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長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2012年07月24日(火)13:30~
出席者 長谷川 閑史 代表幹事
前原 金一 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、(1)欧州金融危機、(2)エネルギー・環境の選択肢、(3)大飯原発再稼動、(4)スズキのインド子会社での暴動と日本企業の新興国への進出、(5)社外取締役の義務化、(6)イチロー選手のヤンキースへの移籍、について発言があった。

Q: 欧州金融危機について、1ユーロ=94円台に突入、スペイン国債が利回り7.6%弱という状況になっているが、所感を伺いたい。

長谷川: このような状況は、残念ながら今後も続いていくだろうと考えざるを得ない。今回はスペイン国債の金利問題が引き金になったようだが、結局、ユーロ・ゾーンに内在する問題の本質的な解決がなされていない状況では、このようなことは突発的に起こるだろう。同時に、このような債務危機の問題は、日本が初めに経験し、次にアメリカ、ヨーロッパと続いているが、おそらく単年では解決せず3~5年程かかると思われる。一方で、企業側から見て、円高が続くことになれば、対応が極めて難しくなる。安住淳財務相は「必要な時には必要な措置を取る」と述べられており、白川方明日本銀行総裁も懸念を示されている。企業としては、(為替変動が)急速に振れることが一番対応が難しいので、口頭での表明も必要だが、本当に介入が必要な時にはタイミングを見て実行していただくこともぜひお願いしたい。

Q: 政府のエネルギー・環境の3つの選択肢について、経団連、日商ともに、どの選択肢も経済成長率の観点から問題があると発言しているが、経済同友会としては3つの選択肢をどのように考えるか。

長谷川: (7月12~13日に盛岡で開催した)夏季セミナーでも一部論議をしたが、最終的なパブリック・コメントの締切に向けて、経済同友会の意見集約を進めている段階であり、8月上旬には正式なコメントとして発表したい。現段階では、経済成長との整合性等を考えると、確かに様々な矛盾が出てくるのは事実である。経済成長の問題だけではなく、例えば、再生可能エネルギー(の比率)が本当に2030年までに30~35%になるのか、またそれを達成するためには1,000万戸の家に太陽光パネルを設置しなければならず、住宅着工件数(年間)が30万戸であることを考えると、(毎年)50万戸のペースで設置することには無理がある、など様々な矛盾がある。しかし、本質はむしろ、これからの再生可能エネルギーの技術進歩とコストダウンや、原発の技術進歩によるより安全性の高い原発の開発などを踏まえながら決めていくことであって、今の段階で3つの選択肢のどれを選ぶかを8月末までに決めることには少し無理があるのではないか。現段階で原発ゼロという方針を決めることは時期尚早であり、3~5年後については新しくて十分に安全性がチェックされた原発の再稼働を視野に入れながら考え、その先については原発一つひとつの安全性のチェック、そして原発と再生可能エネルギーの技術進歩と実現性を見ながら方向を決めていくのが妥当ではないかと考える。

Q: 8月末までに方向性を決める必要はないということか。

長谷川: 私としてはそう考える。ただ、一方で考えなければいけないのは、仮に選挙があるとすれば、それ(エネルギー政策)を争点とする選挙になるのも好ましくない。最終的には、そういった要素も踏まえて政府が判断することになる。

Q: 選択肢を判断したとしても、3~5年で見直していくべきという考え方か。

長谷川: 3~5年という発言の意図は、短期的には、エネルギー需給や経済・国民生活の維持を考えると、少なくとも今の段階で原発をなくすという判断は難しいだろうということである。(原発)再稼働の基準については、もうすぐ(9月に)発足する規制庁の下で、一つひとつの耐用年数も含めた安全性をチェックすべきである。新たに活断層が見つかったという話もあり、(原発が)新しくても下に活断層があることもあり得るので、すべてを総合的にきちんとチェックし、その結果を国民、あるいは地域の方々に説明した上で再稼働するというプロセスが必要であろう。一方で、古い原発については、廃炉にしていくことも必要である。

Q: 明日、大飯原発4号機がフル稼働するということで、3・4号機が立ち上がる。これで電力不足の不安がなくなった訳ではないと思うが、現時点でフル稼働に至ることへの感想を伺いたい。

長谷川: (再稼動に至る過程で)どこまで綿密に安全性のチェックが行われたかは公に説明のあった範囲での理解しかないが、関西(地区)の(電力需給の)状況を考え、安全性のチェックも十分に行われた結果(であり)、また地方自治体の首長の最終的な同意も得られた上での再稼動であったと理解している。特に関西電力管内は、原発依存度が50%と高い地域であり、今般の再稼動により、大幅な節電(要請)や万一の場合の計画停電が緩和されるということは、経済界あるいは国民生活にとっては、一息つける状況であると判断する。

