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長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2013年01月16日(水)13:00~
出席者 長谷川閑史 代表幹事
前原金一 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、(1)産業競争力会議、(2)為替水準と閣僚による発言、(3)給与増額と法人減税、(4)一般用医薬品のネット販売に関する最高裁判所の判決、(5)日本銀行総裁人事、(6)自由民主党政権1か月の評価、について発言があった後、長谷川閑史代表幹事より、所感を述べた。

Q:産業競争力会議の議員として、民主党政権時の国家戦略会議に続き、成長戦略を検討する会議体のメンバーに指名されたが、経済界の代表としてどのように取り組まれるのか、抱負を伺いたい。また、今回他にも若い経営者も議員となったが、そういう方との役割分担・連携について考えがあれば伺いたい。

長谷川:ほとんどのメンバーは、親しくさせていただいており、気心も知れている方で、民間議員間の連携は十分に取りたい。また、必要に応じて(近々立ち上がるとされる)規制改革会議とも連携を図りたいと考えている。産業競争力会議は、いかに産業の競争力を高め、経済成長に繋げていくかがテーマであるが、その検討は以前の自民党政権、民主党政権でもなされてきており、その方向性は大きく違わない。課題はほぼ抽出し尽くされ、対策ややるべきこともほとんど明確になっている。そのレビューは新政権でも行う必要はあるが、最後は実行をいかに担保するかである。安倍晋三首相には、都度ディスカッションを踏まえて会議を締めくくる指示を出していただき、実行を担保されることをお願いしたい。また、規制・制度改革について、本格的に取り組まれていない、もしくは実行に至っていないというのが私の実感である。象徴的な例として、幼稚園・保育所の一元化も実現できず、少子・高齢化の中で待機児童の解消も図られていない。それすらできずに本当の改革ができるわけがない。そのような個別事例も強調し、どのように従来突破できなかったところを、本当の意味での政治主導で突破していただけるのか、その辺りを強く要望することで、突破口が少しでも開ければ幸いである。

Q:以前の経済財政諮問会議では民間議員ペーパーが活用された。メンバー間の連携を取るということだが、そのようなものを活用する考えはあるか。

長谷川:当然あり得る。近々開催される予定の第一回会合で、運営方法に関する感触も得られるだろう。

Q:今日の為替相場は円安の流れが一服し、円高に振れている。閣僚が円安を是正した方が良いという趣旨の発言をしたことがその理由と言われているが、閣僚が為替水準について言及することの是非と、今の日本経済全体を見た際の相応しい為替水準について伺いたい。

長谷川:閣僚の方がどのような場面でどのような発言をされるかは、それぞれの閣僚の判断、あるいは政府としての意思統一にかかっているが、局面ごとに発言されること自体はあまり好ましくないと考える。(為替水準について)どの程度が適切かは、円/ドルが質問の趣旨と思うが、(1月7日の)経済3団体長合同記者会見でも述べた通り、リーマン・ショック以前は1ドル=105円程度であったが、まだそこまでは戻っていない。そこまで戻るのが良いという意図ではなく、もう少し円安になってもおかしくはない。いずれせよ、一本調子で急激に変動することは好ましくない。(先日閣議決定された平成24年度)補正予算の実効性やファンダメンタルズがどう改善されるかといった、実体が伴った形で是正されていくことが望ましい。

Q:自民党は、給与水準を上げた企業にその分の法人税を引き下げる方針を固めたが、これをどのように受け止めているか。

長谷川:直感的には、どういう意味があるのかというのが正直なところである。経営者の観点から言えば、賃金は一度上げるとなかなか下げられず、継続して払い続けなければならない。一方で、今回の案がどのように還付あるいは相殺されるのかは別として、個別企業だけ継続して法人税を下げ続けるわけにもいかないので、その対応は恐らく一時的なものだろう。そう考えると、経営者にとって、そのこと(減税)があるから(賃上げを)やろうとは、あまりならないのではないか。長い目で見るのが経営であり、基本的に(賃金を)上げられるような状況にある企業は、少しでも賃上げを行うことを考えるべき時期に来ていることは事実であるが、そのこと(一時的な法人税減税)で(全体的な)賃上げが進むとは、少なくとも私の経営者としての感覚では考えにくい。

Q:先般、一般用医薬品のネット販売について、最高裁判所が厚生労働省の上告を棄却し、高等裁判所におけるネット販売を認めるという判決を確定した。これについて所感を伺いたい。

