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経済3団体長 新年合同記者会見 長谷川閑史代表幹事発言要旨(未定稿)

日時 2012年01月05日(木) 15:10~16:10
出席者 米倉 弘昌 日本経団連 会長(幹事)
岡村 正 日本・東京商工会議所 会頭
長谷川 閑史 経済同友会 代表幹事

記者からの質問に答える形で、(1)日本経済の見通しと株価・為替の水準、(2)野田総理の祝賀パーティーでの挨拶、(3)政府に最優先で望む政策、(4)エネルギー政策、(5)2012年に必要なリーダー像、(6)コーポレート・ガバナンス、について発言があった。

(以下、長谷川代表幹事発言部分)

Q: 今年の日本経済の見通しについて、行き過ぎた円高、欧州債務危機の行方、復興需要に対する期待などがあると思うが、株価・為替の水準も含めて所感を伺いたい。

長谷川: 直近の日銀短観では、景気は緩やかに成長を続けているが少しスローダウンしているという見通しであったと記憶している。今後については、米倉会長が述べられたように、エコノミストや各機関で概して2%程度の成長が予測されており、その辺りが大方のコンセンサスではないかと考えている。肝心なのは、これから本格化する補正予算による震災復興への投資が、日本経済がどうしても達成しなくてはならない「安定的かつ緩やかな成長、緩やかなインフレ」という状況に橋渡しをする形でつなげていかなければならないということである。為替・株価に関する個人的予測は差し控える。経済同友会が四半期毎に(企業経営者を対象に)実施している「景気定点観測アンケート調査」(2011年12月時点・2012年前半の予測)では、為替(対ドル円相場)は70円代後半が最も多かった。企業経営者としては、円高はなかなか解消されないだろうがこれ以上は困る、という心情だろう。株価(日経平均)は、あまり楽観的ではなく、9,000円台が最も多かった。

Q: 先の新年祝賀パーティーで野田首相が今年の決意を述べられたが、感想を伺いたい。

長谷川: 印象に残った二点について述べる。一つは、「経済成長と財政再建(財政規律)は車の両輪である」と強調されていた点で、私もまったく同感である。日本経済が緩やかな成長、緩やかなインフレに戻らない限り、財政の再建もなければ、社会保障の安定化といった安定的な財源の確保も難しい。首相の認識は私も共有するところであるが、問題はそれをどう実現していくかである。国家戦略会議の日本再生戦略で具体化を進めていくという政府の考えがあるので、その結果を待ちたいが、基本的には一昨年6月に策定された新成長戦略を着実に実行し、必要があれば修正を加えるということに尽きる。成長のドライバーは、労働力人口の増減、海外からの直接投資(FDI:Foreign Direct Investment)を含めた投資、イノベーションからくる生産性の向上、という三つの要素である。これに加え、企業は、新興国で急激に成長している市場に進出する。アジアではソーシャル・インフラ(への投資)がこの先10年間で8兆ドル(約800兆円)といわれているが、主には日本が得意とする上・下水道、高速道路、高速鉄道、発電である。政官民が一体となって、それぞれの国の経済成長のインフラ整備を助けるとともに、成功の分け前を日本に持ち帰ってくる。こうしたことをすべて併せて実行していかなければならない。投資については、当面の1~2年は復興投資の本格化でまかなえるとしても、その後は規制改革等を通じて実現しなければならない。労働力人口の問題や生産性の向上については、今後、日本再生戦略の中で、どこに焦点を当ててどのように実現するかに本格的に取り組んでいかなければならない。一方で、財政再建については収入増も図らなければならず、昨年末に社会保障・税一体改革について党内の意見をまとめられ、首相の話では明日、政府として意志決定をされるということなので、ハードルは高いと思うが、野党の協力を得て国会審議の中で実現することを望みたい。

二点目は、「振り返ってみたときに、2012年が、日本が本格的な復興・復活・経済成長にトレンドを変更した年(本格的な経済再生が始まった年)にしたい」と表明されていたが、私も同感である。政治は政治、官は官、民間企業は民間企業で、できることをしっかりとやり、協力しなければならないことは協力してやっていくということで、その実現に貢献していく必要があると認識している。

Q: 2012年は正念場の年になると思うが、政府に最優先で望む政策は何か。

長谷川: 経済成長が鈍化し、少子・高齢化が進み、税収は伸びず、累積債務は増え続けるという状況の中で、これらを既に経験した諸外国の例を見ても、なすべきことは決まっている。一つは、成長戦略をしっかり実行しない限り、いくら歳入増を図ったところで社会保障費の増分をまかなうことは不可能であるので、税収増のためにも成長が不可欠である。もう一つは、歳出削減、三つ目は歳入増である。

成長については、岡村会頭も述べられたが、技術立国である日本は、技術によって世界が今挑戦している課題に解決をもたらすと同時に、それを成長のドライバーにすることを志していくべきだと思う。例えば、水の供給や海水浄化(water scarcity:水不足)、食料供給、そしてエネルギーの問題などがある。最近膨大なシェールガスの埋蔵が発見されたが、中国やインドのような国が成長を続ければ燃料の高騰化・枯渇化が考えられる。日本が自身の経験を踏まえて、省エネや蓄エネなどの技術を最先端で開発することで、日本の成長のドライバーにすると同時に、世界の問題解決にも貢献することが必要である。また、GDPの70%以上を占める第三次産業、サービス産業の生産性・効率性が飛躍的に改善されなければならない。日本はこれから少子化、そして超高齢化社会になり、2050年には40%以上が65歳以上になり、15歳未満の非労働人口を加えると、働いている人と働いていない人(の比率)が1:1の割合になるだろう。そういう社会をどう乗り切るかを考えてモデルを創出し、日本の後を追って高齢化が進む国々に提供することを考える必要もあるだろう。

