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長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2012年04月18日(水)13:30~
出席者 長谷川 閑史 代表幹事
前原 金一 副代表幹事・専務理事

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冒頭、長谷川閑史代表幹事より、(1)社会保障・税一体改革、(2)原子力発電所の再稼動、(3)経済連携(EPA・FTA/TPP)、についてコメントを述べた後、前原金一副代表幹事・専務理事より、第25回全国経済同友会セミナー(4月19日、20日開催予定)について紹介があった。その後、記者の質問に答える形で、(1)大飯原発の再稼動、(2)東京電力会長人事、(3)石原慎太郎東京都知事の沖縄県・尖閣諸島購入発言、(4)二閣僚問責決議案参院提出、について発言があった。

長谷川閑史代表幹事によるコメント

社会保障・税一体改革について、(国会に)法案が提出されたものの、国会審議の目処はまったく立っていない。まずは一日も早く国会審議を開始することが肝要であろうし、そのための条件と言われているいくつかの周辺課題、国会議員の定数削減や公務員制度改革、一票の格差是正(投票価値の平等)などの問題について、きちんと整備すべきである。また、2013年に(国会への法案)提出を目指していた新年金制度について、報道によると、岡田克也副総理から、場合によっては来年(の法案提出)に必ずしもこだわらないという発言があったようだ。野党は、この問題についても(政府が)ある程度の方向性を示さなければ審議に入れないと言っているようなので、これも含めて周辺問題をきちんと整備し、早く国会での(法案)審議を開始することが肝要である。

原子力発電所の再稼動について、諸般の事情を考えれば大変難しい判断であることは推察できる。どちらに決めてもそれに反対する側からの非難は免れない中で、国政の最終責任者として、ある意味では勇気ある判断をされたことを評価する。これから、地元が納得いく形で説明して理解を求めるという努力を、地元の首長とともに進めていく必要がある。背景として、再生可能エネルギーの(固定価格)買い取り制度が7月から始まる予定であるが、競争力あるコストでの(電力の)大量供給に時間がかかることは自明の理である。一方、大容量の蓄電池の開発もまだ一部トラブルがあるなど、目処がついていない。これはこれで国家プロジェクトとして進めることを願うし、(民間議員を務める)国家戦略会議でも改めて強調したい。そのような環境の中で、今夏の電力供給の見通しが立たないと、企業としては事業計画も立てられない。せめて、昨年程度あるいはそれ以下の節電で何とか乗り切れるという目処が立てば、(事業)計画が立てられないことはないが、夏の時点で(原発)54基すべてが止まっているという状況であれば、それ(昨年程度の節電で乗り切ること)はかなり難しいだろう。ましてや一昨年のような猛暑になれば、原発の再稼動なしに乗り切ることは極めて難しいのではないか。化石燃料(価格)の高止まり、それによる貿易収支への影響、さらに日本経済へのダメージなども副次的な問題としてあるにせよ、当面の生産事業活動に必要なギリギリの電力(量)を担保できるかどうかを明確にしてもらう必要があるという点では、(再稼動への判断は)やむを得ない判断であったと思う。

TPPを含む経済連携について述べる。4月30日にワシントンで日米首脳会談が開催されるとの発表があったが、ここで様々な問題が論議されることは想像に難くない。TPPや沖縄の基地の問題、TOMODACHIイニシアティブ(交流基金)などに触れるだろうが、経済連携、特にTPPが経済界の大きな関心事である。昨年のAPECで(野田首相がTPPへの交渉)参加を前提とした準備協議に参加するという表明があったが、このタイミングで(日米首脳会談が開催されることを)考えれば、是非、正式な交渉参加表明を行う必要があるのではないか。最近でこそあまり表面的に目立った動きはないが、昨年来、様々な形で、特にアメリカからメッセージが送られている。例えば、3月1日、2日に東京で開催された米国アジア・ビジネスサミットでは、米韓(FTA)交渉を担当したウェンディ・カトラー氏(米国通商代表部代表補)が、特に日本の友人およびプレスに対して明確にしておきたいという前提で、日本や他の国に自国の医療保険制度の民営化を強いるものではない、混合診療を含め民間の医療サービス提供者を認めることを要求するものではない、日本の学校で英語による授業を求めるものではない、単純労働者の受け入れを求めるものではない、他の国の専門資格の承認を求めるものではない、などを明確に、改めて意思表明している。まずは(日本がTPP)交渉への参加を正式に表明することを強く期待したい。併せて、日・EU、日豪といった(経済連携協定)交渉の推進、さらには日中韓ASEAN+3あるいはASEAN+6、日加についても同時並行での交渉開始を期待する。また、昨年、日本が(TPP交渉の準備協議への)参加を表明した途端に、カナダやメキシコもTPPへの参加意思を表明した。ここ(日米首脳会談のタイミング)で日本が参加表明しないと、場合によってはカナダやメキシコが先行することになる。一方で、報道にあるように、日中韓について前向きの動きが出てきている。それがTPPのようなハイレベルなものではない形で進むと極めて複雑な問題にもなるので、日中韓を進めるのであれば、少なくとも同時並行もしくは先行して、TPPのようなハイレベルな経済連携を進めていただく必要がある。

