぼニュートラルである。海外でも相当な費用を使っており、その部分も(円安で)膨れることになる。日本を製造拠点として、国内で物を作って売っているトヨタやキヤノンなどのメーカーは、円安で(利益が)上振れすると報道にもあるように、業種・企業によって影響はさまざまで一概には言えない。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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