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長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2012年12月27日(火)16:20~
出席者 長谷川閑史 代表幹事

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記者の質問に答える形で、(1)為替・株価、(2)第二次安倍内閣、(3)「2030年代原発稼動ゼロ」見直し、(4)(消費者物価の前年比上昇率)2%の物価目標と給与、(5)国債の追加発行、について発言があった。

Q:ドル高・円安が進んでいるが、今の為替水準について、企業業績への影響を伺いたい。

長谷川:企業によって影響の度合いは様々であるが、主要輸出産業である自動車などは、1円の円安で約100億円台も売り上げに違いが出ると記憶している。(そのような輸出産業に対しては)ポジティブな影響を与えることは間違いないと思う。

Q:円安のデメリットもあると思うが、どの辺りの水準だと悪影響が出るのか。

長谷川:(具体的に数字を述べることは)難しい。(円安のデメリットとして)毎年20兆円を超える化石燃料の購入(への影響)が一番大きいだろう。原子力発電所の再稼動について、大飯以外は目処が立たない中で、(エネルギー供給の)電源ミックスのうち火力発電に頼る割合は、従来の63%程度から今は85%程度に上がっている。その分化石燃料の購入が増え、(火力への依存)増分だけでも年間3兆円程度で、円安が進めばさらにコスト負担が膨らむ。特に、電力会社や化石燃料を原料に使っている化学産業には大きな影響があると思う。一方、輸出という点では、(国際)競争力が増す。このバランスの問題だが、どの程度が限度かをにわかに述べられる知見を持ち合わせていない。いずれにせよ、(1ドル=)80円台半ばまでくれば、あまり急激に円安に向うのではなく、緩やかに変動するほうが望ましいのではないか。

Q:株価について、今まで(日本企業に)正当な評価が付いていなかったという意見と、安倍政権への期待で上がっているとの意見があるが、今の水準について、所感を伺いたい。

長谷川:この程度の(株価の)復活は当然であると思う。リーマン・ショック前の(株価)水準に戻っていない先進国は日本だけで、今の段階でもまだ戻っていない。今までがあまりにもネガティブ、悲観的だったのではないか。報道にもあるように、株価上昇の大きな要因の一つに、外国人の日本株買いがある。それが継続するように、政策的に手を打っていくと同時に、企業も投資家の将来に対する懸念をある程度払拭するような判断、行動をすることが求められており、このような好循環が出てくることが望ましい。

Q:第二次安倍内閣について、重厚かつ若い顔ぶれとなっているが、印象を伺いたい。また、経済対策が新内閣の至上命題と言われているが、最初に着手すべき課題は何か。

長谷川:個々の閣僚を知悉しているわけではないが、任命権者本人が「適材適所」と述べられていることに違和感はない。同時に、こういうもの(内閣の評価)はすべて結果であり、陣容が揃っても結果が出せるとは限らない。スタートとしてはポジティブに受け止められるだろうが、結果を出されることが大事である。

長谷川:最も緊急度が高いことは、4-6月期、7-9月期と2四半期連続でGDPがマイナス成長であり、かつ落ち込み度が増しているだけに、経済の腰折れが生じないよう、まずは補正予算について迅速に国会承認を得て執行し、来年度予算についてもできるだけ早く国会を通過させて、(国民に)安心感を与えることが大切である。また、12月25日に震災復興委員会の意見書「東日本大震災からの復興の加速化に向けた政治のリーダーシップを求める」を発表したが、復興予算の執行が遅々として進んでいない。なおかつ復興庁にワン・ストップ・ソリューションの役割が期待されているにもかかわらず、少なくとも我々が見聞きしている中では、相変わらず省庁縦割りで(対応に)時間がかかっている。さらに、大きな方向として高台移転が決まっているものの、どこにどういう形で高台を開発し、避難されている方々の解消を図るのかの目処もついていない。そうしたことを着実に実行することで、避難所あるいは県外に避難されている方々が安心して戻って来られる環境を作ることが、事業を復興するに当たってもまず必要だと考える。