前原金一副代表幹事・専務理事によるコメント

4月19日より二日間、全国経済同友会セミナーを富山県富山市にて開催する。本会をはじめ全国44の経済同友会では、1988年(昭和63年)より毎年、各地の交流、相互連携強化を目的として「全国経済同友会セミナー」を共催している。このセミナーは、全国経済同友会の会員が、わが国経済社会に共通する諸問題につき、忌憚のない意見交換を通じて相互交流を図る唯一の場である。本年度は第25回として、『日本は必ず甦る~復興とさらなる発展を目指して~』を総合テーマに開催、現時点で全国より1,000名を超える企業経営者の参加を予定している。

質疑応答

Q: 大飯原発の再稼動について、大変難しい中での勇気ある判断を評価したいとの発言があった。一方で、枝野幸男経済産業相の発言が、震災後と最近ではぶれているとの批判や、実際の安全性は大丈夫なのかという指摘もある。これについて所見を伺いたい。

長谷川: 大飯(原発)の状況そのものは、ストレステストや原子力安全委員会の評価などが最も進んでいる原発の一つである。同時に、関電管内では約5割の電力を原発に依存しており、全国でも最も高い原発依存比率という事情もあったと拝察する。安全性は、100%絶対と言い切ることは難しいという事情はあるにせよ、最新の科学的知見あるいはそれに基づいたチェックをした上で、どこかで誰かが判断しなければいけない。民主党の中でも荒井聡前国家戦略担当相(が座長を務める原発事故収束対策PTのメンバー)などは、まだ規制庁もできておらず時期尚早であるとの異論もある。そういう見方があるのは当然だろうが、一方で、日本の経済あるいは国民生活を考えると、どこかの段階で誰かが決断しなければいけない。それ(安全性の評価)が十分であったかについては、私はベストを尽くされたと判断し、それを支持したい。

Q: 原発の再稼動の問題について、国民生活を考えると誰かが判断しないといけないと述べられたが、周辺自治体の首長は慎重な対応を求めており、もちろん需給を考えれば電源確保は重要だが、住民の不安もある。理解を得る範囲、あるいは周辺自治体をどこまで尊重して、首相なり大臣が最終判断をすべきか。

長谷川: 理想論から言えば、できるだけ懸念を表明している周辺自治体の長、京都府や滋賀県も含め、あるいは大株主としての大阪市長の立場も考えれば、別の観点からの納得が必要ということになるかもしれない。確かに福島(第一原発)の事故後だけに慎重を期す必要があるとは言いながら、それ(意見を尊重する周辺自治体)を拡大することによって時間を要し、最終的な判断が遅れることも好ましくない。最後は政治判断ではないかと思っている。

Q: 未だに東京電力の会長が決まらない。異常な事態ではないかと思うが、現状認識を伺いたい。

長谷川: いみじくも、昨日(4/17)付の日経産業新聞の『眼光紙背』に書かれていたコメントが、かなり的を射ていると思う。この状況の中で、国のためにも東電のためにも必要な人事であることは理解するものの、経済界の相当の経験と実力のある人が引き受けるのは、判断としてなかなか難しい。奥田碩JBIC総裁が発言されていた懸念もあるだろう。加えて、最大の問題は、(各社)4月の決算発表の時期が近づいている(ことによる各企業の役員人事決定の期限である)。早ければ4月中に、遅くとも5月には、大株主に向けて決算短信が出されるが、そこで必ず新任役員と退任役員を発表する。そのためには、(役員人事は)どんなに遅くとも連休前までには取締役の決議を得て決めておかなければならない。そのような時間的制限を考えるとますます難しくなったことを懸念する。

