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長谷川閑史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

日時 2011年11月15日(火)13:30~
出席者 長谷川閑史 代表幹事
前原金一 副代表幹事・専務理事

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冒頭、長谷川閑史代表幹事より、(1)TPP、(2)APEC・CEOサミット、(3)消費税論議、についてコメントを述べた後、記者の質問に答える形で、(1)TPP、(2)オリンパスの損失隠し、(3)新卒採用、について発言があった。

長谷川閑史代表幹事によるコメント

まず、TPPについて述べたい。APEC・CEOサミットにパネリストとして参加するため出発したので、野田首相が会見で表明された際に生の声ではコメントはできなかったものの、当日朝の古賀連合会長との意見交換後のぶら下がり取材では、「全く心配しておらず、交渉への参加表明をしていただけるものと確信している」と述べた。首相の表現について、全面的な参加かどうか、立場によって解釈は種々あるようだが、交渉に参加するということであれば、その前に加盟国と協議し、各国の賛同を得なければならない。(首相による)発表の段階で数カ国から(日本の加盟を)支持する表明があったようだが、全ての国から賛同を得られたとは聞いていないので、その意味でも今後きちんと協議を進められるということだと思う。また、軌を一にして、カナダやメキシコが(TPPの拡大交渉への)参加の意思を表明した。日本が(各国の参加表明の)きっかけを作る一石を投じたことは、国際的な役割を果たしたとも言え、大変良かったと思う。今後、参加にあたっては当然厳しい交渉になるだろうと予想されるが、首相も国益にかなう形で判断したいとおっしゃっている。必要な情報は逐次、説明・開示いただけるものと期待しているので、成り行きを見守らせていただきたい。強調しておきたいのは、決して第1次産業と第2次・第3次産業との対立の構図ではなく、第1次産業と第2次・第3次産業が協力できる方法が必ずあるということである。例えば、官民ファンドのようなものを具体化し、資金のみならず技術も提供して農業の6次産業化を実現していく道筋を明確化することに貢献できればと考えている。

次に、APECと同時並行で開催されたCEOサミットについて述べる。“Redefining Health: An Economic Asset and Competitive Advantage”というセッションで、ジョンソン・エンド・ジョンソンのウェルドン会長兼CEO、クリーブランド・クリニックのコスグローブCEOと私の3人がパネリストとして登壇し、“Changing a perception of health as a cost to rather a seeing it as an asset and an investment”、つまり「健康管理は企業にとってコストでなく、将来に対する資産、投資と考えるべき」という内容で議論をした。その後、中国・胡錦濤国家主席のスピーチや米国・オバマ大統領とボーイングのマクナーニーCEOとの対談を直接聞くこともできた。また、前日には、米国・ヒラリー・クリントン国務長官が「女性と経済」について述べられていた。女性のビジネス・チャンスや女性へのファイナンスをもっと広げることで経済の活性化を図っていくという観点から、9月にサンフランシスコで開催された「APEC女性と経済サミット」での決議についても話されていた。日本企業としてもその点ではまだまだ遅れているので、改めてしっかりと取り組んでいくことが大事である。特に、少子・高齢化社会において、今後、労働力人口は減少していく一方である。女性は、M字カーブと言われるように、働き盛りのときに仕事から離れざるを得ないという状況が未だに存在しているが、そのようなハンデは解消しなくてはならない。クリントン氏は、統計的に見ても、女性の管理職登用などが進んでいる企業の方が業績も良いと発言されていた。データに基づいた発言だと思うので、日本の企業や産業界としても推進していかなければならない。また、米国のダニエル・イノウエ上院議員をはじめ日系の政治家およびビジネス・リーダーで構成されているUS-Japan Councilのパーティーに招かれ出席した。野田首相、玄葉外務大臣、枝野経済産業大臣も出席されていた。野田首相は、TPPにも触れつつ、ご自身の経験を踏まえたユーモア溢れるスピーチをされ、大変良かった。

