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長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2012年09月19日(水)13:30~
出席者 長谷川閑史 代表幹事
稲葉延雄 諮問委員会副委員長

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冒頭、稲葉延雄 諮問委員会副委員長より「2012年度9月(第102回)景気定点観測アンケート調査結果」について説明があった後、記者の質問に答える形で、長谷川閑史代表幹事より、(1)日本銀行による追加金融緩和、(2)「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定見送り、(3)原子力規制委員会発足、(4)中国での反日デモとその影響、(5)日本航空の再上場、について発言があった。

Q: 日本銀行の金融政策決定会合で、追加の金融緩和の実施が決定され、発表があった。(資産買い入れ)基金の総額を10兆円拡大するとのことだが、この判断に対する所感を伺いたい。

長谷川: 景気定点観測アンケート調査結果や最近の情勢を見ても、(景気に)少し停滞感、腰折れ感が出てきており、先日、アメリカもQE3(量的金融緩和政策第3弾)を発表した。このような中で、日本銀行が、国債等の買い入れ(基金)を10兆円増額し、80 兆円程度とされたことは、時宜を得た判断であったと考える。

稲葉: 代表幹事が述べた通りだと思う。現時点では、白川方明日本銀行総裁から詳細な説明がないので分かりかねるが、想像するに、世界経済全体の減速懸念が広まる中で、日本経済も生産を含め少し足踏み感が出てきたので、これにどう対処するかが一つの焦点になる。このような状況で、アメリカのさらなる緩和策があり、この下で何もしないと為替市場に余計な動きが出ることなども懸念される。このようなことを総合的に考えて、今回の決定になったと思う。引き続き、世界経済が減速する中でも、金融・為替市場が安定した状態で日本経済の拡大が実現できれば良いと思う。

Q: 「革新的エネルギー・環境戦略」について、本日の閣議決定で「原発ゼロ」が(実質的に)見送られた。不断に見直していくとのことだが、この判断について所感を伺いたい。

長谷川: 一般的に、閣議決定された政策は、政権が代わっても、内容を覆す新たな閣議決定を行わない限り拘束力があるというのが慣行のようである。その意味で、今の段階で無理にあの(「2030年代に原発ゼロ」を含む)戦略を閣議決定されるよりは、玉虫色であっても、基本方針のみを確認(閣議決定)されたことは、経済界からの反対、あるいは諸外国からのネガティブなリアクション(否定的な反応)を踏まえ、総合的に判断された結果であったと理解する。今の段階で(将来の)時期を定めた原発ゼロを決めるべきではない、と一貫して述べてきたので、そのような方向に余地を残したことは良かったのではないか。まだ不幸中の幸いであったと考えざるを得ない。

Q: 「革新的エネルギー・環境戦略」は、閣議決定されてないと考えるか。

長谷川: そう解釈している。少なくとも、「革新的エネルギー・環境戦略」そのものを閣議決定したわけではないと理解している。

Q: 昨日の国家戦略会議では、「2030年代に原発ゼロ」という箇所に違和感があり、削除を求めたとのことだったが、今日の閣議ではその部分が削除されたと捉えているか。

長谷川: 玉虫色だろう。(2030年代に原発ゼロを)断定はしていないと理解しているので、少なくとも将来を縛るものではなく、不断の見直しをするという方に重点を置いたのではないかと考えている。

Q: 今日の閣議決定では、ある程度代表幹事の意も酌まれたものと思うが、一般国民から見ると、一度決めたようなことを言っておいて、実は閣議決定で縛らないというのは、何も決まっていないように見える。このような政権の舵取りについては、どう思うか。

長谷川: 始めからすっきり(した方針を示)された方が良かった。(これまでの舵取りは、国民には)分かりにくく理解を求めることは難しいだろう。紆余曲折を経てこのような判断になったので、判断された方に説明責任もある。

Q: 本日、原子力規制委員会が発足した。期待するところを伺いたい。

長谷川: 従来のように、原子力安全・保安院と内閣府原子力安全委員会が別々に存在し、前者は経済産業省の所轄内にあったものを、今回のように明確に独立した三条委員会という形にしたことには、当然であると同時に良かったと思う。(原子力規制委員会の)委員長や委員の方々については、個人的には存じ上げないが、このような組織で専門家の見識を発揮しようと思えば、(これまで)原子力に関わってこなかった人ではできないだろう。(委員が)過去にどのような立場であったかをもって公正・適切な判断ができないという予断を持つよりは、具体的なこれからの活動に注目し、厳正・中立・公正に、特に喫緊の課題である稼働停止中の原発の安全性を見極め、どれを再稼働させるか、という判断を、出来るだけ早急にされることを期待したい。

Q: 日中関係が厳しい状況になっており、反日デモによる工場の操業停止などが起きているが、この状況について所感を伺いたい。

長谷川: 結論的に述べると、このような(激しい反日デモやそれによる中国での日本企業の活動への悪影響といった)事態が起こることは極めて不幸であり、一日も早く沈静化することを望む。一方で、4月からの経緯を見ると、東京都が個人の所有者から(尖閣諸島を)購入し、所有権が都に移転することの是非を考えれば、国有化の方が妥当であろうことは、ほぼ衆目の一致するところであろう。その(国有化の)タイミングの問題等については、いろいろな見方があるにせよ、中国のこれまでの行きがかり上、(どのタイミングであっても)相当の(日本への)反発は避けられなかっただろう。報道によると、(中国)商務省(の報道官)は、被害を受けた外資系企業は関係部署に支援を求めるよう発言しているようである。中国政府としては、これまで「核心的利益」と言ってきた手前、それ(日本による尖閣諸島の国有化)に対する強烈な反日デモが起こることを一方的に抑えることは難しかったかもしれないが、沈静化の方向に向かいつつあると理解しているので、一刻も早く実現することを望む。