Q: 一部では、経済界からは難しいのではないかという意見もあるが。

長谷川: 決まれば即発表されるだろう。おそらく、元々の計画では3月中に(決定して)発表と考えていたと思うが、それができないまま今日に至っていることからすると、極めて難航しているであろうことは容易に拝察できる。

Q: 経済界の相当の実力がある方が(東電の会長を)引き受けるのが難しい理由については、どう考えているか。

長谷川: 個人的所見を細かく述べることは控えたい。先述の『眼光紙背』(4/17付日経産業新聞)の引用で勘弁いただきたい。

Q: (東電の会長には)どういった方がいいのか。学者か法曹界の方か。

長谷川: 私の想像力の範囲を超えるが、残された選択肢となるとそうなるかもしれない。

Q: (東電の会長は)経済人ではだめということか。

長谷川: そこまで私は断定できない。一経済人あるいは企業経営者の立場からさまざまな事情を考えると、この期に及んで極めて難しい状況ではないかと判断する。

Q: 石原東京都知事が尖閣諸島の購入を考えていると発言したが、所感を伺いたい。

長谷川: (ワシントンに)桜を寄贈して100周年の(「全米桜祭り」後の)タイミング、保守系シンクタンクであるヘリテージ財団(開催のシンポジウム)での発表だったことなども含め、石原都知事らしい。ただ、個人の持ち主が誰を信用しているかという問題は別にして、一自治体である東京都が購入することに対して、本当にそれが国益として最も良い選択なのかは検証する必要がある。もちろん、「国土の保全と主権維持、国民の安全の保全」などは国の根幹的な使命であるので、本来は国が行うべきことだと思う。また、石原都知事の唐突な発言を受けて、藤村修官房長官も国有化を考えてもいいと発言されたが、私としては(尖閣諸島の)必要性と現在の所有者の意向を確認した上で、本来は国が保有することが筋だと思う。

Q: 遅きに失するとしても、国が(尖閣諸島の買収に)出ていくべきと考えるか。

長谷川: きっかけは何であれ、(石原都知事の)発言を受けて、少なくとも官房長官が(尖閣諸島の)必要性と所有者の意向を確認の上、国有化を考えてもいいと公式に述べられているので、そうであればそのような(国が購入する)方向で進める方が、誰にとっても納得性が高いと思う。「都民の税金を使うのはいかがか」という意見に対して、寄付金を集めれば良いなど話が枝葉末節に飛んでいるが、本来の筋から言えば、国有化するのが一番望ましいと思う。報道によると、1900年代初めから1940年代頃まで実際に人が住み、鰹節工場があって事業を行っていた実績があり、その後も実効支配はずっと続いている。それ(石原都知事の発言)をきっかけに、今まで国が慮っていてできなかったことを官房長官が表明しているのであれば、ぜひ実行してほしい。

Q: (前田武志国土交通相と田中直紀防衛相の)問責決議案の提出について、所感を伺いたい。

長谷川: 本質的には、それぞれの大臣が職責を果たすに当たって、もっと見識を持ち、しっかりしていただきたいという大前提の問題がある。しかし、(現制度では)「何が問責に相当するか」の明確な基準もなく、その時の野党第一党の判断で10人の国会議員の賛同があれば問責決議案が出せる。そして、野党第一党および第二党が参議院で問責決議案に賛同すれば提案が可決され、結果として(問責決議に)法的拘束力はないものの、審議ボイコットなど(の戦術)の結果、実質上、罷免につながってしまう。極端な場合、過去には(衆議院解散や内閣総辞職など、実質的に)参議院が首相を退陣に追い込んでしまったケースもあった。このような悪い形でねじれ(国会)を利用し、場合によっては政局につながりかねないことを野党がするのは、もういい加減にしたらどうか。政権交代が起き、いつ自分たちが野党に下ってもおかしくなく、政権を取り戻したら未来永劫与党でいられるような状態ではない。再編も含めた政権交代は、当然あり得ると考えるのがより妥当であろうと思うが、そのような状況の中で相変わらずこのようなことを繰り返すこと自体、経済界としても、一国民としても、いい加減にしてほしい。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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