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長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2012年07月03日(火)13:30~
出席者 長谷川 閑史 代表幹事
前原 金一 副代表幹事・専務理事

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記者の質問に答える形で、(1)小沢一郎元民主党代表はじめ国会議員50名の民主党離党、(2)消費税増税への反対世論、(3)大飯原発の再稼動と反原発デモ、(4)エネルギー政策の選択肢3案、(5)大手証券会社の増資インサイダー問題、(6)今後の重要政策課題(TPP交渉参加、一票の格差是正(投票価値の平等実現))と解散総選挙、(7)野田内閣発足10ヶ月の評価、について発言があった。その後、長谷川閑史代表幹事より、「震災復興支援IPPO IPPO NIPPONプロジェクト 第2期活動終了」の報告と謝意を述べた。

Q: 小沢一郎元民主党代表はじめ民主党の国会議員50人が離党することとなったが、これをどのように受け止めるか。

長谷川: 与党の過半数割れには至らなかったにせよ、衆議院議員38名、参議院議員12名、計50名の国会議員が離党したことは、(多数決を原則とする)民主主義の上で、民主党にとって数が大幅に減少したということで、(今後の)政権運営に痛手と言えるかもしれない。一方で、(民主)党内の意思決定システムが確立していないものの、現内閣とすべての問題について意見が合わない、しかも、何日・何時間にもわたって党内論議を尽くして方向を決めたにもかかわらず、その直後から反対意見が出てきて収まらないという現状を考えると、野田内閣にとって(その面での対応は)かなり緩和され、少しは意見がまとまりやすくなる可能性はあるだろう。ただし、事あるごとに異論を述べていた中にも離党せず残っている議員もいるため、そういった方々が今後もどれだけ声高に継続して批判の声を上げるかについては注目しなければならない。圧倒的に数十名という数で(反対する)ということにはならないだろう。

(政権与党の)数が減ったということと、(党内の)意見調整がしやすくなったということで、功罪相半ばではないか。

Q: 今回の(小沢氏の)離党騒動が政界再編につながる可能性はあるか。

長谷川: 個人的感想だが、このこと自体が直ちに政界再編につながるとは考えていない。むしろ、次の総選挙の結果がどう出るかの方が、政界再編の引き金になると思う。第三極の問題もある中で、どこかの政党あるいは連立で(衆院で)過半数を取るかなど、様々な要因が絡む。ただ、仮にそう(一つの党あるいは連立で衆院過半数に)なったとしても衆参のねじれは変わらないので、与党と少なくとも野党第一党とが協力しなければ重要政策課題の意思決定ができない状況は変わらない。(政界再編まではいかなくとも)何らかの形での政策連携は避けて通れないと思う。

Q: 小沢氏が新党をつくるとしたら、期待するか。

長谷川: 国民の中には(小沢新党への)一定の支持があると聞いているので、それなりの影響力は維持される可能性があるのではないか。今回離党した方には一年生議員が多く、必ずしも選挙に強くない方も多いとしても、参議院議員12名のうち何名の方が来年改選になるかは把握していないが、衆議院についても一定の方が議席を維持すると考えると、まったく影響力がなくなるわけではない。小沢氏のこれまでの経緯を見ると、あの様なやり方では、現在の日本の難局を解決するための大きな勢力にはなり得ないと考える。

Q: (小沢氏に)プレーヤーとしてがんばってほしくないという意味か。

長谷川: それは有権者の方々が決めることだが、小沢氏のスタイルからすると、一大勢力を糾合して決定的な影響力を行使することは難しいと思う。

Q: 消費税増税に対して小沢氏は反対を貫いた。最近、街の声も増税に批判的になってきているように見えるが、これについて所感を伺いたい。

長谷川: 基本的に、増税について賛成を得るのは、企業(に対して)であれ個人(に対して)であれ難しいというのが政治的命題としてあるが、確かに、最近の世論調査では(増税)反対の傾向が増えている。これは、小沢氏の「国民との約束」「信義にもとる」などの発言(映像)が連日テレビで放映され、また、いよいよ(増税が)煮詰まった段階では、(増税への)賛成論はあまり報道されず、「デフレ下では増税すべきではない。まず景気回復だ」といった反対論が多く報道される傾向にあり、このような影響が及んでいるのではないかと考える。ただ、国民の多くの方々は、今の財政状況が立ち行かない・持続性がないということは承知しており、その解決策として消費税を上げることは、痛みを伴う中では比較的公平に国民全員の負担という形で(財政)再建の一歩が踏み出せるということも理解されていると認識している。