歳出削減については、行政改革、政治改革、社会保障制度改革の三つの要素があり、これらをバランスよく実行しなければならない。年末にまとめられた社会保障・税一体改革の原案では、公務員制度改革などの行政改革、議員定数削減などの政治改革についても記載されていたが、(政・官)自らが血を流すことを示さない限り、(増税への)国民の納得は得られない。社会保障制度改革については、現在示されている案は、世代間・世代内格差(の是正)に本格的なメスを入れていないので、改革の名に値しないと言わざるを得ない。毎年自然増で1兆円以上増えるものを、消費税(率)を5%引き上げて12.5兆円(財源を)増やしたところで、10年も経てばすべて(社会保障費の)増加分で消えてしまう。ここに本格的なメスを入れなければ本質的な解決はない。さらに、今の社会保障制度、いわゆる賦課方式では、(実質的な)低所得者から高所得者、あるいは若者から高齢者に所得が移転するという内在するメカニズムの問題もあり、これらを解決しない限り世代間の納得を得られないし、若者が将来に希望を持つこともできない。その上で、最終的には消費増税も避けて通れない。首相は、党内の意見集約は難航したものの、まずTPPで党内の意見をまとめられて交渉の議論に参加することを表明され、社会保障・税一体改革についても最終的には党内の意見をまとめられ、明日の政府の意思決定に結び付けられている。課題は山積しているが、一つひとつ積み重ねていかれることを期待するし、我々もできる範囲でサポートしていきたい。

Q: エネルギー政策について、先ほど岡村会頭から「短期と中長期を区切って考えるべき」との話があった。短期・中長期のそれぞれについて、原発を含めてどのようにすべきかを伺いたい。

長谷川: すべての物事には二面がある。昨年の原発事故による電力供給制限は、今まで十分に注意が向けられてこなかった省エネルギーや蓄エネルギーの重要性を認識させてくれたと思う。特に、(電力消費量について)従来は産業(部門)が多かったが、現時点では、事務所等の事業所(部門)や家庭(部門)も伸びており、概ね1/3ずつくらいの割合になっている。産業での節電は、コストの面からも経営者として当然実施すべきであるが、事業所や家庭について、もっと省エネルギー・節電を真剣に考え、実行に移していくことが、日本にとっても、あるいはこれからの世界にとっても、大変大事なのではないかと考える。今までは、電力は必要であればいくらでも買える、あるいは供給されるという認識があったが、これを機にマインドセットを変えることが必要だろう。

その上で、電力の安定供給については、既に米倉会長と岡村会頭が述べられているが、原発54基のうち現時点で48基が止まっており、やがてあと2~3ヶ月ですべて止まる状況で、ほぼ30%近い電力を供給していた原発がまったくなくなると、今までフル稼働していなかった、あるいは、廃止しようと思っていた火力発電を再稼働させるなどでかなりの部分を代替するにしても、岡村会頭もおっしゃられたように、環境やエネルギー・コスト上昇などの問題が出てきて、必ずしもそれを長く続けることが最適解ではない部分がある。経済同友会で論議を重ねた結果、原発については、当面「縮原発」ということでいかざるを得ないのではないかと考えている。いずれはストレステストや第三者機関のチェックを受けた上で、地域住民や自治体の長のみなさんの了解を得るためには、個々の電力会社だけでなく政府によるバックアップや協力をもって説得することで、再稼働できるところは再稼働していくことが必要になると思う。アメリカの場合は、仄聞したところでは、スリーマイル島原発事故の後、Institute of Nuclear Power Operationsという第三者チェック機関がすべての原発を常にチェックし、レーティングをしているとのことである。日本もそのようなことを考えなければいけない段階に来ているかもしれない。それにしても、再生可能エネルギー(による電力供給量)は、現時点で全体の9~10%程度で、そのうち水力が90%以上を占めている。(再生可能エネルギーによる電力供給量を)短期間に10倍に増やすことは、理論的には言えても実現は大変難しい。中長期的には、それ(再生可能エネルギーによる供給増)が望ましいものの、当面は節電・省エネルギー・蓄エネルギーを一生懸命やると同時に、原発の再稼働もしながら乗り切っていくことを考えざるを得ないと思う。また、米倉会長が述べられたように、政府がエネルギー計画を見直し、今春にいくつかのオプションを提供して国民や事業者の意見を聞いた上で、ベストミックス等についてもコンセンサスを形成し、今夏に最終案(をまとめる予定)とのことなので、それを待って我々も意見を述べていきたいと考えている。

Q: 今年は世界のリーダーが代わる年だが、2012年にふさわしいリーダー像は。

長谷川: 選挙で選ばれる人は、投票者の意向や関心を常に意識せざるを得ないことは理解できるが、さはさりながら、政治のリーダーの方々には、ポピュリズムに陥らず、世界的な課題解決と国益の最大化を求め、国民を理論的に説得して実現に結びつける、そういうリーダーに是非出てきていただきたい。

Q: 昨年は、海外の投資家などから日本企業のガバナンスが疑問視された年であった。今年、信頼を取り戻すために、企業として、あるいは経済団体として何をすれば良いかを伺いたい。また、個別企業の話になるが、オリンパス元社長のウッドフォード氏がプロキシーファイト(委任状闘争)を断念するという報道が出てきている。オリンパスの再建はスムーズにいくと見ているか、日本企業の信頼はどのようになっていくかについて伺いたい。

長谷川: 米倉会長、岡村会頭の意見に付け加えることはない。

(文責:経済同友会事務局)

以上


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