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経済3団体長 新年合同記者会見 長谷川閑史代表幹事発言要旨(未定稿)

日時 2013年01月07日(月)15:10~16:10
出席者 岡村 正 日本・東京商工会議所 会頭
米倉 弘昌 日本経団連 会長
長谷川 閑史 経済同友会 代表幹事

記者からの質問に答える形で、(1)安倍政権に望む政策と民間企業が取り組むべきこと、(2)今年の経済見通しと株価・為替の水準、(3)環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への交渉参加、(4)産業競争力会議、(5)経済再生への課題、(6)エネルギー政策、(7)政権の評価、(8)財政出動による景気回復と財政健全化、について発言があった。

(以下、長谷川代表幹事発言部分)

Q: 安倍政権に今年最優先で望む政策と、民間企業が今年取り組むべきことを伺いたい。

長谷川: (祝賀パーティーでの)安倍晋三首相の挨拶にもあったように、日本全体に活力を取り戻すことが最優先である。そのためには経済成長が最優先でなされなければならない。これまで団体長としてそれぞれの立場から、成長戦略についてはかなり論議をしてきたので、優先順位を付け高い政策から着実かつスピーディーに実行してほしい、ということを訴えている。何をどうするかについては政権が決めるとしても、経済成長に着実に結び付くような施策を実行していただきたい。第一歩は、大型といわれる補正予算と来年度の予算を切れ目無く実行できるような体制を組んでいただくことが必要ではないかと思う。同時に本気度を測るという意味において、規制・制度改革について、象徴的なものを取り上げ、具体的に実行していただくことをぜひ望みたい。 民間企業が活力を出し、発展していかなければ経済の再生も覚束ない。様々な障害が若干改善しつつあり、今までできなかったことができるような状況も少しずつ出てきている。個々の企業がそれぞれの戦略の中で、リスクをとって成果をとりにいく。グローバル化も多様化も止まらない中で戦い抜くためには、継続的なイノベーション(が必要な状況)は避けて通れない。企業として変革をしていくことが求められており、個々の企業がきちんとやっていくことに尽きる。

Q: 年末から日本の株安や円高の是正が進み良いムードが漂っている。今年の日本経済の見通しと株価・為替の水準について、期待感も含めて伺いたい。

長谷川: 経済成長については、様々な機関の推計では、岡村正日本・東京商工会議所会頭が述べられたように実質1%の前半から後半の範囲に入っているが、年度後半はお二方も述べられたように、マイナス成長の傾向になってきている状況である。腰折れが懸念されており、(2012年度)補正予算と2013年度予算の切れ目ない執行が極めて重要だと思う。外需にかなり依存している部分があるが、米国・欧州・中国を見ても、プラス/マイナスの要因が輻湊しており、ある程度底が見えて着実に回復に向っているという状況にまでは至っていない。例えば、アジア向けの車の輸出などが、このペースでいつまで続くかということもあり、予想はなかなか難しい。そこは政府の出番で、内需をある程度喚起することで、少しでもマイナスを補い、1%の前半から後半の実質(経済)成長はぜひ実現していただきたい。自信がある程度回復してくれば、企業の設備投資なども増え、海外でディスカウントの状況にある資産の買い取り(M&A)も出てくるかもしれない。そのような好循環を作っていく分岐点にあると考えている。

株価と為替については、一時の極端な株安や円高の状況からいけば、確かにこの1~2ヶ月の間にかなり修正されてきており、喜ばしい状況にある。しかし、リーマン・ショック前の2008年4~6月期の四半期平均株価は13,800円強ほどであったが、今は10,700円程度で、ニューヨークやフランクフルト(の市況)ではリーマン・ショック以前に戻っているにもかかわらず、日本はまだ戻っていないという状況を見れば、もっと株価が上がってもおかしくない。為替についても同様で、ドル/円の相場は、2008年4~6月期の四半期平均は104.57円/ドル、1月4日の終値が88円/ドルということで、もう少し円安が進んでもおかしくはない。但し、企業にとっては、緩やかに円安が進むことが望ましく、急激な上げ下げは最も対応しにくいが、コントロールできるものではなく、なかなか難しいと思わざるを得ない。ユーロに至っては、2008年4~6月期は163円/ユーロで、現在の115円/ユーロ前後では、まだまだ円高の修正が十分に進んでいるとは言えず、対ウォンについてもリーマン・ショック前まで戻っていない。それが、米倉弘昌日本経済団体連合会会長が述べられたイコール・フッティングにもつながると思う。何円(が好ましい)とは述べないが、徐々にそういう形に向っていくことが望ましいと思っている。