Q: 大飯原子力発電所がいよいよ再稼働したが、これについて見解を伺いたい。

長谷川: 本来であれば、予定通り4月に原子力規制庁を作って、その下に原子力安全・保安院や原子力委員会を統括し、IAEA(国際原子力機関)等の見識も踏まえて、(規制庁が)責任を持って(安全性等の)チェックを行った上で、自治体の賛同を得る、というプロセスを取ることが望ましかった。結果としてそのような形が取れなかったことは、現政権の読みが甘かったと言わざるを得ない。一方で、特に(エネルギー需要の)50%を原発に依存している関電管内の今夏の生活および生産活動を考えると、15%の節電要請と同時に万一の場合の計画停電を避けるためには、やむを得ない政治判断であったと考える。新たに見つかった活断層が(大飯原発の)下にあるにしても、原発は制御棒が挿入され休止状態にあっても、廃炉もしくは燃料棒を取り出さない限り、あるいは使用済み燃料棒が(使用済み燃料プールに)蓄積されている状況が解消されない限り、稼動/非稼動にかかわらず危険度において大差はないと言われている。政府としての判断は、理解すべきであると考えている。

Q: 最近、首相官邸前などでの反原発デモへの参加者が増えてきた。これまでとは違った形での市民の意思表示について、どのようにお考えか。

長谷川: 報道で知る範囲なのでどこまで正確かは分からないが、日本でもツイッターなどSNSを通じた呼びかけが、一定数の人々を糾合し動かす形が現実になったと感じている。実際に原発があのような大惨事を起こしてしまったので、感情的に(原発を)受け入れられない方が一定の割合いることは理解できるし、一部とはいえ相当数の方々があのような(反対デモという)形で直接行動に出ることも、今の時代においてあり得る話である。政治もそれを受けて対応していかなければならない時代になっていると思う。

Q: アラブの春など、SNSによって輪を広げ、世論の盛り上がりを見せる世の中になったということか。

長谷川: そういうことだと思う。政府として(インターネット上などの情報を)コントロールできるような国であれば別だが、民主主義の国において情報コントロールなどはすべきではないし、これは避けて通れない道である。時代の流れだと考えるべきであろう。

Q: 政府がエネルギー政策の選択肢3案をまとめた。基本的には、(現時点での)数値目標は無意味とのスタンスだと理解しているが、3案についての所感を伺いたい。

長谷川: 本質的には、原発をゼロにしていくかどうかが問題である。(2030年時点での原発の)比率が15%なのか、20~25%なのかについては、再生可能エネルギーの(技術革新や普及の)状況や、原発の安全性の技術の高まり、新しい第3世代の(原子)炉の開発(状況)などが、今後10年もすれば見えてくるので、その時点で改めて国民的議論を喚起して(比率を)決めていくのが妥当ではないか。

むしろ、前回(6月19日)の記者会見で述べた固定価格買取制度についての懸念(高価格での買取を20年間保障する点)と、3つの選択肢の中でコジェネレーション(の比率)が一律15%になっていることについて、この技術的な裏付けがきちんと検証されているのかが疑問であり、我々ももう少し勉強し、検証していく必要があると考えている。

Q: (金融)資本市場において、最近、大手の証券会社によるインサイダー問題が相次いで発覚しているが、これについて所感を伺いたい。

長谷川: 言語道断、なってない、ということに尽きる。その中でも、何度も同じような問題を起こしている証券会社もあり、厳に慎んでいただく(しかない)。コンプライアンスの徹底を図ることは、証券業界に身を置くからには当たり前のことであり、それが守られないのは極めて遺憾と申し上げざるを得ない。これを最後に二度とこのような問題が起こらないようにして欲しい。直接(経営者と)話す機会があればそう述べたい。

Q: 現時点で、口頭で「しっかりして欲しい」など伝えていないのか。例えば副代表幹事の所属企業も含まれているが。

長谷川: 副代表幹事の(証券会社系の)方はグループの重鎮であるので、その意味では連帯責任という部分もあるが、(現在の所属は関連会社であり)直接的な関与はないと理解している。

Q: 経済同友会の中で処分の仕組みはあるか。

長谷川: 経済同友会では(今回の問題で処分することは)ない。

Q: 企業経営者として、証券会社の一企業経営者との付き合いもあろうが、このような問題が絶えない、コンプライアンスの重要性がこれだけ言われながらも(インサイダー取引に関する問題が)消えない理由はどこにあると考えるか。

長谷川: 他社の社内のコンプライアンス遵守徹底のメカニズムがどうなっているのか、あるいは発覚した場合にどのように処置にしているのかを十分に知らないままに述べることは控えたい。自分自身も経営者であるから、(コンプライアンス遵守の100%徹底が)難しいことは百も承知である。しかし、経営者が本気で、極端に言えば、商売抜きでコンプライアンスだけは守れ、というところにまで踏み込むかどうかという問題であろう。そこは経営者個々の判断であるが、体質的に問題あるとすれば、そこまで踏み込まないと本格的な解決は難しいかもしれない。

Q: 民主党内で相対的に意見をまとめやすい状況になったとの発言があったが、経済界として、TPPなど消費増税以外の重要課題の意思決定が前進すると期待しているか。

長谷川: 「一票の格差是正(投票価値の平等実現)」や経済連携協定については、野田首相が当初からコミットされているが、この機にそれらの問題の解決に向けて前に進まれることを期待したい。いずれも喫緊の課題である。

「一票の格差(是正)」については、違憲状態を放置しておくわけにもいかず、「0増5減」を実現したところで、区割り審を実施すれば3ヵ月、周知徹底するなら年内はかかるという見方もあり、早急に取り組まなければならない。選挙制度改革については、提言でも述べているが、法案提出で解決するよりは、第9次選挙制度審議会を立ち上げ、そこで決める方が妥当である。