昨日、当会で正副代表幹事会を行った際に(副代表幹事に所属企業への影響を)聞いたところ、ローソンの場合は重慶、上海、大連地区を中心に数十店の店舗を展開しているが、重慶、上海ではいくつかのリスクが高い店舗はクローズしたと聞いている。三菱ケミカルホールディングスは、(日本からの出張は見合わせているものの)現時点では工場の操業が継続できていると聞いた。その(聞いた)範囲の中においては、報道されていたような、小売店、チェーン店、レストラン、あるいはパナソニックのような工場の放火を伴うようなダメージを受けたという報告は、(副代表幹事所属企業の)範囲ではなかった。

Q: 今回の事態を踏まえて、日本企業による中国への投資などへの影響をどう見るか。

長谷川: 影響なしとはしないと思うが、具体的には個々の企業の判断である。中国は、今後、労働集約型(産業)から知識集約型(産業)へシフトすることで、内需を現在の40%程度から先進国並みの60%程度に上げていくことにより、成長を維持することなどを考えている。今の消費者物価の状況を見れば、政権交代後には緩和策実行への期待もある。いろいろな産業において、(中国での)ビジネスチャンスをまったく無視して、今回の問題を契機に(中国からの)完全撤退という判断は難しいだろう。リスクをある程度覚悟しながらビジネスを継続していくという判断をせざるを得ない。ただ、投資をするにしても、できるだけ早く回収する、またある程度利益が出ればプラスと判断するなど、慎重な投資判断をするところも出てくるのではないか。

Q: 中国での反日デモについて、中国側は日本政府に問題があると主張している。「ここまでデモが拡大しないように工夫すれば、未然に防げたのではないか」といった野田政権の外交のあり方を問う声もあるが、この点について野田政権の評価を伺いたい。

長谷川: 結果としての現状を見れば、そのような批判があることもやむを得ないと思う。ただし、先述の通り、4月の石原慎太郎東京都知事の(尖閣諸島購入)発言以降の経緯を見ると、東京都が民間の保有者から購入し、都知事の発言にあるように船だまりを造るという可能性までを考えれば、結果としてはやはり国家として買い取る方法しかなかったのではないか。(実際に購入する)やり方については、中国側への事前の情報伝達や通告がどれだけどのようになされたかは知る由もない。これまでの中国の意思決定や表明、あるいは依然として権力を保持する胡錦濤国家主席がAPEC首脳会議での(野田総理との)立ち話で、「尖閣諸島購入には断固反対」と表明した直後に購入するといった行為そのものを考えれば、(中国国民の)相当の反発があり、具体的な行動として表れることは避けられなかったのではないかと思わざるを得ない。

Q: (中国側の反発は)仕方がなく、このやり方がベストだったとお考えか。

長谷川: そうは言っていない。ベストかどうかを判断する材料を持たない。第三者的に批判するのであれば、もっと上手いやり方があったのではないかと言えるが、実際に政権を担っている政権与党および政府の責任の範囲である。批判は容易いが、水面下で何がどのように行われたかが分からない状況で、流れの中でやむを得ない判断として(尖閣諸島を)国有化し、それが(中国国民の)反発を招くことは避けられなかっただろう。実施のタイミング等で少し(反発を)緩和する方法は、結果としてはあったのかもしれないが、それは第三者の目で見ればということであり、当事者の判断に委ねるしかないと考える。

Q: 日本経団連が明日から予定していた「日中グリーンエキスポ2012」を中止する会見を開いたが、これについて所感を伺いたい。

長谷川: 極めて残念である。もちろん中国側からの要請であろうが、十分な準備期間を取って開催を決めていたものを、直前になってキャンセルをせざるを得なかったことは極めて残念である。このようなことが尾を引かないよう、できるだけ早く(日中関係が)正常化することを望む。お互いが過剰反応せず、冷静に当たり前のことを粛々と遂行することで、できるだけ早く沈静化に努めることが大事である。

Q: 本日、日本航空が再上場する。会社更生法を適用し、公的資金を投入して再上場に至ったが、一方で、全日本空輸や自由民主党からは不公平ではないかとの声も上がっている。これについて、所感を伺いたい。

長谷川: 難しい判断だが、日本の(民間企業の)救済方法が、諸外国と比べてどうかを考えた場合、個人的には、より厳しい対応もあり得たと思う。(諸外国には)公的資金を投入した際には税金の免除等は行わないという例もあるので、もう少し違う考えがあっても良かったのではないかと思う。それ以外については、再上場を目指して、(業績が)急回復し、その結果の利益として政府が得るものは復興財源に充てる(考え方もある)と安住淳財務相も発言しており、(日本航空の再上場は)時間の問題だったと思う。

Q: まだ半年あるが、次期日本銀行総裁候補に稲葉氏の名前も挙がっているが、いかがか。

稲葉: この場にまったくふさわしくない質問であり、お話することでもないのでコメントは差し控えたい。

長谷川: メディアの皆さんの取材力が問われており、がんばって取材していただきたい。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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