Q: 年初に日米首脳会談も予定されているが、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への交渉参加についての所感を伺いたい。

長谷川: 早く正式に交渉への参加表明をすることが望ましいことは、申し上げるまでもない。既に遅れに遅れており、本来であれば、民主党政権が(TPPへの交渉参加を)コミットしていれば一番良かったが、それができないままに政権が交代してしまった。今月あるいは来月早々で調整されている(安倍首相と)バラク・オバマ米大統領との首脳会談では、(TPPが)話題に上ることは必定であろう。自由民主党は終始一貫して、聖域なき関税撤廃であれば賛成できないし、国益に適うものであれば考えると言われている。意図的にそう表現されているのであろうが、今年中にはおそらく現在の11ヶ国で最終的な合意に達するのではないかと巷間言われている。これが実現するとなれば、正式な(参加)条件の設定、特に関税だけでなく色々な共通ルール・基準作りにも大きく関与してくるので、日本は乗り遅れないような形でそのルール・基準作りにきちんと入って、自らの譲れる点・譲れない点を明確に意思表示した上で、最後の判断をすることが、国民に対して正直なやり方だと思う。ぜひそのようにしていただきたい。

Q: 長谷川代表幹事に伺いたい。日本経済再生本部の傘下の産業競争力会議のメンバーに取り沙汰されているが、その当否と、仮に報道されている通りだとすれば、今後、どのようなことを成長戦略の核として訴えていくつもりか。

長谷川: 報道は出ているようだが、発表は政府の専権事項であり、私から現時点で本件についてコメントすることはない。

Q: 為替が良くなってきている。規制緩和も、今のところ安倍政権はやる気を見せて良い方向に持ってくれそうだが、それで全て良くなるのか。日本は韓国などに比べ、覇気・やる気が弱まっている、教育が弱いなどと言われる。ファンダメンタルズの部分で、日本経済を良くするため、成長につなげるために、「ここを特にやっていかなければならない」という部分を伺いたい。

長谷川: 質問の趣旨は、成長戦略に関して、規制・制度改革が大きな要素であることは間違いないが、それだけでは不十分ということだと思う。そのような側面があるのは事実だが、長年かけて溜まった垢を一挙に全部落とすようなことはなかなか難しい。従って、できること、優先順位の高いことからやっていくという手法を取らざるを得ないと思う。基本のコンセプトは、日本の市場を、投資をするのに魅力的にしていくことだと思う。言われて久しい対内直接投資(FDI)についても、先進国の中で、(ストック・GDP比率が)一桁それも4%以下に留まっているのは日本だけである。中国を含め他の国々では二桁のFDIがあるが、日本だけは、小泉純一郎政権の時に増やすと言いながら、4%を超えたことはないと記憶している。色々な規制があり、例えば法人税が高く投資に対するリターンが他国と比べて劣る、家族の居住環境や子どもの教育環境といった社会インフラや英語でコミュニケーションができるインフラが、韓国はもちろん中国の主要都市にもいずれは抜かれるといった状況であるためである。全て変えていかなければならないのは事実だが、即効性のあるものと時間をかけて効果が出るものがある。まずは即効性のあるものから優先順位をつけて実施することが必要であるが、本質的・抜本的なものは遅効性であっても同時並行的に手を打っていかなければならない。多くの課題があり、こういう理由で、こういう優先順位を付け、こういう成果を短期・中期というフレームで実現する、といった分かりやすい説明で納得を得ることが大変重要だと思う。

Q: 昨年はエネルギー政策が揺れた年だった。経済三団体新年祝賀会の記者会見以外で、三団体長が揃って会見したこともあったが、原発問題を含め安倍政権から発言がある中で、経済界のトップとして国民に対して、エネルギー政策について所感を伺いたい。

長谷川: 最も重要なことは、今後のエネルギー・ミックスをどうしていくかについて、どのような選択肢を取ったとしても、きちんと論理的に説明でき、ある程度国民のコンセンサスが得られることである。その意味では、原子力が一番問題になるが、福島第一原子力発電所であのような不幸な事故が起こったことは痛恨の極みである。震災前の段階では25~26%程の電力を原子力発電で創出していたと記憶しているが、今は2基だけの稼働になっている。これをどうするかについては、原子力規制委員会が新しい安全基準を設け、それに基づく精査の上で、(原子力発電所の)再稼働を含めた可否の判断を待たざるを得ない状況にあるのは事実である。