Q: インドのスズキ子会社の工場で暴動があった。個社の問題もあるかも知れないが、中国を含め色々な国で、現地労働者との賃金格差などを背景に繰り返される問題でもあり、新興国がこれからの経済を牽引していく中で、このようなカントリー・リスクがあることについて所感を伺いたい。

長谷川: マルチ・スズキ・インディアの人事部長が亡くなられた他、90人以上の負傷者が出ており、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると1億米ドル以上の被害額に達する可能性があるとのことである。また、マルチ・スズキによると、捜査完了までは生産を再開しない見通しということで、(捜査に)2週間はかかるだろうと報道されている。金銭的ダメージもさることながら、インドにおける四輪車の最大メーカーである日系のスズキでこのようなトラブルがあったことに、(日本企業の)経営者としてショックを受けている。これからは新興国・途上国が(世界の)経済成長を牽引していくことが紛れもない事実である一方で、相対的なカントリー・リスクが高いことはこれまでも指摘されており、死者を伴う暴動が起きたことは、決して他人事ではない。当社(武田薬品工業)はインドには工場はないものの、報道を見てすぐに、新興国ではこのような事態が起こり得るという前提で、未然に予防する対応策、そして万一不幸にしてストライキや暴動が起こった場合の対応策について、検討するよう指示をしたところである。今回の件に関しては、現在捜査当局が原因を究明中であるため予断は避けたいが、何らかの不満が(現地や労働者に)あったことは想像に難くないし、一方、企業としてその不満を解消するためにすべての要求を受け入れることも経営上はなかなか難しい。現時点では、微妙なバランスを取りながら、このような事態に至らないようにするにはどうすればいいかについて、個々の企業が念には念を入れて考え直すしかないのではないかと思っている。

Q: 日本企業の海外進出において、現地労働者への対応はもちろんだが、何に一番留意すべきとお考えか。

長谷川: 日本企業の大半は従業員を大事にする経営を行っており、進出した地域の雇用習慣が景気が悪くなれば解雇するというものであっても、できるだけ雇用を維持しようと具体的努力をしている日本企業の実例も多々ある。また、賃上げについても、日本企業だけが他の外国企業に比べて抑制していることもまずないと思う。周囲を見ながら今まで以上にきちんと対応していくと同時に、難しい課題だと思うが、それらを超える何らかの不満分子があるかについて、現地マネジメントと連携を密にし、情報を把握し、暴動等につながらないような危機管理対応を行っていく必要がある。再度強調しておくが、日本企業の経営は、他の外資系企業に比して遜色があるとは思わないし、むしろ丁寧に対応していると考えている。それでも結果として今回のようなことが起こったということに、ショックを受けている。

Q: 代表幹事は以前から、「日本企業にとって新興国は重要」と述べている。今回のような一種のカントリー・リスクが出ても、日本企業は新興国に進出すべきという考えに変わりないか。

長谷川: 変わりない。事業にリスクは付き物であり、リスクをすべて避けていては、当然だがリスクの反対にあるベネフィットは取れない。少なくとも、多くの企業の経営者はそういったこと(カントリー・リスク)があっても、成長を牽引している新興国においてのプレゼンス強化に努めていくものと考える。

Q: 社外取締役制度について、(会社法改正における)義務化が見送られたが、所感を伺いたい。

長谷川: 経済同友会(のパブリック・コメント)では今の段階で法制化をして強制的にすることには必ずしも賛成しなかったが、既に50%以上の(東証)上場企業が何らかの形で社外取締役を導入していることもあり、(義務付けるのであれば)株式市場の上場規則等で検討し、それが実効に結び付けば一番良いと思う。大きな流れとしてはそういう(社外取締役導入の)方向に行くと思うが、短期間の急激な動きになると社外取締役を担う人材を見つけることの難しさもあり、例えば親会社など利害関係者を入れざるを得ないといった懸念が現実となるなど、かえって歪みを作ることも良くない。今のトレンドを後押しするような形で、ガイドライン的なもので進めていくのが良いのではないか。

Q: イチローが華麗なる転身を果たし、ヤンキースに移籍した。その理由として、20代の若手選手に活躍の場を与えたいと記者会見で述べていたが、代表幹事の所感を伺いたい。

長谷川: 個人的見解だが、(イチローのヤンキース移籍は)少し遅きに失した感がある。(イチロー選手は)ピークの時に(数々の記録を達成したが、)唯一達成していないのがワールドシリーズチャンピオンであり、リングが欲しいのではないかと思う。残念ながら昨今、特に今シーズンのイチロー選手を見ていると、最盛期の輝きは少し無くなったように感じる。ヤンキースで心機一転して、かつての輝きを取り戻し大活躍ができるかについては、少し懸念がある。マリナーズに対する忠誠心もあっただろうが、野球人であれば当然ワールドシリーズチャンピオンのリングが欲しいと思うので、もう少し早く(移籍)できればよかったのではないか。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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