経済連携協定については、(TPP交渉参加について)カナダやメキシコが日本に誘発される形で協議に参加すると表明したにもかかわらず、正式参加に関して日本が遅れをとってしまったこと自体は好ましくない。(正式な参加表明の機会であった)4月30日の日米首脳会談、次の(機会であった5月の)G8、(6月の)G20、9月上旬のAPECなど、都度、(交渉参加の)表明を期待することは理解できる。しかし、その前にある程度党内をまとめ、国民の理解を得るためにも、農業の競争力強化・再生をどのような形で実現するかを詰めなければならない。(参加表明の望ましい)時期だけを述べても、党としては動きようがないので、そのこと(農業の競争力強化・再生)に早急に取りかかることを強く要望したいし、それをもって(TPP交渉参加が)前に進む態勢を整えてほしい。

Q: TPPを推進する上で農業改革が必要だとの発言があったが、改革の処方箋が急に出てくるわけではない。どれだけ補助の形式を整えるかという具体的な金銭面での話がそろそろ出てくるかと思うが、この段階で何を進めることが適切なのか。

長谷川: 韓国がFTA/EPAを実施するとき、コメを含め(日本と)同じような農業問題を抱えていた。株式会社(大手企業の農業)参入や大規模化などを進めると同時に、5年(短期品目)から(センシティブ品目においては)10年以上かけて段階的に(関税撤廃を)進める案を作って、経済連携協定が実効されたと記憶している。農業従事者の焼身自殺もあった中での推進であった。韓国を真似る必要はないが、(日本でも)短兵急に答えが出るわけでない。例えば、オーストラリアと米国とのFTAでも、牛肉の関税撤廃は18年後、サトウキビは例外品目にするなどしている。TPPであろうが(FTAであろうが)、日本のポジションとして「(農業)改革に時間がかかるので、その間は猶予してほしい」などきちんと主張すれば、聞く耳は持ってもらえるだろうし、前例もある。そのような対応をきちんとして、農業従事者にも示すべきである。米作農家の平均年齢は66歳と言われ、後継者の育成にも課題がある。今のままでも、どこかの段階でやり方を変えない限り、農業の崩壊は避けられない。そのような趨勢を見ながら、10年程度のスパンで、農業従事者にも納得してもらえる改革案が作れるのではないか。

Q: 自民党はこういう(50名の離党者を出した)ことになったので、とにかく信を問えと主張し続けている。総選挙の時期について、今の話からすると「一票の格差(是正)」問題などが解決した後、つまり年内はすべきでないと考えているか。

長谷川: 個人の考えとしては、喫緊の課題について解決の目途をつけてからの解散・総選挙が望ましい。「解散・総選挙の空白は1ヶ月程度で済むから停滞はそれほどない」という自民党議員の方もいるが、事はそう簡単ではなく、例えば自民党内でもTPP(交渉参加)などについては(意見が)まとまっていない状況である。(TPP交渉参加の判断が)大幅に遅れ、(米)大統領選挙が終わった後で、(仮に)オバマ大統領が再選されれば比較的早く米国の体制が整うが、そのタイミングを日本の都合でずらしてしまうことにもなりかねないので、それだけはぜひ解決してほしい。どの政党を支持するということではなく、国民的命題の喫緊の課題を、今の時期にできるだけ片付けてほしいという想いである。

Q: 秋や冬など、代表幹事なりの(総選挙の時期の)目途はあるか。

長谷川: それは分からない。いかなることがあっても首相の解散権は阻害されない。

Q: 解決しなければならない喫緊の課題は、「一票の格差」と「経済連携協定」か。これら問題の解決に目途が付けば、解散総選挙ということか。

長谷川: その緊急の課題である二つだけは片付けていただきたい、という趣旨である。

Q: 本日で野田内閣発足10ヵ月だが、発言のような喫緊の課題の解決を含め、できるだけ長く続けてほしいと考えるか。また野田内閣の評価を伺いたい。

長谷川: (前述のような喫緊の)問題を片付けていただければ、そこから先は首相の胸先三寸だろう。

(評価については、)もっとスマートに、もっと迅速にやって欲しかったということが、私だけではなく大方の国民が望んだことである。ただし、党内の事情、野党との関係、衆参のねじれなどを考えると、一番の大きな課題であった社会保障・税一体改革について、まだ参院(での審議)が残っているが、ここまでぶれずに一貫してやられてきたことは評価したいと思う。

長谷川代表幹事より「IPPO IPPO NIPPONプロジェクト 第2期活動報告」

経済同友会は、震災復興支援として、「IPPO IPPO NIPPON」という5年間のプロジェクトを実施している。この度、第2期の募金受付が終了し、約2.7億円、第1期と合わせて当初の目標通りの6億円を超える募金が集まった。ご協力いただいた企業、個人の皆様に感謝申し上げるとともに、(支援先である)各学校等に大変感謝されている活動が、当初の予定通り継続できることを大変嬉しく思っている。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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