今年中の再稼働が認められなければ、その間に多くの電力会社は債務超過になり、値上げをせざるを得ない状況に追い込まれている。この状況を解消するためには、国を挙げて再生可能エネルギーの開発を後押しすることはもちろん大事であるが、今、水力(発電)を除けばわずか2%程度しかない再生可能エネルギーを比較的(短い)10~20年の単位で(2010年度の発電構成比)25~26%の原子力発電分を埋めるように取り組むことは極めて挑戦的である。また、そのようなことに挑戦したドイツのような国も必ずしも成功しているとは言えない状況である。冷静に考えて、ベスト・ミックスを選択し、説明していくことが重要であろう。

また、原子力発電についても、福島第一原発は40年以上前に建設されたものであり、時代が新しくなれば、より安全性が高いものになっていることは間違いない。最新の加圧水型のものであれば、電源が喪失しても自然に冷温停止状態になると聞いている。また、柏崎刈羽においても、高台に大きな溜め池を作り、仮に全電源が喪失しても、そこからの水で冷温停止状態に持っていけるような、誤解を恐れずに言えば、万全の対策を講じていると聞いている。そのようなことも冷静に判断し、原子力規制委員会が評価した上で、可能なものから再稼働していく。国民が冷静に判断できるような資料を提供することも、政府の重要な役目であろう。結果として、今後もずっと極めて高い電気料金を負担し、家庭の負担や企業の採算性を圧迫することを、国民あるいは企業がやむを得ないと判断すれば、それも一つの選択肢であるが、感情的に(判断)することがあってはならないというのが率直な考えである。

Q: 昨年の経済三団体新年祝賀会との違いは、政権が代わったことだと思う。安倍政権も形が整いつつあり、何をしようとしているかが見えてきた。株価も上がり、円安になってきたが、現時点で自民党政権に代わって良かったと考えるか、あるいは民主党政権の方がやりやすかったと考えるか。改めて、政権への目線を伺いたい。

長谷川: 政権運営であれ、企業経営であれ、全ては結果であるので、今、政権が発足したばかりで断定的に(どちらが良いかを)述べることは早計である。ただ、民主党政権の間に経済の成長への回帰、再生への兆しは見られなかったので、その点についての評価は厳しくならざるを得ない。一方、安倍政権が発足する前から、(自民党)総裁としての発言が閉塞感の打破に繋がるのではないかとの期待もあり、さらに先述の通り、リーマン・ショックの時と比べると、米国も欧州もそれ以前の水準に戻っているにも関わらず、日本だけが戻っていないという状況もある。景気の「気」は気分の「気」だとよく言われるが、このようないろいろな要素が絡んで、閉塞感の打破への期待から為替や株式市場が反応した。問題は、この良い兆候が腰折れしないよう、きちんとした政策実施で定着させることであり、それで国民の信頼感を勝ち取られることが極めて重要である。それを切に願い期待している。

Q: 三団体長とも、大型補正予算と来年度予算での切れ目ない財政出動で景気腰折れを防ぐことを願っているが、海外では「日本の財政健全化に反する無駄な公共事業への逆戻りになるのでは」との見方もある。どのような分野に財政出動をすれば、将来的に景気回復と財政健全化を達成できるとお考えか。

長谷川: まず、補正予算の規模について、約10兆円とする報道もあるが最終的に決まるまでは分からない。ただ、相当な規模になるのは想像に難くない。その中には、甘利明内閣府特命担当大臣(経済財政政策)も述べられているように復興予算も含まれるだろう。その上で、どのようなところに(予算を)使うべきかについては、個別の案件というよりは、それが例え公共事業であっても、投資から工事が行われている間だけ需要創出や消費にまわるような一過性のものではなく、その後も継続的に付加価値や経済効果を生んでいくものでないと、あまり意味がないと思わざるを得ない。そういう意味で、それ(予算の使途)をどういう形で選んでいくかについては、実際に予算を執行し工事を実行する自治体側の要求と政府側との調整になるだろうが、コンセプトとしてはそういうことに使っていただきたい。

もう一つ、多くの古い高速道路等の維持・保全が必要である。不幸にして、笹子トンネルの(天井崩落)事故を契機として大きな注目を浴びているが、必要なメンテナンスは安全の確保上からもやっていかざるを得ない。特に、東京都の首都高速道路は東京オリンピック(1964年)直前の突貫工事で行い、それがほぼ半世紀経っている状況もあって、維持・保全が必要である。それらを併せて判断されることが妥当ではないかと感じている。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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