3番目に、消費税論議について述べたい。通常国会に法案を提出することについて、与・野党間で激しいやりとりがあった。「先の選挙におけるマニフェストでは『消費税は4年間上げない』としているため約束違反、やるなら国民の信を問うべきである」、片や「法案は通っても(消費税増税を)実行する前に(国民に信を)問えば良い」など、あまり生産的ではないやりとりがなされている。現実を見れば、このこと(消費税増税)を避けて通れないのは誰もが分かっている事実である。一方、(消費増税を)実施する段階では、軽減税率や低所得者への戻し税などについて、逆進性を是正するためには国民IDとセットでなければできないため、法案が通っても直ちには実施できない。首相が不退転の決意で臨んでおられるのであれば、野党はきちんと協議に応じ、方向性をはっきりと定めるべきである。ねじれ国会の中でも、しっかりとした議論ができることを期待している。

質疑応答

Q: TPPについて伺いたい。本日の国会でも野党から厳しく追及されており、また世論調査でも説明不足であるとの国民の反応が伝えられている。与・野党、国民を含め、理解が得られないと実現が難しいと思うが、首相にはどのような説明や対応を期待されるか。

長谷川: TPPは交渉ごとなので、前提条件を詳しく言ってしまうと(交渉相手から)逆手に利用され、日本の弱点と受け止められて、今後の交渉に不利になりかねない。その辺りを冷静に理解した上で、首相には、協議の進捗状況の中で必要に応じて説明していただくことを望む。情報開示という名の下に、手足を縛るようなことを要求したり、結果として交渉の自由度がなくなるようなことにならないよう、メディアも国民も、冷静に見守るべきところは見守るという態度も必要ではないか。「国益を最大化するために最善を尽くして交渉する」と首相も約束されているので、冷静に見守る必要があると思う。

Q: 野田首相のTPP交渉参加に向けた発言は、「交渉参加に向けて関係国と協議する」「国益も損ねてまで参加することはない」という表現だが、これは最大公約数的な表現にも受け取れ、世界に伍して行く覚悟があるのかなど、種々解釈があるが、どのように思われるか。

長谷川: 首相は全くぶれてないと思うので、そういう心配はしていない。

Q: オリンパスの問題について伺いたい。前回の会見では、コーポレート・ガバナンスの問題を巡って経済同友会内部でも議論をされているとのことだったが、その後、巨額の損失計上を先送りしていた事実も明らかになった。また株価も暴落している。改めて経営者として、また経済同友会のトップとしてのコメントをいただきたい。

長谷川: 一言で言えば、極めて残念であり遺憾である。加えて述べれば、個人あるいは複数の個人が意図的な作為を持って虚偽の決算をするなどという事態は、いかに制度を強化しようとも完全に防ぐことは難しいだろう。とはいえ、経営者としては、社外取締役もいるような構成の取締役会において、なぜ今回のようなことが指弾されることなく通過してしまったのかについて、個々の企業が十分に考えなくてはならない。自分の企業だけは絶対にそのようなことがないよう、今一度ガバナンスを見直し、強化することを期待しているし、(経済同友会内部でも)お願いしている。嘘は必ずどこかでばれると思っておいた方が良い。

前原: 以前、金融機関に勤めており、不良資産の処理を行ったことがあるが、不良資産を隠すと金利負担の追い貸しをしなくてはならない。十数年経つと、不良資産が倍になるということだ。その間に多くの人が見ていてチェックできなかったことについて、非常に不自然に思う。

Q: オリンパスの損失隠しについて、オリンパス単独の問題なのか、日本企業全体にこういった風土があるのか。大きな意味で同じ医療関連企業のトップとして、オリンパスが再生するには何が必要とお考えか。

長谷川: 日本企業全体にこういった風土が蔓延していることなどということはあり得ない。オリンパスの再生については、経営陣が考えることだが、これだけ株主価値や信用を毀損してしまったことに対する最善の回復策は何かを、原点に戻って考え、それを速やかに実行されることを望みたい。それ以上は、今の責任者が判断することなので、コメントは控えたい。企業は誰のためにあるのかを考えた時に、原点に戻って考えられることを切に望む。