Q:閣僚人事について、安倍晋三首相は、石原伸晃氏、林芳正氏を重要閣僚に起用した。総裁選を戦った相手を起用する「人事の妙」についての受け止めを伺いたい。

長谷川:自らの意思だけでなく、20名以上からの推薦を受けて総裁選に立候補された方々であり、重要閣僚として自他共に認められている人物と理解しても間違いないと思う。であるだけに、難しい判断やリーダーシップが迫られる重要なポストを任された、また引き受けられたことに対して、期待して注目したい。

Q:本日、茂木敏充経済産業相が、民主党政権時代の「2030年代に原発稼働ゼロを目指す」を再検討する方針を示した。これについて所感を伺いたい。

長谷川:(見直しは)当然だと考える。(民主党政権での)国家戦略会議でも「(原発をなくすことに)期限を付けるのは時期尚早であり、断言すべきでない」と述べてきた。「政策を総動員して」という前提があるにしても、結局のところ25%程度の電力を創出していた原発が2030年代でなくなるということは、それを何かで埋めなければいけない。現状のように火力発電で埋めることについては、この国の経済成長やコスト負担を考えると、必ずしも現実的ではない。その場合、何で埋めるかというと再生可能エネルギーになるが、現段階で、水力発電を除けば1%程度しかない再生可能エネルギーを、短期間で15~20%まで増やし、なおかつコスト競争力のある形で供給できるようにする目処が立たない状況で、期限を区切ることについては早計である。

Q:安倍内閣の「一丁目一番地」として「物価目標2%の設定」がある。物価だけ上がっても給与水準が上昇しなければ、市民生活にマイナスの影響が出るとの意見もあるが、企業が利益を給与に回すにはどのようなことが必要か。

長谷川:利益が上がることしかない。労働分配率を上げることは、厳しい国際競争を勝ち抜いていくためにも容易ではない。分配を増やすとすれば、全体の利益のパイを大きくして、その中から額を増やすことに行き着く。その意味でも、業績の良い企業から分配を増やすことを考えてもいい時期に来ているのではないか。

Q:業績が良くて利益があっても内部留保に回してしまい、給与に回さないマインドの企業が増えていると思う。このような状態から、利益を給与に向かわせるための良い方法はあるか。

長谷川:経営者としては、内部留保を給与に回すというシンプルな決断は極めて難しいと思う。株主の期待に応えるためには、内部留保をよりリターンの高いところに投資する、それによって将来の成長を担保する、あるいは加速するという判断が、経営者の優先順位の高い政策として求められている。そういったことを明示できないままに、給与だけを上げることは、経営者としては株主に対する説明が難しい。両方やらなくてはいけないので、200兆円を超えると言われる内部留保を、将来の投資に向けずに給与の上昇だけに向けることは難しいと思う。

Q:政策的な誘導をするしかないのか。

長谷川:今、新興国が、経済規模は(世界)全体の4割程にもかかわらず、(世界経済の)6割以上の成長をはじき出して牽引している。そのような傾向は今後も当分続くと思われるので、(企業は)まずリスクを取って、新興国で直接あるいは間接的に、自らが稼げる体制を確立して、その上で(給与を上げること)になると思う。その部分については、必ずしも政策誘導とは直結しないと考える。

Q:補正予算の財源について、麻生太郎財務相は、新規国債発行額44兆円(に抑えること)は民主党政権で決めたことだと述べ、今年度の補正予算の財源を国債の増発でまかなう方針を表明した。民主党政権が守ってきた財政規律の目標を破ることになるという懸念もあるが、所感を伺いたい。

長谷川:前回の定例記者会見でも述べたが、今の経済の状況を考えれば、あれもこれも、相反する難しい問題を矛盾なく解決することは難しいので、民主党政権時代のシーリングを超える国債の増発は、どの程度にするかは別として、やむを得ないと思う。一方で、安倍首相も2020年のプライマリー・バランス(黒字化)達成は変更しないと述べられていた。そういう「出口」をしっかりと押さえ、できればこれからの成長戦略の中で、その(プライマリー・バランス黒字化の)工程も明確にされる決意を持って、今は緊急事態だから緊急避難的にシーリングを超えても(新規国債発行を)やるということであれば、矛盾しないと考える。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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