ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2011年12月26日(月)13:30~
出席者 長谷川閑史 代表幹事

記者の質問に答える形で、(1)整備新幹線の着工方針、(2)東京外郭環状道路、(3)八ツ場ダム、(4)有期労働者の正社員化・65歳までの再雇用義務化、(5)社会保障・税の一体改革に伴う消費増税、について発言があった。

質疑応答

Q: 整備新幹線について、今日、国土交通省の検討会議があり、未着工3区間の着工方針を決める予定である。地元の要望からすれば「ぜひ造ってほしい」ということだが、方や「いま急いでやるのか」という政策の優先順位の問題もある。整備新幹線の未着工区間の新規着工について、所感を伺いたい。

長谷川: 財政的側面からの考え方と、東日本大震災を受けて災害が起きたときの輸送(という考え方)の2つあると思う。東日本大震災では、新幹線は安全性を見事に証明し、いち早く回復した。人身事故もなく済ませたことについては誇るべきであり、将来の万一のことを考えた場合、例えば函館 - 札幌間の輸送など、高速鉄道があるに越したことはない。一方、通常の国家予算だけでも、税収より赤字国債発行の方が多いという状況が3年も続いている中で、あえて(整備新幹線の新規着工を)優先順位高く行うかとなると、極めて疑問を呈さざるを得ない。ましてや、一般会計の(歳出の)半分以上を占める社会保障費にメスが入っておらず、毎年、(年金、医療等の社会保障費が)約1兆1,000億円ずつ増えていく趨勢は変わっていないし、将来の目処もたっていない。このような状況下での着工は、さらに財政が膨張していくことに繋がりかねないので、政府は優先順位を明確にした上で、(着工について)位置付けをすべきだが、それがなされていないと感じる。

Q: 東京外郭環状道路の未着工部分の建設も再開が表明されているが、それについても、整備新幹線と同じ考え方か。

長谷川: 同じである。(道路も)あるに越したことはないが、財政が逼迫している状況や、特に、大震災からの復興で約20兆円のお金を3~5年かけて使わなければいけないという状況の中で、今やるべきかどうかについて、もう一度考え直すべきだと思う。

Q: 八ツ場ダムについても同じことが言えると思うが、国交省側は建設した方が経済性が高まるという説明をしており、一方で、前原政調会長は最後まで反対し続けた。「コンクリートから人へ」というマニフェストを掲げて政権をとった政党だが、結局方向転換をするような政治のやり取りについては、いかがお考えか。

長谷川: (政治のやり取りについては)まだ意思決定のメカニズムが安定的に定着していないことは極めて残念であり、それが民主党の本質的な問題であると思う。また、八ツ場ダムについてのみならず、経済効果や投資採算の試算をすると、それ(事業)を正当化するような分析が出てくるが、過去の実績を見ると、ほとんど当たった試しがないという事実もある。一番の問題は、誰も結果責任を取らないで済まされるメカニズムであり、これがある限り、旧来型の公共事業が継続される可能性がある。八ツ場ダム個別の問題については、支持する/しないと言える知識を持ち合わせていないので、コメントは差し控えたい。

Q: 有期労働者の雇用問題について、本日の労働政策審議会で方向性が出る予定である。65歳までの再雇用義務化についても、政府はどちらかというと、社会保障費の負担も含めて、経済界に正社員や再雇用の形態で吸収してもらい、できるだけ多くの負担をしてもらおうという大方針の下に話が進んでいると思うが、これについて所感を伺いたい。

長谷川: 一般論として、経済界が雇用の大部分を担っているので、雇用を維持する努力をすることについては当然であると思う。一方で、65歳までの雇用延長を法制化・義務化することには、いささか疑問を呈さざるを得ない。なぜなら、現在の日本の労働法制では、企業の解雇権が極めて制限されており、60歳という節目が(雇用・雇用条件を)見直しできる機会となっている。そこが全く顧みられずに、希望者全員の65歳までの再雇用を受け入れるべきというのは、企業(経営)の自由裁量の部分がなくなるので、経営者の立場からは少し問題があると考える。健康で勤労意欲がある人を恣意的に選別して、延長する人としない人を区分するということではなく、見直しする機会を失われることには、経営の立場からすると少し問題がある。

Q: 有期労働者(パートなど)について、現行3年未満で雇い止めをしないと正社員にするという制度を見直すなど、なるべく正社員化に向けて法律で縛っていこうという動きについてはどうか。

長谷川: 季節的に労働ニーズが変動するような業態においては、その変動調整をできることが好ましいことは間違いない。そういう意味では、今の雇用形態を維持できることが望ましいと思う。一方で、同じ成果をあげる人については同じ報酬にすべきであることは、極めて真っ当な話である。また、ある程度の期間(複数年)勤めて、正社員に負けないような生産性を上げたり、実績があるような方については、その企業が社員を採用しているのであれば、そういう方々を正社員に切り替えることも考えていく必要があるだろう。(全体の就業者のうち)有期雇用の方は4割近いと思うが、有期雇用の方々が増えること自体は望ましくなく、また野田首相の「分厚い中間層」という政策目標においては、もう少し安定的な雇用を創出しなくてはならないかもしれない。

Q: もう少し正社員化を進めていくべきということか。

長谷川: 個別の企業の考え方次第だが、少なくとも自社ではそのようにしている。

Q: 年末から年始にかけて、最大の政治課題である消費税の増税について、政府と党で議論を行っている。本日の日本経済新聞の世論調査では、消費増税への反対52%という結果が出ており、徐々に反対が増えているが、消費増税についての基本的な考え方を伺いたい。また、今の政府・与党の取り組みのあり方について、所感を伺いたい。

長谷川: 与党内での議論はされているかもしれないが、政府での議論や政府と党との議論については、開催予定の議員総会に野田首相が出席されると伝聞している。政府・与党の取り組みのあり方については、その結果を見なくてはコメントしかねる。

消費増税の論議では必ず、歳出削減を先にやってからという話が出てくる。それは至極もっともであり、正論だとは思うが、一方で、今の社会保障(制度)の問題を考えたとき、これ(消費増税)をやらなくて済むというものにはならない。また、もう何年も続けてきているこの問題にそろそろ結論を出さないといけない時期に来ていることは間違いない。一般歳出の5割を社会保障費が占める状況となり、さらにその増加傾向に歯止めがかからないし、これ自体が世代間や世代内での格差を生む要因になっており、待ったなしの状況である。TPPの時もそうであったが、少なくとも首相は、不退転の決意で臨むとおっしゃっているので、どこまで実行に結び付けられるか静観したい。首相自身はぶれておられないと思う。

以上

(文責:経済同友会事務局)


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。