前原: 私も日本全体にこういったことが蔓延っているとは到底思わない。バブル崩壊後、かなりの企業で不良資産の処理についていろいろ工夫された時期があったが、各社で処理をされ、数年でこういうことはなくなった。今こういった古い手口で残っていることが非常に不自然であるし、監査法人が(虚偽を)見付けられなかったことを疑問に思う。

Q: 私も「日本企業全体への蔓延はあり得ない」ことであってほしいと思うが、そう言い切れる根拠・理由は何か。

長谷川: 少なくとも、一経済団体の代表として、あるいは個人的なネットワークで接している経営者の方々については、経営に対する考え方などを十分に認識している。日々の付き合いの中から、このようなこと(巨額の損失隠しなど)が蔓延しているなどということはあり得ない、と責任を持って断言したい。

Q: オリンパス問題は、海外でも大きく報道されている。海外の人が日本企業を見る目は厳しくなっていると感じられるか。その場合、日本企業によるアライアンスや買収への影響はないか。

長谷川: (オリンパス問題が)個別企業のアライアンスや買収について、その成否に影響するとは思えない。個々の企業が長く築いた信頼関係や名声で判断されるので、それは心配していない。しかし、一般論として、日本企業のガバナンスがどうなっているのかという疑義を惹起し、その結果、日本の株式投資に対する外国人からの投資が少しマイナスになることは、全くないとはいえないので、懸念している。

Q: オリンパスに対して、課徴金で済ますべきか、上場廃止で株主責任を問うべきか、という議論がある。「会社は誰のものかを考えて対応していくべき」との発言があったが、その観点からはどのような処分が適当とお考えか。

長谷川: 最終的には、東京証券取引所や必要があれば金融庁が判断される問題であり、私からはコメントのしようがない。ただし、意図的に株主を欺くような行為をした経営者あるいは経営に対しては、軽い処置で済ませられるものではないだろうと感じている。

Q: 12月から、例年より2ヶ月遅れで就職戦線がスタートする。学生への期待や企業の考えを伺いたい。また、来春の採用状況について、今年と比較した全体的な見通しを伺いたい。

長谷川: 私自身は専門ではないが、経済同友会の副代表幹事に専門としている企業の経営者がおり、雇用状況は徐々に改善しつつあるとのことである。来年の新卒(採用)数は、今年よりは少し改善するのではないかというのが一般的な見方だと思う。

(新卒就職採用活動の開始時期について、今年初めの時点で)経済団体の足並みが揃わなかったことは残念だが、学生が本分である学業に少なくとも3年間は専念できるような形になっていくことを期待したい。一方、学生も、特定の企業に何十万件もの応募が殺到するようなことにならないよう、自分がどのような企業で何をしたいかを冷静に考え、できるだけ焦点を絞って就職活動をすることで、狂想曲的な混乱が避けられれば良いと思う。

前原: 大学の就職担当者に聞くと、去年より少しは良いようだ。大手企業だけでなく、地方の優良中堅中小企業へのアプローチについても改善が進み、(雇用の)ミスマッチが少しでも解消されることを期待する。

長谷川: 特にグローバル化した大企業への就職を希望する学生には、海外の学生とも競争しているという認識をぜひ持っていただきたい。

Q: 就職活動問題について、「経済界の足並みが揃わなかったことは残念」と発言されたが、「足並み」とは何を指しているか。経済団体の提言の中身がバラバラであったことが起因していると思うが、海外の学生と競争する中で、日本の採用活動の慣行をどういった位置付けで捉えているか。

前原: (経済界の)足並みが揃っていないということではなく、経団連は2013年(卒業予定の学生)からの採用の方向性を提言し、経済同友会は2014年からを提言した。(経済同友会の提言は)もう1年先の話なので、引き続き協議をする必要があり、将来的には、就職活動の開始時期を揃えなくてはならない。現在は、(各団体で)提言内容の時期が異なっていることは事実である。

長谷川: すでに多くの企業が通年採用を行っている。新卒採用のタイミングについては、(既卒者の採用と)少し切り離して考えざるを得ないとは思う。

以上

(文責:経済同友会事務局)


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