長谷川:この問題について、経済同友会では議論したことがないため、個人的な感想として述べると、最高裁の判断は妥当であったと考える。その理由は、現在(一般用医薬品は)第1類、第2類、第3類に分類され、第1類については、薬剤師がフェイス・トゥ・フェイスで説明した上で販売行為を行うこととなっており、その(第1類)製品は薬剤師のいるカウンターの後ろなどに置くこととなっている。そこ(第1類)には、処方箋医薬品から(一般用医薬品へ)のスイッチ(転換)成分も含まれているが、スイッチは、(安全性など)相当に十分な審査がなされた上で行われているし、ネットで販売するかどうかは別にしても、薬剤師がきちんと説明した上で販売するのは当然の義務である。ネット販売でそれ(説明)が担保できるかどうかについて、検証の方法がないわけではないだろう。また、日本は薬局・薬店網が充実しており、一部の地域を除いて直接買いに行けないところはほとんどないが、(個人経営の)いわゆるパパママ薬局が減ってチェーン薬局が増えてきており、すべての地域を隅々までカバーしているわけでない。利便性と、一般用医薬品として認可された経緯を考慮すれば、あとは患者さんの自己責任で現品の説明書をよく読んで過誤のない服用をされることを前提に、ネット販売が認められてもいいのではないか。

Q:この結果について厚労省がどのように対応するかは、今後の規制緩和のあり方からも重要と思われる。省令で規制するのではなく、薬事法を改正して厳しくするという考え方が出てくるかもしれない。産業競争力会議議員としてどのように考えるか。

長谷川:産業競争力会議議員の立場としてではなく、報道などから知る限りにおいては、厚労省としては何らかの規制が必要との考えがあるやに聞く。実際に、どのような形で規制がなされるかを見てからでないと、判断しかねる。ただ、それ(規制)によって現在アクセスが可能になっている人たちの(薬の)入手方法まで閉ざしてしまうことのないよう、配慮が必要である。

Q:日本銀行の総裁人事(選定)がスタートしたが、どのような人材が望ましいとお考えか。

長谷川:日銀の独立性は、日本銀行法によって担保されているので、その前提で日銀の立場を貫ける方が好ましい。付け加えるとすれば、日銀は大きな組織なので、大きな組織を動かした経験のある方の方が望ましいだろう。同時に、政権との間での意思疎通、コミュニケーションが取れた上で、共同声明になるのかアコードになるのかは議論があるようだが、きちん説明がつく範囲の中で、独立性を維持しながらも(政府と)協調行動をとれるよう、きちんと話し合って決められる方が望ましい。

Q:安倍政権になって、日銀総裁の決め方について、有識者会議を開き、オープンな形でという試みが始まっているが、決め方について所感を伺いたい。

長谷川:政権の選択の問題であり、首相の判断であるので、特にコメントはない。

Q:(日銀総裁人事に)関連して、一部の野党から財務省OBを反対する声があるが、これついて所感を伺いたい。

長谷川:すべては、日銀総裁として課せられた使命をどれだけ果たせるかにかかっており、出身母体で色付けをするのはあまり妥当ではない。私たちが「日本人はこうだから」と決めつけられるのが嫌なのと同じで、財務省出身者にも様々な方がおられるだろうし、人物本位で選ぶのが人事の鉄則だと思う。

Q:自由民主党が選挙に勝って1か月が経つ。安倍内閣の支持率は高いが、この間の自民党政権の評価を伺いたい。

長谷川:現段階ではまだ実体的な政策は出ていないが、行動・言動において、少なくとも長い間の閉塞感を少し打破するような具体的な形が株価・為替に表れていることについては、評価すべきである。これが継続されるような(政策を期待したい。)ましてや、(安倍首相は金融緩和、財政出動、成長戦略を)「三本の矢」と掲げているが、これを経済成長にどう結び付けていくかが一番大事である。直近においては消費増税に景気条項が入っているが、(日本経済の)パイを拡大しない限り、増え続ける社会保障費を消費増税だけでまかなうことは不可能である。経済成長にどう結び付けられるかが、安倍政権の評価を左右すると思うし、ぜひしっかりやっていただきたい。

一方で、今回の補正予算は良しとしても、財政規律については政府として見解を出していただきたい。G20において国際公約となっている2020年度プライマリー・バランス(黒字化)を見直すのか、守るのか、守るとすればどのようなプロセスで達成させるのかについて、早晩はっきりしていただきたいし、それが歯止めになる。(小泉純一郎政権時には2011年度だった目標が、)民主党政権下で2020年度に延ばされた経緯もあり、これをさらにずるずる延ばすことは好ましくない。

長谷川代表幹事のコメント

(2011年4月に)代表幹事に就任した時から、任期2期4年の間に、とにかく(日本経済における)閉塞感を打破し、成長の兆し、あるいは成長に向かう何らかの確かな動きが見られるよう全力を尽くしたい、それを経済同友会の活動の最優先課題とする、と訴えてきた。もうすぐ(今年4月に)折り返し地点(1期を終え2期目)を迎えるが、この所信はまったく変わっていない。新たな(産業競争力会議議員という)役割を政府から要請され務めることになったが、これを通じて、代表幹事としての公約実現に貢献できればと思っているし、そのために全力を尽くしたい。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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